LIVE SHUTTLE  vol. 257

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トライセラトップス ポップにワイルドにオーディエンスを音楽の宇宙に連れていったツアーファイナルをレポート。5月9日に新作もリリース!

トライセラトップス ポップにワイルドにオーディエンスを音楽の宇宙に連れていったツアーファイナルをレポート。5月9日に新作もリリース!

TRICERATOPS MIRACLE GLITTER TOUR
2018年4月29日 Zepp DiverCity TOKYO

メジャー・デビュー21年目を迎えたTRICERATOPSは、両A面シングル「GLITTER/MIRACLE」を5月9日にリリース(ライヴ会場では限定で先行リリース)。そう、今回の“TRICERATOPS MIRACLE GLITTER TOUR”は、シングル発売前に行なわれたのだ。音楽好きのオーディエンスを信じて、彼らの新曲についての口コミを広げてからリリースし、新たなファンを獲得しようという作戦だ。長くバンドを続けていくためには、いろんなことをやってみる。これもTRICERATOPSの“音楽愛”のひとつの表われというわけだ。そして4月29日のZepp DiverCity TOKYOは追加公演だが、実質的なファイナルとなった。

会場のフロアには、椅子が置かれている。今日のライブは“ホール・スタイル”だ。が、TRICERATOPSを愛するオーディエンスは、果たして座ってライブを観るのだろうか。開演を待つ彼らの表情は、早くメンバーの演奏を楽しみたくて椅子から飛び出しそうになっている。さて、今夜はどんなライブになるのだろう。

BGMが止んで暗くなったステージに、和田唱(vo&g)、林幸治(b&cho)、吉田佳史(dr&cho)の3人が、ジャケット姿で堂々と入ってきた。いきなりオーディエンスが立ち上がる。やっぱりね(笑)。立ち上がったオーディエンスは、和田の弾くギターのイントロでわっと歓声を上げる。おなじみの曲、「FEVER」だ。しっかりしたアンサンブルでタイトな演奏なのに、全体としては軽快に響く。今夜、彼らが着ているジャケットのように、カジュアルなのにしゅっとしたカッコいいサウンドだ。

曲の途中でストロボライトがまたたき、3人がシルエットになる。そこから和田のギター・ソロに入った。軽く歪んだレスポール(ギター)の音色が、ワイルドな気分にさせてくれる。ただ歪み過ぎていないところがいい。このスタンスが、TRICERATOPSのロックだ。曲の終わりで和田が、「Alright,TOKYO!!」と叫んだのだった。

2曲目「あのねBaby」のイントロを林がベースで奏でると、ここでもまた歓声が上がる。さすがにファイナルだけあって、TRICERATOPSをよく知るオーディエンスが集まっている。それでも身内の甘さは一切感じられず、バンドの演奏の小気味よさに対して反応しているのが爽やかだ。ひとつのコードで押すAメロが、サビの華やかなコード展開を際立たせていて、ロックな部分とポップな部分のバランスが取れた、TRICERATOPSを代表する構成を持つ1曲となった。

「よく来てくれたねー! もう一つのZeppと間違えなかった?(笑) 何を隠そう、今日はファイナルなので、悔いのないように全部出し切っちゃってください! いっぱい曲を用意しました。みんなの好きな曲がセットリストにあることを祈りつつ」と言って、和田は「オレンジライター」のイントロに入っていく。

手慣れた演奏なのに、ゆるんだところがまったくない。おそらくそれは、メンバーが新鮮な気持ちで曲と向き合っているからだ。ツアーともなれば、毎回、ほぼ同じセットリストを演奏する。すると、どこかで飽きが来てもおかしくないのだが、3人のメンバーは時折目線を交わしながら、“この日だけの「オレンジライター」”をエンジョイする。

この曲で和田は、メロディックなソロではなく、コード・カッティングでソロを取った。つまりリズムをメインにしたソロなので、ドラムとベースとの駆け引きが重要になる。和田は他の2人と頻繁にアイ・コンタクトを取りながら、見事なソロを聴かせてくれた。ニッコリ笑った和田の“新鮮な気持ち”が伝わって、大きな拍手が起こったのだった。人気曲「ロケットに乗って」では、林のハーモニー・ボーカルが曲を大きく膨らませていて、この曲でも大拍手を浴びていた。

「全国を周って来て、その土地その土地の地元ネタでMCをしてきたんだけど、この前の川崎では、『家から近いから、ネタはないな』って言って失礼しちゃった。そういう時は、地方のライブの思い出を話せばいいんだって気が付いて、ここ1週間で大人になりました」と和田が笑わせる。

中盤には和田が一人でアコースティック・ギターで弾き語るコーナーが用意されていた。「if~Walk in the Park~Good Enough」の3曲のメドレーは、それぞれ曲調が異なり、その違いを和田はギター1本で見事に弾き分ける。最初の「if」は、繊細なピッキングで転調の美しさを際立たせる。「Walk in the Park」では2ビートのリズムのノスタルジーを聴かせる。「Good Enough」ではオーディエンスにコーラスパートを歌ってもらって、そのキレイなハーモニーの快感に、和田は思わず「このままずっと続けよう!」と叫んだのだった。

さらに和田はエレピの前に座って話し出す。

「今ではZeppが全国あちこちに進出してますが、僕らはオリジナルのZepp…東京のZeppのこけら落としをやったんですよ。1999年だったかな。だから他のバンドがZeppでライブをやるときは、僕らの許可がいる・・・ウソです(笑)。デビューした1998年には、今では信じられないことだけど、僕らは2枚アルバムを出した。次の曲はそのセカンドアルバムの中からやります」。

初期の曲「Guatemala」のアレンジは、複雑だった。Aメロは和田と吉田がユニゾンでボーカルを取り、サビでは林が加わって3人でハモる。しかも和田は、ギターではなく、ピアノを弾きながら歌うのだ。それを聴きながら僕は、TRICERATOPSが自分たちが20年前に作った曲を、味わい尽くしているように感じた。素晴らしいミュージシャンシップだと思った。

次の「2020」は歌詞が素晴らしかった。2002年に作られたこの曲は、2020年にも変わらず君に歌っている僕でいたいと歌う。その2020年は、もうすぐそこに来ている。いつまでも色あせない曲を作ってきた自分たちを信じる気持ちが、3人のコーラスに乗って会場の隅々にしみわたっていく。和田は、ピアノの最後の音を弾いた両手を、客席に向かって嬉しそうに差し出したのだった。

「気が付いたら、メンバー全員40代だよ…カッコいいでしょ? でもヒノキ花粉に負けてる。歌詞もよく見えない(笑)。次は新曲やるよ~。でも、まだ歌詞が身体に入ってないから、カンペを下に貼ってある。メガネかけてやっていいですか? オッケー、みんなが気に入ってくれたらいいな。最終日だから、絶対キメるぞ!」とニューシングルの「GLITTER」へ。最初はドラムとベースだけをバックに歌い、途中からギターが入るカラフルな曲を、とても落ち着いた歌と演奏でオーディエンスにしっかり届けたのだった。きっとファンの“口コミ作戦”は成功するに違いない。

林と吉田のリズム・セッションでダイナミックに客席をヒートアップさせて、そのまま終盤の盛り上がりに突入する。エフェクティブなギター・リフが刺激的な「GOING TO THE MOON」で、オーディエンスは大熱狂。「思い出の曲です。みんなの声とダンスを味わいたいです。全部出すんで、全部ちょーだいね!」と和田がコメントして、本編ラストはデビュー曲の「Raspberry」。Aメロもサビも同じコード進行という、ヒット曲のセオリーそのままの名曲は、これもまた色あせていない。メロディと一体になったギター、ドラム、ベースが、ポップにワイルドにオーディエンスを音楽の宇宙に連れていく。結局、オーディエンスは最後まで立ちっぱなしで、ライブはいったん幕を閉じた。

アンコールで3人は、Tシャツ姿で登場してポーズを決める。

「今日は楽しんでくれたかな? そんな時はTRICERATOPSを身に付けてみてはいかがでしょうか」と和田が物販の宣伝をチラリ。「じゃ、もう一個の新曲をやります。これもばっちりキメたいので、もうわかるよね(笑)、こんな感じでやっていいですか?」とメガネをかけると、場内は大歓声。

新曲「MIRACLE」は、「GLITTER」より洗練されたアンサンブルを持つギター・ロックだ。テクニックの高さをひけらかさず、しかしこのバンドにしかできない音楽の深みを感じさせて、この曲もオーディエンスに大歓迎された。きっとこの曲も“口コミ”でその良さが広がることだろう。

「ツアーの終わりは、どう締めくくっていいのかわからなくて、変な気持ちになる。俺たちも成長して帰ってきますから、お互い、次に会うときまでレベルアップしよう。21年、この不動の3人でやってこれたのは、誇りです。人生、楽しんでいきましょう・・・ちょっと、くどい?(笑)。なんかファイナルって、名残り惜しくてさ。言い残したことは、ツイッターで!」と和田が言って、最後の曲「トランスフォーマー」へ。オーディエンスも歌い出して、熱いラストソングになった。

と、思ったら、今度は会場から名残りを惜しむ歓声が起こる。再び、3人がステージに帰ってきて、「伝え忘れた。みんなはNo.1オーディエンスだよ!」と和田が叫んで、「Groove Walk」を弾き出した。ギタリスト&ボーカリストとしてはもちろん、和田はメッセンジャーとしてもどんどんアブラが乗ってきている。またTRICERATOPSは、バンドとしてのオリジナリティをますます高めている。音楽を真ん中に置いて、バンドとオーディエンスが等しく楽しむ。貫禄があるが、おっさん臭くないロックバンドのグッド・パフォーマンスを堪能したファイナルだった。

文 / 平山雄一 撮影 / 山本倫子

TRICERATOPS  “MIRACLE GLITTER TOUR
2018年4月29日 Zepp DiverCity TOKYO

セットリスト
1.Fever
2.あのねBaby
3.オレンジライター
4.Future Folder
5.ロケットに乗って
6.シラフの月
7.NEW LOVER
8.if~Walk in the Park~Good Enough(SHO’S SOLO)
9.ベル
10.Guatemala 
11.2020
12.GLITTER
13.FLY AWAY
14.NEW HAYASHI YOSHIFUMI GROOVE
15.MADE IN LOVE
16.GOING TO THE MOON
17.Raspberry
ENCORE
1.MIRACLE
2.トランスフォーマー
W ENCORE
1.GROOVE WALK

その他のトライセラトップスの作品はこちらへ

ライブ情報

TRICERATOPS FAN CLUB TOUR 2018 in 沖縄 6月開催決!!
詳細はオフィシャルサイトにて。

トライセラトップス

和⽥唱(Vo&G)、林幸治(B)、吉⽥佳史(Dr)により結成。
1997年、シングル「Raspberry」でメジャーデビュー。胸を締め付けるラヴソング、ロックの苦悩に刃向かうようなポジティブなリリック、そしてたった3⼈で演奏しているとは思えないサウンドと、リフを基調とした楽曲は、良質なメロディセンスとライブで培った演奏⼒により、唯⼀無⼆の存在感で新たな可能性を拡げ続けている。多くのミュージシャンにもリスペクトされている国内屈指の3ピース・ロックバンドである。
またVo&Gの和⽥唱は、SMAP、藤井フミヤ、松たか子、Kis-My-Ft2、SCANDALなどへの作品提供も多数あり、ソングライターとしても評価を集めている。
昨年2017年はメジャーデビュー20周年のアニバーサリーイヤー。「ROAR×20」と題した全国16か所、ツアーを開催。最終日には、交流のある小田和正氏と仲井戸麗市氏をシークレットゲストに迎え、日比谷野外音楽堂をSOLDOUTにした。
また和田は、小田和正氏の音楽番組「クリスマスの約束」へ3年連続出演し、小田氏をサポート、ベースの林はPLAGUES、岸谷香氏などのツアーサポート、ドラムの吉田は、吉井和哉氏、渡辺美里氏、矢沢永吉氏、布袋寅泰氏、高橋優氏、スキマスイッチなどのライヴ、レコーディングサポートと、個々に演奏力やパーソナリティーが評価され、それぞれの活動にも幅を拡げている。
2018年3月からスタートしたMIRACLE GLITTER TOURも無事終了。5月9日にNEW DOUBLE A-SIDE SINGLE「GLITTER / MIRACLE」をリリース。

オフィシャルサイトhttp://triceratops.net

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