Interview

【インタビュー】乃木坂46の楽曲クリエイター・杉山勝彦が作り上げた、アニメ『ダーリン・イン・ザ・フランキス』ED楽曲の魅力。“6曲は全部繋がっている!”

【インタビュー】乃木坂46の楽曲クリエイター・杉山勝彦が作り上げた、アニメ『ダーリン・イン・ザ・フランキス』ED楽曲の魅力。“6曲は全部繋がっている!”

TVアニメ『THE IDOLM@STER』の錦織敦史監督の旗振りで豪華スタッフが集結して制作された、現在TV放送中のオリジナルアニメ『ダーリン・イン・ザ・フランキス』。男女二人でロボットに搭乗して人類を守るために戦う少年少女たちの人間模様を中心に描いたSF作品だ。

同作のエンディングを飾っているのが、『ダリフラ』に登場する5人の少女たちによるユニット、XX:me(キス・ミー)が歌うキャラクター・ソング。物語の展開に合わせて切り替わるそれらの楽曲群は『ダリフラ』とリンクしながら独自の世界観も有しており、アニメソングとしてもポップスとしても素晴らしいクオリティーとなっている。今回はそれらの楽曲すべての作詞・作曲・編曲をトータルで手がけた作曲家の杉山勝彦に、コンセプトから制作秘話まで話を聞いた。

取材・文 / 北野 創


2クールで6曲ものEDテーマがある驚きとワクワク感

まずは『ダーリン・イン・ザ・フランキス』のEDテーマをトータルで手がけることになった経緯をお聞かせください。

錦織(敦史)監督が僕の書いた乃木坂46の曲をすごく気に入ってくださってるというお話で、山内さん(山内真治。アニプレックスの音楽プロデューサー)を通じてご相談いただいたんです。2クールで6曲もEDテーマがあるということで驚きもあったんですけど、すごく面白そうでワクワクしましたね。1曲だけ提供する場合はシングルの表題曲らしいものを作って終わりというパターンが多いと思うんですけど、今回はいろんなバリエーションが必要になるので、アーティストがアルバムを作るのと同じような形で、全体で起承転結を持たせたものを作ることができました。

『ダーリン・イン・ザ・フランキス』という作品自体にはどんな印象を抱きましたか?

先に脚本を全部読ませていただいたんですけど、作品の世界観とか人間模様、寓話的な表現に魅力を感じて、監督が僕にお話しをくださったのもわかる気がしましたし、相性も良さそうだなと思いました。アニメの放送も普通に視聴者として楽しんで観てますし、特に13話にはめちゃくちゃ感動したんですよ。この気持ちを自分の後輩にも伝えたいのでアニメを観てもらおうと思ってるんですけど、感動するには伏線からちゃんと理解してないといけないと思うので、どこから観てもらおうか考えてるところです(笑)。

第1話から全部観ていただくしかないですね(笑)。アニメ制作サイドからは具体的にどんなオーダーがあったのでしょうか。

ざっくりとした感じではあったんですけど、まず作品の世界観そのままではなくて、パラレルワールドというか並行世界を描いてほしいというお話でした。「『ダリフラ』に登場する少女たちが、精神性はそのままに、今我々が生活してる普通の世の中にいたとしたら、どんな葛藤や思いを歌にするんだろう?」というのがいちばん大きい部分になります。あとは、EDテーマが切り替わるタイミングや、話数に合わせてオンエアされる楽曲のイメージを最低限伝えていただいたうえで、僕の方で結構自由に作らせていただきました。

『ダリフラ』のストーリーの進行とEDテーマの内容が見事にシンクロしてるので、制作サイドとは綿密なやり取りをしたのではないかと思ったのですが。

内容に関しては基本お任せだったんですけど、エンディングの入り方については細かなお話をいただきました。特に「トリカゴ」は最初に作った曲で、落としどころがまだ見えてない状態だったので、何度もやり取りを重ねましたし、アレンジも4回ぐらい作り直したんです。バージョン違いも相当な数を作りまして、「ここにハイハットを入れてください」とか「Aメロが二回しあるバージョンも作ってほしい」とか、いろいろありましたね。なので、歌詞は1番のAメロの後にBメロがきても2番のAメロがきても繋がるように書いて、バッキングの演奏もそのバージョン用に録音したりしてます。

相当なこだわりぶりですね。

とにかく作らなくてはならないバージョンが多くて大変でしたね。でも、オンエアされると「こういうふうに見せたかったんだ、なるほど!」と思いますし、そのときには作ったときの苦労を忘れてるので楽しんで観てます(笑)。

「トリカゴ」と「Beautiful World」は歌詞的に全部繋がっているんです

EDテーマでは『ダリフラ』の並行世界のお話を描いてるとのことですが、具体的にはどんな内容をイメージして書かれたのでしょうか。

まず、その世界にはどんな子がいて、普段してることや家族構成なんかも何となく考えて、実際にストーリーを組み立てていくようなイメージで設定を作りました。『ダリフラ』の主人公の子たちはみんなパラサイトとして優秀なので、もし並行世界にいたとしてもインテリだと思うんですよ。そこから、校則の厳しい進学校で大人たちに縛られながら勉強をしてるけど、実はやんちゃな発想も持っていて、何かおかしいと感じてる子たちという設定にして、どの曲もそこから逸脱しないようにしてます。

最初のEDテーマ「トリカゴ」は『ダリフラ』全体を表してる雰囲気がありますし、第7話のみでオンエアされた「真夏のセツナ」はその回の物語の内容に合わせた夏っぽい華やかな曲調、3曲目のEDテーマ「Beautiful World」は『ダリフラ』本編で主人公のコドモたちとゼロツーが打ち解けていく様子とリンクしてる印象を受けました。そういった『ダリフラ』のストーリーとの繋がりは、どの程度意識して制作されましたか?

もちろん話数ごとのテーマにも合わせてますけど、『ダリフラ』全体の筋書きには、好きな人ができることで、世界の見え方が変わる瞬間というのが描かれてるじゃないですか。それが(EDテーマで描かれる)並行世界にもあって、例えば「トリカゴ」と「Beautiful World」は歌詞的に全部繋がってるんですよ。

「トリカゴ」の主人公は教室の窓越しから空を見ていて、本当はやりたいことがあるけどその<才能(チカラ)>がなくて嘆いてるだけの状態なんですね。そんな<ボク>に「何で空を見てるの?」と声をかけてくれる人が現れることで、窓を開けて直接空を見るんです。そこに<青空が 触れそうなほど 鮮やかに見えて>という視覚の変化が起こるんですが、それは主人公の気持ちの表れでもあって、空がより近くになったことで世界は美しかったことに気づく。それが「Beautiful World」ということなんです。かつ、その変化は同じ教室内で起こることで、その後の曲でも連作のようにお話が続いていくんです。

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