音楽界最大のドラマ 【グラミー賞 2016】  vol. 7

Interview

目標が紅白歌合戦、日本レコード大賞、グラミー賞。レコ大賞も紅白もダメで、グラミーがひっかかった

目標が紅白歌合戦、日本レコード大賞、グラミー賞。レコ大賞も紅白もダメで、グラミーがひっかかった

’14年(日本では’15年)にリリースされたスライ&ロビーとのコラボレーション・アルバム『THE REGGAE POWER』で、日本人レゲエ・アーティストとしては初めてグラミー賞にノミネートされたSPICY CHOCOLATE。「若者からは“スパチョコさん”とか呼ばれることもあるんです」と笑ったKATSUYUKIさんは、穏やかな口調の中にレゲエに対する熱い使命感を窺わせる。残念ながら今年はノミネーションを逃してしまったが、グラミー賞が身近になった今、「今度はトロフィーを日本に持ち帰りたい。諦めないで頑張る」と意欲を隠さない。前から2列目で堪能したという’15年2月のグラミー授賞式の模様もたっぷり語ってくれた。

目標が紅白歌合戦、日本レコード大賞、グラミー賞レコ大賞も紅白もダメで、グラミーがひっかかった

日本では1月20日に発売になったばかりの新作『THE REGGAE POWER 2』ですが、海外では既にリリースされています。発売日をずらしたのには、理由があったんですか?

今回リリースした『THE REGGAE POWER 2』で、今年もグラミーのノミネーションに挑んだんですね。その審査が9月の後半まであって、海外ではそれまでにリリースをしないといけないので、8月にリリースました。

SPICY CHOCOLATE「ずっとマイラブ feat.HAN-KUN & TEE」Delicious Deli Records'15年発表

SPICY CHOCOLATE
「ずっとマイラブ feat.HAN-KUN & TEE」 Delicious Deli Records ’15年発表

当然のごとくグラミーが視野に入っているんですね。

そうですね。ありがたいことに、こんな流れの中で、そういうチャンスが僕たちの近くに来たので。グラミー受賞がちょっと見えたっていうのが、自分の音楽人生の中で誇りになることだなとは思っています。だから、できる限り挑み続けたいなと思ってます。

『THE REGGAE POWER』がグラミー賞にノミネートされたという報告を受けた時は、どんな気分でしたか?

これはもうびっくりですよね。僕は、SPICY CHOCOLATEを結成して、今年で22年目なんですけど、一昨年前に「ずっと feat. HAN-KUN & TEE」という曲が、NTTドコモさんのCMソングに起用されたて、ようやくみなさんに注目していただけるようにようになったんですね。22年続けて18年目くらいで新人扱いになって、徐々にみなさんにおぼえてもらえるようになって。その時に掲げた目標が、紅白歌合戦への出場、そして日本レコード大賞・グラミー賞を獲る、という3つあって。このうちどれかひとつでもひっかかりたいな、と考えていたんですけど、レコード大賞も紅白歌合戦もダメで。そんな中で、グラミー賞がひっかかって、率直に「おぉ!」ってなりました。

コラボしているスライ&ロビーと初めて出会ったのはいつぐらいですか?

90年代の後半、’98年くらいかな? 今から17~18年前くらいですか。その頃は、何回もジャマイカに修行で行っていて、スライ&ロビーにも直接会いに行って「一緒に音楽作ってもらえませんか?」って。それが可能な国が、ジャマイカなんですよ。やりたいミュージシャンに会いに行って自分で交渉して、交渉が成立すれば自分たちと一緒に音楽を作ってくれるっていう、夢のような国がジャマイカ。で、まあ、直接スライ&ロビーに会いに行って、その時に2曲作ったんですね。僕たちのSPICY CHOCOLATE は日本で活動していて、イヴェントやライヴも渋谷拠点にやっていたんですけれど、そのイヴェントにジャマイカ人のアーティストを招聘する企画を自分たちで手掛けたんです。ジャマイカからアーティストを日本に呼ぶにあたって日本のビザが必要で、その時にお世話になったジャマイカの日本領事が、今回一緒にプロジェクトを組んだKAZ ASONUMAさんという人なんです。領事を辞めて数年経ってから、スライ&ロビーのマネジメントを手伝うようになっていて。ああ、カズさんがいて、スライ&ロビーがいて、でも、スライ&ロビーも毎年エントリーはしてるけど、90年代の後半にグラミー賞を1回受賞したきり獲れてないと。だったら一緒に何かできることはないですか? という話になり、じゃあ、SPICY CHOCOLATEとスライ&ロビーでやりましょうって。そこで、ようやく点が線になって輪になって、グラミー賞に挑むっていうプロジェクトに進み始めたっていう感じなんですけど。

スライ&ロビーとジャマイカで。

スライ&ロビーとジャマイカで。

もう一度ノミネートされて蓄音機のトロフィーを日本に持って帰ってきたいなっていうのが今の夢

なるほど。修行でジャマイカに通っている時期があったそうですが、最初に行く時にためらいや不安はなかったのですか? そもそも遠いですよね、ジャマイカ。

そうですね。一番初めに行ったのはちょうど20歳くらいの時だったんです。言い方は悪いんですけれども、みんな肌の色が全然違うわけですよ。で、ものすごくカルチャー・ショックっていうか、なんだここはっていう。例えば、ファストフード、ケンタッキーとか、ご飯を買いに行くと店から出るなり子供たち5~6人くらいに囲まれて。買ってきたご飯をくれって言われるんです。日本では、そんなストリート・チルドレンとか見たことなかったし、ああ、こういう国があって、こういう人たちがいて、こういう文化があるんだなっていうので、いろいろなカルチャー・ショックは受けました。日本ではけっこう天狗になって、若い頃は粋がって生きてたんで(笑)。初めて鼻をへし折られたのが、ジャマイカで。その時に、僕の中で「ジャマイカの人たちをいつかギャフンと言わしてやりたいな」っていう思いが、ボッと燃えたんですね。そのためにはどうしたらいいんだろうっていうところから、年に何回も修行しに行くようになりました。

レゲエにハマる前は、他のジャンルの音楽が好きだったのですか?

僕はTHE BLUE HEARTS の甲本ヒロトさんとか、忌野清志郎さんとか、泉谷しげるさんとか、そういう方の音楽を聴いていました。あとは、僕の10代の頃はディスコ、ユーロビートっていうのが流行っていたので、ダンス・ミュージックに行って、そこからレゲエに行ったっていう感じなので。全然違うジャンルに飛び跳ねて行ってますね(笑)。

1 2 >
vol.6
vol.7
vol.8