Interview

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』音楽制作秘話・完結編 山崎まさよしを起用したEDテーマの意図─「主人公はシャアであり、アムロなんです」

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』音楽制作秘話・完結編 山崎まさよしを起用したEDテーマの意図─「主人公はシャアであり、アムロなんです」

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のクライマックスとなるルウム会戦後編を描いた「誕生 赤い彗星」がついに劇場上映となった。『機動戦士ガンダム』へと繋がる、シャアの、そしてアムロのあらたな戦いの幕開けでもある本作の音楽について、ファーストガンダムでも音楽制作を担い、『THE ORIGIN』でも音楽プロデューサーとして制作に関わる藤田純二氏を直撃した。

取材・文 / えびさわなち


ファーストガンダム当時の音楽制作などについて聞いたインタビュー前編はこちら
「ファーストガンダム」から「THE ORIGIN」へ。アニメ音楽シーンの転換点を支えたキーパーソン 音楽プロデューサー・藤田純二に訊く

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2018.05.12

エンディング曲は作品の締めとしての音楽であり、次に繋がるような音楽でありたい

今回『THE ORIGIN』はシリーズを通して毎回、エンディング曲が変わっていきますが、そこにはどんなこだわりがあるのでしょうか。

今回はすべて劇場で上映することもあって、オープニングの歌はないですし、スタッフが大勢いますからエンドロールも結構長いですし、そこで5分から6分掛かる曲を作るとなったときに、劇場で『THE ORIGIN』を観る方が、どんな気持ちで本編を観て、観終わったときにエンドロールを観ながらどんな気持ちになっているのか、と想像したんです。一話一話、内容が違いますし、そのあたりを意識してエンディングは作りましたね。

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 青い瞳のキャスバル』より

一話目だったら、「こんなストーリーだから、ここでかかる曲はグッとくる曲がいいな」と。そんなふうに想像しながら、こんな歌詞にして、こんな曲調にして、どんな歌手に歌ってもらおうか考えていきました。今までならレコード会社が売り出したいアーティストや話題性のある方だったり、曲が本編と切り離されているような感じでのエンディングというのも多々あるんですが、今回は作品の締めとしての音楽であり、あわよくば次に繋がるような音楽でありたい、と思って一曲一曲すごく苦労して作りました。それも服部隆之先生が作曲される、ということですごく喜んでくださいました。BGMを作曲しても歌は別の方、ということもやはり多いんですが、今回はエンディング曲もお願いします、と。それだけ服部さん自身の想いも強くなっていったと思います。

どこで使われても違和感なく観られる。8割方音楽が映像に重なっているのはすごいなと思います

そしていよいよルウム後編。地球連邦とジオン公国の戦いを決定づけるクライマックスですが、ここでの音楽に関して意識したことはなんでしたか?

BGMとしては、第1話(「青い瞳のキャスバル」)と第2話(「哀しみのアルテイシア」)、第3話(「暁の蜂起」)と第4話(「運命の前夜」)、第5話(「激突 ルウム会戦」)と第6話(「誕生 赤い彗星」)と2話ずつ、3回に分けてレコーディングしているのですが、ストーリー的にはどんどん過激になっていくんですよね。

宇宙戦争で、宇宙でモビルスーツがブンブン飛んで、コロニーを地球に落としてっていうとてつもない話になっていくんですけど、だからといって音楽がガツーンと変わるかと言うと、そうではないんです。最初の『THE ORIGIN』からずっと引き続いてきた音楽をそのままに、少しずつ変化させながらやってくるわけで、最後だからと、とてつもない音楽を想定することは作曲家にも音響監督にもなくて、とにかく服部先生がやってこられたBGMの延長線上にルウム会戦が出て来る。

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 激突 ルウム会戦』より

ちょっと可哀想な話なんですけどね。コロニーの中で殺されてしまう人々がいたり、とてつもないシャアの戦いの音楽はどうしようか、とか、そんな苦労はいっぱいあるんですけれど、大きく「ルウム会戦だから」と音楽への要求を変えることはなかったですね。ただ服部先生も劇場で作品をご覧になりながら、いろいろと思うところはあったでしょうし、それがルウム会戦へと繋がっていったのはあるとは思います。映像とご自身の作った音楽がどうマッチしていくか、というのが第4話まで作ってこられた延長線上にあるからこそ、服部先生も想像がしやすかったと思います。

それと実際に観てみると、劇中、のべつ音楽が鳴っているんですよね。あれはコンテとか音楽のメニューで打合せしたとき以上にあちこちで音楽が鳴っていて。それは過去に書いた音楽なんですが、過去の曲もルウムの後編に使っても違和感がない、というのは、『THE ORIGIN』及びルウム会戦の音楽と映像とのシンクロが最初からうまくいっていたからだと思うんです。どこで使われても違和感なく観られる。8割方音楽が映像に重なっているのはすごいなって思いますね。

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