LIVE SHUTTLE  vol. 259

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MISIA ファイナルにして20周年イヤー幕開けのステージ! 過去と現在がエモーショナルに交差する圧巻の歌声とパフォーマンス!

MISIA ファイナルにして20周年イヤー幕開けのステージ! 過去と現在がエモーショナルに交差する圧巻の歌声とパフォーマンス!

20th ANNIVERSARY
“THE SUPER TOUR OF MISIA Girls just wanna have fun ”
2018年4月28日 横浜アリーナ

今年、20th Anniversaryを迎えたMISIAの20周年ライヴ第1弾となる“THE SUPER TOUR OF MISIA Girls just wanna have fun”のファイナルを横浜アリーナで観た。

MISIAはデビュー以来、アルバムと並んでツアーに精力を注ぎ、さまざまな成果を上げてきた。その結果、彼女のライヴのスタイルは多岐にわたることになった。生演奏のみのバックで歌うスタイル、生楽器とコンピュータ・トラックを併用するスタイル、DJとダンサー中心のスタイルなど、この20年間でたくさんのタイプのライヴを行ない、それぞれ大きな成功を収めてきた。今回の“THE SUPER TOUR OF MISIA”はその集大成と位置付けられるが、ここでもまたMISIAは新しいスタイルに挑戦するという。彼女のチャレンジ・スピリットは、20年のキャリアを積んでも、まったく衰えていない。果たしてどんなアニバーサリー・ライヴになるのだろうか。

ステージ中央にスポットライトが当たり、DJ EMMAのパフォーマンスがスタートする。DJ EMMAはリミックスを手掛けたり、台湾のLGBTイベントに一緒に行ったり、MISIAにとって欠くことのできないブレーンだ。この記念すべきライヴの幕開けがDJショーであることの意味を、オーディエンスたちはよくわかっていて、ハンドクラップで参加する。DJ EMMAもこの時間を楽しむように、手を上げて応える。会場が温まったところでDJプレイが終わり、弦一徹の美しいストリングス・サウンドが聴こえてきた。

バンドが大音量でリズムを刻み始める。アリーナに長く伸びたランウェイの先端に、デビュー当時のMISIAの姿がプリントされた四角いカーテンボックスが設置されていて、そこに強い光が当たる。カーテンが切って落とされると、そこにフラッグを振り回す女性ダンサーたちを従えたMISIAが現われた。「ヨコハマアリーナ!」とMISIAが呼びかけると、待ちかねたオーディエンスが大歓声を上げる。そのタイミングで輝くテープ弾が発射され、ライヴに向かう熱気が、一気に爆発したのだった。

オープニング・ナンバーは「INTO THE LIGHT」。MISIAはランウェイの先端にいたまま、歌い出す。とても強い声だ。前日にもライヴがあったが、MISIAは絶好調をアピールする。下から上へ煽るライティングが、会場を埋めたオーディエンスを照らし出す。彼らの表情は、MISIAの歌を聴ける歓びにあふれている。先にダンサーがステージに戻り、MISIAがその後を追った。

「みんなぁ、今日はファイナル! いくよ~!!」。2曲目はスケールの大きな最新シングル「君のそばにいるよ」だ。安定したバンド・サウンドがMISIAの歌を包み込む。このツアーのために特別に編成されたバンドは、ドラムス、ベース、ギター、パーカッション、キーボードが2人、コーラスが3人、ブラス・セクションが3人という大人数。それぞれが個性的でありながら、ダイナミックなアンサンブルを醸し出す。いつ、どのミュージシャンが突っ込んでくるかわからないスリルを、MISIAは楽しむように自在に歌う。

最初のドキッとする瞬間は、3曲目のセカンド・シングル「陽のあたる場所」のイントロでやってきた。ニューヨークで活躍するトランぺッター黒田卓也の率いるブラス・セクションが、恐ろしくキレのいいリズムを打ち出す。トリッキーなシンコペーションが連続するフレーズが、1998年の楽曲をアップデートする。最新曲とデビュー年の曲を並べて歌い、そこに最近チャレンジしているニューヨークのグルーヴを盛り込むあたりが、このツアーの醍醐味だ。それにしてもなんという完成度だろう。そんな最新のグルーヴが炸裂した「めくばせのブルース」では、会場から大きな拍手が巻き起こる。MISIAのチャレンジは、長年のファンに大歓迎されている。

「今日はファイナルにようこそ! ありがたいことに今年で20周年を迎えさせていただきました。20年経っても歌い続けていられること、それをこんなにたくさんの人と喜び合える幸せを感じてます。ファイナルだけど、20周年イヤーの幕開けですので、思い切り楽しみたいと思います。今、新曲を作ってて、気持ちとしてはこのライヴも全部新曲でやりたかったんだけど、懐かしい曲も歌いたいし。でも、1曲、新曲、やってもいい?」とMISIAはここでもチャレンジする。もちろんオーディエンスは大歓迎だ。黒田のアレンジした「LADY FUNKY(未発表曲)」は、これもまたグルーヴィーなナンバーで、女性ダンサーがアグレッシブなダンスでMISIAをバックアップしたのだった。

ミュージシャンばかりでなく、このライヴはダンスも充実していた。「逢いたくていま」ではスペシャルゲストとして今、話題のダンサーの菅原小春が登場。彼女のパフォーマンスを初めて目にする人も多く、エモーショナルな身体の動きに圧倒されていた。

終わると、アバンギャルドなストリングス演奏が始まり、そのパートではコリオグラファーの辻本知彦振付のコンテンポラリー・ダンスが披露された。ここでもMISIAの感性がアップデートされ続けていることが感じられ、会場はますます日常を離れたエンターテイメントにひたっていく。

ステージ背後に浮かんだ大きな月の前で、MISIAが「SNOW SONG」を歌い出す。2003年に発表されたこの曲は、コンピュータで精緻に作りこまれた名曲だが、この日はバンドの演奏でまったく違った表情を見せる。かと思うと、「Everything」はオリジナルどおりのストリングスのイントロが流れると、アリーナから拍手が起こる。本当に心憎いセットリストだ。

黒田がリードするコーナーをはさんで、いよいよ終盤はアッパーチューンが次々と。オープニングの「INTO THE LIGHT」と並んで、初期のMISIAのライヴを盛り上げた「THE GLORY DAY」が凄かった。歌に入る前に、重実徹のソウルフルなピアノをバックに、アドリブで歌う。♪Thank you 1998年 Thank you あなたと出会う♪など、感謝の言葉をメロディに乗せて伝える。オーディエンスたちはおおいに騒ぎ、反対に感謝を返す。演奏も歌も気持ちがこもっていて、ライヴの温度がどんどん上昇していく。特にMISIAのボーカルは最終盤になって、ますます強くなってきているのが驚異だった。

最後は「MAWARE MAWARE」。強烈なアフロビートを、ミュージシャンもダンサーもMISIAも楽しんで、会場を大きく揺らしたのだった。

アンコールでMISIAは、ピンクと白の乗馬をイメージさせるファッションで現われた。

もうすぐツアーが終わることをまったく感じさせない明るさで「あなたにスマイル:)」、「LUV PARADE」を歌う。

「もうね、今日は始まる前から泣きそうだった。19才で1998年にデビューして、人生の半分以上、歌手として生きてきました。小さい頃から歌が好きで、11才で職業にしたいと思って、やっと19才でデビューできました。それから一生の職業になるように願ってやってきて、20年経った今、やっと実感することができています。音楽、ミュージシャンたちとの出会い、そして皆さんがいたお陰です。私を歌手にしてくれて、ありがとう!」と、MISIAは涙ぐむ。「最後にデビュー曲を歌いたいと思います」。最後の曲は「つつみ込むように…」だった。

ニューオリンズ・ジャズのように有機的に絡むブラスを従えて、MISIAのハイトーン・ボイスが突き抜ける。20年前にこの歌でMISIAを知った人も多いだろう。あるいは途中で知った人も、この名曲の素晴らしさをすぐに感じただろう。そしてそのイメージを損なわないように、細心の注意を払ってこの曲は2018年バージョンにアレンジされていた。それを2018年のMISIAが思い切り歌う。爽快なエンディングだった。

終わってMISIAはミュージシャンとダンサーの全員を紹介する。「そして、シンガーはMISIAでお送りしました。またお会いしましょう。ライヴの最後に、今年の始まりに、大きな声で“アレ”をお願いします(笑)。MISIAと呼んでくださ~い!」と叫ぶと、会場からいつも以上の大声で「MISIA!!!」の声が上がり、MISIAはステージを去った。

それでも名残りを惜しむオーディエンスが帰らない。しばらくして再びMISIAが登場。ニューヨークから駆けつけた黒田と、キーボードの大林武司もステージに戻ってきて、ファーストアルバムからMISIAが作詞作曲した「キスして抱きしめて」を歌う。完全な即興演奏と歌で、オーディエンスへの感謝の気持ちと、音楽への愛を表わしたのだった。

MISIAはこの後、6月から “MISIA星空のライヴ X Life is going on and on”で全国ツアーをスタートさせ、7月にはフジロックに初参戦する。目覚ましいアニバーサリー・イヤーになりそうだ。

文 / 平山雄一
撮影 / Michito Goto、Takuya Kimura、Junichi Itabashi、Santin Aki、Brian Chen

20th Anniversary
“THE SUPER TOUR OF MISIA Girls just wanna have fun
2018年4月28日 横浜アリーナ

セットリスト

1. INTO THE LIGHT
2. 君のそばにいるよ
3. 陽のあたる場所
4. 来るぞスリリング
5. めくばせのブルース
6. LADY FUNKY(未発表曲)
7. オルフェンズの涙
8. 逢いたくていま
9. SNOW SONG
10. 飛び方を忘れた小さな鳥
11. Everything
12. BELIEVE
13. 幸せをフォーエバー
14. THE GLORY DAY
15. SUPER RAINBOW 〜HOPE & DREAMS (Medley)
16. MAWARE MAWARE

EN-1. あなたにスマイル:)
EN-2. LUV PARADE
EN-3. つつみ込むように・・・
EN-4. キスして抱きしめて

ライブ情報

MISIA 星空ライブ X Life is going on and on

6/17(日) 台湾・台北国際会議センター(TICC)からスタート
スケジュールの詳細は、オフィシャルサイトにて。


http://misiasp.com/20th/live_hoshi10/

MISIA

長崎県出身。その小さな体から発する5オクターブの音域を誇る圧倒的な歌唱力を持ち、「Queen of Soul」と呼ばれる日本を代表する女性歌手。
1998年のデビュー曲「つつみ込むように…」は日本の音楽シーンに強い影響を与え、ジャパニーズR&Bの先駆者と言われる。その後発表された1stアルバム「Mother Father Brother Sister」は新人ながら、300万枚の異例のセールスを記録。
以降、「Everything」「逢いたくていま」等、R&Bというジャンルにとらわれず、バラードの女王の名も確立された。その実力は日本国内のみならず、アジアひいては世界からも認められる。
デビュー19年目を迎えてなお、年々音楽に対する追求心はとどまることを知らず、世界を舞台に様々な作品を発表。来年のデビュー20周年に向けて、さらなる期待が高まる。また、音楽活動のみならず社会貢献活動にも注力し、第5回アフリカ開発会議(TICAD V)名誉大使などを歴任。

オフィシャルサイトhttp://www.misia.jp/

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