2018年春アニメ主題歌特集  vol. 13

Interview

【インタビュー】アニメ『銀河英雄伝説 Die Neue These』を締めくくる一曲。“すべてを包み込む星のように”美声シンガーELISAが語った歌心

【インタビュー】アニメ『銀河英雄伝説 Die Neue These』を締めくくる一曲。“すべてを包み込む星のように”美声シンガーELISAが語った歌心

原作小説シリーズが累計1500万部を記録する大ベストセラー作品『銀河英雄伝説』。近年TVアニメ化された『アルスラーン戦記』などで知られる田中芳樹が1982年に発表し、広大な宇宙を舞台にふたりの英雄を中心に数多の人物の生き様を描くスペースオペラ作品だ。1988年からOVAが本伝110話+外伝52話+長篇3作という前代未聞の展開を見せた作品が、現在の技術と新たな声優陣で、4月よりTVアニメ『銀河英雄伝説 Die Neue These』として放送がスタートした。

宇宙を戦いの舞台とした壮大な艦隊戦や権謀渦巻く政治劇などが展開される中、毎回のエンディングでは「銀河帝国」と「自由惑星同盟」の主要キャラクターが総登場し、大河ドラマらしく締めくくる。そこでかかるELISAの「WISH」は観る者の思いを広大な宇宙へと導いていく。彼女がこの歌に込めた想いを聞かせてくれた。

取材・文 / 日詰明嘉


これからの自分の色を示してくれるかのような宇宙の深さ

ELISAの目にまず飛び込んできたのは作品のキービジュアルだった。未来的な宇宙艦隊が空に浮かび、銀河帝国のラインハルト・フォン・ローエングラムと、自由惑星同盟のヤン・ウェンリー両将軍が対峙する。その時点ではまだ主題歌を担当できるかどうかは決定していなかったそうだが、「これは絶対に歌いたい。私が歌うべきなんだという使命感を感じました」と語る。そこには彼女自身の歌手活動10周年を迎え、さらなる彼女像を示そうとするなかで道しるべともいえるものが描かれていた。

ELISA「私は宇宙に憧れがあって、何か迷ったときに『届かないけれども答えがそこにある』と、いつも空を見上げるんです。空はまるで自分の鏡のように変わらないものを教えてくれる。そんな想いにピッタリの画像でした。特に空の深さに感銘を受けました。真夜中に光る星は素晴らしくきれいで、でも朝や昼は星が見えなくてもそこにきれいな空があって白い雲が空の蒼さをより一層引き立てる、そういう空の色。自分を何色で表現したらいいかを決め込んでくれたような感じがしました」

作品の舞台は数千年後の未来。宇宙に進出した人類は独裁者を生み、「銀河帝国」を形成する。帝国では専制が進み、圧政に耐えかねた人々は民主共和制の「自由惑星同盟」を作るも、それぞれ政治腐敗と衆愚政治が国家を蝕み、両陣営が150年の長きに渡る戦争を繰り返した頃、陣営も思想も対照的なふたりの指揮官の登場によって歴史は動く。最愛の姉を皇帝から取り戻すため、軍人を志した傍流の帝国貴族ラインハルト・フォン・ローエングラムと、元々軍人志望ではなく、歴史研究家志望だが、卓越した戦略的思考と戦術眼を持つヤン・ウェンリー。広大な銀河を舞台に「常勝の天才」と「不敗の魔術師」に率いられた大軍勢が雌雄を決する巨大スケールの物語だ。

メッセージ性を乗せるというよりもすべてを包み込むような星のように歌う

そんな『銀英伝』についてELISAは次のように話した。

ELISA「昔から人気で、しかも大作であるとは聞いていたのですが、作品の情報量が半端なくて(笑)。とにかく登場人物が多くて、ストーリーではその一人ひとりにスポットを当てている。これは諦めという言葉を知らない人が作った作品なんだろうなと思いました(笑)。今作も絶対にみんなに愛される作品になるだろうなと」

キャラクター描写についても「ただのイケメンなだけではなく、口元が『ふむっ』としているところが強さの中に企みがみえるニュアンス」と見て取っている。大勢の人物を同時に魅力的に見せていく大河作品の醍醐味だ。

ELISA「作品ではめまぐるしいほど多くの登場人物が現れては消えていき、そのひとりひとりが主人公であるかのごとくフォーカスが当たっているので、私がメッセージ性を乗せるというよりもすべてを包み込むような星のように歌おうと」

と、レコーディングのようすも語ったが、そこに行き着くまでには試行錯誤があったという。

ELISA「こういう静かに流れるピアノから始まる曲って、どうしてもニュアンスを入れて歌いあげたくなるんです。最初はそういう歌い方をしたらちょっとねちっこく感じてしまって。それで、何回かトライをして見つけたのは結局のところ、聴いている人達へ問いかけるような歌い方だったんです。

歌詞を読んだときに星を人に例えていると思って。つまり相当な数、宇宙の中で営みがあるわけです。タイトルの『WISH』というのは誰かひとりのための願いではなく、そうしたそれぞれの人物への願いなんだろうなと。エンディングの映像で大勢のキャラクターが並んで出てくるのですが、視聴者の方はそのたびに一人ひとりのことを想い出すと思うんです。そんな映像にシンクロしたいなと思いました」

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