Interview

植田圭輔&藤原祐規が優しく紡ぐ“ほっこり”“にっこり”な言葉に思わず笑顔に――「ミュージカル「しゃばけ」参 〜ねこのばば〜」大阪公演間近

植田圭輔&藤原祐規が優しく紡ぐ“ほっこり”“にっこり”な言葉に思わず笑顔に――「ミュージカル「しゃばけ」参 〜ねこのばば〜」大阪公演間近

5月19日(土)・20日(日)の2日間、大阪ビジネスパーク円形ホールにて「ミュージカル「しゃばけ」参〜ねこのばば〜」が上演される。原作は、畠中 恵の人気小説「しゃばけ」シリーズ(新潮社刊)。人間と妖(あやかし)が織りなす優しくて幻想的なミステリーだ。シリーズ1作目をミュージカル化した「ミュージカル「しゃばけ」」は、2017年に上演されるや大ヒット。同年9月には、2作目が上演され、今作が3作目にあたる。まさに大ヒット舞台シリーズで、本作では、多くのファンに愛される「ねこのばば」の物語を下敷きに、歌と踊りを魅せて楽しませつつ、おまけに最後には“ほっこり”した気分に。
今回は、東京公演の忙しい合間をぬって、主人公・一太郎役の植田圭輔と妖で屏風のぞき役の藤原祐規にインタビュー。大阪公演にかける意気込み、2人の印象など、思わず“ほっこり”してしまう掛け合いを楽しんで欲しい。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 岩田えり


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今は芝居に集中できる最高の状況

まず、公演期間中のお忙しいところ、取材する機会をくださりありがとうございます。

植田圭輔藤原祐規 こちらこそありがとうございます!

東京公演のここまでの手応えを教えてください。

植田 第1作から出演させていただき、第2作は声のみの出演で、もう一度戻ってきたという嬉しい気持ちです。2作目は客席から観劇させていただいたのですが、今回も新しい「しゃばけ」ならではの仕掛けがあって、間違いなくパワーアップしていますね。なにより、お客様が楽しんでくださって嬉しいです。毎日とても充実していて、お芝居に集中できる最高の状況で本番に臨んでいます。

藤原 僕は3作品とも出演させていただいていますが、2作目は植ちゃん(植田圭輔の愛称)だけでなく、仁吉役の中村誠治郎さんもいらっしゃらなかった。今作で、再び気の合う仲間が揃い、初日にお客様から、“よっ、待ってました”という空気をいただきました。「しゃばけ」は、前作、前々作よりもカンパニーみんなで考えてやってきたことが花開き、お客様もしっかりと僕たちの想いを受けとってくれた気がするのでとても嬉しいですし、その空気感がラストシーンで感じる手応えに繋がっています。

原作が醸し出す“愛”や“慈しみ”

初日に拝見させていただきましたが、独特の慈愛に満ちた空気感が劇場に満ちていましたね。ミュージカル「しゃばけ」がここまで愛されている理由はなんだと思いますか。

植田 原作が醸し出す“愛”や“慈しみ”が舞台上からにじみ出るのが大きいですね。そして、人間ではない妖たちが主人公・一太郎のことを大切にする、人間よりも人間らしい心や、一太郎の優しさや利発さが、物語の主軸になる“優しい世界”でしっかりと生きている。僕は“優しさ”の押し売りにならないように気をつけても、お客様の心に自然と“優しさ”が届くからだと思います。役者は熟練の人たちだから頼もしいですし、ミュージカルですから、“しゃばけ”らしさもあって、僕が大事にしている“ほっこり”や“にっこり”できる結末に辿りつける。それは、みんなの総合力で、僕らだけでは作り得ないものですね。演出の浅井さやかさんは優しいですし、だからこそ書かれる楽曲も優しくて、僕らで作り上げた舞台の思いがお客様に伝わって感動します。

藤原 植ちゃんの言った通りですね。カンパニー力が高い! 個々の能力が高いから、原作に描かれているキャラクターがとても人間らしいんです。老若男女、どなたの心も“ほっこり”させるキャラクターです。みなさん楽しめるから敷居は低いけれど、カンパニーで芝居について熱く議論をしたし、シーンを頻繁に突き詰めた結果だと思います。

独り占めしたいと思う気持ちがいつか黒くすすけてしまわないように

「ねこのばば」も原作ファンに愛されているエピソードですが、それも踏まえて、どのような意識で本作のミュージカル化に臨んでいますか?

植田 原作を踏襲して舞台にしていますが、「原作のすべてが表現できるわけではない」という、舞台を作る上で必要な共通認識を、全員で自覚していることですね。初日の囲み会見でお話ししましたが、実際のセリフの「大切なもの、きれいなものを独り占めしたいと思う気持ちがいつか黒くすすけてしまわないように」というメッセージは、役者と一緒だと思いながら演じています。たとえば、作品にどういう思い入れがあるとか、誰かのためにやりたいという気持ちは、1回だけいらっしゃるお客様にしたら大切ではないかもしれません。自分の私情が役に乗りすぎないように、今作のロングランをこなそうとみんなで思っています。それはまさに、原作に流れている大切なものの1つだと思っているので、私情を捨てることは作品が教えてくれたと言えますね。

藤原 僕の屏風のぞきという役は、原作では留守番をしている役です。そこからが僕のスタートだったので、カンパニー内での居場所を見つけるところからはじめました。脚本では、原作にはいないのに成立するキャラクターが書き加えられている。僕が入ることによって「屏風のぞきはいらない」と言われないようにしたいし、そんな準備を必死でしています。

一太郎は植田圭輔とは真逆!?

一太郎、屏風のぞき、それぞれの役どころで、東京公演を経て改めて感じられたことを教えてください。

植田 植田圭輔とは真逆の人間ですね(笑)。人に優しくて、賢くて、でも体が弱くて、周りから過保護にされて、甘やかされているお坊ちゃんではありますが、本人としての使命や、辛かった思いがあるゆえに人に優しい。神様のように人を超える瞬間があります。どこか悟りを開いている少年なので、絶対に周りのキャラクターだけではなく、お客様を嫌な思いにさせないキャラクターだと思います。

藤原 原作では上品で粋ですが、僕の演じるキャラクターが屏風のぞきだとお客様に認識されることに(笑)。それは半分冗談ですが、植ちゃんが、一太郎を明確に理解して演じているから、周りが多少崩れても成立するんです。今回、とてもわかりやすいのは、仁吉が笑いをとる場面があるのですが、ギリギリの線を植ちゃんと中村誠治郎さん2人は狙って掛け合っていて、ちょっと空気を変えてスペースを作ってくれて、役者として僕の居場所を作ってくれる。今回であれば、広徳寺のメンバーはカチッとしていますが、長崎屋のメンバーは、原作から少し崩しても物語として破綻しないだろうと思います。僕は、お客様に一太郎達を観てもらった後に、ふっと息をつけるようなキャラクターになっていると思います。

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