Interview

ドラマストア 自分たちなりのポップを模索する彼らは、新作でどんな手応えを得たのか?

ドラマストア 自分たちなりのポップを模索する彼らは、新作でどんな手応えを得たのか?

大阪発、正統派ポップ・バンドを自認する彼らのニュー・ミニアルバム『swallowtail』は、バンド名の通り、6曲6様のドラマを、まさにお店の棚に商品がスラリと並ぶ様を思わせる多彩なサウンドで描いてみせて印象的だ。ここでは、そのバンドの軌跡を振り返りながら、彼らが考えるポップの姿とそれを表現した今作の聴きどころについて語ってもらった。

取材・文 / 兼田達矢 撮影 / 鈴木圭

今は人間的にも成長したからこそできる音楽というものをやっていると思いますね。

このバンドはどんなふうに始まったバンドですか。

長谷川 学生時代に組んでいたバンドの解散をきっかけに、当時僕の周りにいたメンバーを集めてスタートしました。

その時点でもう、ドラマストアだったんですか。

長谷川 いや、名前も含め、最初は完全に白紙でした。“何しよう? とりあえず、いまやりたい人を集めようかな”と思って、それで和也くんをはじめ最初のメンバーはみんな他のバンドをやっていまして、先方には申し訳ないことなんですが、引き抜くという形になってしまいました。そういうふうにメンバーが集まったところで「バンド名は何にしよう?」というところから話し合ったという状態で、どんな音楽をするかという想定もなかったですね。

長谷川海(Vo,Gt)

その時点での自分にとってのベスト・メンバーを集めたら、そこで鳴らす音楽もきっと面白いだろう、みたいなイメージですか。

長谷川 そうですね。前のバンドは箸にも棒にもかからないような終わり方をしてしまったんですけど、僕は自分に自信があったので、“そんなわけない”と思ってたんです。そこで、最初に集まってくれたメンバーは、僕が誘ったら、ふたつ返事で一緒にやってくれることになったから、“やっぱり、僕の力を信じてくれる人はいるんだ”と思って、そのことが僕をすごく後押ししてくれたんですよね。とは言うものの、そのメンバーからギターとベースが代わってしまうんですけど…。

新しいバンドを始める時点で、前のバンドが「箸にも棒にもかからないような終わり方をしてしまった」ことについての総括というか、“次はこうしよう”みたいな考えはあったんですか。

長谷川 それも特にはなくて、ただ、いま振り返って考えてみると、前のバンドよりもドラマストアの環境のほうが僕の才能をうまく使ってくれる人たちが多いということはあると思うんです。詳しく言えば、ただ好きで音楽を続けたいという人たちの集まりと、「売れるためにどうやってマーケットを取っていくか?」とか「どんなイベントに出ていくべきか?」とか、その先のビジネスとしてバンドを考えている人たちとでは全然違うのだなということを気づかされたのはいちばん大きかったと思います。特にドラマストアでは、いまは和也くんですけど、リーダーとしてバンドを引っ張っていってくれる存在が大事なんだろうなということは思っています。

という話ですが、松本さん、それでよろしいですか。

松本 そうです、その通りです。

長谷川 (笑)、さっき当時の僕にとってのベスト・メンバーと言いましたけど、僕は前のバンドのドラムがすごく好きだったんです。だから、和也くんじゃなくて、そいつを誘う予定だったんですけど、彼は音楽に対して消極的で、でも和也くんは「オレを使ってくれ! 絶対がんばるから!」という売り込みというか噛みつきがあって…。

松本 だから、僕は彼からすれば滑り止めだったんです(笑)。

松本さんから見た長谷川さんはどういう存在だったんですか。

松本 天才だと思っていましたよ。歌詞もメロディ・センスも群を抜いていたんで、“コイツと一緒にやったら、売れるわ!”と思っていましたね。

松本和也(Ds,Cho)

その頃、長谷川さんがやっていた音楽と、今回のアルバムで聴ける音楽はどれくらい重なっていて、どれくらい違ってるんですか。

松本 ドラマストアも最初の頃は昔のバンドを引き継いでるなと思ってましたけど、今のバンドは完全に別物という感じがします。大人になったなあっていう。前のバンドは爽やかで胸キュンな感じの曲が多かったんですけど、今はどれだけ大人な音楽ができるかっていう感じですよね。人間的にも成長したからこそできる音楽というものをやっていると思いますね。

そこで、人間性の成長と音楽の変化というのはどういう因果関係であるように感じていますか。

松本 それは、このドラマストアというバンドが順調に上にあがっていってるのに比例して、人間も音楽もしっかりしていってるということなんじゃないですかね。

ドラマストアというのは、これから先の自分がどんなふうにがんばっているかということがすごく想像しやすいバンド名なんですよね。

ドラマストアというバンド名は、どのタイミングでつけたんですか。

長谷川 結成当初にメンバー4人で話してて、今はもうやめてしまったメンバーが持ってきた名前なんです。その名づけの根本にあったのはレンタル屋さんでリスナーがCDを借りるときの気持ちにいちばん寄り添った音楽で支えたい、そういう音楽をやりたいという気持ちだったんです。リスナーの人は、悲しいときには「悲しい」という棚から、うれしいときには「うれしい」の棚からCDを借りていく、と。自分たちはこれからいろんな曲を作っていくけど、それを押し付けるんじゃなくて、リスナーが棚から自分が欲しいCDを選ぶように僕らの音楽を能動的に選んでもらえるような音楽をやりたいっていう。そういう気持ちが最初にあったんです。それに加えて、ドラマストアという名前の、やれることの広さ、やっていいことの広さが僕にとっての新しい可能性だなと思ったんですよ。

確かに、いろんな音楽が揃っている感じがしますね。

長谷川 さっき和也くんが話してくれたように、僕は爽やかで柔らかい音楽を以前はやっていたんですけど、そのおかけで“こういうことは歌うべきじゃない”とか“こういう見られ方は良くない”とか、そういうことを考えての制作が多かったんです。でもドラマストアという名前なら、真剣なヒューマンドラマもありだし、もちろんラブロマンスもコメディもサスペンスもありだな、っていう。そういう意味で、このバンド名は自分たちがやれる音楽の幅を広げてくれる名前だなと思って、それでこのバンド名に着地しました。

このバンドはまず長谷川さんにとってのベスト・メンバーを集めることから始まったというお話でしたが、そのバンドがやるべき音楽のイメージを名前が示してくれたというところがあったわけですね。

長谷川 そう思います。非常に具体的でわかりやすいバンド名だし、この名前を聴けばまさかハードコアだとかパンクだとは思わないでしょうし、人間の内面や人生観に付随した事柄を歌っていくことがすごく納得できるバンド名だし、これから先の自分がどんなふうにがんばっているかということがすごく想像しやすいバンド名なんですよね。そういうことが明確にイメージできるほうが、かっこいいし、美しいし、将来性があると思ったんです。

鳥山昂(Gt、Key)

鳥山さんが加入するときには、それまでのドラマストアの音楽に対してどういう印象を持っていましたか。

鳥山 「スイミー」という曲のMVを見た時には、“すげえな”と思いましたね。元々、対等な立場じゃなくて、見上げる感じだったんですけど…。

長谷川 サークルの後輩なんですよね。

鳥山 メロディはもちろん曲の構成がすごく自然だったし、僕の前のギタリストのプレイもマネできないなと思いました。

迎える長谷川さんや松本さんとしては、ギター兼キーボードのプレイヤーを入れるという感覚だったんですか。あるいは、鳥山昂という人を気に入って入れるという感じだったんですか。

松本 とりあえずギターを探してたよね。

長谷川 そういう時期にちょうどトリのバンドが活動休止になって、それで一緒にスタジオに入ることにしたんですけど、そこで和也くんが「キーボードもできるんだったら、やってもらえば」という話の展開だったんです。僕は元々、キーボードと一緒にバンドをやりたかったんで、「キーボードもやってもらえば」という話が出た瞬間に“コイツとやりたい”と思ったんですよね。だから、キーボーディストを入れようと思ってトリを入れたわけではないですけど、彼がキーボードを弾けることが僕のなかでは彼とやれる楽しさの大きな部分ではありますね。

例えば「自分たちの核になるのはギターロック」と敢えて思い定めることでバンドが強くなっていくということもありますが、そういうふうに決め込んでしまわないでバンドを大きくしていこうという意識だったんですね。

長谷川 例えばギターロックバンドという言葉が自分たちのことをちゃんと言い表せているのかな?という疑問はずっとあって、僕らはあくまでポップ・バンドだと思っているんです。だからこそ、“やりたい”と“やらなければいけない”をいい按配で混ぜ合わせながら“それでも根本は楽しいというバンドであるためには?”とか“新しくあり続けるためにはどうすればいいか?”というようなことを考えながら、音楽と向き合っている状態ではありますね。

高橋さんは、現在はサポートという立場ですが、ドラマストアというバンドに対してはどういう印象を持っていますか。

高橋 元々、3人とも知り合いなんですけど、友人感覚でそのステージを見るとクオリティの高さに毎度毎度驚かされていました。

長谷川 彼もサークルの後輩なんで、サークルでバカやってる僕とドラマストアをやってるときの僕との違いは絶対あったよね。

高橋 そのギャップがすごかったんです。

長谷川 じつはドラマストアを結成するときに最初に声をかけたベースは彼だったんですけど、そのときはフラれたんですよね。

そのときは、どうしてフッたんですか。

高橋 どうしてなんでしょうね…。

松本 自分のバンドをがんばる、ということだったみたいですね。

それが、今回の話を受けたのはどうしてですか。

高橋 自分自身のタイミング的なものが合致したというのもあるのですが、それよりも、最初に一緒にスタジオに入ったときから、それまでとは違う空気感だったんで、それについてかなきゃという感じは強かったからですね。

高橋悠真(Support Ba)

それは、最初に長谷川さんが話してくれたただ音楽を楽しむというのではなくプロ志向で音楽をやっているということですか。

高橋 そうですね。そこは、最初からすごく違うなと感じました。音楽自体の話だけじゃなくて、どういうふうに活動していくかとか、そういうことまで全部ですね。

僕としてはこのバンドのポップス感をもっと出していきたかったから、「秘密」のようなポップな曲でMVを作りたかったんです。

今回の『swallowtail』という作品を作り始めるとき、あらかじめ考えていたこと、話し合ったことは何かありますか。

長谷川 今回の作品のなかでいちばん最初にできたのは「秘密」という曲なんですが、この曲は前回のリリース・ツアー中にできて、そのデモをみんなに送ったら、3分後くらいに和也くんから「すごくいいやん。これ、次のアルバムのリードやろ」って。和也くんのなかでストンと落ちるものがあったみたいで、「そうそう、こういう曲をやりたいのよ。ポップスってこうあるべきでしょ」というところですごくヒットしたみたいなんです。そこが、このアルバムの最初ということになると思います。

松本さんは「秘密」のどういうところを「ポップスってこう」だと思ったんですか。

松本 そのデモの段階では具体的な歌詞が全部あったわけではなくて、僕が注目したのはメロディなんですけど…。僕が言うポップスというのは、多くの人にウケがいいというか、お茶の間でも楽しめるというのがポップスだと思っていて、そのときに彼が何曲か送ってきたなかで「秘密」のメロディは“これはポップスだ!”と思ったわけです。この曲を次のアルバムのリード・トラックにしよう、つまりはMVを撮ろうとなったときに、いままで作ってきたMVとの並びのなかで次にこの曲が来ていいのか?ということを考えたんですけど、僕としてはこのバンドのポップス感をもっと出していきたかったから、こういうポップな曲でMVを作りたかったんで、ちょうどいいと思ったんですよ。

アルバムもこの方向性で進めればいい、と?

松本 いや、アルバムは、そういうポップス、つまりキャッチーで誰が耳にしてもいいと思うような曲を6曲並べればOKとは思ってなくて、“だいたい3曲目くらいにこの「秘密」が来て、それからこう曲があって、ああいう曲があって、最後はバラードで”みたいな全体のイメージがあったし、「三文芝居」みたいに“これ、ドラマストアのCDだよね?”と思うような斬新な始まり方をするとか、いろんな考えがあって、彼が送ってきたなかにそれに沿うような曲があれば、それを使って、ない場合はみんなでセッションして作って、という作り方だったんで、結局は「秘密」がひとつ抜きん出てて、全体としてはポップスのアルバムになるのは間違いないと思っていました。

「秘密」という曲のポップさについては、松本さんの言葉を借りれば「お茶の間でも楽しめる」というのはひとつのポイントになりますか。

松本 僕らは今、ライブハウス・シーンで活動してるわけですから、そこで手を挙げたり踊ったりしてもらえるような曲ももちろん作れますけど、でもお茶の間でちゃんとウケる曲も作れます、と。それに、トリがギターとキーボードをスイッチできるというのが今の僕らの売りになってるんで、他のバンドができないこともやってますっていう。その全部を一気に提示したいと思ったんで、それを今回はガッと詰め込みました。

そういう作品のタイトルは『swallowtail』になりましたが、このタイトルにはどういう思いを込めたんですか。

長谷川 今回の6曲を並べてみると、どの曲も主人公がフワフワしてるというか、みんなカワイイと思ったんですよ。しかも、どの主人公もその原動力になってるのは好きという気持ちだったりして、だからこのアルバムをうまく表すワードは恋とか春とか、そういう暖かい言葉だなって。ただ、このアルバムのリリース・ツアーは初夏から真夏にかけて行われる、と。とすると、「桜満開です」みたいな包み込むイメージというよりは「僕らが春を持って駆け抜けてきました」みたいなイメージのほうが近いんじゃないかなと思って、それで思い当たったのがツバメだったんです。加えて、“tail”という言葉には“物語”という意味もありますから、この6つの物語が1冊の短編集のような作品として成立しているという意味も含めて、このタイトルにしました。

最後に、1年後にはドラマストアはどうなっていると思いますか。

鳥山 海くんの歌をより良くするという僕の役割を果たすための技術が上がっていればいいなと思いますね。

松本 リリース前ですが、今回の作品にもすでに反省点はありますから、それをクリアするのはもちろん、制作面ではより進化してると思いますし、そういうことの結果として1年後には、より大きなワンランク上のフィールドで活動していると思いますね。

高橋 ドラマストアとしてより音楽を充実させて、より大きなステージに立っていたいと思います。

長谷川 Twitterのフォロワーが1万人を超えてると思います(笑)。

(笑)、期待しています。ありがとうございました。

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ライブ情報

“僕しか知らない秘密のネタバラシツアー”

5月18日(金)兵庫:music zoo KOBE太陽と虎 w/クアイフ、SUNNY CAR WASH、(o.a)ofulover
5月19日(土)鳥取:米子AZTiC laughs w/CRAZY VODKA TONIC、SUNNY CAR WASH、T/ssue、シロとクロ
5月20日(日)岡山:岡山CRAZYMAMA 2nd Room w/リアクションザブッタ、SUNNY CAR WASH 
5月26日(土)福岡:福岡Queblick w/フィッシュライフ、ジラフポット、about a ROOM
5月27日(日)山口:LIVE rise SHUNAN w/フィッシュライフ、ジラフポット、Hello New World
6月1日(金)埼玉:HEAVEN’S ROCK Kumagaya VJ-1 w/ The Cheserasera、alcott、LINE wanna be Anchors 、Kamuy
6月2日(土)宮城:仙台MACANA  w/ alcott、BruteRocks、I-RabBits、and more…
6月10日(日)香川:高松DIME w/CRAZY VODKA TONIC、レトロカラーコレクション、and more…
6月16日(土)神奈川:横浜BAYSIS w/BOYS END SWING GIRL、LINE wanna be Anchors、THURSDAY’S YOUTH、Half time Old
6月17日(日)愛知:名古屋APOLLO BASE w/THE BOY MEETS GIRLS、and more…
6月24日(日)大阪:大阪Music Club JANUS w/GOOD ON THE REEL、and more…
6月29日(金)新潟:新潟RIVERST w/CRAZY VODKA TONIC、神はサイコロを振らない、KAKASHI、シルエ 
6月30日(土)福島:郡山PEAK ACTION w/CRAZY VODKA TONIC、神はサイコロを振らない、KAKASHI 
7月1日(日)栃木:宇都宮HELLO DOLLY w/CRAZY VODKA TONIC、神はサイコロを振らない、KAKASHI、Clock End  
7月8日(日)広島:広島SECOND CRUTCH w/CRAZY VODKA TONIC、and more…
7月13日(金)北海道:札幌COLONY w/Anger Jully The Sun、アルクリコール、Mr.Nuts 
7月16日(月・祝)東京:Shibuya TSUTAYA O-Crest(ワンマン)※SOLD OUT

ドラマストア

長谷川海(Vo,Gt)、松本和也(Ds,Cho)、鳥山昂(Gt、Key)、高橋悠真(Support Ba)。2014年9月に大阪で結成。東名阪を中心に精力的なライブ活動を展開し、全国の名だたるライブサーキット・イベントにも多数出演。2016年3月にTOWER RECORDS新レーベル<myh records>より第一弾アーティストとして、タワーレコード限定リリースの2ndミニアルバム『Daylight』を発売。同12月、自身初となるワンマン・ライブを地元大阪:LIVE SQUARE 2nd LINEにて開催しSOLD OUT。2017年1月に2nd EP「UNCYCLE」、4月に3rd ミニアルバム『白紙台本』をリリース。それに伴い、全国ツアー“白紙台本ツアー”を敢行。9月には初のアコースティック・ワンマン・ライブを東京、名古屋、大阪にて行い、各会場とも即日SOLD OUT。10月には1st シングル「ラストダイアリー」をリリース。レコ発ツアーも全国12カ所をまわり、バンドの勢いを感じさせるツアーとなった。「君を主人公にする音楽」をコンセプトとした関西発・正統派ポップバンド。

オフィシャルサイト
http://www.dramastoreonline.com