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青学(せいがく)9代目の集大成。これまでとこれからを託す、ミュージカル『テニスの王子様』15周年記念コンサート Dream Live 2018

青学(せいがく)9代目の集大成。これまでとこれからを託す、ミュージカル『テニスの王子様』15周年記念コンサート Dream Live 2018

これが、彼らの卒業式だ──感動と熱狂と共に幕を閉じたミュージカル『テニスの王子様』15周年記念コンサート Dream Live 2018。越前リョーマ 役の阿久津仁愛(にちか)を除く青学(せいがく)メンバー11人が、このドリライをもって、ついにユニフォームを脱いだ。いくつもの熱戦を届けてくれた彼らに「さよなら」と、心からの「ありがとう」を込めて、横浜アリーナで行われたドリライ横浜公演初日の模様をレポートしたい。

取材・文 / 横川良明

立海・六角・比嘉の個性炸裂! 総勢37名の圧巻ステージ

無数のペンライトが揺れるなか、光沢感のあるイントロが流れ出す。エールのような観客のコーラスに応えるようにして、センターステージに青学(せいがく)が登場。それに立海、六角、比嘉と続き、早くも全員総登場のパフォーマンスでスタートダッシュを決める。この大人数のキャストが歌うと、それだけでもう大迫力。力強いユニゾンが高らかにドリライ開幕を告げる。

さらに今回は、不動峰から橘 桔平(青木空夢)、聖ルドルフから観月はじめ(宮城紘大)、山吹からは千石清純(森田桐矢)も加わり、ステージは一層華やかに。手塚国光(宇野結也)や不二周助(定本楓馬)らとのお馴染みのセリフややりとりに、また『テニミュ』の世界にやってきたんだという幸福感が広がっていく。

こうして各校が一挙集結すると、学校ごとのカラーの違いが浮き彫りになるから面白い。

立海は一曲一曲に王者の威厳が。勇壮な音楽に乗せて、雄々しい歌声が轟く。それでいて、真田弦一郎(田鶴翔吾)が会場を見渡し「ここの会場、照明が多すぎて、球が見えぬ!」と真面目発言をしてツッコまれたり。堂々と読み間違いをする切原赤也(前田隆太朗)に、柳 蓮二(井澤巧麻)が冷静に訂正するなど、普段の中学生らしい一コマも見せてくれるので、愛しみは増すばかり。歌とダンスだけでなく、それぞれの個性を発揮したやりとりでも王者の貫禄を見せつけてくれた。

六角は部長の葵 剣太郞(矢代卓也)に象徴されるとおり、元気溌剌。天根ヒカル(坂垣怜次)が随所にダジャレを忍ばせたり、葵が先輩たちからいじられる様は、後腐れのない男子中学生らしい明るさが見ていて楽しい。「六角」「大好き!」というコール&レスポンスを繰り返すなか、首藤 聡(千葉冴太)だけ「首藤」「大好き!」と声援を独り占め。仲間から抜け駆けを咎められるも「しょうがねえじゃねえか。みんなが俺のこと大好きなんだからよ」とカッコよくキメる首藤に、客席から黄色い声が。音楽もそんなキャラクターにぴったりのノリノリなナンバーで、弾けるような雰囲気だ。

比嘉は、不知火知弥(園村将司)が三線を手に琉球音楽らしい南国の調べを奏でたり、知念 寛(雷太)のボイスパーカッションに乗せてフリースタイルラップを披露したり、“南の島から来た刺客”という異名どおり、音楽性も異色。しかも、ボイパをする知念のマイクがゴーヤというあたりが、何とも比嘉らしい。メンバーが普通に歩いてステージを降りていくなか、最後までひとりで縮地法で去っていく木手永四郎(武藤賢人)の背中に、本編とはまた違う愛らしさがにじみ出ていた。

楽曲ごとの演出も、本編のワンシーンを連想させてくれる趣向に満ちていて嬉しいかぎり。切原のスマッシュが次々とリョーマの膝を襲うくだりは、関東大会前のテニスクラブでの非公式戦そのまま。乾 貞治(加藤 将)と柳の歌に乗せて、加藤勝郎(奥井那我人)と水野カツオ(畠山紫音)が勝負をする演出も、乾&柳の小学生時代を彷彿とさせるようで心憎い。胸の内に大事にしまっておきたい珠玉の名場面をこうして反芻できるところも、ドリライの魅力のひとつだ。

涙と笑顔の卒業ソング。戦い続けた11人に拍手という名の花束を!

そして、やっぱり今回一番語っておきたいのは、青学(せいがく)メンバーだ。

部長と副部長同士、お互いに感謝の言葉を掛け合う手塚と大石秀一郎(松村 優)。息が合わずに揉めているところを手塚から「規律を乱すことは許さん」と一刀両断される桃城 武(吉村駿作)と海堂 薫(牧島 輝)。何気ないやりとりのひとつひとつに、今までこの青学(せいがく)を応援してきたんだという感慨が溢れ出てくる。

終盤に向けて涙腺を震わせたのが、大石と菊丸英二(永田聖一朗)の黄金(ゴールデン)ペア。コンテナの上に登って「何度目だっけなあ、ここに来るの」と振り返る大石。負けるたびにふたりはここで反省会をしていたのだ。菊丸はもう二度と負けないという意志を込めて「大石、きっと最後(ラスト)だ、ここに来るのは」と誓う。戦いに向けた決意のセリフのはずが、この文脈ではまったく別の意味になるから切ない。笑顔を見せるふたりに胸が苦しくなる。

そして、ピアノの音色に乗せて、卒業を迎える青学(せいがく)メンバーがオリジナルの衣裳で登場したとき、感動は頂点へ。スクリーンにオーディション時の秘蔵映像が流れると、役と俳優のドラマが渾然一体となり、一生懸命こらえていた胸の防波堤が一気に決壊する。

これだけ長く『テニミュ』が多くの人たちに愛されているのは、原作の魅力、音楽の魅力はもちろんのこと、俳優たち自身がこの舞台に懸け、一公演一公演、足を運んでくれる観客のために全力を捧げる姿が、観る人の胸を打つからだろう。

多くのキャストにとって、これだけの大舞台は初めて。約2年間、迷い悩みながらも、輝く舞台だけを目指して必死に走り抜けてきた。その成長が、それぞれの表情にこめられている。舞台上に立っているのは、スクリーンの中にいるあどけない顔つきとはまったくの別人。その凜々しい姿に今までの名場面がフラッシュバックされる。

普段ぶつかり合ってばかりの桃城と海堂の信頼が見えたダブルス2。不二の天才性に震えた不二VS切原のシングルス2。圧倒的な強さを放った手塚VS木手のシングルス1。瞼に浮かんだ場面は、観客ひとりひとりによって違うだろう。それが、いい。観る人の数だけドラマがある。心に刻まれる瞬間がある。それが、ミュージカル『テニスの王子様』なのだ。

そんないくつもの忘れられない記憶を届けてくれた11人がゆっくりとステージを去っていく。その背中に、ただただ「ありがとう」という言葉を、何度も、何度も、胸の中で繰り返した。

こうして青学(せいがく)11人は、ミュージカル『テニスの王子様』という大舞台に卒業を告げた。しかし、ここで『テニミュ』が終わるわけではもちろんない。また新たな仲間と共に、さらなる高みを目指して走り続ける。そう自分たちに宣戦布告するように、最後はいつもどおりのキラキラ度200パーセントの定番ソングで客席を駆け回り、ファンとのひとときを楽しんだ。

いよいよ次回は全国氷帝。この夏、さらなる進化を遂げたミュージカル『テニスの王子様』がまた動き始める。

ミュージカル『テニスの王子様』15周年記念コンサートDream Live 2018

神戸:2018年5月5日(土・祝)~5月6日(日)神戸ワールド記念ホール
横浜:2018年5月19日(土)~5月20日(日)横浜アリーナ

■DVD&Blu-ray発売決定!
発売日:2018年9月20日(木)
〈DVD〉¥8,800(税別) 〈Blu-ray〉¥9,800(税別)

原作:許斐 剛『テニスの王子様』(集英社 ジャンプ コミックス刊)

出演 :
〈青学(せいがく)〉
越前リョーマ 役:阿久津仁愛
手塚国光 役:宇野結也
大石秀一郎 役:松村 優
不二周助 役:定本楓馬
菊丸英二 役:永田聖一朗
乾 貞治 役:加藤 将
河村 隆 役:鈴木雅也
桃城 武 役:吉村駿作
海堂 薫 役:牧島 輝
堀尾聡史 役:相馬眞太
加藤勝郎 役:奥井那我人
水野カツオ 役:畠山紫音
〈六角〉
葵 剣太郎 役:矢代卓也
佐伯虎次郎 役:二葉 要
黒羽春風 役:陽向謙斗
天根ヒカル 役:坂垣怜次
樹 希彦 役:高木眞之介
木更津 亮 役:佐藤祐吾
首藤 聡 役:千葉冴太
〈立海〉
幸村精市 役:立石俊樹
真田弦一郎 役:田鶴翔吾
柳 蓮二 役:井澤巧麻
仁王雅治 役:後藤 大
柳生比呂士 役:大隅勇太
丸井ブン太 役:大薮 丘
ジャッカル桑原 役:川﨑優作
切原赤也 役:前田隆太朗
〈比嘉〉
木手永四郎 役:武藤賢人
甲斐裕次郎 役:吉澤 翼
平古場 凜 役:岩城直弥
知念 寛 役:雷太
田仁志 慧 役:高田 誠 ※田仁志 慧の「慧」は旧字体
不知火知弥 役:園村将司
新垣浩一 役:松井遥己

主催:テニミュ製作委員会
協賛:ファミリーマート

ミュージカル『テニスの王子様』オフィシャルサイト
テニミュ・モバイル

©許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト
©許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会

関連書籍:コミック『テニスの王子様』

コミック『テニスの王子様』1巻

著者:許斐 剛
出版社:集英社