Interview

Chageソロ活動20周年。東京タワーと共に歩んできた20年=彼の“音道”。初のベストアルバムに寄せた想いを改めて聞く

Chageソロ活動20周年。東京タワーと共に歩んできた20年=彼の“音道”。初のベストアルバムに寄せた想いを改めて聞く

“日本一気さくなレジェンド”こと、Chageの身辺が慌ただしい。1998年9月30日、「トウキョータワー」でソロデビューした彼は、今年、ソロ活動20周年を迎えるのだ。さらには還暦という、人生の大きな節目も合わさったのが、そう、今年=2018年なのである。そして5月16日に、ソロとしては初のベスト『音道』がリリースされた。今日はその話を中心に、これまでを振り返りつつ、未来へ向けての話を伺った。

取材・文 / 小貫信昭

一番最後の、一番新しい歴史が、俺にとってはソロ活動

いろいろ区切りの年となりますが、その記念となるのが『音道』(オトミチ)ですね。

もともとは〈Chageの細道〉というアコースティック編成での全国行脚、普段なかなか行かなかった街まで出かけるライヴ企画があって、そのあと、ラジオ番組を始めるにあたって“細道”を“音道”に変え、『Chageの音道』というのを始めたんです。それがもう、8年ぐらい経っているのかな? そうやって、ずっと歩き続けているわけなんですけど、そうこうするうちに昨年スタッフから「そういえばChageさん、来年20周年ですよー。還暦ですよー」とか言われちゃいまして。じゃあ、「やりますかぁー」ってことで。

区切りの年って、むしろ周囲から気づかされることが多いようですが、Chageさんもそうだったんですね。ところでバイオグラフィを拝見しますと、CHAGE and ASKAとして1979年にデビューして、デュオとして80年代を席巻したあと、90年代を目前にMULTIMAXでバンド活動を始めるじゃないですか? さらに00年代を間近に控え、ソロとしても船出しているんですよね。もちろん、その間もCHAGE and ASKAの活動は並行されているわけですが、ディケイドごとに、新たな動きをしてきたという……。

まさにそうなんです。母体であるCHAGE and ASKAがあって、10年経ってMULTIMAXで、そして40歳のときにソロでしょ? 一番最後の、一番新しい歴史というのが、俺にとってはソロ活動なんですよね。

その第1弾、1998年の「トウキョータワー」は、思い出深いんじゃないですか?

やはりこの曲の世界観というのは、CHAGE and ASKAでもMULTIMAXでもない、“お前はひとりなんだよ”、ということでしたしね。それを同じ年代でもある東京タワー(Chageの生年と同じ1958年オープン)に向かってね、“お前しかいないんだよ”って歌いかけているというか(笑)。あのタワーも今年で還暦ですから。同い年だからこそ、気持ちを重ね合わせたのかもしれない。

「終章(エピローグ)」は、亀田誠治さんアレンジで、新たに録音してますね。

この曲はもともと、19歳の頃に作ったもので。デビューして1stアルバム(CHAGE and ASKA『風舞』)に入れて、30歳の10周年のときに録り直し(CHAGE and ASKA『PRIDE』)、さらにその後もライヴやレコーディング(2009年のソロアルバム『Many Happy Returns』にも収録)でやってきたので、10代、20代、30代、40代、50代の「終章(エピローグ)」が存在するわけなんです。そして今回だったんですけど、そういえばソロになって初のベストだし、って、それもスタッフに言われて気づいたんだけど(笑)、「じゃあまずは、あの曲を録ろうか?」ということで、迷うことなく、今回は亀田くんに頼みまして……。

亀田さんのプロデュースはいかがでしたか?

同じ歌詞、同じメロディなんだけど、なんかね、今回のは、“吹っ切れてる”。そもそもはギター一本で作ったインナーな世界観なのに、それも感じさせない、そういうのも乗り越えちゃったアレンジをしてきてくれて。でも彼に聞いたら、「僕はこの歌、希望を感じるんですよ」って、そう言ってくれたんです。こっちは「ほほぉー」と思ってね。

予想外の反応だった、と。

しかもレコーディング当日は粋なはからいで、20年前にソロを初めてやったときのメンバーをサプライズで集めてくれまして。スタジオに入ってビックリですよ、「エェェ〜!!」って(笑)。なので、切なく悲しい歌なんだけど、スタジオの中は愛に満ち溢れ、ハートフルな音源が録れたんです。まさに亀田くんのセンスによる新しい「終章(エピローグ)」になりましたよね。

歌入れに関しては?

以前なら、切ない気持ちを「伝えなきゃ、伝えなきゃ」って思っていた自分がいたけど、今回は肩の力を抜いて歌えたので、Take3も録るうちに終わりましたね。今までにない不思議な感覚でもあったかな。そして歌い終わったとき、「これは次のベスト盤の1曲目だ」と、そう確信しました。

時代背景や自分の精神状態……その時々にちゃんと残してこられた

Chageさんのように、グループもソロも経験があるとなると、「意識の違いはどういうところなのか?」を尋ねたくなりますが……。

俺の場合は、まず、「ビジュアルから変えよう」というのがあって、40歳でソロになったとき、髭をはやし始めたんです。それまでを知っていた方々は、ビックリしたと思うんですが。

ソロだし“生身”なんだから、そのまま世間に出ていけばいいのに……とも思うんですが、ちょっと違うわけなんですか?

あの頃は、「区別しなきゃいけない」というのが、どこかにあったのかもしれないですけどね。“CHAGE and ASKAのChage”と“MULTIMAXのChage”がすでにいたなら、一番弟分なのが“ソロのChage”というか。今回、お陰様で20周年ですけど、当時はそういうことを意識したんでしょうね。でも改めて『音道』に並んでいる、その時々の代表曲というか、シングルを中心にした曲たちを聴いていると、時代背景や自分の精神状態、あと、ライヴでどのように歌おうか、みたいなことを、その時々にちゃんと残してこられたかな、とは思っています。

“時代背景とか自分の精神状態”というお話が出ましたが、具体的に思い出深い作品はありますか?

震災の年の2011年の5月に銀座で〈Chageの茶会2011〜銀座なう!〜〉というコンサートを予定していまして、開催すら危ぶまれたんですが、やってみたら、あの銀座が電気の規制を受けて、真っ暗だったんですよ。でもそのぶん、東京とは思えないくらい、月が見えてね。あたりの灯りがないからだったけど、そのときの気持ちは忘れちゃいけないなあと。だから、「TOKYO MOON」という曲にしたりもしました。

ここらで新曲の話を。今回の「Viva! Happy Birthday!」は、実にノリのいい作品ですね。これ、大好きなんですけど(笑)。

去年のディナーショーのときに、50代から60代へ向かうにあたって「新しい歌を作る」と、そうお客さんにも言いまして、50代最後の日にメロディを作ったのがこの曲です。最初からリズムのカテゴリーは“ファンク”って決めていたので、王道のコード展開、ベースライン、ストリングスの使い方、あとギターのカッティング、コーラスまで、すべて自分がリスペクトしている60〜70年代の“ファンク”の世界観と、そこに繋がる“ディスコ”の世界観で展開しています。去年の大晦日には音を整えて、そして今年に入って、自分の誕生日である1月6日に、詩を書こうということで……。

日程もメモリアルな、そんな制作状況だったわけですね。

それで、タイトルにある“Viva!”は……実はこれ、あまり言っていないことですが、俺は若い頃、デビュー前からディスコに行ってまして……行ってはいけない年から行っていて(笑)、もう、日本じゃないみたいなディスコの異空間が大好きだったんですよね。そのときによく通ったのが、福岡の“VIVA王様”というディスコだったの。“VIVA”と“王様”をくっつけた、このネーミングが大好きで、それが頭にこびりついてたので、「Viva! Happy Birthday!」というタイトルにしたんですよ。

あははは。そんな由来が……。

まぁ誕生日の人以外、箸にも棒にもかからない曲かもしれませんけど、一年に一度、周りの人がその人を祝うというのは素晴らしいことだし、そもそもライヴと誕生日パーティとは、どこか似てるんじゃないかと前々から思っていてね。

8月からのツアーでも、この曲が重要な役割を果たす、と?

当日、誕生日の人もいらっしゃるかもしれないし、だったらみんなで「誕生日パーティができるな」と、そんなふうにワクワクしながら詞を書いてました。自分が理屈抜きに楽しめて、みなさんにも楽しんでもらえそうなものが、60代の初めに書けたのは嬉しいことでしたよ。

ソロ全体のコンセプトといえば、「救いを与えてあげられるもの」だった

ライヴは観てのお楽しみとして、最後にこれからの抱負をお聞かせください。

このアルバムを出したことで、「自分自身がまず、音楽を楽しまなきゃ」という気持ちに、改めてなりました。言葉を間違えると生意気に響くかもしれないけど、これまではどちらかというと、「ファンの方々はこうやったら喜んでくれるだろう」というのが、まずどこかにあったんですよ。それはファンの方々だけじゃなく、スタッフに対してもそうかもしれない。でも、他人に自分の想いを照らすことで自分を知るのではなく、「自分の好きなこと、とりあえずやらせてくれる?」っていうのが、今の気持ちではあるんです。

自分が好きなこと、というのは?

もともと好きなことだけじゃなく、ふと車の中で耳にした音楽でも、それを取り入れて自分なりに昇華して、俺が「気持ちいい」というものをまず作る。それをお客さんに観てもらったり聴いてもらったりして、もし喜んでもらえるなら、これ以上に幸いなことはないじゃないですか? 特に今回、「Viva! Happy Birthday!」を書きながら、そう思ったんですよね。

ひとつ、ソロとして貫いてきたことがあるとしたら、どんなことでしょうか?

ここまでやってきたソロ全体のコンセプトといえば、「救いを与えてあげられるもの」だったろうし、そんな気持ちでの歌作りということでは、筋が一本通っているんじゃないですかね。

『音道』に並ぶ曲たちが、まさにその証拠ですね!

Chage Live Tour 2018 ◆CRIMSON◆

8月25日(土)東京・豊洲PIT
8月26日(日)東京・豊洲PIT
9月1日(土)名古屋・Zepp Nagoya
9月2日(日)大阪・Zepp Namba
9月4日(火)福岡・電気ビル みらいホール

Chage(チャゲ)

1958年生まれ、福岡県出身。シンガーソングライター。1979年8月にチャゲ&飛鳥としてシングル「ひとり咲き」でデビュー。数々のミリオン作品を発表。1984年に石川優子とデュエットした「ふたりの愛ランド」をリリース。1989年には、浅井ひろみ、村上啓介と共に、MULTI MAXを結成。1998年9月に初のソロシングル「トウキョータワー」、10月に初のソロアルバム『2nd』を発表。楽曲制作、ライヴツアー、ディナーショーと精力的に活動。2018年は還暦迎え、ソロ20周年のメモリアルイヤーを迎えた。

Chage オフィシャルサイト
ユニバーサルミュージックChageサイト