モリコメンド 一本釣り  vol. 67

Column

Cö shu Nie(コシュニエ) TVアニメ『東京喰種トーキョーグール:re』新OPテーマを担当する3ピースバンドの音楽世界とは?

Cö shu Nie(コシュニエ) TVアニメ『東京喰種トーキョーグール:re』新OPテーマを担当する3ピースバンドの音楽世界とは?

TVアニメ『東京喰種トーキョーグール:re』新OPテーマ「asphyxia」が配信サイト、サブスクリプションなどを中心にヒットを記録、大きな注目を集めている。Apple MusicのNew Artistに選出され、iTunes Storeでは単曲DLが総合5位を獲得。Spotifyでは約200万回再生され、シンガポール、インドネシアのバイラルTop50のプレイリストにチャートイン。2018年のシーンにおける、もっともブレイクした楽曲と言っても過言ではないだろう。この楽曲を手がけているのは、Cö shu Nie(コシュニエ)。「東京喰種トーキョーグール」の原作者である漫画家・石田スイ氏自身が推薦し、大抜擢された関西出身の3ピースバンドだ。

事の発端は、石田氏がTwitterでCö shu Nieを紹介したこと。その後、「東京喰種トーキョーグール」の担当集者を介して、石田氏とCö shu Nieのメンバーが会い、その場で『東京喰種トーキョーグール:re』のOPテーマをオファーしたという。バンドの中心メンバーであり、作詞・作曲を手がける中村未来(V&G)は「『Cö shu Nie(コシュニエ)って誰?』と思っている人がほとんどでしょう。そんな無所属、身一つでやってきたCö shu Nieを、スイ先生が透明な音楽愛で見つけ出してくださったことに心が震えました」とコメント、その喜びと驚きを率直に表明している。ちなみに『東京喰種トーキョーグール:re』のEDテーマは女王蜂の「HALF」だが、こちらも石田氏自身の意志によるものだという(石田氏が女王蜂のライブに足を運び、アヴちゃんと親交を深めたうえで楽曲が制作されたのだとか)。つまりアニメ版「東京喰種トーキョーグール」の音楽的な充実ぶりは、石田自身に音楽に対する情熱、そして、自らの作品に対する愛情の賜物なのだと思う。

これまでインディーズで活動し、知名度も高くなかったCö shu Nieだが、石田氏のフックアップに対して完璧に応えてみせた。4月3日からアニメのオンエアが始まった直後から「asphyxia」は大きな注目を集め、ファンの間から“この曲を担当しているバンドは何者だ?”という声が数多く上がったのだ。

“呼吸停止”“窒息”という意味を持つタイトル「asphyxia」を考案したのは、石田氏。アニメのことは意識しすぎず、あくまでもバンドの新曲として制作したというこの曲には、Cö shu Nieの音楽的なアイデンティティが強く刻み込まれている。まず耳に飛び込んでくるのは、憂いと色っぽさ、激しさを同時に感じさせるボーカルライン。さらにピアノ、ベース、ドラムが有機的に絡み合いながら一気にスピードアップしてく。<あなたがくれた痛みが/愛かもしれないとひとりで期待してた>というフレーズに象徴される、繊細な感情をカットアップしたかのような歌詞の世界も刺激的。人としての感情を有したまま、人間を捕食しないと生きていけない『東京喰種』の登場人物たちとナチュラルに重なりながら、“立場によって変化してしまう正義の在り方とは何か?”というシリアスなテーマにつながる歌詞からは、中村未来のソングライティング・センスの高さがしっかりと伝わってくる。

また、変則的なリズム、意外性に満ちた転調などのテクニックを駆使しながら、エンディングまで突っ走る楽曲構成も圧巻。それを支えているのは、卓越したアレンジ能力とメンバー(松本駿介/Ba 藤田亮介/Dr)のプレイヤビリティ。楽曲のデモ音源を作っているのは中村だが、松本、藤田を含めたアンサンブルを重視し、あくまでもロックバンドとして表現しているところもこのバンドの特徴だ。

「asphyxia」を含むシングル(6月6日リリース)には「最終列車」「PERSON.」を収録。緻密に構成されたバンドサウンドとダイナミックなメロディラインが融合した「最終列車」、中村が高校時代に制作した楽曲がもとになっているという「PERSON.」はエッジの立ったギターサウンドともに、切なさと強さを共存させたボーカルの魅力を堪能できるロックチューン。この3曲を聴けば、Cö shu Nieというバンドの幅広い音楽性の一端を体感してもらえるはずだ。もちろん、石田氏の手によるCDのジャケット写真も必見だ。

常に新しい刺激を求め、その時期にやりたいことを優先しながら、自らの音楽世界を少しずつ広げてきたCö shu Nie。「東京喰種トーキョーグール」とのコラボレーションによってバンドは大きなジャンプアップを果たしたが、そのストイックな姿勢が変わることはないだろう。あらゆるジャンルを貪欲に飲み込みながら、独創的かつ刺激的なバンド音楽を体現するCö shu Nie。ここから始まる3人のストーリーをぜひ共有したいと思う。

文 / 森朋之

オフィシャルサイト
http://coshunie.com

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