LIVE SHUTTLE  vol. 266

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accessの2018年は春恒例のクラブツアーからスタート!  26年目もさらに攻めまくるクラブ仕様のサウンドに体も心も酔いしれた。

accessの2018年は春恒例のクラブツアーからスタート!  26年目もさらに攻めまくるクラブ仕様のサウンドに体も心も酔いしれた。

access ELECTRIC NIGHT 2018
2018年5月12日 ディファ有明

昨年(2017年)のデビュー25周年を、ニューアルバム、アニバーサリーツアー、スペシャルイベントなど、さまざまな形で満喫したaccess。しかし、彼らの物語はネバーエンド。26年目の今年も精力的だ。

恒例の春ツアーが3月末からスタート。10都市12公演の“ELECTRIC NIGHT 2018”。その東京公演が5月12日、ディファ有明で開催された。

オールスタンディングのフロアは超満員。ド・ド・ド・ド……。テクノ、トランス、EDMの象徴でもあるキック音が空気を震わせる中、ステージ下手から貴水博之、浅倉大介の順でステージに登場。

2015年から“ELECTRIC NIGHT”を名乗るようになった春ツアーは、例年どおり二人だけのステージ。サポートメンバーはいない。サウンドは、アルバムやシングルのアレンジに縛られず、クラブ仕様にリニューアルされる。

そして、オープニング曲もいつもどおり。ツアーテーマ曲「ELECTLIC☆NIGHT」。ところがだ。いつもなら、ここから一気呵成にEDMを連ねるが、曲が終わると、いきなりMC。予定調和と見せかけ、意表を突くaccess

さらに軽い挨拶だけかと思ったら、長くはないが、フリートークへ。

浅倉「ここ(ディファ有明)は、格闘技をよくやっているところだそうで」

貴水「流血がないようにね、気をつけないとね(笑)」

このMCも彼ららしい。デビュー以来、予定調和のないMCだが、26年も続ければ、出たとこ勝負と思えない話の運び。

しかし、再びところがだ。浅倉が「濃ゆい濃ゆいaccessサウンドを楽しんでください」と前振りして始まったのは「ANOTHER DAY」だった。2003年のアルバム『Rippin’ GHOST』に収録されているポップなナンバー。ゆずの「栄光の架橋」やコブクロの「桜」とほぼ同じBPMだから、ミディアムスロー。ホールコンサートなら、ここでこれもありだが、クラブ志向の“ELECTRIC NIGHT”だ。次は強烈なEDMだと、勝手に身構えていた。予定調和完全崩壊。

そうすると、何が起きるか……。その歌が心の間隙を縫い、深いところへ突き刺さる。硬質なインダストリアルなリズムのループからブーストされたベースが出現すると、もう震えが止まらない。カッチョイイ!!

続く「S」は、この日、貴水が唯一、マイクスタンドを使った曲。なぜなら、サビでお馴染みの振りがあるから。桜吹雪を表しているのか、しなやかな手が日本舞踊も思わせる振りだ。歌詞にもヒトヒラ、ウタゲなど、和をイメージさせる言葉が散りばめられている。ことほど左様に、どの1曲を取っても、それぞれに個性があるのもaccessらしさ。

シングルチューンの「JOY TRAIN」が始まると、“ELECTRIC NIGHT”はグングン加速。貴水がステージ上手の台に飛び乗り、グルーヴを体で示す。東も西も、EUもUSも、ポップもマニアックも、ボーダレスなところもまたaccessらしさ。

「Let me go」のイントロが鳴ると、ヤツが来る! とテンションがさらに高まる。ヤツとは、accessのコンサート中、この曲でLED画面にしばしば登場する、キッチュな二頭身ロボ。♪A oh AA oh……。そのフレーズに合わせ、右手を斜めに掲げる。オーディエンスもそのポーズをヤル気満々。KX(ショルダーキーボード)を肩に下げ、ステージ前方に飛び出してきた浅倉もヤル気満々。もちろん貴水も。気持ちはひとつ。♪A oh AA oh…。全員で右手を掲げる。

「S」から続いたBPM135あたりのテンポをガクンと落とすイントロ。スペクタクルな匂いがするオーケストレーション。しかし、それは序章だった。BPMが170以上にいきなり跳ね上がる。「IZASUSUME!」。この高低差、このギャップ、この振り幅はまるでジェットコースター。ドラマチックだ。安心させたり、意表を突いたり。急加速したり、急ブレーキをかけたり。上げたり、下げたり。G(重力)をかけたり、浮遊させたり。

昨年リリースしたニューアルバム『Heart Mining』の収録曲も披露した。「Tragedy」。どこかデビュー当時の90年代を想起させる1曲でもある。ここでのライトは、9割方が赤と青だけ。赤が浅倉、青は貴水か、その逆か。貴水のコリオグラフされたダンスの、ときに赤いシルエット、ときに青いシルエットが怪しい。舞台演出が少ないだけにダンスパフォーマンスが際立つ。歌詞でも音でもないメッセージがそこに宿る。ミュージカルなどのソロ活で培ってきた表現力をしっかりaccessに還元していた。

この新曲に続く2回目のMCで次の3曲へ導く。

浅倉「26年目を迎えたaccessですが、新たな装いで楽しんでもらおうと思います」

「NAKED DESIRE」「Hung Me For The Distance」「EDGE」、ニューバージョンで3連発。懐かしさと新しさ、相反する両極が同居していた。昨年の25周年では、オリジナルリスペクトというテーマを掲げ、オリジナルバージョンを忠実に再現したが、ここでは一転、オリジナルバージョンを一旦バラバラに解体し、再構築したような新しさ。デビュー四半世紀超のベテランとは思えない攻撃性。予定調和はまたしても瓦解。これがaccessらしさ。これが“ELECTRIC NIGHT”の真骨頂。

♪夢より……。「Hung Me For The Distance」のサビでは、貴水のボーカルから感情が溢れる。この日、もっともエモーショナルな声だったかもしれない。したたり落ちるほどの墨を含ませた筆が和紙の上を滑るようだった。墨がにじみ広がる軌跡。それが味になり、個性になり、一期一会の姿となる。貴水の声もそんな余韻を残した。

「大ちゃんと僕でディファ有明仲良しブラザーズです」と、アコースティックギターを抱えた貴水が言う。ここでもまた意表を突かれた。浅倉のオルガンと貴水のアコギとボーカルだけの「Friend Mining」。他のユニットのライブなら、驚かなかっただろう。しかし、デビュー以来、シンセサイザーサウンドを貫いてきたaccessだから、話は別だ。ましてやクラブ仕様の“ELECTRIC NIGHT”だから、余計に他のユニットのそれとは意味合いが異なる。ここでこれやるか!?だ。「ELECTLIC☆NIGHT」後のMCや2曲目の「ANOTHER DAY」と同じ。意表を突くよね~。

この曲から「Heart Mining」「Discover Borderless」と、ニューアルバム『Heart Mining』収録曲を3連発。先のニューバージョン3連発と合わせ、まさにaccessの最先端を聴かせてくれた。

わずかな間を置き、本編を締める「MOONSHINE DANCE」と「Knock beautiful smile」へ。「MOONSHINE~」では、貴水がマイクをフロアに向ける。超満員のフロアが大合唱で応える。大音量のサウンドに負けない歌声だ。先の「Let me go」といい、この大合唱といい、観客参加型ライブ。きっともともとは一人ひとりが自由に踊ったり、体を動かしたりできる、クラブ的なライブをイメージして始めた“ELECTRIC NIGHT”だろうが、ニーズとシーズのバランスから、徐々に参加型の色合いを強めているように思えた。つまり、accessとオーディエンスが一緒に育てているライブが“ELECTRIC NIGHT”だ。

「MOONSHINE~」がカットアウトすると、貴水の声がカットイン。「Knock beautiful smile」。この曲名について、筆者の記憶が正しければ、浅倉は次のような主旨の発言をしていたはず。Knockとbeautiful smile、相反する言葉が無理なく結びついている点が好きだと。これは彼の不変の哲学にも通じる見解。なぜなら、アナログとデジタル、科学と感情、計算とひらめき……両極を交配させることが浅倉流創作術だから。ただ、相反する要素や両極を隣合わせるだけなら、それほど難しいことではない。交配させるのが難しい。化学反応を起こさせるのが彼の創作の肝だと思う。“ELECTRIC NIGHT 2018”バージョンの「Knock~」が、そう物語っているようだった。

アンコールはMCから。誰も予想できなかった衝撃の告白合戦。

子供の頃の流血を浅倉が初告白。路地裏にあった有刺鉄線で頭を切り、ボタボタ血が落ちたとのこと。「その話は初めて聞いた」と、25年以上一緒にいる貴水が驚くほどレアなエピソードだ。

一方の貴水も大型二輪免許取得を初告白。「これでハーレー(ダビッドソン)に乗れる」と、ウキウキの貴水。「大型バイクのサイドカーにワンコを乗せてる写真を見ることあるじゃない。あれ憧れるよね」と、興味津々の浅倉。

出たところ勝負のMCだから、ニコ生でライブ中継されていることも忘れ、健康ネタや、中継カメラに向かって「なぜ来ない!」とか、話が転がる、広がる。

このMCでなごんだ後、助走なしの、いきなりハイテンション。「NIGHT WAVE」「LYIN’EYES」「AGAINST THE RULES」の“ELECTRIC NIGHT 2018”マッシュアップ。メドレーでもリミックスでもない、異なる3曲をひとつのグルーヴにまとめあげるのも、浅倉が15年以上続けているクラブイベント(DJ活動)で培ったスキルだろう。

ラストは「永遠dive」。にこやかで、華やかで、晴れやかなエンディング。歌詞にあるとおりテンションMAX。フロア中が全力でタオルを回して曲に参加。ライトもギラギラのチカチカ。使える機能をすべて使い切る。会場の天井を突き抜ける貴水のハイトーンボーカル、浅倉は唸るようなキーボードソロを奏でる。ステージ下手の台の上では、貴水が浅倉を後ろから抱きしめる。超満員のフロアが悲鳴と歓声で揺れた。そこにいる全員が持てるものすべてを出し切ったラストシーンだ。

と、春を重ねるごとに進化する“ELECTRIC NIGHT”に満足した東京公演。その2019があるか否か定かではないが、この先、どのように変貌するか、進化するか、期待しかない。しかし、その前に冬ツアー。こちらは舞浜アンフィシアター2公演を含むホールツアー。例年どおりなら、バンドスタイル。混沌の“ELECTRIC NIGHT”の対極にある、ひとつの世界観を構築するコンセプチュアルなステージになるだろうから、まずはそれを堪能しよう。それにしても……。夏が来て、秋が終わらないと……。12月が待ち遠しい。タイムマシンがあればなー。

取材・文 / 藤井徹貫 撮影 / 田中和子(CAPS)

access ELECTRIC NIGHT 2018
2018年5月12日 ディファ有明

SET LIST
01.ELECTLIC☆NIGHT
02.ANOTHER DAY
03.S
04.JOY TRAIN
05.Let me go
06.IZASUSUME!
07.Tragedy
08.NAKED DESIRE
09.Hung Me For The Distance
10.EDGE
11.Friend Mining
12.Heart Mining
13.Discover Borderless
14.MOONSHINE DANCE
15.Knock beautiful smile
EN1 NIGHT WAVE
   LYIN’EYES
   AGAINST THE RULES
EN2 永遠dive

ライブ情報

access×TRF~25th Anniversary Joint Live~
6月30日(土)大阪:フェスティバルホール
7月27日(金)東京:東京国際フォーラムホールA

access TOUR 2018 WINTER
12月1日(土)埼玉:三郷市文化会館
12月15日(土)千葉:舞浜アンフィシアター
12月16日(日)千葉:舞浜アンフィシアター
12月23日(日)愛知:アイプラザ豊橋
12月24日(月・祝)大阪:オリックス劇場

access

浅倉大介(プロデューサー)/貴水博之(ボーカル)からなるユニット。1992年11月26日、「VIRGIN EMOTION」でデビュー以来、「MOONSHINE DANCE」「夢を見たいから」などヒット曲を連発。1994年には、3rdアルバム『DELICATE PLANET』でオリコン初登場1位を獲得し、その年の『NHK 紅白歌合戦』にも出場する。1995年、一旦活動休止をするが、2002年、access再始動。以来、毎年全国ツアーを始め、シングルやアルバムもコンスタントにリリースし、精力的に活動している。25周年記念ライブなどを収録した映像BOX『access double decades+half Live Anniversary BOX』が絶賛発売中。

オフィシャルサイト
http://www.access-web.jp

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