LIVE SHUTTLE  vol. 264

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ポルノグラフィティ 新曲「カメレオン・レンズ」も披露した〈15th ライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT”〉。「最高のフィナーレ」を迎えたパシフィコ横浜をレポート

ポルノグラフィティ 新曲「カメレオン・レンズ」も披露した〈15th ライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT”〉。「最高のフィナーレ」を迎えたパシフィコ横浜をレポート

11thアルバム『BUTTERFLY EFFECT』を引っ提げ、昨年11月からスタートした全国ツアー〈15th ライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT”〉。途中、ヴォーカル・岡野昭仁のインフルエンザ罹患によって延期を余儀なくされた公演があったものの、4月29日のパシフィコ横浜 国立大ホールでのライヴ(振替公演)でツアーは大団円を迎えることとなった。約半年にわたって繰り広げられた今回のツアーを通して、デビュー19年目を迎えたポルノグラフィティは果たして何を伝えようとしていたのか? 圧巻のパフォーマンスを見せつけたファイナル公演の模様をレポートしていく。

取材・文 / もりひでゆき

「わしらは幸せもんじゃなと改めて思います」

開演前にステージを覆うスクリーンに映し出されていた飛行機の映像とリンクするように、ライヴは「夜間飛行」でスタート。下ろされたままのスクリーンには水泡のような模様がゆったりと上下していく映像が投影され、その向こう側でポルノグラフィティの2人と5人のサポートメンバーがゆったりとしたサウンドをプレイしていく。“BUTTERFLY EFFECT”と題されたライヴの世界に心地よく誘っていくような、どこか幻想的で、大人っぽい雰囲気を感じさせるオープニングだ。

かと思えば一転、2曲目には情熱的なアップチューン「LiAR」、3曲目にはハイカロリーなアグレッシブナンバー「真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ」を放ち、序盤の盛り上がりをしっかり作り上げていく。

「わしらも今日はリミッターはずしていくから、最高のフィナーレ、最終日にできたらと思います」(昭仁)
「約半年積み上げてきたものをぶつけられたらと。ライヴ中、岡野くんの体調が悪くならないことを祈って(笑)、最高の最終日にしましょう!」(新藤晴一)

そんなMCのあと、ライヴであまり演奏される機会がなかったという「ワールド☆サタデーグラフティ」と「ダリア」を。また、久しぶりに演奏されるという「リンク」と、ライヴではおなじみのキラーチューン「メリッサ」を立て続けに披露していく。「マイナーな曲まで楽しんでくれているのがよく見える。わしらは幸せもんじゃなと改めて思いますね」と演奏後に昭仁が語っていたが、それぞれの曲のイントロが鳴り響いた瞬間に湧き上がる大歓声や、すべてのオーディエンスが一体となって会場を揺らす激しい盛り上がりからは、ポルノが生み出してきた曲たちがどれだけ愛されているかを改めて実感することができた。彼らは曲が生まれた当時の瑞々しさはそのままに、手にしてきた経験やスキルを注ぎ込んだ今の自分たちの姿をしっかりと投影して演奏している。だからこそ楽曲はつねに色あせることなくフレッシュな輝きをもってオーディエンスの心を揺さぶるのだろう。

本ツアーでは序盤のNHKホール公演(1月31日)も観ることができたのだが、そこからの約3ヵ月間でサポートメンバーも含めたバンドとしてのまとまりがより強固なものになっていたのも印象的だった。公演を重ねることでバンドが成長するのは必然ではあるが、そこには“こなれた”ムードはいっさいなかった。信頼感に裏打ちされたアットホームな雰囲気はありつつも、いざ演奏となればピリッとした緊張感がスリリングなグルーヴを生んでいたし、予定調和を排した爆発力のあるアンサンブルが生まれていたように思う。ほんといいバンドだ。

世界中に存在する無数の音楽が織りなす大海に、自分たちの楽曲が雨の一滴として意味を持って存在することができれば。そして、蝶の羽ばたきが地球の裏側で大きな風を巻き起こすバタフライ効果のように、その一滴が何らかのアクションを生み出すことができれば──アルバム『BUTTERFLY EFFECT』のタイトルに込めたそんな想いを晴一が語ったあとは、アルバム曲を並べたパートへ。

「Working men blues」では、すべての働く者たちへ捧げるかのような染みるギターを晴一が奏でる。ミサイルが飛ぶ緊迫した映像をバックにプレイされた「170828-29」では、今の時代が纏っている不穏な空気を吹き飛ばすように会場全員でピースサインを掲げた。架空の学園恋愛映画の予告編映像(晴一が医師役で登場!)のあと、その主題歌という体で演奏された「君の愛読書がケルアックだった件」、エレクトロ的なアプローチで新たな世界観を描き出した「MICROWAVE」と、様々なカラーを持つ楽曲が次々と披露される。ポルノにしか描き出せない音楽世界を感じさせる楽曲群。それらは、シーンにおける彼らの存在意義を鮮明に証明していたように思う。

音楽家としての“個”。2人のパーソナリティを色濃く感じさせる

中盤では森の映像をバックに、昭仁がひとりで登場。椅子に座り、リラックスした雰囲気で話し出す。昨年開催された〈Amuse Fes in MAKUHARI 2017-rediscover-〉でPerfumeの「ポリリズム」をカバーした際、その模様を観たスガシカオから「一歩引いて、もっと優しく歌わなきゃダメだ」とアドバイスされたのだという。その結果、表現の幅が広がり、「新しい扉が開いた気がした」と。そんな話のあとにギター一本で歌われた「ハート」でのボーカリゼーションは感動的なほどにふくよかであたたかなものだった。弾き語りというミニマムなスタイルで提示したヴォーカリストとしての進化に観客からは割れんばかりの拍手が贈られた。

昭仁がステージを去ると、今度は晴一とサポートメンバーが登場。「午前5時に反転したのは夜と朝/本当と嘘」というような詩を晴一自身が朗読するなか、インプロヴィゼーションでサウンドが構築されていく。ダークな、でもどこか美しいサウンドスケープ。そのなかで晴一はギターを高らかに鳴り響かせていく。その姿には普段よりもアーティスティックなギタリストとしての雰囲気が強く見えていたように思う。

昭仁の弾き語りも同様だが、ポルノとしてのライヴの中で音楽家としての“個”を強烈に見せてきたのが面白い。2人のパーソナリティを色濃く感じさせることで、ポルノグラフィティというバンドの持つ奥深い魅力が改めて浮き彫りになる。この中盤パートはそんな有意義な試みだったのではないだろうか。

晴一が先導したインプロコーナーの終盤では昭仁が合流。そのまま「月飼い」へと流れて、「Part time love affair」「Fade away」へと続いていく。ポルノグラフィティのコアな部分を感じさせる楽曲を並べたあとは、「ここからの明日への一歩が力強くなるように希望の歌を届けます」という昭仁のひと言を合図に「Rainbow」を、そしてピースフルな大合唱が巻き起こった「ギフト」を連続で。彼らの真骨頂とも言える前を向いたメッセージソングで会場をまばゆい光で照らし、ラストスパートへと突入。

「わしらと一緒に、いい景色を見ていこう!」

会場を揺らすアッパーチューン「THE DAY」では晴一がテンション高くステージ上を移動しまくり、昭仁のハイトーンなシャウトと掛け合うようにギターフレーズでバトルして見せたりと、アグレッシブなパフォーマンスを繰り広げる。サビでのタオル回しで痛快な一体感を生んだ「ハネウマライダー」では、昭仁も晴一もステージの端から端まで移動し、会場を埋め尽くすすべての人たちに想いを乗せた歌とギターをしっかりと届けていく。

「強さとは、己自身を何度でも信じられること。少しずつでいいから前を向いて進んでいこう。わしらと一緒に、いい景色を見ていこう!」(昭仁)
ラストナンバーは「キング&クイーン」。聴き手を鼓舞する熱いメッセージが込められたこの曲で本編は幕を閉じた。

アンコールで再びステージに登場した彼らは、3月21日にリリースされたニューシングル「カメレオン・レンズ」をプレイ。曲が終わったあと、「ポルノとしては新機軸になりうる曲。長く愛されたら嬉しいです」と昭仁が曲についての想いをしゃべっていると、突然手拍子が巻き起こる。どうやら後ろにいた晴一がノリノリでカラダを動かしていたようで、それに合わせた手拍子だったよう。「次の曲のグルーヴをカラダで確認してたら手拍子が(笑)」と晴一。その後、昭仁がまたしゃべりはじめようとすると、またも手拍子が。そのやり取りが2度ほど繰り返され、いたずらっぽく笑う晴一につられるように昭仁も顔をほころばせる。長い付き合いである昭仁と晴一だが、その関係性が今回のツアーを通してより親密に、より深く育まれたようで微笑ましかった。昭仁主導の“変な踊り”で楽しく盛り上がった「ミュージック・アワー」と、ステージ上のメンバー全員が上半身裸になって大暴れした「ジレンマ」で驚異的な盛り上がりを見せたあとには、2人でがっちりと握手まで交わしていたし。ポルノグラフィティは今、最高にいい状況なのだろう。

ライブ後に流れたエンドロール。その最後には2人からの直筆メッセージが添えられていた。昭仁は「我が故郷でのライヴ、一緒に特別な日にしましょう!」と、今年9月8日、9日に広島県立びんご運動公園陸上競技場で開催される〈しまなみロマンスポルノ’18〉についての想いを。晴一は「僕らの小さな羽ばたきは君に届きましたか?」と“BUTTERFLY EFFECT”にちなんだコメントを記していた。全39公演を巡った今回のツアーでポルノグラフィティが起こした羽ばたき、それぞれの公演で丁寧に注がれた音楽の滴たちは確実に大きな風、大きな流れとなって今後の活動へと繋がり、僕らに新たな景色を見せてくれることになるのだろう。

ポルノグラフィティは今年9月8日でデビュー20周年イヤーへと突入する。そのキックオフとなる〈しまなみロマンスポルノ’18〉にまずは大きな期待を寄せたい。

ポルノグラフィティ 15th ライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT” 2018.04.29@パシフィコ横浜 国立大ホール SET LIST

M01. 夜間飛行
M02. LiAR
M03. 真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ
M04. ワールド☆サタデーグラフティ
M05. ダリア
M06. リンク
M07. メリッサ
M08. Working men blues
M09. 170828-29
M10. 君の愛読書がケルアックだった件
M11. MICROWAVE
M12. ハート
M13. インプロヴィジョン〜月飼い
M14. Part time love affair
M15. Fade away
M16. Rainbow
M17. ギフト
M18. THE DAY
M19. ハネウマライダー
M20. キング&クイーン
EN.01 カメレオン・レンズ
EN.02 ミュージック・アワー
EN03. ジレンマ

しまなみロマンスポルノ’18

2018年9月8日(土)広島県立びんご運動公園 陸上競技場
2018年9月9日(日)広島県立びんご運動公園 陸上競技場

しまなみ特設サイト

ポルノグラフィティ

岡野昭仁(vocal)、新藤晴一(guitar)。広島県因島出身。高校でバンドを結成し、1995年から大阪にてストリートライヴやイベントに精力的に出演、バンドコンテスト等でも数々の賞を受賞する。1999年に1stシングル「アポロ」でメジャーデビュー。以降、「ミュージック・アワー」「サウダージ」「アゲハ蝶」など数々のヒット作を生み出す。2017年10月に11thアルバム『BUTTERFLY EFFECT』をリリース、その後、年をまたぎ〈ポルノグラフィティ 15th ライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT”〉を開催した。

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