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『ドンキーコング トロピカルフリーズ』 Nintendo Switch 版、シンプル操作なのにハマる理由を考察

『ドンキーコング トロピカルフリーズ』 Nintendo Switch 版、シンプル操作なのにハマる理由を考察

1981年にアーケードゲームとして誕生し、その後家庭用ゲーム機でも定番のアクションゲームとなった『ドンキーコング』、『スーパードンキーコング』シリーズ。2018年5月には、2014年にWii U向けソフトとして発売された『ドンキーコング トロピカルフリーズ』が、新要素を加えてNintendo Switchでリリースされた。

本稿では、何度ミスをしても「もう1回!」とチャレンジしたくなる『スーパードンキーコング』シリーズの絶妙な難しさ、そして『ドンキーコング トロピカルフリーズ』で大きな進化を見せたグラフィックや演出などに着目していく。

文 / 村田征二朗(SPB15)


難しいからこそ……の面白さ 

ゲーム機の進化に伴い、ゲームソフトにもその時代ごとの技術が導入されるようになり、ビジュアルだけでなく、システムでも多様化が進んでいるのは、いまさら言うまでもないことです。しかし時代がいくら変わろうとも、シンプルなゲームが持つ面白さが色褪せることはありません。そのことを改めて感じさせてくれるのが、『ドンキーコング トロピカルフリーズ』です。

スーパーファミコンやNINTENDO64などの時代から多くのプレイヤーを楽しませてきた『スーパードンキーコング』シリーズは、シンプルなゲーム性の面白さが凝縮されたシリーズだと言えるでしょう。ジャンプやローリング攻撃といった簡単な操作、敵や障害物に当たらないようにゴールを目指すというわかりやすいルール。コントローラーを持って数秒もすれば動かしかたを把握できる本シリーズは、まさにシンプルの極みと言えるゲームです。

▲シリーズ作品を遊んだことがある人はもちろん、初めてプレイする人でも操作方法に迷うことはないでしょう

シンプルという言葉には簡素や簡単といった意味合いがありますが、『スーパードンキーコング』シリーズは簡素でこそあれ、簡単かと言えばまったくそんなことはありません。過去のシリーズ作品も容赦なくプレイヤーを叩きのめしてくるステージ構成に定評がありましたが、本作においてもその鬼のような難度は健在です。また、詳しくは次回の記事で触れますが、Nintendo Switch版では救済処置として“ファンキーモード”が実装されており、難しいステージにガチで挑みたい人も、アクションゲームをカジュアルに遊びたい人も楽しめるようになっています。

▲コンティニュー可能な回数を表すバルーンは道中でかなり豊富に入手できますが、1ステージで10回以上ミスしてしまうことも珍しくありません

うっかり敵に当たってしまったり、勢い余って穴に落ちてしまったりと、とにかくミスしてしまうことが多い本シリーズですが、ここで重要なのが、ミスするポイントに理不尽さがないことです。基本的に自分の操作ミスや判断ミスが原因となるため、「ここでこう動けばよかった」という反省(と言うと大げさですが)が生まれ、ゲームに対して苛立つこともありません。初見で避けるのが難しい仕掛けはいくつかありますが、それも理不尽というよりは「そうきたか!」という楽しい驚きを生んでくれるので、むしろステージ中のアクセントとなるのです。

懐かしくも新しいアクション

『スーパードンキーコング』シリーズでは、地上を走るステージだけでなく、トロッコに乗るステージや水中をかき進むステージなどもおなじみですが、本作ではこれらの要素も網羅されています。過去にシリーズ作品を遊んだことがある人にとっては非常に懐かしさ溢れる本作ですが、もちろん懐かしいだけでは終わりません。水中でも敵を攻撃できるようになっているなど、細かいアクションが増えているのです。

▲回転しながら突っ込むアクションで水中の敵を倒すことができ、水中の散策がしやすくなっています

▲トロッコステージの操作は従来と同じものですが、一部のステージでは驚きの演出もあります。そちらはぜひ実際にプレイして確認してみてください

本作では新アクションとして“引っぱる”動作が導入されており、床にあるスイッチを引っぱることで足場やアイテムを出現させることができるようになっています。また、過去作品では自動的にロープを掴むようになっていましたが、本作ではボタン入力を行う必要が出ており、より能動的な操作を生み出しているのです。

▲足場を出現させるスイッチは基本的にはプレイしていて自然に見つけられる位置にあるので、スイッチが見つからずに詰まるということはありません

ドンキーコングの定番ムーブである地面を叩くアクションも健在ですが、足元の木箱を破壊したり、一部の足場を回転させて下に回ったりといった使いかたのほかに、ベルを鳴らしてその衝撃で近くのオブジェクトを破壊するなど、その使いかたはさまざまです。動き自体は懐かしいものですが、触り心地には新しいものもあり、懐かしさと新鮮さが同居するという不思議な感覚を楽しめるのも本作の魅力でしょう。

▲輝く演出なども相まって、ベルを鳴らした際の爽快感はなかなかのものです

ドンキーコングのアクションだけでも十分に楽しめる本作ですが、相棒のディディーコング、ディディーコングのガールフレンドであるディクシーコング、がんこで元気なおじいちゃん“クランキーコング”といったキャラクターたちと協力することで、よりスムーズな攻略を楽しむことができます。

ステージ中に存在するタルを壊すことでこれらのキャラクターを登場させると、ライフが増えるうえに、ディディーコングは滞空時間を伸ばせる、ディクシーコングはジャンプの高さを少し上げられる、クランキーコングはトゲの上でもダメージを受けずにジャンプできる、などキャラクターごとに固有のアクションも可能になります。とくにディクシーコングのアクションは使い勝手がよく、筆者も穴に落下しそうなところを何度助けられたかわかりません。

▲落下位置を調整できるディディーコング、トゲの多いエリアでも安心して進めるクランキーコングなど、ステージとの相性次第でどのキャラクターも役に立ってくれます

仲間を連れている状態でステージ中のバナナを100本集めると、画面内の敵をすべてアイテムに変えてしまうという非常に強力な必殺技を使うことができます。ライフの最大値が増える金のハートやコンティニュー回数が増えるバルーンなど、かなりお得なアイテムをゲットできるため、敵を全滅させる以外にも、攻略をサポートする手段としても必殺技は非常に有用なのです。

▲ドンキーコングと仲間とが大きく映し出される演出とともに敵を一掃できる必殺技。爽快感たっぷりにピンチを抜け出せます

『スーパードンキーコング』シリーズと言えば、ステージ中に点在する“KONGレター”集めなどのやり込みが遊びの本番とも言える作品ですが、本作でもかなりのやり込み要素が用意されています。KONGレターのほかにも、ステージ内にあるピースをすべて集めるとおまけモードで閲覧できるイラストが手に入る“パズルピース”や、特定の条件を満たすと開放できるハードモードなど、歴代シリーズをやり込んだ人でも舌を巻く要素が盛りだくさんとなっています。

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