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『ゴッド・オブ・ウォー』 PS4ユーザーがプレイすべきである3つの理由

『ゴッド・オブ・ウォー』 PS4ユーザーがプレイすべきである3つの理由

2016年のE3(アメリカ・ロサンゼルスで開催される世界最大規模のゲーム見本市)にて、『GOD OF WAR』シリーズ最新作がPlayStation®4に登場! と発表されて、早2年。PlayStation®3版『GOD OF WAR III』で物語としては完結していたため、どんな話になるのか、ナンバリングではなく『ゴッド・オブ・ウォー』というカナ表記のタイトルだったためゲーム性はどうなるのか……などなど、妄想や心配は膨らみまくった。結果、2018年4月20日に発売されて3日間の全世界での販売本数が310万本という事実が示すとおり、そんな心配事はどうでもいいくらい大ヒットとなっている。まだプレイしていないのであれば、これはぜひやっておくべきだと力説しておきたい。それは、大ヒットしているからではない。PlayStation®4というハードだからこそ実現できたゲームであり、開発会社の”匠の技術”をたっぷりと堪能できるからだ。どのあたりがそうなのか、じっくりと説明していこう。

文 / 松井ムネタツ


重厚な親子の物語が心に響く 

まず、ストーリーを紹介しておこう。公式サイトには以下のように書いてある。

ギリシャ神話の神々への凄惨な復讐の過去を捨て、北欧の地に辿り着いたクレイトス。彼はそこで妻を娶り、息子アトレウスをもうけていたが、自らの血塗られた過去ゆえ、アトレウスとも距離を置いて暮らしていた。

しかし、突然の死によって妻を喪ったクレイトスは、「一番高い山の頂から遺灰を撒いてほしい」という彼女の遺言を守るため、北欧神話の神々が司るミズガルズの地へ、アトレウスとともに旅に出ることとなる。かつて神を殺した男は、父としてその旅を全うできるのか。そして危険な旅路の先に父子を待つ衝撃の真実とは。

ここに、 『ゴッド・オブ・ウォー』は、全く新しい物語として動き始める。

この説明にあるとおり、前作『GOD OF WAR III』まではギリシャ神話をベースにしていた物語なのだが、本作は北欧神話をベースにしている。ゲーム中、物語をテロップで説明するようなシーンは一切ないが、ヒゲ親父のクレイトスと少年のアトレウスは親子関係にあり、母が亡くなった直後の話であることはプレイしはじめてすぐにわかる。そして父と息子の関係もどこかギクシャクした感じであることも、そこはかとなく感じ取ることができるはずだ。

▲プレイヤーが操作する主人公クレイトス(左)とアトレウス。クレイトスは『GOD OF WAR III』の頃からかなり年齢を重ねた様子が伺える

▲狩りのやりかたを息子に伝授するクレイトス。”命をいただく”ということがどういうことなのか、ちゃんと教えなければならない

『GOD OF WAR』シリーズは2005年、PlayStation®2の時代に1作目が生まれた。画面は見下ろし型で、主人公クレイトスを操作し、伸縮自在の鎖が付いた2本の斧を振り回して敵を倒していくダイナミックなアクションが特徴だ。戦闘途中で画面に表示されるアイコンどおりにボタンを押すと、アクロバティックなアクションで敵を倒すことができたり(CSアタック)と、とにかくハデで見どころの多いゲームだった。

ナンバリングとしては2010年にPlayStation®3向けとして『GOD OF WAR III』が発売され、物語的にもここでひと段落ついたので、続編はもう出ないのかな……と思っていたところで、本作の登場である。舞台も北欧に変わり、ゲームシステムも大きく変貌を遂げたので、タイトルはリブート的な意味合いも兼ねて『ゴッド・オブ・ウォー』とシンプルなものになった。

ゲーム内容はというと、これまでのハイテンポなアクションゲームから大きく変わり、近距離で目の前の敵を斬り倒していく、重みのある攻撃となった。画面もクレイトスの真後ろから見た三人称視点になったこともあり、ハデさ以上に緊迫感のある戦いになった。

ゲーム進行はマップを移動し、とくにはパズル的な謎解きをこなしつつ、敵が現れれば戦闘へ、ある程度進むとイベントシーンになり……と、これを繰り返しながら進むアクションアドベンチャーゲーム、といった作りだ。

プレイヤーは、父クレイトス視点で進むのだが、とにかくアトレウスが微妙に反抗期なのか、言うことを聞かずに突っ走る場面が多々ある。そのほとんどでアトレウスはしくじってしまい、クレイトスに「言わんこっちゃない」と怒られる。その場は素直に言うことを聞いているフリをするアトレウスだが、どこか納得してない様子がうかがえたりする。「いまのはちょっと失敗しただけで、ホントなら僕だってできるんだ!」みたいな。

▲たとえばこんな後ろ姿のシーンでも、ちょっとした指先の動きや頭の傾き加減などの動作で、キャラの感情がプレイヤーに流れ込んでくる

少し説明が脇道に逸れるが聞いてほしい。ドラマやアニメなどで、物語上の専門的な用語を説明するとき、「なんだお前、●●●●(専門用語)も知らないのか? いいか、●●●●っていうのはな……」とセリフでその用語を説明するような展開がたまにある。わかりやすさを重視するのであればこれもアリなのだが、実際の日常会話でこのようなやりとりはあまり行われないので、こういった説明のセリフを好まない人も多い。どうせなら、さりげないセリフや演出でそれらを理解させてほしいからだ。

本作はゲーム開始時の段階でプロローグ的な説明文もなく、プレイヤーはいきなりこの世界に放り込まれるのだが、それでもバックストーリーやキャラの心情はしっかりと伝わってくる。キャラの台詞はもちろん、表情やちょっとした仕草による演技などによって、物語が手に取るようにわかる。目の動きであったり、拳のちょっとした動作であったり、そのときのキャラの感情が、声だけでなく身体全体を使った演技でプレイヤーに伝えてくるのである。

▲色彩が豊かな自然のグラフィックにも注目したい

ビジュアル表現の素晴らしいゲームにおいて、よく”映画のような”なんて誰でも思いつきそうなワードをつい使ってしまうのだが、誤解を恐れずに言わせてもらうと本作にこそ、この”映画のような”というワードを使うべきであろう。

こうした細かい演出により、これまでのゲームでは感じ得なかったほど、主人公クレイトスの気持ちがイヤというほど感じ取ることができる。筆者自身も父親なせいもあるが、「クレイトス、みなまで言うな! わかるぞ、その息子を思う気持ち!」と、ゲームのなかに入り込んでしまった。共感してしまうほどキャラの演技が緻密なのは、やはりPlayStation®4というプラットフォームだからこそに違いない。

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