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ジョークが冴える司会者、ハプニングを起こすプレゼンター。そして受賞者の感動のスピーチが毎年生まれる場

ジョークが冴える司会者、ハプニングを起こすプレゼンター。そして受賞者の感動のスピーチが毎年生まれる場

 ジョークが冴える司会者、ハプニングを起こすプレゼンター。そして受賞者の感動のスピーチが毎年生まれる場

 アカデミー賞授賞式で名場面を量産した功労者といえば、なんといっても9回の司会経験を持つビリー・クリスタルだ。パロディの完成度が毎回ハンパないし、「ヒラリー・クリントンの好きな映画は……『キル・ビル』だね」(2004年)なんてジョークも冴えまくり。

 珍場面なら2つの「キス事件」だ。2002年、『戦場のピアニスト』で主演男優賞に輝いたエイドリアン・ブロディはプレゼンターのハル・ベリーにブチューッ。おいおい、役得すぎ! とツッコんだ人も多かったはず。そして1999年、『17歳のカルテ』で助演女優賞をゲットしたアンジェリーナ・ジョリーは、なんと実兄ジェームズ・ヘイヴンの唇に濃厚キス! これまたドン引きだった……。

 スピーチでは、期待通りの大はしゃぎで強烈な印象を残したのが、1997年のジェームズ・キャメロン監督。『タイタニック』が最多11部門で受賞を果たしたんだから映画の台詞でもある「俺は世界の王だーっ!」と叫んでも文句は言えまい。ネタ提供、上等である。

 とはいえ大抵のスピーチには感動がつきもの。とくに親への感謝の言葉は心を打つ。たとえば2014年に賞に輝いた『ダラス・バイヤーズクラブ』の2人。助演のジャレッド・レトはこう語った。「1971年、ルイジアナ州で2人目の子どもを妊娠した10代の少女がいました。高校を中退したシングルマザーでしたが、暮らしを向上させようと努め、子どもたちに創造力を高めて特別なことをするよう奨励しました。その少女が僕の母です。ママ、愛してる」。主演のマシュー・マコノヒーも両親に感謝し、「母は自分を尊重することの大切さを教えてくれました。だから僕は25歳のとき自分にとってのヒーローを考え、10年後の自分と定めました。いつもそれを追い続けているんです」とカッコいい感動コメントを。

 スピーチでのお気に入りはメリル(ストリープ)ネタだ。ノミネート19回、受賞3回を誇る彼女はネタにされやすさNo.1。2010年の主演女優賞、サンドラ・ブロックは同賞の候補者全員にコメントを送ったが、メリルには「キスがうまい人ね」と言い、「私の恋人をメリルと分かち合えてうれしい」とオチでも笑いネタに。メリル自身も、2011年に『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』で2度目の主演女優賞を受賞した際には「アメリカ人の半分が『おいおい、また彼女かよ、勘弁しろよ』って思っているでしょうね。でも、かまうもんか。もう二度とここには立てないんだから!」とかまし、感動的な着地で貫禄を見せている。

 そして翌年、『リンカーン』で主演男優賞のダニエル・デイ=ルイスが行ったスピーチが大傑作だ。ダニエル曰く「実は3年前、僕たちが交換しようと決める前には……、僕はサッチャーを演じるはずだったんです。メリルがスピルバーグにとって『リンカーン』の第一候補だったから」(笑)。

 感謝リストがテロップになるという今年は、笑いと感動てんこ盛りのスピーチが期待できそうだ。

文 / 若林ゆり