Report

僕たちはなぜ走るのか。眩く切ない本格青春スポーツドラマが開幕。舞台『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』エピソード5 ゲネプロレポート

僕たちはなぜ走るのか。眩く切ない本格青春スポーツドラマが開幕。舞台『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』エピソード5 ゲネプロレポート

舞台『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』エピソード5が開幕した。
感動と熱狂のフィナーレから一転。まさかの続編決定でファンを騒然とさせた『プリステ』。原作はすでにエピソード4で消化しており、このエピソード5は完全オリジナル。有終の美を飾った彼らのこの先にいったいどんなドラマが待っているのか。期待募る最新作をレポートする。

取材・文 / 横川良明

今からでも間に合う! 3分でわかる『プリステ』おさらい

まずは今回から『プリステ』にふれるみなさんのために、改めて『プリステ』の世界をまるっとおさらいしたい。(すでにエピソード4までご覧の方はこのままスクロールして次のブロックへ)


『プリステ』とは、「ストライド」に情熱を捧げる高校生たちの青春疾走ストーリー。ストライドとは架空の競技で、コースは競技トラックではなく、街の中。街じゅうに存在する様々な障害物を巧みに利用しながらゴールを目指すエクストリームスポーツだ。

1チームのメンバーは6人。うちランナーが5人で、1人あたりの持ち区間は約400メートル。さらに、一般的な陸上競技では各走者のリレーはバトンやタスキをパスすることによって行われるが、ストライドではランナー同士が定められた区間内でハイタッチを交わすことで、次のランナーへと交替する。スムーズにリレーションを行うには、ランナー同士の呼吸が重要。それを指示するのが、リレーショナーだ。リレーショナーは走者の現在位置をGPSでチェックしながら、次のランナーにスタートのタイミングを指示する。つまり、ランナーとランナー、そしてリレーショナーが心をひとつにしなければ、最高のリレーションは成立しない。個々の走力や技術はもちろん、チームワークが勝敗を分ける“想いをつなぐ”スポーツだ。

本作は、このストライドに青春を懸ける高校生たちの熱いレースと人間ドラマが最大の魅力。主人公は、方南学園ストライド部に所属する1年生・八神陸(伊崎龍次郎)、藤原尊(蒼木陣)、桜井奈々(松永有紗)の3人。動画で見た方南ストライド部の走りに魅せられ入学を決めた奈々。しかし、ストライド部はある不祥事により廃部寸前に陥っていた。そこで、中学ストライドで有名選手だった尊と共に、奈々は部を立て直すべく、運動神経抜群の陸をスカウト。活発な陸と無愛想な尊は時に対立しながらも、東日本高校ストライドの頂点を決める大会・END OF SUMMER(通称、EOS)を目指して、切磋琢磨し合う。

こうした、いわゆる「部活モノ」の要素を縦糸に、横糸ではそれぞれの人間ドラマを展開。キーを握るのは、高校ストライドのスター選手・八神巴(北村健人)だ。巴は陸の実兄であり、才能溢れる兄に対し、陸はずっとコンプレックスを抱えていた。また、かつては方南ストライド部の一員だった巴は、部長の支倉ヒース(岸本卓也)や久我恭介(鮎川太陽)とは「ゴールデントリオ」と呼ばれるほどの仲。しかし、アメリカ留学から帰国した巴は、仙台の花京院高校に編入。方南ストライド部のライバルとなっていた。

いくつもの熱戦を経て、方南学園はついにEOS決勝戦で、花京院高校と対戦。そこで陸は兄・巴と直接対決する。果たして陸は兄へのコンプレックスを克服できるのか。そして方南学園はEOS優勝を掴み取れるのか――と、ここまでがエピソード4までの大まかなストーリー。このエピソード5では原作でも描かれることのなかったEOSのその後が描かれる。

最高のフィナーレのその後とは? ファン歓喜のドリームマッチが実現!

誰もが納得の大団円だっただけに、エピソード5について期待はもちろん不安を感じた人もいるかもしれない。だが、その不安は完全に杞憂だということを、終演後の客席の熱気が証明していた。このエピソード5は感動の結末を迎えた陸たちが「なぜ走るのか」という本質に向き合う、原点回帰にして、最高に熱く泣ける一本だ。

また、脚本では緻密に人間関係を描いているので、今回から初参戦する人たちもご安心を。羨望か、嫉妬か、友情か、敵対心か。それぞれのキャラクターの間にどんな感情が横たわっているのか、短い台詞のやりとりだけで自然と頭に入る脚本の巧みさは、さすがの一言。気づいたら、総勢30人のキャストがつくり出す熱狂と感涙のドラマに引きこまれているので、あとは心ゆくまで『プリステ』の世界を堪能してほしい。

見せ場のストライドもさらにスケールアップ。本格的なパルクール練習を積んだキャストたちが繰り出す技は、回を重ねるごとに迫力倍増。跳躍はより高く、身体はバネのようにしなやかに動き、空中でドリルのように回転する俳優たちの身体能力に思わず唖然。特に、客席を使ってのレースシーンは臨場感たっぷり。すぐ横を駆け抜ける俳優の走りに、つい呼吸を止めてしまいそうになる。

葛藤と挫折と本気の勝負の先に見つけた、それぞれの道

注目のストーリーも、これまでの世界観を損なうことなく、また新しい『プリステ』を見せてくれている。そもそもストライドに限らず、多くの体育会系部活は、必ずしも競技に打ち込むことが自らの将来に直結しているわけではない。みんながみんなプロになるためにやっているわけではないし、なれるわけでもない。じゃあなぜそんなにも一生懸命練習するのか。そう聞かれたら、答えは十人十色だろう。

そんな普遍的な問いを織り込みつつ、ストライドになぞらえ、自らの道を開く姿を真っ正面から描いているので、共感度200%。そもそもストライドは、すでに用意された平坦なコースを走る競技ではない。あらゆるギミックをどう駆使するかは、ランナー次第。技術とアイデアと勇気があれば、誰もまだ走ったことのない道を、自らのルートにすることだって可能だ。それは、私たちの人生も同じ。踏み固められた道を歩む人生も、もちろん素晴らしい。だけど、時には前人未踏の荒野を切り開くことで見える景色がある。掴めるものがある。そんな胸滾るメッセージを、陸たちの全力疾走が教えてくれる。

また、真剣に競技に打ち込めば打ち込むほど、たとえ夢を共にした仲間でも力量差が出てくるのは当然のこと。その中でキャラクターたちがストライドという競技と改めてどう向き合うのかも、大きなドラマを生んでいる。

舞台『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』エピソード5は6月4日(月) までシアター1010にて上演。その後、大阪に場所を移し、6月15日(金)から17日(日) まで森ノ宮ピロティホールにて上演される。若き俳優たちが見せるフィクションを超えた本物のドラマをぜひ体感してほしい。

舞台『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』エピソード5

東京公演:2018年5月31日(木)~6月4日(月)@シアター1010
大阪公演:2018年6月15日(金)~17日(日)@森ノ宮ピロティホール

演出:松崎史也
脚本:葛木 英
パルクール指導・演出:HAYATE

出演:
【方南学園】
伊崎龍次郎、蒼木陣、松永有紗 / 熊谷魁人、岸本卓也、白石康介 / 新井裕介、水越朝弓

【西星学園】
平牧仁、小林 涼

【三橋高校】
鐘ヶ江 洸、澤田拓郎、横山真史
【一条館高校】
村田 恒、田邊 謙、阿瀬川健太、松本 唯
【市場高校】
村上渉、田口 涼、岩瀬恒輝
【椿町高校】
菅原昌規、中村太郎、黒崎澪音

【花京院高校】
北村健人、原野正章、丸山直之、大橋典之 / 増田裕生

【OTHER】
林修司、HAYATE

©2015 FiFS / ©KADOKAWA CORPORATION 2015

PS vita版 プリンス・オブ・ストライド
コミック版 プリンス・オブ・ストライド