黒選!メディアコンテンツ研究家・黒川文雄がテーマで選ぶ 3+1  vol. 35

Column

任天堂がゲームで貫く「遊び」の歴史 3+1選

任天堂がゲームで貫く「遊び」の歴史  3+1選

紙の素材で模型を制作する「ペーパークラフト」。
日本では江戸時代から「立版古(たてばんこ)」と呼ばれる、ペーパークラフトの原点とも呼べるものがありました。錦絵(にしきえ:浮世絵として作られた紙)をベースに、建物や風景などを組み立てる遊びとして広く親しまれていたそうです。浮世絵ならではの発色の良さを持った立版古は、組み上がると美術品の如く秀逸な存在感を現します。
それから時を経て、パソコンとプリンターが普及した今は、ペーパークラフト専門サイトが多数登場し、自宅で気軽にペーパークラフトを楽しめるようになりました。

日本人は昔から、色彩豊かで遊び心に満ちた道具を自分の手で作り上げ、遊びとして楽しんでいたのです。
ゲームの分野で、そんな「遊びの原点」を象徴するような製品を生み出し続けている企業といえば、やはり任天堂でしょう。今回は遊びの原点に立ち返り、任天堂が生み出した象徴的な製品の歴史を振り返りたいと思います。

では、どうぞ!


1. ファミリーベーシック、ファミリーコンピュータロボットからニンテンドーラボへ

1984年6月21日に発売された「ファミリーベーシック」。NS-Hu-BASICという言語を使い、ゲームをプログラミングすることが可能でした。

ファミリーベーシック 写真提供 / 山崎 功

当時、ゲームをプログラミングすることは子供たちの憧れでもあり、身近な家庭用ゲーム機で、かつ低価格で利用可能なことから、モノを作るのが大好きな子供たちに絶大な人気を集めました。

しかし、実際に利用できるプログラム容量は1,982バイトと少なく、この容量で魅力的なゲームを作るためには容量不足を補うためのスキルと発想が必要でもありました。1980年2月21日にはプログラム容量が4,086バイトに増えた「ファミリーベーシックV3.0」も発売されましたが、その後は追加ソフトが発売されることなく、ファミリーベーシックは終焉を迎えました。

1985年7月26日に発売された『ファミリーコンピュータロボット(ブロックセット)』と1985年8月13日に発売された『ファミリーコンピュータロボット(ジャイロセット)』。

現代版カラクリ人形とまでは言い難いかも知れませんが、ゲームカセットと動くロボットが同梱されたもので、ファミコンとテレビが連動して動くものという画期的な製品です。

まず、ロボットに電池を入れ、ブロックセットの場合はブロックをロボットにセットし、ジャイロの場合はコマをセットします。そして、顔の部分の目をテレビ画面に向けると、テレビ画面から送られて来る信号を受け取って、所定の動作をするというものです。入力と出力というプレイヤーの操作に応じて実物のブロックやコマが移動するという、双方向な楽しみ方をするゲームでした。

ファミリーコンピュータロボット(ジャイロセット) 写真提供 / 山崎 功

このように、ゲームと実物がリンクして遊び道具になるという考えが、2018年4月発売のNintendo Switch用ソフト『Nintendo Labo Toy-Con 01: Variety Kit』(ロボットキット)に継承されていると思います。

ゲームソフトと付属の段ボールを組み立てて連動するギミック型の遊び道具です。しかも、自分で段ボールを色付けしたり、Nintendo Switchのセンサー類の仕組みを理解して、自分なりに工夫するなど、奥深い遊び方や発見のある遊びを具現化したものです。

段ボールでピアノやギターを作って、実際に演奏したり、釣竿を作って釣りをしたり、ハンドルを作ってバイクに乗ったり。自分の手足の動きに連動するロボットを操作するなど、子供ならずとも大人もワクワク感が止まらないギミックが盛りだくさんです。

そして、エディットモードでもある「Toy-Conガレージ」では、難しいプログラミング言語無しで、インターフェイスの基本「入力・出力」を組み合わせるだけで、新しい遊びを発明出来るようになっています。子供たちの作る、学ぶという部分に限界はありません。

道具だけ用意して、後は自分のヒラメキ次第で自由に工作をする感覚なので、誰でも始められるのが任天堂らしいですね。この任天堂の、テレビ画面から遊びを取り出したような遊び方の提案は「ファミリーコンピューターロボット」誕生から30年という時を経て、ついに完成したのかもしれません。

1 2 3 4 >
vol.34
vol.35
vol.36