Interview

クアイフ 1stアルバムリリース! “絶対的、鍵盤系ドラマチックポップバンド”の3人が伝えたい音、言葉、そして、ポップスとは?

クアイフ 1stアルバムリリース! “絶対的、鍵盤系ドラマチックポップバンド”の3人が伝えたい音、言葉、そして、ポップスとは?

<絶対的、鍵盤系ドラマチックポップバンド>というキャッチフレーズを掲げるクアイフがメジャー1stアルバム『POP is YOURS』をリリースした。
テレビアニメ「いぬやしき」のEDテーマとして書き下ろしたデビュー曲「愛を教えてくれた君へ」やドラマ「ミューブ♪ 〜秘密の歌園〜」の主題歌「I love ME !」などを含む全10曲とそのタイトル(とイエローのジャケット)には、彼らが「ポップミュージックとは何か?」というテーマに真摯に向き合った末にたどり着いた、現時点での1つの答えが記されている。クアイフが追求する日本語によるポップミュージックとは——。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 荻原大志

バンドとしても、人としても、いろんなことを経験してきたことで、どの曲でも“本物の自分”で歌えるようになったなっていう感覚があって(森)

メジャーでは1枚目となるアルバム『POP is YOURS』が完成しました。まず、アルバムが完成した率直な感想から聞かせてください。

 聴いてもらえば絶対に心に届いて共感してもらえるものができたなって思ってます。

三輪 自分で1枚通して聴いたときもすごく満足感があったし、納得もいってるので、本当に最高のアルバムができたなってめちゃくちゃ思ってます。

内田 前回にインタビューしていただいた時からまた気持ち的に変わってる部分もあって。僕らなりのポップスっていう言葉の意味も詰め込んだし、バンドとしてのアイデンティティーも詰め込めた、本当にいいアルバムになってると思っています。今のクアイフの看板というか、本当に名刺がわりになるような作品ができたなと思ってますね。

その気持ち的な変化というのは具体的にどういうことですか?

内田 僕らは<絶対的、鍵盤系ドラマチックポップバンド>と掲げていて。ポップスというものを追求してるバンドなんですけど、「自分たちの中でのいいポップスってなんだろう?」って考えたときに、”世に放たれた瞬間にその音楽がリスナーのものになること”だって思ったんですね。それが、僕らの中のポップスの定義だったというか、元々の曲作りの絶対条件だったんです。その大テーマの中でそこからさらに、深く掘り下げて。音楽を作る上で、いろんな人に届ける=<より一般的であるつまみ>と<音楽的であるつまみ>の両方があるなと思っていて。メジャーデビューのインタビューの時は、<音楽的であるつまみ>は、そんなに深くかかってなくてもいいと思ってたところもあったんですけど、今回のアルバム制作を進めていく中で、両方とも必要だというか、より良いバランスを探す作業をしていて。その中で、そういったバランスみたいなものはすごく良く表現できた作品になったような気がします。

僕たちは言葉を大事にするバンド、言葉を武器にしたいと思っていて(内田)

それは両立するものでしたか? もともと、’12年9月にライブ会場限定でリリースしたインディーズ1stシングルで、「誰かになりたいわけじゃない」と個を追求することから始めたバンドにとって、誰もが共感できるような<みんなのうた>と、個性や自己主張が大事になる<私のうた>のバランスはどう取っていきました?

内田 世の中には、曲が生まれた時点から考えると、いろんなフィルターを通ってどんどん濾過された上でリスナーに届いてしまうっていうことがたくさんあると思うんですけど、それをできるだけ減らしたいと思ってて。掛け算でさらに大きくしていく作業がバンドであったり、仲間と一緒に音楽を作るっていうことだと思っているんですけど、今バンドとしてそれがすごくうまくできてる状況なんですね。僕たちは言葉を大事にするバンド、言葉を武器にしたいと思っていて。例えば、渋谷の街で流れたときに、その世界観にリスナーを引き込めるかっていうことを判断基準にしてるんですね。楽曲としてはそこをしっかりと心がけていれば、バンドのプログレッシブなアレンジだったりっていうアイデンティティーみたいなところは足していってもいいかなって今回のアルバムで思って。まず、楽曲の軸となる必要なものだけを残して、それ以外の部分ができるだけ削ぎ落とされた状態にしておくっていう作業の大切さを感じましたね。

 「誰かになりたいわけじゃない」っていう感覚は全然変わっていなくて。だけど、今回の10曲中には最高にハッピーなポップソングもあって。昔の私だったら気持ち的に歌えなかったと思うんですよね。その曲にすっと入り込んで表現できなかったなって思う。でも、バンドとしても、人としても、いろんなことを経験してきたことで、どの曲でも“本物の自分”で歌えるようになったなっていう感覚があって。バンドとして、ヴォーカリストとして、人として成長できた今だからこそ、そういった曲も歌えるようになったんじゃないかなと思います。

幅が広がったというのか、認識が変わったのかわからないですけど、バンドとしてできることが広がってる(三輪)

例えば、2曲目「I love ME !」はかなりハッピーなラブソングになってますよね。

 そうですね。元々は友人の失恋をもとに作った「じゃあ、またね。」や未練タラタラでぐしゃぐしゃでどうしょうもない(笑)「タイムマシーン」のように暗くて感傷的な方が得意って思ってたので、「I love ME !」や「EverBlue」は昔の私だったら歌えてなかったなって思います。でも、「I love ME !」はドラマの主題歌として書き下ろした曲なんですけど、無理して寄せたっていうことも全くなくて、本物の自分で歌えているなっていう感覚があります。

三輪 前だったら、たぶん「I love ME !」はこそばゆくなってたと思うんですよね。それも今だからちゃんと自分の中で消化して届けることができるというか。幅が広がったというのか、認識が変わったのかわからないですけど、バンドとしてできることが広がってる。何をやってもクアイフらしさは出るっていう自信がついた感じですね。

内田 「EverBlue」の方は、楽しげな曲にしたいなと思って。その中で泣けるっていうか。笑って泣いてる要素が欲しいなと思ったので、泣きメロも取り入れたりしました。

これも二人の恋をモチーフにしたラブソングですか?

内田 “恋”がテーマにはなってるんですけど、あまり限定して捉えて欲しくないなと思っていて。舞台は二人の恋だけど、ざっくりいうと、「ずっと青春してようぜ」っていう曲なんですね。バンドもずっとそういう感覚でやっていきたいけど、それって簡単なことじゃないし、ずっとその気持ちを保っていることが難しいことだよって思っているんですね。僕たちもバンドを結成して6年経ちますけど、年を重ねるごとに周りのバンドマンはやめていってしまう。でも自分たちは続けたいと思ってて。社会人の方も、みんな大人のふりしてるというか、心の中はそんなに中1とかと変わってないのに、社会的なポジションとかがあって、大人を演じてるなって思ってて。生きていく上で仕方ないことだと思ってるんですけど、心の中にある中学生の自分とか、もっと楽しんでたいじゃんっていう自分は消さないようにいたいなと思うし、聴いた人にもそう思って欲しい。そういうところまで、この曲が辿りつけたらいいなと思いますね。

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