Interview

藤原さくら 新章の幕開け。EP「green」に広がる、彼女にしか表現できない音楽世界。そこには、この1年の彼女自身の物語も紡がれていた──

藤原さくら 新章の幕開け。EP「green」に広がる、彼女にしか表現できない音楽世界。そこには、この1年の彼女自身の物語も紡がれていた──

何かが芽吹く時期。また新しく始めようとしている今の自分の気持ち

リード曲「Sunny Day」には「今夜 歌おうか」っていうフレーズがあります。この曲は、タイトルや曲調は明るいんですが、歌詞は切ないですよね。

私のおじいちゃんが亡くなったときの曲で、その日すごく晴れていたんです。亡くなる1週間前に福岡に戻って会えたんですけど、そのあと東京に戻ってきて亡くなったっていう悲しい報告を受けたときの感覚と、目の前の世界にあまりにもギャップがあって。すごく、虚しくなったというか。「あのとき、ああしておけばよかったな」とか今さら言っても遅いことってあるじゃないですか? 人生ってそんなことばっかりだなと思ったんですよね。「あのときこうしていたら何か変わったのかな」と今さら言っても遅いっていうなかで、無理に前を向かなくてもいいなって吹っ切れたところがあって。悲しいなら悲しいでいい。洗濯物が生乾きでまだパリッとは乾いてないけど、今は、そんな気持ちでもいいのかなって思って書いた曲です。

最初は失恋ソングかと思いました。

私はおじいちゃんのことを思って書きましたけど、それでいいと思うんです。死別じゃなくても、自分の中で消化しきれない別れって、きっとみんなにもあると思うから。決して悲観的になりすぎているわけではなくて、ただ、外は晴れているけど、気持ちはまだ悲しいっていう。だから、好きな人のことでも、元彼が忘れられませんとか、共感してもらえるような曲なのかなと思います。

「Time Flies」の“私たち”も別々の道を歩いていっていますよね?

「Sunny Day」がおじいちゃんだとしたら、「Time Flies」は友達のことですね。時が経つのがすごく早いなっていう曲です。自分が22歳という年になって、昔の友達と会う機会があったときに、まるで昔と違う自分だったり、相手だったりに気づく。全然変わってないなって思うこともあるけれど、あの頃のままじゃないなって思う。「誰々、結婚したらしいよ」とか「子供が生まれたらしいよ」と人づてに聞いて、あんなに仲が良かったはずなのに、報告されてないなって寂しく思ったりもして。私だって特に報告なんてしてないから、自分のことを棚に上げてなんですけど(笑)、それがすごく寂しいなって思った気持ちがあって。しかも、こういう気持ちは、きっと私だけじゃないなと思ったんです。当たり前のことなんだけど、その人にもその人の生活があって、私も私でその人が知らない時間を重ねているってわかっているのに。それに、あのとき出会っていなければ、あの過去がなければ、今の自分はいなかった。すべては今に続いている、今に繋がっているなっていう、ちょっと寂しいようで、みんな前に進んでいるんだなと感じることがあったので。あの頃にずっと縛られていてもしょうがない、乗り越えていかないとって、そういう曲ですかね。

大人っぽい視点ですよね。“あなた”を思いやる目線がある。

いろんな別れや出会いを経験していくなかでの考えですね。ちょっとずつ大人になれたのかなって思います。もちろんひとりよがりだなって思うこともたくさんあるんですけど。久しぶりに会うと、お互いに知らないことも増えてくるし、じゃあ、何を話せばいいんだろうというときに、思い出話しかなかったりしますよね。そこで、昔と同じように振る舞ってみたりするけど、私も変わったんだなって思うことがある。それも面白いなと思いますよね。

「bye bye」でも“あなた”にさよならしていますよね。

うちのお姉ちゃんがもうすぐ結婚するんですよ。私が東京に出てきたときもお母さんはものすごく悲しんでいたんですけど、お姉ちゃんも家を出るとなると、すごい悲しみようで。もちろん、結婚に対しては喜んでいるんです。だけど、寂しいなって思うみたいで、泣いたりするんですよ。そんなうちのお母さんが悲しみながらもバイバイって笑顔で言わなきゃいけないっていうのと、自分の中でいろんな別れを経験したことがすごくリンクしたので、歌詞は書きやすかったというか、これが書きたいっていうのがありましたね。

新たな出発の一枚の歌詞を紐解くと、実はいろんな別れがモチーフになっているんですよね。

そうなんです。それは自分でも予期せぬことでしたけど。作っていくうちに、この気持ちをここにひとつ残しておかなきゃいけないのかなっていう感じが自分の中にはありましたね。

しかもまだ吹っ切れる前のサヨナラが多いですよね。

そうですね。でも、すごく悲しいわけじゃなくて、自分の中での希望もあって。だからこそ、「green」っていうタイトルがふさわしいなって思ったんです。冬ではなく、花が咲く春とも違った、新緑の季節。何かが芽吹く時期の言葉が、また新しく始めようとしている今の自分の気持ち的にもぴったりあったような気がします。

藤原さくら 野外音楽会 2018

7月15日(日)日比谷野外大音楽堂

Sakura Fujiwara Tour 2018

9月29日(土)埼玉 戸田市文化会館
10月5日(金)愛知 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
10月14日(日)奈良 なら100年会館 大ホール
10月19日(金)北海道 道新ホール
10月21日(日)東京 中野サンプラザ
10月27日(土)静岡 静岡市民文化会館 中ホール
11月2日(金)大阪 オリックス劇場
11月4日(日)新潟 新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)・劇場
11月10日(土)福岡 福岡市民会館 大ホール

藤原さくら(ふじわら・さくら)

福岡県出身。幼少期より父の影響でギターを手にし、洋邦問わず多様な音楽に自然と親しむ。高校進学後、オリジナル曲の制作をはじめ音楽活動を開始。2014年3月、高校卒業と上京を機にオリジナルアルバム『full bloom』でインディーズデビュー。2015年3月にミニアルバム『à la carte』でメジャーデビュー。2016年春にはフジテレビ系月9ドラマ『ラヴソング』にヒロイン役として出演。ドラマ主題歌「Soup」はオリコンウィークリーチャート初登場4位を記録。2017年には『3月のライオン』実写映画化の後編にて主題歌「春の歌」を担当したほか、BSフジ『ポンキッキーズ』の新メンバーとして出演(同番組エンディングテーマに「Someday」が起用)。5月に2ndフルアルバム『PLAY』を発表後、自身初の全国ホールツアーを開催した。

オフィシャルサイト
公式Twitter(@MammothSakura)
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