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シルヴェスター・スタローンもついにアカデミー賞へ。珍しいことではなくなったラジー賞常連のオスカー受賞

シルヴェスター・スタローンもついにアカデミー賞へ。珍しいことではなくなったラジー賞常連のオスカー受賞

 毎年、表舞台ではアカデミー賞が華やかに行われている裏で、アカデミー賞の前日に“逆アカデミー賞”とも言えるゴールデンラズベリー賞が開催されている。裏で、といいつつ、アメリカのことだからおとなしくしてるわけはなく、かなり堂々と派手に実施されているわけだが。

 ただ、今年の『クリード チャンプを継ぐ男』のシルヴェスター・スタローンのように過去にラズベリー賞の常連でありながら、アカデミー賞で汚名を返上するパターンもある。そう、ラズベリー賞は受賞はおろかノミネートされるだけでも汚名となる、とっても不名誉なことなのだ。

 そもそもゴールデンラズベリー賞、略称ラジー賞とは、1年を通して最も最低だったと思われる映画や俳優に贈られる賞だ。正式な賞というよりはノリでできたようなもので、きついジョークが好きなアメリカらしい。うっかり受賞してしまったら、とんだ赤っ恥となるわけで授賞式に現れる者などほとんどいないのだが、きちんと出席するツワモノも稀にいる。そのうちの1人は女優のハル・ベリーだ。2004年に『キャットウーマン』でラジー賞授賞となった彼女だが、なんと彼女は2001年に『チョコレート』で表舞台のアカデミー賞で主演女優賞に輝いた実績を持っている。彼女はラジー賞の受賞式に出向いて、オスカー受賞のスピーチをセルフパロディするという高等テクニックまで披露。この度量の広さに感服した人は多く、ラジー賞受賞によって株を上げることとなった。

 また、2009年にはサンドラ・ブロックが『しあわせの隠れ場所』でアカデミー賞に、『ウルトラ I LOVE YOU!』でラジー賞に選ばれ、なんと同年にダブル受賞。彼女もラジー賞受賞式に姿を現し、拍手喝采を浴びている。

 ラジー賞では、この流れに味をしめたのか、2014年に過去にラジー賞に絡んだが後に優れた結果を出した人物を選ぶ部門が設けられ、2003年に『ジーリ』で受賞したベン・アフレックに『ゴーン・ガール』でこの賞が送られた。そして、今年は名誉挽回賞に前述のスタローンのほか、『ヴィジット』のM・ナイト・シャマランらが出馬させられたというわけである。

 ラジー賞で話題を提供しながらも、アカデミー賞で汚名返上というのはそんなに珍しいことではなくなってくるかもしれない。何度も何度もラジー賞に選ばれるのに人懐っこさゆえかなかなかショウビジネスから姿が消えないアダム・サンドラーあたりが、いつかオスカーも獲得してくれると面白いんだが。『パンチドランク・ラブ』や『再会の街で』など、シリアス路線もいける彼ならまったく可能性がない話ではないのでは?

文 / 入江奈々