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『ペルソナ』ファンを魅了するスピンオフ作品『P3D』&『P5D』

『ペルソナ』ファンを魅了するスピンオフ作品『P3D』&『P5D』

2018年5月24日にリリースされた、アトラスの代表作である『ペルソナ』シリーズのスピンオフ作品『ペルソナ3 ダンシング・ムーンナイト』(以下、『P3D』)、『ペルソナ5 ダンシング・スターナイト』(以下、『P5D』)。PlayStation®4、PlayStation®Vitaで遊ぶことができる本作は、2015年6月に発売された『ペルソナ4 ダンシング・オールナイト』以来となる『ペルソナ』シリーズのリズムゲームだ。

あまりリズムゲームをプレイしない人でもカジュアルに遊べるほどよい難度、プレイ中に流れるキャラクターたちのダンスやミュージックビデオなどの演出、そしてキャラクターたちとの触れ合いが楽しめる“コミュ”。本稿では、これらの点から『ペルソナ』ファンが十二分に満足する『P3D』と『P5D』の魅力に迫っていく。

文 / 村田征二朗


とにかく曲が格好いい! 

学生生活を送るなか、ふとしたきっかけで“ペルソナ”という特殊な能力に目覚め、人々が知り得ない異変と戦い、最終的に世界の危機を救う。そんな、誰もが一度は夢見るであろう物語を体験できる『ペルソナ』シリーズ。和製RPG、いわゆるJRPGの新たな金字塔とも言える本シリーズは、ゲーム性はもちろん、ストーリーやビジュアル、BGMなど、あらゆる面でファンを魅了しています。

そんな、アトラスを代表するRPGシリーズの派生作品として、RPGとは異なるゲーム性で『ペルソナ』シリーズのキャラクターたちの意外な人物像、クールに決めた衣装からシュールさを極めたアクセサリーまで取りそろえたビジュアル、そしてリズムを刻まずにはいられないEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)テイストが盛り込まれたBGMなど、いろいろな要素を贅沢に堪能できるのが、『P3D』および『P5D』です。なお、スピンオフ作品では珍しくもないことですが、どちらも『ペルソナ3』、『ペルソナ5』本編のストーリーを踏まえた内容となっているので、それぞれ本編をプレイしているとより一層楽しめます。

▲同時押しなどの要素はあるものの、画面中央から外側へと動く“ノート”に合わせてボタンを押していくというシンプルなスタイルのリズムゲームとなっています(※画面は『P3D』)

リズムゲームとしての遊びやすさについて触れるまえに、まず強調しておきたいことがあります。それはずばり、楽曲がとんでもなく格好いいということです。『ペルソナ』シリーズはもともと耳に残る名曲が多いだけに、筆者はプレイするまえに「リミックス版になると原曲との違いが気になってしまうのでは?」などと思っていました。しかし、実際にプレイしてみると、どのリミックス曲もシビれずにはいられない、原曲に勝るとも劣らない格好良さなのです。リズムゲームらしくテンポ感が強調されつつも決して単調ではなく、ゲームを抜きにして純粋な楽曲としても聴きほれてしまう、洗練されたリミックスがたまりません。

電子音楽のテイストが盛り込まれたリミックスや、自然と体が動き出す軽快なナンバーなど、リミックス版や新たな楽曲を聴くためにソフトを購入する価値があるとすら思えてしまいます。皆さんにぜひとも確認してほしいので、『P3D』と『P5D』それぞれのシーンを抜き出しました。ご覧になってください。

とにかく、アレンジや本作のために新しく用意された楽曲が格好いい本作。その魅力はもちろん音楽だけには留まらず、リズムゲームとしての楽しませかたもポイントです。基本的には、流れてくるノートに合わせて△、〇、□ボタン、方向キーの上、左、下ボタンを押していくというシンプルな操作であり、リズムゲームを約10年ぶりにプレイする筆者でもとくに苦労することなくプレイを進めることができました。このシンプルさに、絶妙な匙加減で難度を加えてくれるのが“スクラッチ”の存在です。

▲スクラッチのタイミングは青い輪で示され、ノートと同様に中央から外側に広がっていく青い輪が外側の輪に重なったタイミングでスティックを弾くとスコアを獲得できます(※画面は『P5D』)

対応したボタンを押さずに逃してしまうとミス扱いとなり、コンボが途切れてしまうノートと違い、スクラッチは失敗してもミス扱いにはなりません。そのため、慣れないうちはスクラッチを狙わずに、ノートだけに集中してプレイすることができます。操作に慣れてくるとプレイに余裕が出てきますが、スクラッチも狙うようにしてみると、同じ楽曲でも難度はだいぶ変わってきます。

しかし、スクラッチはあくまで加点要素なので、余裕があるときは狙い、焦っているときは敢えて見逃す、といった選択ができます。この“狙っても狙わなくてもいい”という特性は、ゲームに慣れてきたプレイヤーにはより高得点を目指すためのハードルとして、初心者にとっては無視することもできるノートとして、プレイの難度をプレイヤーの意思で選択できる要素となっているのです。

▲スクラッチと同時押しなどの操作が入り混じってくると、焦って操作を間違えるなどのミスが増えてしまいます……!(※画面は『P5D』)

プレイを進めていくと“プレイカスタム”が開放されていき、“途中終了しない”、“オートスクラッチ”といったプレイに有利な設定や、“ノートが途中から消える”、“スクラッチでMISS判定をとる”などの難度をさらにアップする設定のオンオフを切り替えられるようになります。難度や遊びやすさをプレイヤーが自由に、細かく設定できるおかげで初心者からリズムゲームが得意な人まで、カジュアルにもディープにも遊ぶことができるのです。

ダンスにも目を奪われる!

作品名に“ダンシング”という言葉が入っているとおり、『P3D』や『P5D』では、ほとんどの楽曲でプレイ中にキャラクターたちがダンスする姿を眺めることができます。クールな動きやかわいい仕草の振り付け、格好をつけたポージングなど、各キャラクターがそのキャラクターらしい動きを見せてくれ、音が中心となるリズムゲームながら、視覚も非常に楽しませてくれるのです。また、基本的には楽曲ごとに決められたキャラクターがダンスを披露するのですが、楽曲のプレイ中に条件を満たすと“フィーバータイム”が発動してほかのキャラクターがダンスに加入してきます。キャラクターの組み合わせによってスタイリッシュなダンスからちょっとしたおふざけまで、幅広い動きを見ることができるのです。

しかし、ダンスは見たくてもプレイ中はノートを追いかけるので精いっぱい、かもしれません(というか筆者がそうだったのですが)。しかし、そんな声が上がることを見越してか、自動でプレイしてくれる“パーフェクト鑑賞モード”や自分のプレイを見直すことができる“リプレイの再生”なども用意されており、楽曲の予習復習も兼ねて、ダンスに集中することができるのです。

▲パーフェクト鑑賞モードは、ダンスを見るのにも難しい楽曲のタイミングを覚えるのにも役立ちます(※画面は『P5D』)

▲さらに、ダンスの振付を確認できる“振付レッスンモード”も存在します。これで勉強すれば、いつかはアナタもダンシングスター……!? (※画面は『P3D』)

楽曲をクリアしたり、後述するコミュを進めたりすることで衣装やアクセサリーが手に入り、キャラクターの見た目をカスタマイズできるのも『P3D』、『P5D』の面白さです。本編に登場した制服や私服、『ペルソナ5』の怪盗姿はもちろん、新たに追加された衣装などもあり、着せ替えをいろいろと試すだけでも夢中になれます。

また、『P3D』のキャラクターたちは今回初めてHD3Dモデル化されたということもあり、ハイクオリティな3Dモデルで描かれたキャラクターを眺められる、という点でも『ペルソナ3』ファンにとっては見逃せない作品だと言えるでしょう。

▲基本的にはひとりかふたりでのダンスですが、楽曲によっては4人以上でのダンスが展開し、まるでミュージックビデオを観ているかのような気分になります(※画面は1枚目が『P3D』、2枚目が『P5D』)

キャラクターたちがダンスを披露する舞台として、本編に登場した街やダンジョンも登場します。筆者は『ペルソナ3』をプレイしてからだいぶ時間が経っていたのですが、懐かしい背景が目に入ってきた瞬間、プレイしていた当時の思い出が一気にフラッシュバックし、言いようのない感慨深さを覚えてしまいました。キャラクターたちを見るだけでも懐かしかったのですが、何度も目にした光景を再び目にしたときのあの感覚は、本編をプレイした人ならではのものでしょう。

▲背景がしっかり作り込まれていることもあって、うっかり序盤のノートを見落としてしまうほどに感動してしまいました(※画面は『P3D』)

『ペルソナ5』にもかなりハマっていたので、どちらがより強烈に心を揺さぶるかというと、それは甲乙つけがたいとしか言えません。しかし確かなのは、『ペルソナ3』、『ペルソナ5』のファンにとっては、『P3D』や『P5D』のビジュアル面も、サウンドに引けを取らない大きな魅力であるということです。

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