2018年春アニメ主題歌特集  vol. 23

Interview

【インタビュー】声優・茅原実里、『フルメタ!IV』第8話の壮絶展開を語る。ナミの時間を大切に一緒に生きた証─「Remained dream」

【インタビュー】声優・茅原実里、『フルメタ!IV』第8話の壮絶展開を語る。ナミの時間を大切に一緒に生きた証─「Remained dream」

茅原実里にとって25枚目となる、少しだけキリのいいシングルは、自身がナミ役で出演したTVアニメ『フルメタル・パニック!Invisible Victory』のスペシャルEDテーマ、挿入歌、そして2016年12月に配信された『フルメタル・パニック!』オーディオドラマ「踊るベリー・メリー・クリスマス」のテーマソングを収録、と『フルメタ!』三昧。そして『フルメタ!IV』のアフレコでは14年ぶりの再会も。忘れられぬ1枚となりそうな今回のシングルにまつわるいろいろな話を茅原実里からあなたに。

取材・文 / 清水耕司(セブンデイズウォー)


どの曲も歌っていて「生きてる!」って感じが

ニューシングル「Remained dream」に収録される3曲それぞれについて、どのような『フルメタ!』ソングなのか教えていただけますか?

茅原実里 そうですね。「Remained dream」は私が演じるナミが亡くなってしまう回のスペシャルエンディングということで、ナミの気持ちや彼女の人生を歌った楽曲になっています。レコーディング当日は、夢半ばでこの世を去ったナミの無念さや切ない思いが伝わるように、花を手向けるような気持ちで、しっかりと言葉に感情を乗せて歌いたいと思いました。語りかけているような、最後に「?」が多い歌詞ですしね。

「Hopeful “SOUL”」は、ナミが亡くなってしまったのちに宗介が戦うシーンで流れる挿入歌なんです。世の中の理不尽なことだったり、信じてた人に裏切られてしまったり、そういう強い憤りを含めた負の感情がたくさん詰まっている1曲ですね。自分の中にも蓄積されたいろんな経験があるので、かき集めた感情をぶつけながら歌いました。汗もいっぱいかきました(笑)。

例えばどういった感情を思い浮かべたんですか?

茅原 メインはとにかく「怒り」です。実は、丁度この時にタイムリーでハマる出来事があって。…内容は秘密です(笑)。

「Sacrifice for Dear」は、2017年に配信されたオーディオドラマ『踊るベリー・メリー・クリスマス』の主題歌でした。

茅原 去年のライブハウスツアー「Take The Offensive」でもずっと歌っていて、めぐり会ってからずいぶんと長く一緒に過ごしている気がしますが、あらためて聴いたら「速い!」と思いました(笑)フルメタのバトルシーンをイメージして作ったと作曲家の菊田大介さんが言っていたので、まさに戦闘に似合うスピード感のあるかっこいい曲ですね。

繰り返されるイントロの雰囲気も、一度聴いたら耳に残る「Paradise Lost」に通じているところがあって好きです。自分の大切な人を守る為なら命を捧げてもかまわないという情熱的な楽曲なので、収録されている3曲はすべて、「生きてる!」って感じがします。

そこが『フルメタル・パニック!』という作品の魅力なのかと思いますが、そこに登場するナミはどういうキャラクターだと感じていますか?

茅原 宗介が東南アジアのナムサクという街で出会う女の子なんですが、ポニーテールの似合う、活発で可愛い女の子です。ナムサクは戦争のせいでボロボロにされてしまい、治安も悪い街なんです。だけどその中でナミは、学校の再建を夢見ながら、ASチームのオーナーとしてお金を稼いで頑張って生きていて。仲間からの信頼も熱い、とても腕のいい整備士でもあるんです。そんな彼女が宗介に出会い、淡い恋心を抱き始めた矢先に命を落としてしまいます。これは衝撃的でした。その最期があまりにも……。

あっけなくて。

茅原 そう、あっけなくて。ナミの出番は数話で終わりました。きっとナミ自身が現実を受け止めることもできなかったと思うし、一番信じられなかったんじゃないかなって思います。私も原作を読んでいる段階からとてもじゃないけど納得できないというか、受け入れるのに時間がかかりましね。あまりにも無情すぎて。

演じる上ではどういったイメージで?

茅原 とにかく彼女の身の上に起こる悲劇は考えないように、宗介に出会ってから彼女が感じたワクワクやドキドキ、心の動きひとつひとつを私も一緒に感じながら生きようという思いでした。ナミの一瞬一瞬の時間を大事に過ごそうというイメージを持っていました。

私、この世界で何とか生きていますよ

人気シリーズの現場に参加する形になりましたが、アフレコはいかがでしたか?

茅原 実は今回、相良宗介役の関 智一さんとは久々の共演だったんです。私のデビュー作である『天上天下』(棗亜夜役)で高柳(雅孝)先輩を演じていたのが関さんで。本当にお世話になった方なのですが、お会いするのは久しぶりでした。ナミは今作のヒロインでもあるのでスタジオでは関さんの隣に座らせていただいたんですが、「何年ぶりなんだろうね」って話もしました。

2004年4月から9月の放送なので約14年前になります。

茅原 まだ右も左もわからない新人でした。うまくできなくてアフレコの合間にトイレで泣いていたこともありました。先輩方のお芝居に圧倒されながら、なんとか食らいついていこうと毎週必死でしたね。出演者の皆さまがとにかく豪華で。関さんに久川(綾)さんに森川(智之)さんに三木(眞一郎)さんに池田秀一さん。「池田さんがお兄ちゃん役ってスケールが大きすぎる!」って思いながらやってました(笑)。

だから、当時を振り返るとすごく感慨深くて。こうしてまたご一緒できたことがうれしくて。関さんと掛け合えることが幸せでしたね。関さんのご活躍は今も昔も変わらない印象で、本当にバイタリティ溢れる方だと思って尊敬しているので、あれから私自身も様々な経験を経て、私なりに声優人生を歩んでいる中での再会、という喜びもあったんです。共演することで「私、この世界でなんとか生きてますよ」っていうことを関さんに伝えられたかもしれないなって。

このCD、渡したいなあ……。アフレコの時は緊張していて、オープンに心を開いてお話ができなかったので。あらためて渡しに行きたいですね、関さんに(笑)。

では、非常に記念すべき作品になりましたね。

茅原 本当にそうですね。フルメタファンのみなさんが待ち望んだ第4期というところで、放送が開始されてから喜んでいるみなさんの反応を目にすると、あらためてとても愛されている作品なんだなと実感しますし、その中でナミ役をいただき、「Remained dream」も「Hopeful “SOUL”」も作品に携わらせていただくことができて、すごく思い出深い経験になりました。でも、やっぱり一番嬉しかったのは関さんとの共演だったかもしれません(笑)。思いの丈を伝えられなかったのは心残りですけど……。

まさに「Remained dream」ですね。

茅原 ホントですね(笑)。死ぬわけにはいかないですけど、生きて頑張り続けて、また関さんにお会いしたいです。

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