ZARDデビュー25周年記念特集【THE POP STANDARD】  vol. 4

Interview

永遠のスタンダードを見事に体現した坂井泉水の情熱と希望。そして彼女が「負けなかった」真実とは?

永遠のスタンダードを見事に体現した坂井泉水の情熱と希望。そして彼女が「負けなかった」真実とは?

一番最初の追悼ライブ、過去の映像とシンクロさせてたのですが、そこに坂井さんがいないってイメージがなく、一緒に演奏してるように感じました

そして全国ツアーが終わりました。残念ながら坂井さんが急逝されて、その後何本かの追悼ライブを観させていただいたんですけど、そちらもバンマスで。

大賀 はい、やらせていただきました。

そのときはどういう? いわゆる映像とシンクロということで、もちろんビーイングギザの名うてのミュージシャンたちが一生懸命やっていらして。観てるほうは「大変だなあ」と思うわけですよ。

大賀 そうですね、映像とシンクさせてやっていましたね。

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実際にやられてるほうはどんな感じだったんですか?

大賀 一番最初の追悼ライブは、正直言うと、なんか、坂井さんが“いない”っていうイメージがなくて。真ん中にずっと立って、2004年のときと同じようにやっているイメージしか、自分の中にはずっとなくて。追悼でライブしているっていう気分にあまり僕個人はなれてなかったというのか、なんかまだ坂井さんと一緒にツアーしているような感じでやっていました。

こちらも客席で観させていただいて、「ZARDのライブだなあ」っていう、そこに坂井泉水さんがいらっしゃるみたいな印象をすごく受けて。

大賀 そうですね、それこそ2004年に一緒にアコースティックでやった曲の当時の声に、僕が耳だけを頼りに合わせて弾いたりとかもしましたし、なんか不思議と、そういうときって「絶対にビッチリ合わそう」とか、すごく耳をすまして聴いて、寸分の狂いなくとかって普段思うんですけど、あの追悼ライブのときはホントになんか、同じことを言って申し訳ないんですけど、なんかホントに一緒にやっているような気分だったんで、演奏しているときも何も考えずに弾くというか。ただまあ、やっぱり映像の切れ目ってあるので、曲終わりの、曲のシメる部分のタイミングだけは考えて弾きましたけど、それ以外はホントになんか一緒にやってるような気分というか、そればっかりでした。

もしかすると、単にお仕事というよりは、生前の坂井さんとの様々なメモリーがそのあとも残っていた、そのシンパシーと、大賀さんがすんなりとミックスしたみたいな?

大賀 そうですね、はい。まさにそうだと思います。

たぶん坂井さんの楽曲にもアレンジをされたりギターでも参加されてると思うんですけど、一番印象に残る好きな楽曲ってありますか。

大賀 ZARDの全作品ですよね。まず、一番悩む究極の質問なんですけど(苦笑)。

あ、そうですか、じゃあ3曲選んでもらっていいですか。

大賀 3曲ですか!(笑)

5曲でもいいですけど。

大賀 いやぁ、ホントにいっぱいあるんですけど、でもやっぱり1番はお客さんもこの曲で元気になったり勇気をもらったりしている『負けないで』は絶対外せないですし、あと、個人的には『マイ フレンド』が歌詞も含めてすごく大好きで、でも……そうですねえ、やっぱりポカリスエットでずーっと聴いている『揺れる想い』も、やっぱ外せないというか。どうしてもこの3曲は絶対に外せないですね。あと、シングル以外でも『遠い日のNostalgia』とか個人的に好きなのは限りなくいろいろあるんですけど(苦笑)

『揺れる想い』はオープニング1発目ですね。

大賀 はい。そうです。お客さんのあの表情を見ていると、この3曲……で、僕もそれを見ているのが好きなので。人が幸せになっている楽曲が一番素晴らしいと思うので、そういう意味ではこの3曲になるでしょうかね。

長戸プロデューサーを筆頭にアーティストの方もスタッフの方も、坂井泉水さんをなんとか盛り上げようって努力をされて、素晴らしい結果が出たわけですよね。

大賀 そうですね、素晴らしかったと思います。

坂井さんをサポートしたスタッフワークもあると思いますが、当然坂井さん個人の才能と努力、あと人間性……その、ある種“人間・坂井泉水”っていうことに関しては大賀さんはどういう評価をされますか?

大賀 まずZARDというブランドを一番大事にされて、つねに意識しておられてたとは思うんですけど、僕がすごく印象に残っているのが、大阪のhills パン工場というライブハウスがあるんですけど……。

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坂井さんも滴草由実さんのライブに飛び入りされていた所ですね。

大賀 そうです。僕、結構あそこでギター弾いていたんですよ。で、ある人のライブに僕がギターで出演していた時のことなんですけど、アンコールで僕らがステージから階段を上がって真上にある出演者控えの席に移動したら、なんと坂井さんがいらして。ライブを上から観てくださっていたみたいなんですよ。僕は目が合った瞬間に、ビックリしたと同時に思わず坂井さんを指さしてしまったんですよ。先輩に対して非常に失礼な態度をしてしまったのですが、それでも坂井さんは気軽に手を振ってくださって、何というか全然イメージと違うというか、実は案外気さくで明るい人なんだなあ、と。

そうですか(笑)。そして数年ぶりに5月に追悼ライブが行われます。

大賀 はい!

それも大賀さん、また(笑)。

大賀 あ、そうですね(笑)。

今は鋭意プランニング中ですか?

大賀 まだ具体的には言えないんですけど、これからですね。ただまあ、僕は個人的にはありがたいことにずーっとライブをやらせて頂いているので、ほとんど楽曲は頭に入っています。だから、普通にやり始めるよりは楽かもしれないですね(笑)。

何度も重ねていらっしゃいますからね。

大賀 ZARDっていう音楽ジャンルの、ちょっと決まった基本ベースの定義部分というのがあるんですよ。たとえばB’zだったらB’zのあの松本さんの基盤となるギターの核みたいな部分みたいなことなんですが。次5月にやるときにはもちろん変わらず、僕のモットーとしてどんな会場どんな場所どんなときでも全力でやるというのはあるんで、絶対全力で行きますけど、ただ、ZARDのそういう基盤の部分っていうのはかなり勉強をしたので、少し気は楽と言えば楽なはずです(笑)。

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ホントにポップ・スタンダードを作った人じゃないかなあって。ロックとポップスの融合。そこにメッセージ性の強い歌詞が載った。しかもサビは一度聴いたら絶対覚えられる

今回この続いてるZARDの特集のタイトル、「THE POP STANDARD」っていうタイトルを付けたんですね。

大賀 おお、素晴らしいですね。

何故かというと、没後約9年たっても、やっぱり坂井さんの楽曲は全く忘れられてないという。あと、たぶんカラオケでもみんなが歌っている(笑)。そこはすごいなと思うんですよね。

大賀 まさにポップ・スタンダードだと思いますね。

っていう。まあもちろん、師である長戸プロデューサーも素晴らしいプロデュースをされましたが、同等ぐらいに坂井さんも努力をされて。

大賀 だと思います。やっぱりあの声と、そしてあの歌詞が混ざったからこそ、『負けないで』っていう言葉も響いていったんだと思います。僕は歌入れのレコーディング風景を見たことがないのでわからないんですけど、言葉のチョイスとか、いろいろ考えられたんじゃないかなっていうのは、歌詞を何度も訂正しているノートを見せてもらったことがあるんですけど、やっぱりかなり意識して努力して何回も歌い直されているんじゃないかなと思いました。

僕の個人的なイメージですが、坂井さんの書く歌詞は押しつけがましくないですよね。

大賀 なるほど、確かに。

よく、“人生の応援歌”的な歌ってありますよね。『負けないで』はそういう曲じゃないじゃないですか。うざったくない。

大賀 そうですよね。

だけどご本人のメッセージはちゃんと伝えてるという。

大賀 はい、確かに。

90年半ばからZARDを筆頭に、たとえば安室奈美恵さんとか、後半の宇多田ヒカルさんとか、ミリオンを連発したメジャーな女性アーティストは数多くいたんですけども、そういう中でZARDっていうのはどういう歌手だと思いますか?

大賀 んー、なんか、さっきの言葉がピッタリだなと思うんですけど、ホントに90年代の“ポップ・スタンダードを作った人”じゃないかなって。いわゆるロックとポップスをすごく融合させて、そこにメッセージ性の強い歌詞が乗った、で、サビは一度聴いたら絶対覚えられる、みたいなところを、しっかり基本的に作った音楽なんじゃないでしょうか。そこら辺はすごいなとホントに思いますね。

最後の質問です。前回寺尾さんのインタビューで、長戸プロデューサーの「坂井泉水は日本語をメロディに合わせる天才ではないか」という発言をうかがったんですけど、それについてはどう思いますか?

大賀 いや、そうですね。確かに、メロディだけをフフフッて思い出して歌う曲とかもあるんですけど、ZARDの曲って必ず歌詞付いて歌っちゃうんで。たとえば、「♪タララララ~」とはならずに「♪負けないで~」だと思いますし(笑)、「♪タララ~ララ~ラって、あの曲なんやったっけ」っていう話になるよりは「♪揺れる~想~い」って出てくると思うんです。だから、やっぱそのリンク感は確かにすごいなとは思います。

作詞への努力はすごかったですか?

大賀 ノートは僕、よく見ましたね。ホントにリハ‐サル中なんかにもすぐノートに書いていました。それは強烈に覚えています。

今回25周年の追悼ライブをやられるわけですが、ぜひ、また30年記念のライブも大賀さんに(笑)。

大賀 はい、あれば絶対出たいです。ぜひ、30年も35年も40年も50年ぐらいも、ボロボロで出たいと思います。そのときはテンポを遅くして20ぐらいにしてやってほしいですけど(笑)。

まあそのときもみんな長生きして(笑)。

大賀 長生きで、はい。全員絶対強制参加ということで(笑)ぜひ、やりたいですね。

今日は貴重なお話を有難うございました。

取材・文 / 編集部 撮影(大賀好修 氏)/ 森崎純子


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大賀好修 氏

ギタリスト、アレンジャー、作曲家。
B’z、ZARD、松本孝弘、稲葉浩志、倉木麻衣、など数々のライブにギタリストとして参加。B’zや稲葉浩志など様々なアーティストのアレンジやレコーディングにも参加しており、2012年にインストロックバンド[Sensation]を結成。
ZARDでは、『hero』『窓の外はモノクローム』などの編曲を手がけたほか、数多くの楽曲でレコーディングに参加。
1999年の船上ライブ、2004年の全国ツアー“What a beautiful moment Tour”、追悼ライブに、ギタリストとして全公演参加。

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