吉田麻也に学ぶ8つのレジリエンス  vol. 3

Column

年俸5倍を蹴る選択。初戦が間近に迫った吉田麻也に学ぶキャリアの分岐点。

年俸5倍を蹴る選択。初戦が間近に迫った吉田麻也に学ぶキャリアの分岐点。

サッカー日本代表不動のセンターバック吉田麻也が自叙伝を刊行した。
その名も、『吉田麻也 レジリエンス――負けない力』(ハーパーコリンズ・ジャパン刊)。
長崎の片田舎に育ったサッカー少年が、世界最高峰リーグでの熾烈なレギュラー争い、怪我、フィジカルや言葉の壁、繰り返される監督の交代を経て、いかに困難を克服し、立ち上がる力を身につけてきたのか――この特集では吉田麻也の知られざる努力、そのレジリエンス(負けない力)を著書から紹介する。


~吉田麻也を構成する8つのレジリエンス~
【弟力】年長者や目上の人と過ごすことで、物怖じしない心が育まれる。
【英語力】ペラペラである必要はない。「ペラ」で勝負すればいい。
【選択力】何を選びどう生きるか、後悔しないよう決めるのは自分だ。
【アジャスト力】変化=フレッシュなリスタート。怖れることはない。
【スルー力】批判は必ず起きるもの。無駄にエネルギーを消費しない。
【反発力】前例は覆すために、固定観念は破るためにある。
【リスペクト力】相手に対する敬意が、自分に対する敬意を呼ぶ。
【バランス力】剛が生きるのは柔があるから。辛い時はいっそ笑おう。


吉田麻也に学ぶ8つのレジリエンス <第3回>

吉田麻也を構成するレジリエンスその2:選択力

◆年俸5倍?

残留への説得といえば、当時グランパスのゼネラルマネージャーだった久米一正(くめかずまさ)さんの存在も忘れちゃならない。久米さんには週に2、3回の頻度で役員室に呼ばれて話を聞かされた。
久米さんに説明を受けたプランどおりにいけば、ボーナスなどを合わせて年に1億円くらい稼げる計算になっていた。「稼ぎが5倍」と説得されたようなもので、オランダに移籍した場合と比べても「年俸倍増」になる話だった。
心の中で、「マジで? 1億かぁ」と思う自分もいた。まだ21歳だった僕は、一瞬、いや二瞬、考えた。だけど、気持ちは微妙に揺らぎかけても、ステップアップのために海外に行くという芯はブレなかった。
そんな話を2日か3日おきに聞きながら、僕は「はい! はい!! はい!!!」と頷きつつも、最後は毎回、「でも、オランダに行きます」と答えていた。
久米さんに「俺の中には、おまえのためのプランがここまでできあがっているんだぞ」と言われても、「そうですねぇ。でも、オランダ行きます」。「今はまだこんな低い位置にいるのに、ここまでいけるんだぞ」と迫られても、やっぱり「はい。でも、オランダに行くんです」。
最終的には久米さんが、「おまえ、ホント頑固だな。そこまで気持ちが固いなら行ってこい!」と言って折れてくれた。

◆ノーリスク・ノーフューチャー

年俸5000万円でのオランダ行きを取るか、年俸7000万円でのJリーグ残留を取るか。選択肢が2つあるとしたら、ピッチの内外でリスクの少ない後者を選ぶ選手は少なくないだろう。
実際のところ、英語もほとんど話せない20代後半の日本人ディフェンダーとなれば、年俸2000万円で3年契約のような、条件面では魅力の薄いオファーにならざるを得ないと思う。
それでも海外に行くか? たいがいの選手はためらうはずだ。すでにその3倍前後の年俸を日本で稼いでいるのだとしたら。そういった展開になって、海外への興味を決意に変えることができないまま、チャンスを逃している日本人選手が多いのもうなずける。
要はかつての僕と同様、「おまえは、まだこのあたりだ」と言われるようなグラフの底辺にいる状態のときに、収入を含めた日本での安定と、リスクを伴う海外への挑戦のどちらを取るかということ。
まだ若い時期に訪れるキャリアの分岐点で、一か八かではなく、プロとしてのビジョンを持って勇気ある決断を下せるかどうか。それができる人とできない人のあいだには、最終的にすごく大きな差が生まれることになる。

◆まとめ

目の前に配られたカードからどんな選択をするか、後悔しないように決めるのは自分自身だ。

『吉田麻也 レジリエンス――負けない力』(ハーパーコリンズ・ジャパン刊)より抜粋。
Photo by Colin Bell

吉田麻也 レジリエンス――負けない力

吉田麻也(著)
ハーパーコリンズ・ノンフィクション
ハーパーコリンズ・ジャパン

転んだら、起きればいい。
日本人初のキャプテン任命、チームMVP、世界最高峰リーグで結果を出し続ける男。

サッカーの母国で生き抜く“Unbeatable Mind(アンビータブルマインド)”とは――


吉田麻也

1988年8月24日生まれ。長崎県出身。12歳で名古屋グランパスのユースに入団。
2007年プロデビューを果たし、1年目からディフェンスの主軸として活躍する。
2009年、オランダ1部リーグのVVVフェンロへ移籍、同年日本A代表に初招集され、2012年のロンドン五輪ではOA枠で主将としてチームをベスト4へ牽引。
2012年にイングランド・プレミアリーグのサウサンプトンへ移籍、2017年には日本人初となるプレミアリーグ通算100試合出場を達成し、チーム月間MVPにも選出される。189㎝、86㎏。


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