Review

『Detroit: Become Human』はなぜ神ゲーと言われるのか <キャラクター編>

『Detroit: Become Human』はなぜ神ゲーと言われるのか <キャラクター編>

PlayStation®4用ソフト『Detroit: Become Human』(以下、『デトロイト』)は、フランスの開発会社Quantic Dreamが贈るアドベンチャーゲーム。同社は『HEAVY RAIN -心の軋むとき-』などを手掛けた、シネマティックなアドベンチャーゲームの草分け的存在だ。今作『デトロイト』の3体のアンドロイドが織り成す物語も、多くのプレイヤーから高い評価を得ている。いったい、このゲームの何が皆を魅了しているのか?その魅力の源を2回に渡って追求していこう。今回は、キャラクターの魅力がどこから来るのかがテーマ。本作の素晴らしいストーリー体験を実現している歯車のひとつに、キャラクター描写の綿密さがあるからだ。なお、重要な部分のネタバレは避けているが、これからプレイしようという方はご注意を。

文 / 小泉お梅


はじめに…… 

『デトロイト』がちょっと気になる、と記事を開いてくれた方、ありがとうございます。未プレイの方に向けて、まずはネタバレなしで確認できるコーナーを用意しました。どんな方によりフィットするのかまとめています。もうちょっと知りたいという方は、ぜひこのまま続きをご覧ください。もちろん、ストーリーの重要な部分には触れていません。 

●『デトロイト』はこんな方にぜひプレイしてほしい
  • ハラハラする映画が好き
  • 海外ドラマでも捜査モノが好き
  • SFが好き(SFが苦手な人もむしろオススメ)
  • ミステリー小説で伏線や真相を考えるのが好き
  • アクションゲームはあまりやらない(得意な人もぜひ)
  • 無骨な巨漢と少女の組み合わせに弱い
  • 頑固オヤジと論理的な若手のコンビが好物
  • 師匠と弟子のような関係性がたまらない
  • 実力派声優さんの演技が聴きたい

どれかひとつでも当てはまったら、ぜひプレイすることをオススメします! ただし、寝不足は覚悟しておいてください。

フツーだけど最高のアドベンチャー

 本作は、アメリカのミシガン州にあるデトロイトを舞台にしたアドベンチャー作品です。そして現在より20年後の2038年という近未来で、アンドロイドが人間の代わりに労働する時代。本作の主人公もアンドロイドで、家事向け女性アンドロイドのカーラ、警察の捜査補佐用モデルのコナー、老画家の世話をしている男性アンドロイドのマーカスの3体の視点で物語が進んでいきます。プレイヤーは彼らがどう行動するか、選択肢を選んでいくのですが、その結果がストーリーを大きく変えることも。

▲カーラは家事用に普及したモデル。少女アリスを連れて逃避行をすることになりますが、アリスを守るため悪事に手を染めるのか、あるいは自分を犠牲にできるのかという切実な問題に迫られます

▲コナーは最新鋭モデルで事件現場の成分分析や状況再現が可能です。ベテラン警部補のハンクとコンビを組み、アンドロイド絡みの事件を捜査しますが、任務と人間らしさのどちらを優先するのかが悩ましい……

▲マーカスは主である画家・カールと親子のような絆で結ばれていました。しかし、のちにマーカスはアンドロイドの自由を訴える組織のリーダーに。平和を望むのか革命を起こすのか、多くの人の運命を左右する決断が待っています

▲一度に出る選択肢は最大4つ。制限時間がある場合もあります

▲ムービー中に表示されたボタンを押すQTE(クイックタイムイベント)も発生します

▲チャプターを終えるごとにフローチャートが表示され、別の展開があることがわかるようになっています

『デトロイト』のシステムは、選択肢を選びながらお話を読んでいく従来のアドベンチャーゲームとそう変わりません。しかし、ストーリーと演出が巧妙で、先が気になって気になって仕方がなくなるのです。

あなたなら、こんな局面ではどうしますか?

▲子どもを人質に取った殺人犯に、交渉するなら? 投降するよう勧める? 油断させて人質を奪取? 本当にその選択肢でよかったのか、これから何が起きるんだろうかと、期待と不安がつねに入り混じります

主人公たちはアンドロイドですし、置かれる状況も特殊なので、なりきってプレイできるかと言えば、そうではないかもしれません。彼らの出演する映画やドラマをプレイする、というような感覚でしょうか。でも、彼らが感じている感情は、とてもよく理解できます。単純な喜怒哀楽だけでなく、怒りや悲しみが織り交ざった複雑な気持ち、友情や母性愛だったり……。

▲人間との争いで心を痛めているマーカス。仲間からの期待も重くのしかかります

また、主人公がそういった感情に出会うにつれ、周囲の登場人物にも、少しずつ変化が訪れます。そんな人々のやさしさに触れたときは、思わず胸が熱くなるはず。主人公たちを想っていろいろな気持ちが自分のなかを駆け巡る、そんな作品です。フツーのアドベンチャーゲームだけど、自分の心を揺り動かすストーリーと演出、仕掛けは突出しています。

▲コナーの相棒・ハンクは何を言いたかったのでしょうか。でも、少し照れたような表情から感謝の意が伝わってきます

1 2 >