LIVE SHUTTLE  vol. 272

Report

RED WARRIORS 人気投票の曲たちを披露! 国際フォーラムをワイルドなロックコンサートの色に染め上げた一夜!

RED WARRIORS 人気投票の曲たちを披露! 国際フォーラムをワイルドなロックコンサートの色に染め上げた一夜!

King’s Rock’n Roll “the Very best of Red’s” 
2018年5月27日 東京国際フォーラム ホールA

RED WARRIORSは昨年、デビュー30周年を記念して、地元・さいたま大宮ソニックシティホールでアニバーサリー・ライブを敢行して大好評を得た。そこには80年代きっての不良バンドが、そのまま大人になった稀有な“ロックンロールの今”があった。

30年という年月は、人間を確実に変えてしまう。それはボーカルのダイアモンド☆ユカイも、ギターの木暮“shake(シャケ)”武彦も、ベースの小川清史も例外ではない。彼らはバンドシーンで大暴れした後、それぞれ別々の道を選んだ。ただし、3人とも音楽を辞めなかった。傷心、不遇、転進などの人生の事件を真っ直ぐに受け止めながら、それぞれに自分の信じる音楽を成熟させていった。その3人が再びRED WARRIORSという形をとった時、大宮ソニックシティホールで奇跡のようなライブを聴かせてくれたのだった。解散時には修復不可能と思われていた溝は、依然として溝のままあった。しかし彼らは、見事なバンド・ミュージックを聴かせてくれた。だから昨年は、“和解”ではなく、お互いに認め合うことで成り立っていた。それが、“彼らの今”だった。

そして今年、RED WARRIORSは再びライブを行なう。コンセプトは、彼らの大ヒットアルバム『KING’S』のリリースから30年のアニバーサリーで、場所は東京国際フォーラム ホールA。昨年よりキャパシティが大きくなっている。しかもファンからリクエストを募り、ベストテンに入った曲をセットリストに必ず入れるという約束をした。なので、この1本だけのライブのタイトルは「King’s Rock’n Roll “the Very best of Red’s”」となったのだった。

国際フォーラムは、日本のコンサート会場の中でも指折りの、礼儀正しいホールだ。間口も奥行きも最大規模で、非常に整然としている。果たしてここに大人の不良バンドRED WARRIORSが似合うのか。やや心配しながら、僕は足を運んだ。

広々した会場を埋めているのは、ロックファンとしてはやや年齢が高めの層で、男性も女性もこの日のためにラフなロック・ファッションで着飾っている。前回と比べて大きく異なるのは、会場がとてもリラックスしていることだ。昨年はRED WARRIORSに久しぶりに会える喜びが半分で、あとの半分はメンバー以上にファンが緊張していた。だが今回は“期待100%”という感じで、長年の友人同士やカップルがガヤガヤ“積もる話”をしている。このリラックス感が、礼儀正しいフォーラムの雰囲気を柔らかくしていたので、僕は少し安心したのだった。

やがてオープニングを告げるSEのディキシーランド・ジャズが流れる。いくつもの管楽器が絡み合う猥雑なサウンドが、フォーラムの雰囲気をさらにリラックスさせる。メンバーがステージに入って来る。kiyoshiが歩きながら観客を煽り、観客も歓声や口笛でそれに応える。木暮がギターで「STILL OF THE NIGHT」の強烈なイントロを弾き出した。白と黒のドット模様のスーツに身を包んだユカイが、木暮のエッジーなギター・サウンドを正面から受けとめる。マイクスタンドを持つ手に、かなり力が入っているのがわかる。8カ月ぶりの一発勝負のライブだから、それも当然だろう。ユカイと木暮の2枚看板の激突を、kiyoshiの安定したベースが支える。3人のスタンスが、はっきりとわかるスタートになった。

「STILL OF THE NIGHT」が終わると、僕の後ろの男性オーディエンスが「ホンモノだよ!」とつぶやく。おそらく昨年のライブを見逃したのだろう。やっと見れた感激が、思わず口を突いたのだ。

大歓声の中、ユカイが「Shock me!」と次の曲のタイトルをコールすると、歓声がさらに大きくなる。ユカイはスタンドからマイクを引き抜いて、左手で持ち、ハンドマイクで歌い出す。2コーラス目のサビで、ユカイは木暮に歩み寄って肩を抱く。それを目の当たりにして、観客は興奮を隠せない。ユカイと一緒にサビのリフを歌い出す。追い打ちをかけるようにユカイは右手にシェイカーを持って振りながら、オーディエンスに「Are you ready?」と思わせぶりに叫ぶ。

「Foolish Gambler」ではユカイと木暮が1本のマイクを分け合ってハモったり、ユカイがタオルを下半身に挟むパフォーマンスをしたり、“伝説の光景”のオンパレードだ。冒頭の3曲で、RED WARRIORSは完全にライブの主導権を握った。というより、オーディエンスも一緒になって、ちょっとすました国際フォーラムを、ワイルドなロックコンサートの色に染め上げていく。

「ハロー! 昨年、30周年記念のライブをやりまして、今回はひと回り大きい国際フォーラムでやってみました。人気投票の曲の10位まで、全部やります!俺たちも大人になっただろ?(笑) 目いっぱい楽しんで帰ってくれよ。よろしく! じゃ、俺たちのデビュー曲を聴いてくれ」とユカイ。デビュー曲の切ないロック「Outsider」はリクエスト第8位で、会場は当時の思い出にひたる。

次の曲のイントロを、サポートの三国義貴がキーボードで弾き始めると、「ワーッ」という声援が起こった。アルバム未収録のシングル「Lady Blue」だ。解散が決定的になった1989年に発表されたこの曲もまた、ファンの心に残っているのだろう。人気投票では第5位に押されている。ユカイはこの美メロ・バラードを、アコスティック・ギターを弾きながら歌った。木暮のギター・ソロもまた美しい。激しく暴れ回るRED WARRIORSもいいが、ファンにとってはロマンティックな側面もたまらないものがある。そんなRED WARRIORSの持ち味を、三国もサポートドラムの西川貴博も、うまくバックアップしていた。

「普段だったら、自分たちでは選ばない曲をやるって、新鮮だね。30年やっても、まだ新鮮なことってあるんだ!! まだまだ今日はやるぞ~。3枚目のアルバム『KING’S』から、ずっとバンドでやってなかった曲を久しぶりにやります」とユカイが言って始まったのは、リクエスト第7位の「ANOTHER DAY,ANOTHER TIME」だった。

明るい8ビートのこの曲は、甘く切ないリリックを持つ。好きなのに、一緒にいるとケンカばかりしてしまう男女を描く歌詞は、木暮が書いている。それをユカイが歌うと、独特の色気が漂い出す。このマジックがRED WARRIORSを唯一無二の存在に押し上げたと言っていい。バービーボーイズも、ギタリストのいまみちともたかの書くリリックが個性的だったが、それは80年代のバンドの一つの特徴なのかもしれない。

ユカイは「次はshake(シャケ:木暮)が歌います」といって、いったんステージを去る。続く「Shakin’ Funky Night」は木暮がメインボーカルを取り、kiyoshiがおっかけコーラスを担当する。2人ともメチャ楽しそうだ。ボーカリスト以外が歌うのも、80年代バンドによくあるスタイルだ。

ステージに戻ってきたユカイは「Black Jack Woman」を歌ってから話し出す。

「サンキュー! 昨日、西城秀樹さんの告別式に行ってきました。1万人近くの人が秀樹さんを送りに来てました。俺は小3の時、秀樹さんが『薔薇の鎖』でマイクスタンドを振り回してるのを見て、竹ボウキで真似してました。それで今、俺はスタンドを振り回すシンガーになりました」。ここでユカイは西城の「ブルースカイブルー」の一節をアカペラで歌うと、会場から「ヒデキー!」の声が上がった。そのままRED WARRIORSを代表するラブバラード「MORNING AFTER」へ。しばし、オーディエンスは静かに聴き入った。

そしてライブはここから一段、ギアを上げる。まず木暮がギター1本で、コードとメロディを弾き出すと、オーディエンスは次の曲を察して「ワーッ」と盛り上がる。リクエスト第1位の「ルシアン・ヒルの上で」だ。この哀愁漂う美メロ・ソングは、RED WARRIORSの中では異色の名曲だ。♪Good-Bye 俺達の小さな傷あとと かなうはずのない夢に乾杯さ♪というセンチメンタルな歌詞が、胸にぐいぐい迫ってくる。たまらずに、オーディエンスも歌い始める。ユカイの歌も、メンバーの演奏もスケールが大きくて、RED WARRIORSが“国際フォーラム”サイズのバンドだということが確認できた。だから演奏が終わって起こった拍手と歓声は、この日いちばんの大きさだった。

「だんだん調子に乗ってきた。乗り遅れるなよ! 俺がずっと歌って来れたのは、いい仲間に出会ったから。そして音楽は底抜けに楽しいから。だから死ぬまで歌っていたいね」とユカイ。

その言葉どおり、ユカイのノドがどんどん開いていく。メロディアスに歌う声とは別に、ライブの終盤に来て激しくシャウトするときの声にパワーがみなぎっていく。ユカイは正真正銘のロックシンガーとして、「Wild Cherry」、「Casino Drive」という初期のハード・ナンバーを凄まじいエネルギーを込めて歌い切ったのだった。

ユカイはラフなシャツ姿で、木暮はラメのシャツに着替えてアンコールに登場。ユカイがジョン・レノンにリスペクトを込めてリリックを書いた「John」からアンコールが始まった。しっとりとしたユカイのボーカルと、伸びやかな木暮のスライド・ギターが貫禄を感じさせる。kiyoshiのコーラスがいい味を醸し出す。今回のライブでも、kiyoshiは随所でバンド・サウンドを支え、観客とのコミュニケーションで重要な役割を果たしていた。アウェーと思われたフォーラムは、すっかりRED WARRIORSのものになった。

「今回は最高のホールにたくさん集まってくれて、ありがとう! 次はいつやるか決まってないけど、みんながRED WARRIORSを愛してくれて本当に嬉しいです。最後にとっておきの曲をやります」。 

ラストナンバーは「バラとワイン」だった。80年代のバンドブームで世に出たバンドのほとんどが、「等身大」や「親しみやすさ」を売り物にしていた時代に、「バラ」と「ワイン」を歌ったのはRED WARRIORSしかいなかった。いや、「バラ」と「ワイン」が似合うバンドは、RED WARRIORSだけだった。そして今、何の違和感もなくゴージャスなロックを展開するRED WARRIORSがここにいる。

今年も“進化するRED WARRIORS”が見られてよかったと思う一方で、「次はいつやるか決まってない」というユカイの言葉が少し気になった。が、そんな思いを見透かすように、ユカイは別れ際、「またどっかで会いましょう」と言ってステージを去った。その声は、まぎれもなく、ロックシンガーの声だった。さて、“次のRED WARRIORS”は、いつ、どこに現われるのだろう。楽しみに待つとしよう。

文 / 平山雄一 撮影 / 森島興一、三浦麻旅子 

King’s Rock’n Roll “the Very best of Red’s” 
2018年5月27日 東京国際フォーラム ホールA

セットリスト
1.STILL OF THE NIGHT
2.Shock me
3.Foolish Gambler
4.Outsider
5.Lady Blue
6.7th Strip
7.Monkey Dancing’
8.野生の風
9.ANOTHER DAY,ANOTHER TIME
10.Shakin’ Funky Night
11.Black Jack Woman
12.MORNING AFTER
13.ルシアン・ヒルの上で
14.Bad Luck Boogie
15.Rolling Down the Street
16.Wild Cherry
17.Casino Drive
ENCORE
EN1.John
EN2.Royal Straight Flush R&R
EN3.バラとワイン

RED WARRIORS

1985年に元レベッカのギター“shake”こと木暮武彦とヴォーカルDIAMOND☆YUKAIを中心に結成。1986年10月にコロムビアよりメジャー・デー。ストレートでブルージーなロックを掲げて音楽シーンで頭角を現し、1988年には日本武道館と西武球場でライブを行うが、1989年に解散。
1996年に再結成し、武道館ライブを行い、その後も断続的にCDリリースやコンサートを行うが、2013年に活動休止。2015年再び集結し、2017月にデビュー30周年となる記念ライブを大宮ソニックシティ 大ホールにて開催。
現在のメンバーは木暮、DIAMOND☆YUKAI、ベース小川清史の3名。

オフィシャルサイト
http://www.redwarriors.jp

vol.271
vol.272
vol.273