Interview

映画『猫は抱くもの』で共演した沢尻エリカ×水カン・コムアイ、“音楽”が結び付けた意外な交流とは!?

映画『猫は抱くもの』で共演した沢尻エリカ×水カン・コムアイ、“音楽”が結び付けた意外な交流とは!?

元アイドルのアラサー女子と自分を人間だと思い込むロシアンブルーのオス猫を描いた映画『猫は抱くもの』。現実と空想、実景と舞台、実際の猫と擬人化された猫が交差するユニークな世界の中には“役者”と“ミュージシャン”も入り混じっている。映画『ヘルタースケルター』以来6年ぶりの主演作でヒロインの大石沙織を演じる沢尻エリカと、本作が映画初出演で猫の“キイロ”に扮したコムアイ(水曜日のカンパネラ)。虚と実の境界線が曖昧なファンタジックな物語にどんなアプローチで望んだのか。劇中では直接的な絡みはない二人の意外な共通点とは——。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 増永彩子

現実と妄想の線引きが曖昧。観る度に違う見方ができるのが映画『猫は抱くもの』の魅力。

まず、本作のオファーを受けて、最初に脚本を読んだ時の率直な感想をお願いします。とても独創的な世界観の作品だと思うんですが。

沢尻 脚本を読んでも正直、想像できない部分がほとんどでしたね。特に、劇場で撮影する舞台のシーンがどうなるのか、脚本を読んだだけでは全然わからなくて。そのあと、舞台稽古があって、実際に撮影に入って。正直、撮ってる間もどう映ってるのかはわからなかったです(笑)。完成した作品を観て、「あ、こうなったんだ」って分かったっていう感じでした。

コムアイ 野外のシーンを劇場の舞台で撮ったり、実際のロケもあったり。劇場の中でも、アトリエやスーパーのシーンは舞台のステージを使ってるけど、猫捨て橋や河原のシーンは客席の上に作ったセットで作っていて、周りがどこまで映っていいのかなどは、監督しかわからないんです。撮影中にちょっと裏に見に行ったら、モニターでは肉眼で見るより青く映っていたことがあって、「なるほど。そうやって夕暮れのいい感じにしてるんだ」ってわかったんです。演じている時は何もわかってなかったですし、私はいまだに全部はわかってないかもしれないです(笑)。

沢尻 私もそうなの。現実か妄想かわからないシーンがあるんですよね。明確な線引きをしてないから、舞台パートが全部想像とか妄想とは言い切れないんです。撮ってる時もどこまでやろうかっていう話し合いもあったんですけど、そこは、ちょっと曖昧にさせておいて、受け取り手に自由に考えてもらおうってことになって。私自身、完成作を観た時に、「もしかしたらゴッホ(峯田和伸扮する売れない画家)は幻だったのかな」って感じて。そこは、みんなそれぞれに自由に捉えてもらえたらいいなかなって。見る度に「もしかしてこうかな?」って違って感じられるのもいいのかなって思います。

「舞台パート」は前橋の群馬会館で撮影されたんですよね。あの趣のある古いホールが、実写と舞台劇の曖昧さをうまく緩和させる作用もあったと思います。

沢尻 そうですね。クラシックで素敵な劇場でした。

コムアイ 壁もカッコよかったね。

沢尻 おしゃれで、すごく雰囲気があって。ちょっとノスタルジーも感じるような独特な空間だったので、この映画の世界観にマッチしてたなって思います。

コムアイ 犬童監督はフェデリコ・フェリーニとか、大林宣彦監督がお好きなんです。劇場でやるとか、セットを全部作ってやるとかっていうのは、そういう影響もあると思います。あと、監督とは映画『トニー滝谷』の話もしました。あの映画は、家の中かオフィスのシーンがあって、窓からは外の景色が見えるんですけど、実は公園の中に建てられてるらしいんです。そこに、壁を作って、椅子とテーブルを置いて、リビングを作ったりしてる。そういう、中と外を入れ替えて作る、みたいなことに今回チャレンジされているんだと思います。

プライベートでも念願の“猫生活”をはじめたコムアイ。自身も猫っぽい⁉ 「“キイロ”は自分のまんま」

実と妄想、実景と舞台だけじゃなく、実際の猫と俳優が演じる擬人化された猫も交錯してました。沢尻さんは吉沢 亮扮する「オス猫の良男」とどう向き合いました?

沢尻 それも難しいんですけど、自分の中では「良男」と思ってました。

膝枕をして撫でてあげるシーンもありましたが違和感はなかった?

沢尻 違和感しかなかったです(笑)。猫を撫でる時の毛が気持ちいい感じを出そうと思っても、実際は洋服だから引っかかったりするんですよ。それをさら〜っと撫でられるように工夫したりしてました。

コムアイ 結構、遠慮なくいってていいなって思った。髪の毛とかわしゃ〜ってしてて。

沢尻 思い切りいったからね(笑)。でも、このロシアンブルーの良男はすごく綺麗な端正な顔をしてて。吉沢くんも本当に美形ですよね。すごくマッチしてたし、似てるなって思ってました。

コムアイ 私には一緒にしか見えなかったですね。現場でも性格が似過ぎてるって思ってたから。

コムアイさんは演技初経験で、いきなり猫役ですが。

コムアイ 私は猫ということをそんなに意識しなかったです。猫の「キイロ」なんだけど、「キイロ」の考えてることがすごく理解できて。人間よりも理解できた(笑)。どっちつかずなところっていうか。いろんな人の感情やシチュエーションを見て、いろいろと感じ取って、でも、別にその中に入るわけじゃなく、スーッと流れていく。自分もそうなんですよね。観察して、リアクションして、「世の中ってそうなんだ」って言いながら、進んでいく感じ。だから、すごく意思を持って、目標を立てて、そこから逆算して進めていくようなキャラクターよりも全然やりやすかったです。

すんなり入れた?

コムアイ 入るっていうよりは、自分そのまんまでいる感じでした。だから、無理して、別物になったり、自我を抑えるっていう感覚はなかったです。それでいいのかはわからないですけど。

沢尻 元から猫の自由気ままさを持ってるんでしょうね。すごく合ってた。

コムアイ ポーズとかもいつも通りだし。だらしない感じが猫っぽいのかも(笑)。

あはは(笑)。お二人は猫好きですか?

沢尻 もともとは家で犬を2匹飼っているので犬派でした。でも、この共演した猫を家に連れて帰ることになって、今、家にいます。ママが猫派で、私が犬派なんです。ママがずっと「猫、欲しい」って言ってて。去年、たまたま周りで猫を飼う人が増えて、子猫を見に行ったりしているうちに、猫の可愛さに気づき始めて。出会いとか縁とかあったらいいなと思ってた時にこのお話をいただいて連れて帰りました。本当にいい縁でした。「可愛いな、欲しいな」っていう話は現場でもしてたんですけど、犬がいるし、大丈夫かなっていう不安があって。撮影が終わって、欲しいけど、どうかなって迷ってたんですが、まだ引き取り手はないよって聞いたので、だったらぜひ! 我が家にようこそって。

コムアイ どうしてる? お家、気に入ってる?

沢尻 元気。走り回ってる。最初は犬に驚いてたんだけど、もう打ち解けて、一緒に遊んでる。超可愛い(笑)。

コムアイ ふふふ。私は猫派なんですけど、猫を飼うきっかけがずっとなくて。でも、最近、付き合い始めた人が猫を飼ってて。この映画で“猫運”が上がりました。

沢尻 それ言っていいの(笑)?

コムアイ ダメなの(笑)? 念願の猫生活をしてます。猫、めっちゃ可愛いよね。液体みたいに溶ける。ふにゅ〜って伸びるし。来ないけど、近くに寄って来たりしない?

沢尻 そう。ツンデレだよね(笑)。呼んでも来ないし、こっちから近づくと逃げるし。ただなんともない時にいきなり、ふって現れて、足にまとわりついてくる。

コムアイ スリスリってするよね。面白いよね。

沢尻 どうしたいきなり? って。犬は常に構って構ってじゃないですか。全然違う生き物なんだなって思うし、猫には猫にしかない独特の可愛さがあるんだなっていうのに気づきましたね。

1 2 >