Review

『DARK SOULS REMASTERED』プレイヤーの心を折る伝説の“死にゲー”が帰ってきた!

『DARK SOULS REMASTERED』プレイヤーの心を折る伝説の“死にゲー”が帰ってきた!

2011年9月、プレイヤーを絶望と熱狂の渦に巻き込んだ……いや、叩き落したPlayStation®3タイトル『DARK SOULS(ダークソウル)』(以下、オリジナル版とも呼称)。独特の世界観と高い難度で世界中にファンを有する名作です。筆者も当時は夢中になってプレイし、今でも情熱が冷めないゲームのひとつ。それから7年後の2018年5月24日、最新ゲーム機向けに満を持して『DARK SOULS REMASTERED』(以下、本作とも呼称)が発売されました。追加DLC『ARTORIAS OF THE ABYSS』も完全収録され、フルHDに対応し最適化されたグラフィック、より進化したオンラインマルチプレイを最新ハードでプレイ可能。オリジナル版を見事に再現しながらもパワーアップさせた本作は、プレイ経験の有無にかかわらず入り込める一作です。本稿では、本作の魅力の一端となる変更・追加点などに触れていきます。さあ、楽しくも苦しい二律背反の魅力を味わえる、ダークファンタジーの世界に足を進めましょう。

文 / 内藤ハサミ


『DARK SOULS』との蜜月の日々 

あれは7年まえの9月、筆者はPlayStation®3の前で感涙にむせび泣いていました。2010年のTOKYOゲームショウで『PROJECT DARK』として発表され、のちにタイトルが正式決定したフロム・ソフトウェアの最新作、『DARK SOULS』が発売されたのです。歯ごたえのある高難度アクション、恐ろしくも美しいデーモンのデザインをはじめとしたダークファンタジーの世界などを体験できた『デモンズソウル』の大ファンだった筆者は、同じ開発チームの新作をずっと心待ちにしていたのでした。

▲「やったー! また、『デモンズソウル』みたいな地獄を味わえる!」なんて喜んでいましたが、『DARK SOULS』は想像以上の素敵な地獄でした。最高~!

当時筆者は妊娠中で、大きいお腹を抱えながらのプレイは「内容的な意味で、胎教に良くないのではないか」と友人から心配もされましたが、「きっと将来、ドラゴンの咆哮にも怯まぬ豪胆な子に育つであろう」と、出産までの数ヵ月をこのソフトとともに大事に過ごしました(ちなみに、そのときお腹の中にいた娘は順調にゲーマーとして育っております……)。独特の個性を持った魅力的なNPC、アイテム説明文や登場人物の台詞、ムービーの謎めいた語りなどからストーリーを考察する楽しさにもハマり、お気に入りNPC“女神の騎士ロートレク”のイラストやリプレイマンガを描いたりもして、エンジョイしまくり。対人戦も積極的に行いクリアまでに数ヵ月かけ、クリア後も周回プレイを楽しみ……スルメのようにじっくりと味わいました。

▲筆者激推しのNPC、ロートレクさんです。ああ、この塩対応。LOVE……

そんな日々から7年後、『DARK SOULS』プレイ中に胎児だった娘は小学生となり、PlayStation®4も発売されしばらく経った今、リリースされた『DARK SOULS REMASTERED』。超個人的なことですが、筆者の人生において“生と死”について一番考え、弱気になることも多かった出産までの時期、傍らにあったこのゲームの存在が、「人間としての一生を謳歌して、何があっても力強く生きていきたい」という勇気のひとつになったことは間違いありません。……まあその、ゲーム中では死んでばかりでしたが。当時の出来事や気持ちをあれこれ思い出して初心に返れるという意味でも、筆者にとって今作は特別なソフトとなっています。 

自分だけのキャラを作り、ロードランに降り立つ! 

ゲームの始まりはキャラクター作成から。ここで決定した内容は、あとから変更することはできないので、後悔のないように選びたいところです。なお、ここで苦労して作った麗しいキャラクターは、呪いがかかり、死んでも死にきれず長い時を過ごしている不死人という設定なので、ゲーム開始直後はミイラのようなシワシワの亡者姿。ギャップに驚くかもしれませんが、だんだんその亡者姿にも愛着が湧いてくるから不思議なんですよね。

▲キャラクター作成画面です

キャラクター作成で選べるのは下記の内容となっています。 

  • 名前
  • 性別
  • 素性(戦士/騎士/放浪者/盗人/山賊/狩人/魔術師/呪術師/聖職者/持たざるもの、の10種類から選択。初期装備とステータスが決まる)
  • 贈り物(女神の祝福/黒い火炎壺/人間性の双子/遠眼鏡/ペンダント/万能鍵/小さな生命の指輪/老魔女の指輪、の8種類から最初にひとつだけ好きなアイテムを貰える。アイテムを何も貰わずに始めることも可能)
  • 体型(普通/痩せ型/とても痩せ型/太め/とても太め/上半身太り/下半身太り/頭でっかち/頭ちっちゃい、の9種類から選択)
  • 髪型
  • 髪と瞳の色

 どうです? なかなか細かく設定できますよね。

▲頭部は、いろいろな設定が可能

▲口元ひとつとっても、これだけ細かく作ることができます

▲……と、こだわって作っても、最初は皆こんな姿。亡者から復活すれば、キャラクター作成時の生きた人間の風貌になります

素性に関しては、今後のキャラ育成によって特徴を持たせることができるので、厳密なステータス振り分けをしたい場合でなければ、どれを選んでも大差ありません。ですが、初めてプレイする方やアクションに自信のない方は、初期の段階で体力と防御に優れた“騎士”がおすすめです。不慣れな初回プレイではダメージを受けやすく、エスト瓶の使用回数も開始直後は5回と少ないため、まずは死ににくいキャラクターが良いという考えからです。ちなみに筆者は、『DARK SOULS』シリーズでは軽装で戦うために放浪者を選びますが、本作ではなんとなく戦士をチョイス。初期装備の堅実そうな見た目が、放浪者の無頼者風の装備と違って新鮮です。ちなみに、“持たざるもの”の場合、男性はボロボロの腰巻のみ、女性はそれに加えて胸に布を巻いただけ、つまり防具は一切着けていない状態。武器と盾も“クラブ”と“木板の盾”というかなり原始的な感じ……。初期ステータスに特徴がなく、装備も貧弱ということで難度が跳ね上がる玄人向けの素性ですが、インパクト大の持たざるものには筆者を含め、ファンも多いようです。

▲潔さはぶっちぎりの素性、持たざるもの。“素性も知れぬ裸の人”という紹介文の味わい深さ……

さて、キャラクター作成が終わると物語が始まります。舞台は、人々の間に“不死の病”が蔓延している世界。運悪く“不死”となってしまった主人公は投獄されています。不死者は次第に“人間性”を失っていき、やがて“亡者”となると我を忘れ、人を害するようになるからです。何もない独房に閉じ込められ死ぬこともできず、おそらくかなりの長い時間をそこで過ごしたであろう主人公。しかしあるとき、高い天井の穴から投げ込まれた鍵で、牢の外へ出ることができました。何の縁もない主人公に鍵を投げ入れてくれた騎士は、自らの“使命”と不死者の回復アイテム・エスト瓶を主人公に託し、力尽きてしまいます。騎士は主人公と同じ、不死者だったのです。彼から託された“2つの鐘を鳴らす”という“使命”を果たすため、主人公は投獄されていた“北の不死院”から旅立とうと動き始めます……。

▲『DARK SOULS』シリーズには必ず登場するNPC、篝火のそばでひたすらうなだれている心が折れてしまった戦士。初めはふてくされたような態度の彼も、交流を重ねるうちにいろいろな話をしてくれるように。彼の雑談や身の上話に攻略のヒントが隠れているかも? 人気キャラのひとりです

チュートリアルを兼ねたエリアである北の不死院から大きな烏に連れられ、ロードランにある“火継ぎの祭祀場”にやってきた主人公は、ここを拠点としてエリア攻略をしていくことになります。最初から行けるエリアは複数あり、攻略の順番にもある程度の自由度がありますが(ボス撃破が必須でないエリアもあります)、難度には差があるので、最初は“城下不死街”から攻略していくのがおすすめ。……おすすめとは言いましたが、実際に攻略を進めていくと、「ここが一番易しいエリアなの? なにか間違ってない?」と感じるかもしれません。そうでしょうとも。筆者だって前作を何周もプレイして慣れていたはずなのに、本作のここで結構な回数を死んだくらいシビアなんですから。『DARK SOULS』シリーズは、とにかく初めから容赦ないんです。慣れてきても、ちょっとよそ見をしていたら死にますから。すべての油断は死に直結。これを皆さんも忘れないでください。

▲城下不死街のボス、牛頭のデーモン。攻撃パターンはほかのボスと比べ単純ですが、壊された塀から落下死しないよう注意が必要

各エリアはシームレスに繋がっていて、エリアチェンジ時に画面の切り替わりや長い待ち時間が発生しないため、ひとつの世界を旅しているリアルさとマップの広さを実感できます。NPCの話を探索のヒントにしたり、特にあてもなく彷徨ったり……攻略スタイルはプレイヤー次第。自由に楽しみましょう。

▲おそらくは何度も何度も見ることになる“YOU DIED”の文字は覚悟していてください。「心が折れそうだ……」と思わず漏らす境地が待っています

『DARK SOULS』シリーズをプレイしたり、評判を見聞きした方には言うまでもなく、このゲームは高難度です。初見では、「何が起こったの?」と、状況についていけないまま死ぬこともあります。ですが、決して「理不尽にプレイヤーを苦しめてやろう」という作りではないんです! これまでに経験した数々の死を思い出すと、今でも噛みしめた唇から血が出るくらい悔しくなりますが、何回もトライしているうちに、確実に自分のなかに蓄積されていくスキルとノウハウは、未来の自分を裏切りません。自分なりに攻略法を模索しながら、ついにボスを撃破できたときは、もう本当にスッキリ爽快です! この、上手くなれば確実に得られるリターンの快感でやめられなくなるんです。

1 2 >