Interview

鈴木拡樹が言葉で紡ぐ“恋”は未知だからこそ楽しい──恋を読む『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』

鈴木拡樹が言葉で紡ぐ“恋”は未知だからこそ楽しい──恋を読む『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』

お互いに最愛の人だと知りながら、決して交わらない運命を生きる男女の切ない“恋”を描いたラブストーリー『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』。2014年に出版された七月隆文による原作小説は、累計発行部数160万部を突破。2016年には、福士蒼汰・小松菜奈で実写映画化され大ヒット。そんな「ぼく明日」が朗読劇として、昨年オープンしたばかりのオルタナティブシアターで、8月24日から上演される。今回は、そんな「ぼく明日」で南山高寿 役を演じる鈴木拡樹にインタビュー。朗読劇にかける意気込みから、舞台の魅力など存分に語り尽くしてもらった。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 冨田望


現実では感じられない“恋”を朗読劇を通して体験してほしい

原作の『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の印象を聞かせてください。

30日間しかない、現実の世界ではなかなか体験できない壮絶な恋愛物語です。感動したのは、冒頭の京都の美大に通う南山高寿が、通学電車の中で出会った福寿愛美に、一目惚れするシーンです。僕自身は、一目惚れをした経験がないので、ひと目ですぐ彼女にアタックをしたことに敬意を抱きます(笑)。まずは憧れの目線で作品に入ることができて楽しくて、お話が進んでいくにつれ、通常ではありえない現象が発覚して、それに高寿は悩んでいく。僕も同じように普通では感じることのできない“恋”を、この朗読劇を通して体験できると思うとワクワクしています。

高寿という役にどのような印象をお持ちですか。

高寿は、恋愛に対して少し不器用な部分や心に弱さを持っていて、僕と似ているところがあって共感しました。だから、最初は高寿に近いものを感じて応援していたんです。けれど最終的には、彼女に成長させてもらい、短期間でとても強い男性になって、今度は彼から応援されるような気持ちになりました。

朗読劇はストレートプレイやミュージカルとは違う感覚

演出・脚本は、『ボーイ・ミーツ・ガール』、“恋”のお話を上手に描かれることで定評のあるロロの三浦直之さんですね。

僕よりも年下ということに衝撃を受けました。年下の演出家と仕事をするのは初めて。たくさん刺激を受け、さらに、いろいろ学びたいですね。これからの稽古で演出を受けて、どういう世界観を描く方なのか早く知りたいです。今まで吸収したことのない感覚を与えてくれると思うと楽しみですね。

ロロの三浦さん以外にも、素晴らしいスタッフ陣が脇を固めています。

そんな作品に携われて光栄です。今回は読むだけではなく、アニメーションがあって完成する世界ですから、ただ朗読するだけではなく、映像や音楽を担当されるスタッフの方と一緒にみんなで作り上げていきたいです。

今回は朗読劇ですが、さまざまな作品に出演されている中でも感覚の違いはありますか。

まず、会話がメインになります。それから今作は、電車で2人が出会うシーンや、デートのシーンがたくさん出てくるので、お客様には見えない情景を想像してもらうことになるのですが、お客様に一緒に旅行している気持ちになってもらえるほど、描かれている情景や空気の匂いさえしっかり読み込んで稽古に挑みたいです。そういった感覚は朗読劇ならではなので、ストレートプレイやミュージカルとは違うかもしれません。

朗読劇とストレートプレイやミュージカルで役作りに違いはありますか。

朗読劇に出るたびに、いろいろな“説”を聞くんです。脚本を読み込んでいたほうがいいという演出家の方もいらっしゃいますし、新鮮な気持ちであまり読まずに演じて欲しいという方や、極端になると会話シーンで目の前にいるお客様に声を飛ばすようにとおっしゃられる方もいます。僕は脚本を読み込んで、しっかりその場所を想像して表現しつつ、なおかつ、初めて読んでいるような演技ができるのが朗読劇には向いているかもしれないと思っていますが、もちろん、正解はどこにもなくて、たくさんの表現方法がありますから、それぞれの演出家の方に勉強させていただいています。

朗読劇で心がけていることはありますか。

体の動きで表現しないことが多いですから、読み手が焦ってシーンを上手に想像ができないと、間違いなくお客様に伝わらないので、そこを大事にしたいですね。

朗読劇は観客が想像力を一番使う舞台

そんな朗読劇の魅力を教えてください。

おそらく、ストレートプレイやミュージカルに比べ、お客様は想像力を一番使います。言葉の表現が中心になりますし、今回はアニメーションがあるのでそちらも楽しめると思いますが、情景を想像する必要が生まれるので、舞台や映像よりお客様に想像してもらうスペースがあるのが魅力です。

今回は2人芝居ですが、少人数での芝居の魅力はありますか。

キャラクターの数が増えれば増えるほど、説明台詞が増えますが、2人芝居であれば、物語をいろいろ展開させることができるので、濃密な空間が生まれます。どういうふうに目の前の相手に絡んでいけるのかを重視するので、余計な説明を省き、情報が少ないぶん、想像力を働かせていただけると思います。

共演者も多いと思いますが、他のチームに意識することはありますか。

僕の相手の山崎紘菜さんは20代で、僕は30代ですから、話が合えばいいな(笑)。共演して良かったと思ってもらえたら嬉しいです。ほかのメンバーも、それぞれ同じことをやっているようで、変わってくると思います。おそらく、メンバー全員の恋愛観がわかってくるでしょうね。誰がカッコいい恋愛観を持っているのか知ることができますよ(笑)。

7人の男性陣の中で、今回はどんなふうにご自身の特色を出していこうと思いますか。

素直に自分の表現をしていければいいなと思っています。主人公の設定は20代ですが、等身大の自分でぶつかっていきたいです。年齢より大事なのは、僕が舞台上でどういう“恋”ができるのか。まず、一目惚れをどう表現していくのかがポイントですし、ヘタにキャラクターを作り込んでいかずに、勝負していこうと思っています。

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