LIVE SHUTTLE  vol. 274

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SEKAI NO OWARI これまでのライブのスケール感を凌駕するステージを実現させたことで4人。セカオワ史上最大にして最高のライブを報告する。

SEKAI NO OWARI これまでのライブのスケール感を凌駕するステージを実現させたことで4人。セカオワ史上最大にして最高のライブを報告する。

SEKAI NO OWARI 野外ツアー2018『INSOMNIA TRAIN』
2018年6月2日 山梨県・富士急ハイランドコニファーフォレスト

4月7日(土)から6月24日(土)にかけて開催されたSEKAI NO OWARIの全国ツアー「INSOMNIA TRAIN」。全6会場・12公演で行われたこのツアーの中から6月2日(土)の山梨県・富士急ハイランドコニファーフォレスト公演をレポート。ステージの規模、演出のスケール、メンバーの表現力、パフォーマンスの充実度を含め、セカオワ史上最大にして最高のライブをぜひ追体験してほしい。

富士急ハイランド駅を降り、遊園地のなかを通り抜けてコニファーフォレストに辿り着くと、「INSOMNIA TRAIN」と記されたゲートが。出迎えてくれたのはINSOMNIA TRAINの住人であり座長。さらに奥に進むとフードエリアがあり、メンバー4人がスーパーバイザーをつとめたメニュー(Fukaseのカレー、Saoriのパフェなど)も楽しめる。そして会場に入ると、そこには巨大な列車が。中央にはとてつもなく大きいピエロが客席を見下ろしている。セカオワのステージセットには毎回驚かされているので“今回もすごいんだろうな”と心の準備はしているものの、実際に目にすると予想を遙かに上回るインパクトがある。これはもちろん良い意味だが、セカオワのライブは常識を超えている。

SEKAI NO OWARIの全国ツアー「INSOMNIA TRAIN」。会場は全国6か所(熊本、広島、新潟、山梨、宮城、北海道)の国営公園や遊園地。これはつまり“森の中を抜けると広大な会場が広がる”というシチュエーションを重視したということだろう。“INSOMNIA TRAIN”(直訳すると“不眠症の列車”)の世界観——様々な快楽と感情が渦巻く架空の歓楽街——をメンバーが望むスケールで体現するためには、通常のコンサート会場とは異なる場所が必要だったというわけだ。会場にはメンバーに扮したコスプレイヤーも多く、スタッフも黒い衣装を着用。非日常的な空間が広がる。

17時50分、列車の汽笛と車輪の音が聞こえてきて、ついにライブがスタート。大量のスモーク(列車の煙)が立ち込めるステージにメンバーが登場し、オープニングナンバーの「インスタントラジオ」を演奏する。バックバンドのオーガニックなサウンドによってリアレンジされ、原曲よりもかなりシックな手触り。Saori、Nakajinのジャジーなソロ演奏も素晴らしい。さらにNakajin、Fukaseがボーカルを歌い継ぐ「マーメイドラプソディー」、強靭なエレクトロ・トラックを取り入れた「Love the warz -rearranged-」、軍事用のロボットを主人公にした歌詞がリアルに響く「Error」、そして、Nakajinの鍵盤のフレーズから始まった「サザンカ」では、Fukaseと一緒に観客が歌詞を口ずさむ。小さな子供から大人まで、幅広い年齢層の人々が「嬉しいのに涙が溢れるのは/君が歩んできた道のりを知っているから」というフレーズを歌うシーンは、セカオワの音楽が含んでいる普遍性を改めて証明していた。キャリアを重ねるごとにファンの層が広がり、この日の会場には親子連れも数多く見られた。デビューから10年に満たないバンドが、これほどまでに幅広いオーディエンスを魅了することもきわめて稀だと思う。

「こんにちは、SEKAI NO OWARIです! “INSOMNIA TRAIN”に来てくださって、どうもありがとうございます!」「富士急は5日目。全部で6daysありまして、先週(5/25〜27)も金土日、今週(6/1〜3)も金土日。ほとんど富士急の住人ですね、僕ら(笑)」

と挨拶したNakajinは、「僕、塾講師をやっていたことがあって」と話し始める。当時お世話になっていた社員の方から連絡をいただいて、「受け持っている生徒が6月2日に模擬テストがあるのに、SEKAI NO OWARIのライブに行ってしまいます」と。そこでNakajinは「大丈夫です。模擬試験よりも素晴らしい体験にしてさしあげます」と答えたという。

「大切な用事を断ったり、やめたりして、ここに来てくれている人もいると思います。今日は僕たちのライブを選んでくれてどうもありがとう!」という言葉に導かれたのは「Hey Ho」。「歌える?」というFukaseの声に合わせ「Hey Ho!」という大合唱が生まれる。さらにFukaseが椅子に座り、狂気を感じさせる視線で歌った「ANTI-HERO」、シリアスなナンバー「深い森」、そして、代表曲のひとつである「RPG」では再びシンガロングが巻き起こり、大きな会場が一体になる。凄まじいスケール感のステージセット、緻密に作り込まれたライブの世界観に目を奪われがちだが、セカオワのライブの中心を担っているのはもちろん楽曲そのもの、音楽そのものだ。4人が紡ぎ出すすべての言葉、ひとつひとつの音のなかには、この世界の本質を射抜くようなメッセージが最初から内包されている。この前代未聞のツアーは「自分たちの楽曲をどう表現し、どうやって伝えるか」を突き詰めることで成立しているのだ。すべての楽曲を観客ひとりひとりに手渡すように演奏するメンバーの姿からは、その真摯なスタンスがしっかりと感じられた。

「みなさま、昼のショーはお楽しみいただけたでしょうか? ここからは夜のショーが始まります。It’s Show Time!」というアナウンスによって、ライブの雰囲気は一変。「炎と森のカーニバル」のイントロに合わせて、ステージセットの列車に取り付けられた看板が一斉に光り、煙突からは大きな炎が立ち上る。「ワーッ!」と歓声が上がり、多くの人がスマフォで撮影(セカオワのライブはフラッシュを使わない撮影は基本OK)。2013年に同じく富士急ハイランドで行われた初の野外ライブ「炎と森のカーニバル in 2013」の後に生まれたこの曲は、やはりこの場所に良く似合う。Saoriのクラシカルなピアノ、DJ LOVEのビートの絡みも素晴らしい。

ここからは楽曲ごとに世界観が変化していくスリリングな時間が続いた。まずは「新しい曲です!」(Fukase)とコールされた「Re:set」。NakajinがMPCを操作してリズムを生み出し、Fukaseがラップを繰り出すこの曲は、セカオワの最新モードを示すナンバーと言えるだろう。さらにFukaseがダークな音像のベースを弾きながら披露された「白昼の夢」、8人のダンサーが炎を操りながらパフォーマンスした「Monsoon Night」も。楽曲のテイストとリンクさせた色彩豊かな演出もセカオワらしさだよな……と思っていると、顔に包帯を巻いた10数名の男女が客席のなかをゆっくりと歩いているのに気付く。「何あれ? 怖い」という子供の声が聞こえてくる。じつはこの人たち、その後に披露された新曲「ラフレシア」に参加したダンサー。まずは大型ビジョンに“セカオワのメンバーが演奏中にバタバタと倒れる”というアニメーションが映される。その直後、客席のなかに設置されたテントからFukaseが姿を現し、「ラフレシア」がはじまる。心地よく跳ねるトラックのなかで、現在の監視社会、自由が制限されるムードを下敷きにした歌詞に心を奪われていると、怪しいダンサーたちが集まってきてエッジの効いた振り付けを披露。そしてラストはFukaseもダンスに加わり、高難度のダンスを見せ付ける。大きな歓声が渦巻くなか、最後はFukaseがダンサーたちに拉致され、車で逃走してしまう。客席のど真ん中で繰り広げられたパフォーマンスはまさに圧巻だった。

ここからライブはクライマックスに向かって進み始める。優に50mを超えるであろうステージから無数のライトが放射された「スターゲイザー」、観客のリストバンドが鮮やかに光った「スターライトパレード」と宇宙を想起させる楽曲が続き、すっかり日が暮れた会場を美しく彩る。筆者の後ろからは「きれいだね!」と喜ぶ親子の会話が。音楽、演出、ステージングが高いレベルで融合し、極上のエンターテインメントへとつながる。これこそがセカオワのライブの真骨頂だ。

「帰ってきたぜ、富士急! 俺たち東京出身だから、ホームと呼べるところがなかったんですよ。今回から、ここを僕たちのホームと呼ぼうじゃないかと。しっくり来るでしょ?」(Fukase)

「アルバムのジャケットにもなってますからね」(Nakajin)

「そう、最新アルバムの『Tree』のジャケットはここで撮ったんですよ。もう4年前ですけどね。そろそろ考えていかないと…」(Fukase)

「ここ2年くらいずっと言ってるよ」(Saori)

「そうだ。嘘つき野郎だと思われる(笑)。本当にそろそろ考えないといけないなって、自分たちのなかにもヒシヒシとあります」(Fukase)

 そんな気の置けないやり取の後、Fukaseは真剣な表情でこんな話をした。

「ツアーのなかでいろんな人たちとの出会いがあって、ここに来るために病気と闘ってきた子供、ケガを克服した人とか、そういうことを直接言ってもらえる機会がたくさんあります。俺たちにとっては(ツアーの)12分の1かもしれないけど、その人にとっては1分の1で。みんなも知ってることだと思うけど“今日という日は今日しかない”と改めてわかったし、そんなツアーに今はなっています」

本編のラストは「Dragon Night」。“この瞬間は二度と来ない。だからこそ、全力で生きるんだ”という思いを込めたFukaseのボーカルが広がり、会場は大きな感動で包み込まれた。

アンコールでは「ピエロ」「Fight Music」を披露。最後に美しい花火が打ち上げられ、ライブはエンディングを迎えた。これまでのキャリアのなかで生み出された楽曲の魅力を引き出すと同時に、「サザンカ」「Re:set」「ラフレシア」といった新曲を提示することで“この先のセカオワ”を予感させた「INSOMNIA TRAIN」。これまでのライブのスケール感を凌駕するステージを実現させたことで4人は、自らの音楽世界をさらに広げるきっかけを掴んだはず。この経験が次の楽曲にどんな影響を与えるか、いまから楽しみでしょうがない。

文 / 森朋之
撮影 / 太田好治、アミタマリ、立脇卓

SEKAI NO OWARI 野外ツアー2018『INSOMNIA TRAIN』
2018年6月2日 山梨県・富士急ハイランドコニファーフォレスト

セットリスト
01.インスタントラジオ
02.マーメイドラプソディー
03.Love the warz -rearranged-
04.Error
05.サザンカ(日替わり)
06.Hey Ho
07.ANTI-HERO
08.深い森
09.RPG
10.Death Disco
11.MAGIC
12.炎と森のカーニバル
13.Re:set(新曲)
14.白昼の夢
15.Monsoon Night
16.ラフレシア(新曲)
17.スターゲイザー
18.スターライトパレード
19.Dragon Night
EN1. ピエロ
EN2. Fight Music

SEKAI NO OWARI

2010年、突如音楽シーンに現れた4人組バンド「SEKAI NO OWARI」。
同年4月1stアルバム「EARTH」をリリース後、2011年8月にTOY’S FACTORYよりメジャーデビュー。
圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感、テーマパークの様な世界観溢れるライブ演出で、子供から大人まで幅広いリスナーにアプローチ、
「セカオワ現象」とも呼ばれる加速度的なスピード感で認知を拡大する。
2015年アルバム「Tree」をリリース、同年7月18日、19日には日本最大規模の会場日産スタジアムにて「Twilight City」、
2016年アリーナツアー「The Dinner」、2017年ドーム・スタジアムツアー「タルカス」を完遂。
2018年、その圧倒的なスケールで彼らのライブエンターテインメントを世の中に知らしめた野外ライブの全国版「INSOMNIA TRAIN」を開催することを発表。
また、同年2月平昌オリンピック・パラリンピックNHK放送テーマソング「サザンカ」を担当。
名実ともに、日本を代表するグループとなったSEKAI NO OWARI。
新しい音楽シーンの最前線の旗手として、止まることなく、攻め続ける新世代の才能である。

オフィシャルサイト
https://sekainoowari.jp

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