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『ポケモンクエスト』無料だけど奥深い!その秘密を解説

『ポケモンクエスト』無料だけど奥深い!その秘密を解説

2018年5月30日にNintendo Switch向けに配信され、6月27日にはiOS、Android向けにもリリースされた『ポケモンクエスト』。本作は基本無料のダウンロードソフトで、“しかくい”ポケモンたちと探検を楽しむことができるRPGだ。

本稿では、『ポケモンクエスト』に登場するしかくいポケモンたちの魅力、お手軽かと思いきや意外と奥深い探検、ポケモンの能力や装備アイテムのランダム性が生み出すやり込み要素など、本作を構成する面白さに迫っていく。

文 / 村田征二朗


しかくいポケモンがなんともキュート! 

ポケモンが登場する作品は、『ポケットモンスター』シリーズをはじめとし、ローグライクゲーム、シミュレーション、格闘ゲーム、アドベンチャーなど、じつに豊富なジャンルが派生しています。作品ごとに独自の世界が舞台となっているのも『ポケットモンスター』シリーズの特徴であり、それは『ポケモンクエスト』においても同様です。

本作の舞台となっているのは、すべてが“しかくい”世界に浮かぶ“カクコロ島”。ここでは島に生えている木々や岩などの自然物が、やや丸みを帯びたブロックを組み合わせたような、独特のフォルムになっています。本作では『ポケットモンスター 赤・緑』のポケモンたちが登場するのですが、カクコロ島に登場する“ポクセル”と呼ばれるポケモンたちもなめらかな四角さで表現され、まさに“しかくい”姿になっているのです。

▲ドット絵を立体化したような外見のカクコロ島。主人公はこの島に眠る宝を求めて調査にやって来る、というのが本作のストーリーです

▲フシギダネの背中に乗っているツボミの突起部分など、細部が省略されすぎない絶妙なデフォルメ具合となっています

島の探検を進めていくのがゲームの目的ですが、お菓子のおまけに付いてくる人形のようなかわいらしいポケモンたちの姿を眺めるのも、プレイヤーにとっての楽しみのひとつです。細かくは後述しますが、本作ではモンスターボールを使ってポケモンをゲットするのではなく、探検で手に入る素材を使って拠点であるベースキャンプで料理を作り、その料理に引き寄せられたポケモンが自動的に仲間となります。

仲間にしたポケモンはベースキャンプのなかを自由に歩き回っており、プレイ開始時点ではがらんとした印象のベースキャンプですが、仲間が増えるにつれて賑やかになっていき、見ているだけでちょっとほっこりできます。

▲ブレーメンの音楽隊のようにポケモンの上にポケモンが重なっていたり、ぶつかり稽古(?)のように身体をぶつけ合っていたり、自由に過ごすポケモンたちの姿には癒されます

料理を作ってポケモンを仲間にする際、料理の匂いに惹かれたポケモンたちはどこからかベースキャンプへと走って来るのですが、その際には姿がシルエットで描かれます。アニメ版『ポケットモンスター』でコマーシャル前後に出されていた、「だ~れだ!?」のシルエットクイズを思い出させるこの演出は、かつてアニメ版を見ていた世代としては非常に懐かしく、静かに興奮させられてしまいました。

▲シルエットだけで、「あ、〇〇だ!」とわかるワクワク感はプレイヤーを童心に返してくれます

お菓子のおまけに付いてくる人形のようなかわいらしさのある本作のポケモンたち。そのビジュアルが気に入ったのなら、それだけでも本作をプレイしてみる価値があると言えるでしょう。本作の魅力はビジュアル面だけでなく、無料のダウンロードソフトとは侮れないゲーム性にもあり、要注目です。

じっくり向き合える奥深さ

1匹から3匹のポケモンでパーティを組んで島を探検をし、出現する“やせいのポケモン”たちを倒していくことになるのですが、移動や攻撃はほぼすべてオートで行われます。

▲ポケモンたちのサイズ感もあって、移動する姿やわちゃわちゃと戦う姿もなかなかにプリティーです

移動や攻撃がオート、と言うとプレイヤーの能動性が低いように聞こえるかもしれません。確かに最初のステージは、一切操作をすることもなくクリアできてしまいます。ところがオートに任せている場合、少し進んだ序盤で、プレイヤーは早くも敗北を味わうことになってしまうことでしょう。

通常サイズのポケモンたちを倒していくと、最後にひと際大きなサイズのポケモンがボスとして登場します。ボスはわざによって強力な範囲攻撃を仕掛けてくることが多く、オートに任せて猪突猛進させているだけでは、さくっとやられてしまうのです。

▲おそらく大半のプレイヤーが最初に負けてしまうであろうナッシー。本作が放置で勝てるゲームではないことを手痛く教えてくれます

▲ボスとして登場するポケモンの多くは、登場してきたポケモンが進化したものです。サイズが大きいぶん姿をよく見られるのが個人的にはうれしいポイント!

ボスなどの強敵と戦う際にポイントとなるのが、各ポケモンが覚えているわざ、そして画面右下に用意されている、“ちらばるボタン”です。わざによっては発動するまえに攻撃範囲が表示されるものがあるので、タイミングよくボタンを押してポケモンを散開させれば、強力なわざを避けて安全に戦うことができます。オートでは負けてしまうような相手も、敵のわざを上手く避けていけば勝てたりするのです。

ただし、散開の命令を出した直後に再び散開させることはできず、ある程度のクールタイムが必要になります。そのため、相手のポケモンがわざを使うタイミングや周期をよく見て、正しいタイミングでポケモンに命令を出す必要があるのです。状況をよく見て、コントロールする必要がある点で、じつは奥深く能動性が高いですね。

▲画面中央のニドキングの周りに出ているように、わざの攻撃範囲は白い点線で表示されます(範囲が表示されずいきなり発動するわざもあります)

もちろん、敵だけではなくパーティメンバーのポケモンたちもわざを使って戦うことができます。画面下に表示されているボタンをタッチして任意のタイミングで発動できるわざは、攻撃を行うものや能力をアップ・ダウンするもの、相手を突き飛ばすものや自分が移動するものなど、効果はじつにさまざまです。

▲わざを使って戦えばバトルが有利になるだけでなく、見た目も賑やかになります

本作で使うことができるわざは、これまでの『ポケットモンスター』シリーズに登場したものです。しかし、アクションゲームライクな本作では、同じわざでも性能が異なっていたりします。たとえば、“テレポート”は『ポケットモンスター』シリーズで使用すると、やせいのポケモンとの戦闘を終了させることができましたが、本作では相手から離れるように瞬間移動を行う回避技となっているのです。

また、ポケモンと言えば、ほのおはくさに強いなどのタイプの相性が存在します。『ポケットモンスター』シリーズにおいては、タイプの相性を活用すればレベルの高い相手にも勝てるほどに重要な要素でした。本作でも、ステージごとにボーナスタイプが設定されており、特定のタイプを持つポケモンは能力が強化されるようになっています。とはいえ、『ポケットモンスター』シリーズに比べるとタイプによる影響は小さくなっているため、比較的自由にパーティを組むことができます。

▲パーティをボーナスタイプで統一するとかなりの戦力アップになりますが、わざを活用すればボーナスタイプのポケモンがいなくてもクリアは可能です

実際に触ってみるとわかりますが、本作はなんとなくパーティを組んでオート操作に任せるだけのゲームではなく、わざの組み合わせやポケモンに命令を出すタイミングなどを考える必要があり、しっかりとした戦略性を楽しめる作品なのです。

『ポケットモンスター』シリーズとは違い、本作ではポケモンの動きをプレイヤーが完全にコントロールすることはできません。しかし、動きにランダム性があるからこそバトルは毎回異なる展開を見せ、強敵との戦いがよりスリリングになるのです。制御されていないからこその偶然性が本作のバトルにおける特徴であり、予想外の展開は本作の醍醐味とも言えます。とはいえ複雑な操作が要求されることはなく、クリアできる段階のステージを周回してポケモンを鍛えれば、その後もなんとかクリアできるようになっています。まったりやれば気軽に、足早に進めようとすればがっつり遊べるバランスは、まさに絶妙です。

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