Interview

加藤和樹が俳優とは違う表情、等身大の想いを表出させる音楽。「日々頑張っている人たちへ」贈る、彼の熱く優しいエールが込められた『Ultra Worker』

加藤和樹が俳優とは違う表情、等身大の想いを表出させる音楽。「日々頑張っている人たちへ」贈る、彼の熱く優しいエールが込められた『Ultra Worker』

俳優として数々の作品に出演し、近年は声優に挑戦するなど、活動の場を広げている加藤和樹が、「自分の核に絶対的にあるもの」と位置付けている“音楽”。その言葉どおり、彼はデビュー以降コンスタントに作品を発表し、毎年全国ツアーを開催してきたが、フルアルバムをリリースするのは、なんと9年ぶり!! 「時間をかけて一曲一曲、丁寧に作った」という10曲が収録された今作『Ultra Worker』に込めた想いを聞いた。

取材・文 / 松浦靖恵 撮影 / 中原幸

自分の想いを発する、想いを伝えるというのは大事なこと

ここ数年は「TOY BOX」(2013年)、「EXCITING BOX」(2015年)、「SPICY BOX」(2017年)と、2年ごとに“BOXシリーズ”のミニアルバムを発表していましたが、フルアルバムは9年ぶりのリリースになりますね。

“BOXシリーズ”を出していたとはいえ、フルアルバムとしては9年ぶりですから、ファンのみなさんにはずいぶんお待たせしてしまいました(笑)。ディレクションやコーラスワークなど、自分が思い描くものを一曲一曲の中で最大限に出せるように心がけましたし、時間をかけて丁寧に作ることができました。そんなフルアルバムを、みなさんに自信を持ってお届けできるんだと思うと、ひとしおの想いがあります。

久しぶりにフルアルバムを制作するにあたって、加藤さんはどのような作品にしたいと考えていましたか?

今回のアルバムにかぎったことではないんですが、言葉にしなければ想いは伝わらないと常々思っているので、だからこそ自分の想いを自分の音楽にして伝えたいと思っています。時代や環境はどんどん変わっていくし、変化に適応していくことも大事ではあるけれど、果たして自分の核にあるものを変えてまで変化しなければいけないのかと、僕は思うんですよね。「やりたいことをやるんだ」と、なかなか口に出しづらい世の中ではあるけれど、今回のアルバムを作ったことで、自分の想いを発するということ、想いを伝えるというのはすごく大事なことだなって再確認しました。

アルバムタイトルや加藤さんが作詞を手がけたタイトルチューンに名付けた“Ultra Worker”というワードは、どのようなきっかけで加藤さんの中から出てきたのですか?

日々頑張っている人たちや働いている人たちに向けた作品を作れないかと思っていたので、前々から“Ultra Worker”というテーマは考えていました。アルバムのジャケットも“働く人”“頑張っている人”をイメージしてスーツを着ましたし。

“やればできる“というのは自分の座右の銘

“Ultra Worker”というワードは、舞台や音楽活動でいつも多忙な日々を送っている加藤さんご自身のことかと思っていました(笑)。

ファンの方からも「すごく働きますね」とよく言われていますし、自覚もしています(笑)。“Ultra Worker”を直訳するならば“働き者”になると思うんですけど、僕の中では“Ultra”というワードには、何かを越えていく、挑んでいく、自分自身を超えて進み続けるというイメージを持っていて。“やればできる“というのは自分の座右の銘なんですが、このタイトルには自分自身もつねにそうありたいという願望も込めていますし、自分自身が証明していきたい、と。これからも“I can do it. Just do it”の精神はずっと持ち続けたいと思っています。

収録曲の歌詞には、「夢」「明日」「未来」というワードが何度も出てきますが。

作家さんに歌詞を書いていただくときに、僕からは特に指定したワードはなかったんですが、テーマなどのやりとりをしていくなかで、夢や未来に突き進んでいくというイメージが、作家さんたちと僕の共通認識としてあったんだと思います。

自分が歩んでいる道が誰かの夢を叶える支えになる

加藤さんはリードトラック「HERO」、アルバムのタイトルチューン「Ultra Worker」、10曲目「Butterfly」で作詞を手がけています。

「HERO」は今の自分が一番言いたいことを書いたので、このアルバムの核になる曲だと思い、アルバムの1曲目にしました。この曲で伝えたかったのは、誰もが自分の人生の主人公であるということ。自分の人生は自分自身でしか描けないし、自分の足で歩むしかない。自分自身もそうですが、好きなことをやるためには夢に向かって歩んでいく努力や、高い壁を越えていかなければいけないけれど、自分が歩んでいる道が誰かの夢を叶える支えになるかもしれないということを書きたかったんです。

加藤さんの音楽はロックやバンドサウンドの印象が強かったのですが、「Butterfly」では打ち込みを取り入れたアレンジが施されていますね。

フルアルバムは曲数があるので、曲によってサウンドやアレンジをいろいろ遊べるのが楽しいです。最初にこの曲を聴いたときは、大人の恋愛をテーマにした歌詞を書こうと思っていたんですけど、出来上がってきたアレンジを聴いたら、夜の匂いがすると思ったので、夜に働いている人にスポットを当てて、“夜の蝶”をイメージして書いてみました。僕は曲からインスピレーションをもらって歌詞を書き始めるので、まず歌詞を先に書くということがない。「Butterfly」のように、最初にこの曲を聴いたときに浮かんだイメージと、アレンジが出来上がってから書く歌詞のイメージが違うこともありますね。

「Blue Monday」は、働く人たちの日常が見えてくるかなり楽しい曲ですね。

僕もとても気に入っています。こういう仕事をしていると、月曜から「また仕事か~」っていうような感覚は薄れがちではあるんですが、僕がこの歌詞に描かれた日常に共感できたのは、新しい週の始まりや新しい日々には希望が満ちていると思ったからです。この曲もそうですが、作家さんが書かれる歌詞は、自分の中にはない引き出しから出てきた言葉や表現の仕方があるので書き手としても勉強になりますし、歌い手としてもこの歌詞をどう自分のものにして、どう歌うのかという作業がとても楽しいです。

「魂」や「Loop」は今作の中でダークな色合いを持った楽曲ですが。

前向きな曲ばかりではないというのが、今回のアルバムの特徴と言いますか。考えさせられたり、見つめ直す時間ってすごく大事だと思っているので、「魂」は自分の魂に突き刺さるような曲でしたし、魂を込めて歌いました。

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