Interview

“合唱”スタイルで青春を歌い上げるバレーボウイズ登場!京都精華大学出身の彼らのユニークな個性の秘密を探る。

“合唱”スタイルで青春を歌い上げるバレーボウイズ登場!京都精華大学出身の彼らのユニークな個性の秘密を探る。

個性的なバンドを近年数多く輩出している京都から、とびきりユニークな男女混成バンドが登場した。バレーボウイズ。どこかノスタルジックで歌謡テイストのある曲を “合唱”スタイルで聴かせる彼らが今、注目を集めている。2015年に京都精華大学の学園祭で結成され、2017年、1stアルバム『バレーボウイズ』をリリース。親しみやすいメロディと青春ど真ん中の歌詞にユニゾンのヴォーカルは一度聴いたら忘れられない。今年3月と4月に発表した「卒業/ひがしのまち」のカセットテープ&7インチに続き、7月4日にはプロデューサーに永井聖一を迎え、ミニアルバム「なつやすみ’18 猛暑」をリリースする。バレーボウイズの作詞・作曲を手がけるギターのネギとヴォーカルの前田流星の二人に、結成の経緯からその唯一無二の音楽の背景を聞いてみた。

取材・文 / 佐野郷子 撮影 / 古渓一道

大学の学園祭で結成。SoundCloudの音源が評判になり、ライブ活動をスタート。

バレーボウイズは京都精華大学の出身なんですよね。

前田 はい。ドラム以外は全員。メンバーに年齢差はあるんですけどね。

ネギ 僕は今年29になります。けっこう長いこと大学にいました(笑)。

結成のきっかけは、2015年の学園祭「木野祭」とか。

前田 うちの大学は「木野祭」に向けて盛り上がるんです。学園祭のステージに、ハンバート ハンバート、渋さ知らズ、昔はボアダムスを呼んだこともあってホンマに音楽好きな人が多い。その「木野祭」のステージに僕も卒業するまでに一度は出たくて、4回生のときネギちゃんに、「一緒にバンドしよう」って声かけたのが最初ですね。

ネギ 僕はもう卒業していたんですけど、その頃、弾き語りをしていたんです。

前田 でも、最初の頃は二人で大学の裏にある山に行って、ネギちゃんがギター弾いて、僕が適当なことを歌って録音したものを友だちにあげるだけ(笑)。

ネギ 京都精華大学って市内なんですけど、鹿が出るような所なんです。

前田 自然たっぷりな環境で僕らはそんな遊びをしていたんです。

ネギ 僕は仕事もしていたし、「木野祭」に出て1年くらいは何もしてなくて。

前田 僕は卒業制作のために絵を描いたり、卒業してからも就職はせずに、バイトと作品づくり。ネギちゃんは「木野祭」以降も曲をたくさんつくっていて、その音源をサンクラ(SoundCloud)に上げていたんです。

それは、バレーボウイズのためにつくった曲だったんですか?

ネギ いや、目的も定まらないまま、ただ曲をつくって発散していた感じです。そしたら、僕のサンクラをイベンターの人が聴いてくれて、ライブのオファーが来たんで、「みんなでやらへん?」というノリでしたね。

前田 そのサンクラに「卒業」もあって、「この曲エエから歌いたいな」と。それで「木野祭」に出たときのメンバーに声かけて、初めて大阪でライブをやったらすごく楽しかったんです。

その後、ライブのオファーが次々来たんですか。

前田 そうなんです。大阪在住のシンガーソングライターのてらくんが僕らのライブを観に来てくれたことが大きかった。

ネギ てらくんが「イイ」って言ったバンドや音楽は大阪では信頼度が高いんですよ。

前田 それまでは僕らも楽しいからやっていただけだったんですけど、てらくんに「すごくイイから頑張った方がいいよ」って言われてその気になったというか。就職する人もいたりして、メンバーは変わったんですけどね。

「もっと外に出て遊んだ方がいい」という校風は、僕らの音や雰囲気に出ている。

京都精華大学は、芸術、デザイン、マンガ、音楽などに特化した大学ですよね。現役ミュージシャンが教壇に立つことでも知られていますが。

前田 僕も藤原ヒロシさんやBOSE(スチャダラパー)さんの授業に参加したり、細野晴臣さんの話を聞きに行ったり、高野寛さんの食堂のライブを観たりしていました。すごく面白いんですよ。先生も「もっと外に出て遊んだ方がいい」という考え方の人が多い。

私も最初にバレーボウイズの噂を聞いたのは、藤原ヒロシさんからでした。

前田 嬉しいですね。ヒロシさんにはバレーボウイズを始めたとき、コピー用紙にシール貼っただけの宅録の音源を渡したんですよ。その後もラジオでかけてくれたり、雑誌で紹介してくれたり。

ネギ 授業も自由で、「ああしろ、こうしろ」と言われるのではなく、自分で考えるように仕向けてくれる。

その自由な校風の影響は音楽にもありそうですね?

ネギ それは絶対にありますね。

前田 僕らの音や雰囲気にすごく出ていると思います。就職しないなら、しないなりの生き方や、未来に向けての活動をしなさいというところも影響されていますね。

みんなで歌った方が楽しいから合唱する。無意識のうちにすり込まれていたヒット曲の影響。

今の合唱が特徴的な音楽スタイルはどのように生まれたのですか?

ネギ 最初から合唱スタイルを目指していたわけではなくて、練習するうちにそうなったという感じですね。僕、家で中学や高校から送られてきた合唱コンクールのヴィデオをよく観ていて、みんなで一生懸命歌っている姿が何かすごく響いたんです。

前田 バンドで合唱を取り入れているのってあまり見たことないし、僕もその面白さにだんだん気がついて。

ネギ 狙ったわけじゃないんです。みんなで歌った方が楽しい曲はそうするだけで。

ライブで前田さんとオオムラさんが熱く、激しくユニゾンで歌うところは強烈なインパクトがありますね。

前田 僕はネギちゃんのつくる歌詞や言葉の意味を自分が消化できないと歌いたくないんですよ。自分が共感して、感情が込められるかどうかはすごく大事で、音源もライブもそういう曲にしています。

ネギ 僕のつくった原曲は音色やハーモニー、アレンジも全然違うんです。ヴォーカル二人の歌とパフォーマンス、演奏の工夫があってバレーボウイズになるというか。

前田 ネギちゃんは嵐とかCHAGE and ASKAとか、僕らとはまったく別の音楽を聴いていたりするんで、この曲はもっとロックにとか、レゲエに寄せてとか、いろんなアイディアを出して自分たちの好きな音楽性にしていくんです。

ネギ 僕は曲が良くなれば単純に嬉しい。

ネギさんはJ-POPの王道の曲がルーツにあるんですね。

ネギ 僕は元々ラジオやテレビでよくかかるヒットチャートの曲を聴いていたんです。無意識のうちに街で流れているような曲や、学校のダンスの課題曲になるような誰でも知っている曲がすり込まれているんやと思います。

曲がキャッチィで聴きやすいのは、そのせいなんですね。

ネギ そうだと思います。曲をつくるときは、サザンオールスターズ、エレファントカシマシ、THE BLUE HEARTSを聴いたりするんですけど、自分で歌ってみるとこれは歌謡曲やなと感じたりすることがあるし、そういう影響もありますね。

みんながしっかり大人になる時期に逆走している。僕らが青春から抜け出せていないのは事実です。

郷愁を感じさせる歌詞はどこから来ているんですか?

ネギ 親父の世代の青春や映画で観たような青春を思い浮かべながら歌詞をつくることもあるし、そこに自分が過ごしてきた高校、大学時代のちょっと前の懐かしさも入っているからかな。

前田 僕らが青春や大学時代からまだ抜け出せていないというのは事実で、就職しないで、友だちとバンドしているということ自体がそうやし。

ネギ 僕も会社辞めたし(笑)。

前田 ライブを観た友だちに「おまえら、逆走してるな」って言われたんです。みんながしっかり大人になる時期にどんどん戻ろうとしているのがすごくイイって。

ネギ 最近、バレーボウイズの音楽と自分たちのイメージがより近づいてきていると感じるんです。「ドラムがクソ巧い!」とか「サウンドが洗練されている」というのではなく。そういうバンドもカッコエエと思いますけど、自分たちはそこに寄せていくのは違うかな。

前田さんのジャージもストリート系ではなく体育の匂いがする。

前田 最初の頃はもっと派手な格好していたんですよ。僕がワンピースを着たりとか(笑)。僕のジャージやオオムラツヅミの赤いワンピースもバレーボウイズを自分なりに考えてこうなったんです。

そういう時流とは一線を画した個性がユニークですね。

前田 他の人がやっているなら自分がやらなくてもエエんちゃう、というのはどこかにあるかな。メンバーそれぞれ好きな音楽や趣味も違うけど、バレーボウイズでやるなら、みんなが面白い方を選ぶというのがオリジナリティになってきている。

京都は我が道を行く人やバンドが多いイメージもあります。

前田 ああ。学生が多いというのもあるし、その名残がけっこう人にもあるかもしれない。特に僕らの住んでいる左京区はそれが強い。大学もたくさんあるし、僕のバイト先にもバンドしている人が多くてカッコエエんですよ。

去年よりグレードアップしたバレーボウイズの今が詰まった新作「なつやすみ’18 猛暑」

昨年はライブオーディション「TOKYO BIG UP!」でグランプリを獲得して、1stアルバムをリリース。反響はどうでしたか?

前田 オーディションに優勝したら音源もPVもつくれると聞いて、じゃあ受けてみようか、と。

ネギ そんなにリキんで参加したわけでもなかったよな。でも自分たちのCDがいつも行ってるCDショップに置いてあるのは不思議やった。

新作ミニアルバム「なつやすみ’18 猛暑」は、昨年夏の自主制作盤「なつやすみEP」の曲と新曲+αという内容になりましたが、その意図は?

前田 「なつやすみEP」は自主制作で500枚しかつくっていなかったし、それを全国流通で出すにあたり、去年よりさらにグレードアップしたバレーボウイズの今を聴いてもらえたらいいなと。

ネギ 「なつやすみEP」では表現しきれなかったことやメンバーの意志が詰まった内容になったと思います。

カセットテープと7inchレコードでもリリースした人気曲「卒業」も収録されていますね。

前田 「卒業」はバレーボーイズを始めた時にすごく衝撃を受けた曲やし、この曲が好きやって言ってくれる人も多いんですよ。

ネギ 今年の春に撮影した「卒業」のMVがメチャメチャいいので、また観てほしいというのもあるし。カセットをつくれたのはうれしかった。中学の頃はMDが高くて買ってもらえなかったので、カセットで聞いていたんですよ。

前田 僕もラジオっ子やったから、中学の時にBUMP OF CHICKENの初オンエアー曲とか親父のラジカセに録音してました。

新曲の「海へ」「フラッシュバック」も含め、夏らしい曲を中心にしたのはバンドの方向性とも合っていますね。

前田 そうですね。バイトしながらバンドしていたりすると、今も夏休みの気分が抜けないというか。

ネギ それに僕らは夏休みにするようなことを年中やっていたんですよ(笑)。だから、夏休みっぽい要素が自然と出て来る。それを否定するわけでも肯定するわけでもなく。プロデューサーの永井(聖一)さんも僕らがこの空気感でいられるようにしてくれましたね。

バンドの空気感を伝える宅録。音楽と生活と表現が揃って今の僕らがある。

「タイトルコール(チャッキーの家ver.)」は宅録ですよね?

ネギ そうです。今までもボーナス・トラックは宅録音源を入れていたので。

前田 いちばん最初はスタジオに入るお金もケチって、家に集まって練習していたんですけど、その空気がすごく好きで、僕らの雰囲気がいちばん伝わるんじゃないかと。鴨川やチャッキー(高山燦)のバイト先でも録ったりしていたんです。

チャッキーの家というのは?

前田 高山と僕が一緒に住んでいる山の中にある一軒家で、音を出しても怒られないんですけど、近所の人がめっきり挨拶をしてくれなくなって(笑)。でも、「いつもうるさくしてすいません」ってCDを渡しに行ったり。

ネギ そうやったんや?(笑)。

「さしあたり 暮らす金が欲しい」というコーラスがいいですね。

ネギ ホンマにそう思っているから(笑)。

前田 初めてこの曲をライブでやった時、みんなが適当に歌い出して、「さしあたり 暮らす金が欲しい」と歌った友だちがいたんですよ。それがすごくウケて、大合唱になった思い出があるんです。

「さしあたり」がポイントですね。お金はないけどそれほど切羽詰まってはいない明るさがある(笑)。

ネギ そうなんですよ(笑)。悲壮感はないんですよ。せいぜい次のバイト代が入るまでくらいまで。

前田 良かった。伝わってる。僕らの周りは「さしあたり」はめっちゃ響いたから。

そんなユーモアが風通しの良さになっているし、バンドを楽しんでいるのが伝わってきますね。

前田 今はバンドが楽しいし、もっと出来るなと感じていますね。ネギちゃんは今も1日2曲ペースでつくっているし。

ネギ そう。これからもっとやりたいことがやりたいように出来る伸びしろがある気がしている。

当面は京都を拠点に活動していく予定ですか?

ネギ 京都に固執しているわけじゃないですが、今はそうですね。先はそうなるか分からないけど、自分のつくるもののエッセンスの取り込み方をそこで覚えたのは大きいかもしれないです。音楽と生活と表現が揃って今の僕らがあるから。

その他のバレーボウイズの作品はこちらへ

ライブ情報

『なつやすみ’18 猛暑』リリースワンマンツアー

8月19日(日)東京・下北沢Basement Bar
8月22日(水)大阪・心斎橋LIVE HOUSE Pangea

バレーボウイズ

2015年に京都精華大学の学園祭「木野祭」出演のために結成された男女混成グループ。ノスタルジックで歌謡ライクなメロディと合唱スタイルが評判を呼び、2017年にライブオーディション「TOKYO BIG UP!」でグランプリを獲得。同年夏には「FUJI ROCK FESTIVAL 2017」にROOKIE A GO-GO枠で初出演。同年1stアルバム『バレーボウイズ』をリリース。2018年3月にカセット、4月にはRECORD STORE DAY限定アイテムとして「卒業/ひがしのまち」を7inchレコードにてリリース。5月にはリリースパーティーを藤原ヒロシ、キイチビール&ザ・ホーリーティッツを迎えて渋谷WWWにて開催。現在のメンバーは、前田流星(Vo.)、オオムラツヅミ(Vo.)、ネギ(Gt./Vo.)、高山燦(Gt.)、九鬼知也(Gt.)、武田啓希(Dr.)の6人。

オフィシャルサイト
http://volleyboys.kyoto/

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