Interview

「お金」から解放され、自分の人生を取り戻すには? 月7万円で幸せに暮らす人気ブロガー・ミニマリストしぶ『手ぶらで生きる。』が教えてくれたこと

「お金」から解放され、自分の人生を取り戻すには? 月7万円で幸せに暮らす人気ブロガー・ミニマリストしぶ『手ぶらで生きる。』が教えてくれたこと

月間100万PVを誇る人気ブロガー・ミニマリストしぶが初の著書を刊行した。タイトルは『手ぶらで生きる。 見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法』。発売と同時にベストセラーランキングの上位となり、話題を呼んでいる。

彼は「ミニマリズムの魅力を広める」ことを目的に事業を展開している。ブログの執筆のほか、講演会や、新ブランドの立ち上げなどその活動は多岐に渡る。 なぜ彼はミニマリストを名乗り、それを仕事にできたのか。ミニマリストの生き方とその哲学を聞いた。

取材・文 / タカザワケンジ
撮影 / エンタメステーション編集部

ミニマリストは、単にモノを持たない人じゃない。
自分にとって何が必要で、何が必要じゃないかを考える人

今日はしぶさんが東京の拠点にされているシェアハウスでお話しをうかがっています。ここはリビングですか。

ええ。みんなでご飯を食べたり、パソコン開いて作業したりしてますね。

福岡と東京に住まいがあるということですね。

はい。東京へはふだんは手ぶらで来るんです。

さすがミニマリスト! ミニマリストとはモノを極力持たず、シンプルに暮らす人たちのことを指しますが、ミニマリストと名乗ってお仕事をしようと思われたのはなぜですか。

きっかけはミニマリストさんたちのブログを読んでいて、自分も何かを書いてみたくなったことです。でも別にミニマリストの生活を書こうと思っていたわけではなくて、周りの人から、ミニマリストっぷりがすごいよねと言われたり、ブログの読者から、もっとミニマリストのことを知りたい、読みたいと言われて。ミニマリストについて書くと喜ばれるんだな、と。

“ミニマリスト”は2015年の流行語大賞に選ばれた言葉なんです。流行ったということは、ミニマリストを名乗る人もたくさん現れては、消えていくってことですよね。実際、何年も続けている人はごくわずかです。だったら、自分がミニマリストしぶと名乗って活動を続ける意味はあるのかな、と。 なぜなら、ミニマリズムって一過性のものではなく、これからもずっと使えるし必要とされる考え方だと思うんです。それを時代に合わせて発信して行きたいですね。

福岡の自宅は4畳半、家賃2万円。「とにかくなにもない」©ミニマリストしぶ/サンクチュアリ出版

「仕事のときも食事のときもだいたい出窓で過ごす」©ミニマリストしぶ/サンクチュアリ出版

『手ぶらで生きる。』を読んでいて感じたのもそのことでした。目の前のものが本当に必要なのか、と考え直してみることはモノについて以外にも必要だ、と。

僕の考えるミニマリストって、単にモノを持たない人じゃない。モノをきっかけに、自分にとって何が必要で、何が必要じゃないかを考える人です。ミニマリストは取捨選択を毎日やるようになるから、自然とそういう能力が身につくんですよ。

自分はどうかというと、日常の中で本当に必要かどうかを考えずに生きているなと(笑)。

自分が持っている持ち物を、なぜ持っているのか、その理由を語れない人がいるんですよね。「なぜ持ってるの?」と聞いても、なんとなくとか、セール品だったからとか、そもそも持っていること自体を覚えていなかったりするんです。それも当然で、普通に生きていたら、なかなか減らすということは考えない。人生って基本的に積み重ねだから。でも、積み重ねるだけじゃモノは増える一方。どこかで減らすタイミングが必要ですよね。だから僕がよく言っているのは「人生は積み減らし」だということ。岡本太郎さんの言葉に「積み減らし」というのがあって、僕がとても好きな言葉なんです。まさにミニマリストの生き方だと思います。

絶対にモノを増やさないと決めているわけじゃない。
むしろ必要だと判断したものは躊躇せずに買う

自分の人生をコントロールできている人は意外と少ないんでしょうね。成り行き任せで流されている人がほとんどじゃないかと。

少ないですね。自分が変化するタイミング、ステージに合わせて必要量を調整できる人はもっと少ない。 僕はミニマリストですけど、絶対にモノを増やさないと決めているわけじゃない。たとえばこのパジャマは最近買ったんですよ。このシェアハウスの住民になったから。福岡の部屋ではパジャマは着ない。普段着ですごして、寝るときは下着で寝る。一人暮らしだから部屋着は必要ない。でもシェアハウスだと下着で寝るわけにはいかないですよね(笑)。一つ屋根の下に他人と住んでいるから。そうなったときには買う。その場その場で考えて判断することが大事な能力だと思うんです。

このパジャマを選んだときの選択理由を教えてください。

無印良品が好きなブランドだったことと肌触りですね。部屋着だから着ていて気持ちがいいということが一番かな。

色は? たしか白と黒しか着ないんですよね。

単純に白と黒がなかったんです(笑)。あと、東京にいるときの自分。東京にいるときだけ違う家に住んで違う持ち物を持つ。環境によって自分を変えることをしてみたかった。

モノを買うときに「出口戦略」を考えよ、という教えは腑に落ちました。モノを買うときには必要だと思って買うはずですけど、最後にはどうするかまで考えていないかも。

出口戦略って経済用語なんですよ。株を買って、いくらまで上がったら売ろう、いくらまで下がったら損切りして売ろう、とか。これって人生何にでも通じる。取り入れたら取り出すってことをしていかないと、老廃物がたまっていく。身体と一緒ですよね。
循環させるって大事なことだと思うんです。モノだけじゃなくてお金もそう。僕が一定の金額以上の貯金はしないと言っているのもそうですし。人間関係も同じで、ずっと同じ人たちとだけ付き合うんじゃなくて、その都度、自分のステージに合わせた人に会うようにする。
それでいうと、ミニマリストって、僕たちみたいな20代スマホ世代はとくに受け入れやすいのかもしれません。出口戦略でいえば“メルカリ”がありますし。

ミニマリズムはテクノロジー。
モノだけでなく情報とどう向き合うかが大事

たしかにそうですね。個人がモノを売るハードルが低くなった。

“ミニマリズムはテクノロジーだ”と僕はよく言うんです。昔からモノをあまり持たない人はいたと思うんですが、じゃあ、なぜ2015年のタイミングでミニマリストが流行語になったかというと、スマホが出たからですよね、まちがいなく。スマホ1台あれば、カメラもついているし、パソコン並のことができるし、お財布にもなるんですから。
たぶん、この先、スマホすら持たなくなりますよ。手首に巻いたり首から提げたり眼鏡に入ったり。現金もそのうち無くなって、身につけたコンピュータで決済するようになるんじゃないかな。

「これが『一日一食生活』を送る僕の定番メニュー。野菜スープは鶏ガラから煮込んでつくった自家製」©ミニマリストしぶ/サンクチュアリ出版

しぶさんは未来から来ているような気がしますね。これからの社会はこうなっていくんだろうな、という予想をもとに生活している。

未来志向はありますね、たしかに。たとえば、ミニマリストのなかでも現金を持つ人と持たない人に分かれるんですが、僕は持たない派。なぜかというと、いま現金を持っているのに慣れていると、将来間違いなく、損をすると思うんです。この先、必ず現金がなくなる時代が来ますから。なぜ現金を持つかというと、カードや電子マネーは使いすぎが怖いとか、持っている感覚がないから使いづらいとか言いますけど、キャッシュレスの生活をしないで言っている。何事もやってみないとわからない。挑戦して何回も試さないと慣れないですよ。
僕は、現金はないほうが世界は幸せになると思う。レジがなくなるし、強盗もなくなる。衛生上もいい。明らかにないほうがいい。

新ブランド「ミニマルス」の第一弾も「財布じゃない財布」だそうですね。

スマホと一体化できるところがポイントでスマホさえ持てば外出できる。スマホで支払えるものも多いし、なくしてもGPSで追跡できる。これを実践的に使えるように、ミニマリストの目線で作り直したい。 ミニマリスト向けの商品も以前よりは増えてはきたんですが、もうちょっと尖らせた商品をつくっていきたいですね。

ミニマリストは意識的に選択肢を減らし、重要なことを尖らせていく。情報過多の時代に自分の人生を守るために必要なことですね。

インターネット、テレビ、いろんな人の価値観が勝手に入ってくる時代です。人がこうしているから私もこうしなきゃって自然と洗脳されやすい。モノだけでなく情報とどう向き合うかがすごく大事。そのときミニマリストの考え方が役に立つと思います。

ミニマリストしぶ(澁谷直人)

撮影:榊智朗

1995年生まれ。福岡県北九州市出身。ミニマリスト。超裕福な“マキシマリスト”の家庭で育つが、中学進学と同時に父親の自己破産で両親が離婚。毎日お金のことばかり考える思春期を過ごす。フリーターだった19歳のとき、一人暮らしを機に必要最小限の生活に目覚める。現在は、福岡にて家賃2万円生活費7万円で暮らす。またミニマリズムの魅力を広めることを目的に事業展開する「Minimalist」の代表を務める。自身の生活や考えをつづった超人気ブログ「ミニマリストしぶのブログ」は月間100万PVを超える。

ミニマリストしぶのブログ
https://sibu2.com/
Twitter
@SIBU__
Instagram
@minimalist_sibu

書籍情報

『手ぶらで生きる。見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法』

ミニマリストしぶ(著)
サンクチュアリ出版

お金、時間、人間関係……不安を手放し、自分の人生を取り戻すコツ。裕福な家庭で育った僕が、すべてを失って手に入れたもの。4畳半に住む、財布は持たない、冷蔵庫は持たない、「一日一食」で生活する、60万円以上は貯金しない。最小限のお金で生きて最大限の自由を手にする。月間100万PVの超人気ブロガーが教える、本当に豊かな人生を送るための「手ぶら」のススメ。