Interview

w-inds. セルフプロデュースアルバムは、3人の歴史の結晶体。3人が考える、最新の姿とは? 

w-inds. セルフプロデュースアルバムは、3人の歴史の結晶体。3人が考える、最新の姿とは? 

近年メンバーの橘慶太が作詞作曲プロデュースを担当した楽曲を前面に打ち出すようになり、大躍進中のw-inds.が、セルフプロデュースによるニューアルバム「100」をリリースした。今回は初めてアルバム全曲のプロデュースを慶太が担当。さらにミックスやレコーディングにも携わることで音質にもこだわり、そのうえ全曲のヴォーカル・ディレクションも務めることで、千葉涼平と緒方龍一の新しい歌声を引き出すことにも成功した力作となっている。慶太いわく、w-inds.としてのポップスを最優先して敢えて最先端を追わず、3人の感性とw-inds.の歴史の結晶体となることを意識してつくられた本作。仕上がりに対する手応えや本作での新しい試み、3人のお気に入り曲など、たっぷり語ってもらった。

取材・文 / 猪又孝 撮影 / 荻原大志


僕たちの歴史をこのアルバムに詰めるとしたら3人のプロデュースで出すというのがマストだと思っていて(慶太)

3人が中心となってつくりあげたアルバムがいよいよ完成しましたね。

龍一 楽しい制作でしたね。タイトなスケジュールな中、慶太を筆頭に制作陣含めて結構密に集中して作れたんじゃないかと思います。

涼平 今回は慶太が中心となって全曲制作してもらって1曲1曲楽しかったですね。慶太から上がってくる曲を聞いて、スタジオに入って固めて、レコーディングっていう。セッションじゃないけど3人でやりとりしながら作っていく感じがいつも以上に濃密で楽しかったです。

慶太くんがアルバム全曲プロデュースというのは実は初めてになります。

慶太 正直大変でしたね。今回の『100』というタイトルは(2018年末時点での)3人の年齢を足した数字なんですけど、僕たちの歴史をこのアルバムに詰めるとしたら3人のプロデュースで出すというのがマストだと思っていて。いちばん今のw-inds.らしい、今のw-inds.を乗せたものが仕上がったという実感があります。

今回はボーカル・プロデュースも全曲、慶太くんが務めていますが、そのレコーディング手法はどうでしたか?

龍一 現場自体はすごく楽しいし、外部の人間がいない分、緊張して身動きが取れないとか、そういうこともなくて。レコーディングの現場に第三者が入ることによって、自分たちの想像してない方向に進んで行っちゃうときも過去にはあったんですよ。どんどんどんどん事が動いて行っちゃって、「あれあれ? そっちに行っちゃうの? あれ? できちゃった?」みたいなのがレコーディングのマジックのひとつとしてある。でも、今回は慶太と一緒に3人でやって、悩んで止まることもなかったし、純粋にクリアなものがどんどん生まれていくのが単純に気持ちよかったですね。すごく有意義な時間でした。

その結果か、今回は3人の声の印象がずいぶん違いました。

涼平 確かに。言われてみれば、いつもより歌い方にこだわった印象が強いですね。慶太からもいろいろ言ってもらって、そこに対してチャレンジしていくっていうトライはかなりしたと思います。

龍一 声の質感や歌い方の部分は、かなり慶太が言ってくれた部分も大きいし。僕も慶太の要求に対して挑戦させてもらえた環境でした。

僕たちの曲が日本の次に聞かれているのが英語圏だったんですよ。それこそ香港も多かったし、台湾も多かったし(慶太)

今回は英語詞が多いことも特徴ですね。初のオール英語詞も2曲ありますが、なぜ英語詞を増やしたんですか?

慶太 サブスクを解禁して、再生数を見たら、僕たちの曲が日本の次に聞かれているのが英語圏だったんですよ。それこそ香港も多かったし、台湾も多かったし。だったら日本語じゃない曲があった方がもっと親近感が湧くかなと。で、英語が話せる作詞家さんに全部英語で歌詞を書いてもらって、2曲英語詞に作り直したんです。そういうところも今回のトライのひとつですね。

でも、英語詞を実際に歌うとなると想像とは違ってくるのでは?

慶太 そう。メッチャムズいっす。

涼平 かなり大変だった記憶があるな。

龍一 でも話すよりは歌の方がまだ……。

慶太 いやいやいや。歌の方が難しいよ。

龍一 そう?

龍一くんにとっては英語詞なんて余裕だ、っていうことですか?(笑)

龍一 いや、そんなことはないんですけど。僕のパートは2、3行なんで。そこだけに集中すれば良かったんですけど(笑)。

w-inds.らしいポップスを提示したいなとみんなで話してたんです(慶太)

今回のアルバムは、サウンド面ではどんな感じをめざしたんですか?

慶太 前の「INVISIBLE」とか「BLUE BLOOD」はコンセプトが強かったんで、今回はコンセプトに囚われず、ジャンルレスなものをつくって、さらにそこにポップスの要素を入れるという意識はありました。それはメロディーとかの部分なんですけど、J-POPとまでは行かないけど、w-inds.らしいポップスを提示したいなとみんなで話してたんです。

近年のシングルの流れを考えると、もっと先鋭的で、アンダーグラウンドで、トレンドを意識したもの、ヒップホップ寄りのアプローチでくるかなと予想していたんです。だけど、フタを開けてみたらヒップホップというよりは四つ打ちやファンクが多いし、メロディーもキャッチーなものが多かった。

慶太 今回は自分たちの歴史をつめこむというテーマがあったんで、ポップスさはハズせなくて。今回は初めてアルバムタイトルから決めたんですけど、そのタイトルになるまでは、実際、アンビエントなR&Bやヒップホップをやりたいと思ってたんです。言ったら、そっちが今のトレンドだから。

Trapとかね。

慶太 そう。だけど、ぶっちゃけた話、日本のメインストリームでTrapが受け入れられる気はしなくて。あと、w-inds.でTrapをやってるイメージが湧かなかったんですよね。だから、日本で受け入れられる限界を狙いつつ、その上でw-inds.の歴史を考えるとポップスさはハズせないなと。トレンドをずっと追いかけてきたんですけど、今回はメロディーのキャッチーさとか、そこに比重を置いてましたね。

とはいえ、今回は慶太くんがレコーディングやミックスを担当する曲もあるから、音の鳴り方には、やはり強いこだわりがあったんじゃないですか?

慶太 そういう部分でいちばんこだわったのは、サブスクでの音の鳴り方が良くなるようにって。それこそSpotifyとかはラウドネス値の規制があるんで、それを自分で計算しながら録ったり。マスタリングエンジニアにもそこを注意してくださいってお願いしました。

マスタリングエンジニアにも、ケンドリック・ラマーの『DAMN』やSZAの『Ctrl』を手掛けてるMike Bozziという大物を起用していますね。

慶太 それも僕から名前を挙げさせてもらったんですけど、どういうことをやってるか知りたくて。ミックスが終わった後にセッションのバックアップファイルをくれるんで、彼がやってることを全部確認して「ほぉ、ほぉ、ほぉ」って。

テクニックを研究すると。

慶太 そう。けど、要は盗っ人です(笑)。

リード曲の「Temporary」は、どういうイメージで作ったんですか?

慶太 最近のw-inds.が評価を受けてきたEDMのジャンルで、日本特有の奥ゆかしさとかを採り入れたいなと思って作っていきました。

切なくて感傷的でメランコリックで、っていう。

慶太 そうです、そうです。

龍一 ただ、最初、本人はあまりこの曲をやりたがってなくて。

慶太 そうなんですよ。なんか古いなと思って、自分の中では。

EDMは最先端のトレンドではないから。

龍一 でも、まだEDMは世界的DJがいちばん盛り上がるところでかけるし、本人たちがどう思ってるかはわからないけど、ユーザーがいちばん盛り上がるトラックってあるやん?って。「Temporary」は確実にその立ち位置の強さを持ってるし、スタッフ含めて俺ら二人はメッチャ良いと思うよって伝えたところ、じゃあw-inds.でやろうかって思い直してくれて。

慶太くんにしてみれば、作り手のエゴとリスナーが求めるものとの板挟みに悩まされたと。

慶太 それです。だから、周りにアンケート取ったんですよ。それこそ今のR&Bとかが好きなスタイリストとかに「これ、どう思う?」って。そしたら「全然良いと思います」って答えが返ってきて、「音楽好きで、まだいいと思うんだったら、イケるね」って(笑)。

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