LIVE SHUTTLE  vol. 277

Report

山口洋、仲井戸麗市、矢井田瞳、大宮エリー 「いったいなにができるだろう、ともだちとして」その問い掛けの先に宿る祈りと光、響き合う4つの魂

山口洋、仲井戸麗市、矢井田瞳、大宮エリー 「いったいなにができるだろう、ともだちとして」その問い掛けの先に宿る祈りと光、響き合う4つの魂

アンコールは、エリーが描き下ろしたMLIMMオリジナルTシャツを身につけた4人が横一列に並んで、まず「My Sweet Darlin’」。矢井田はギターをあえて持たずヴォーカルに徹し、エリーは「一曲一曲死ぬ気でやってますからね」という言葉のとおり、集中してヴァイオリンを奏で、両脇をCHABOと山口のギターがガッチリ固める。
ステージとフロアが一体になった熱気が渦巻く中、CHABOが小さなエレキギターに持ち替えて「オモチャのエレキだ。この4人でこの曲やるぞー!」。
矢井田が「オッケー、CHABO!!」と叫ぶと同時に、おなじみのリフが鳴って「雨あがりの夜空に」。女子チームはマラカス隊、山口はグレッチに持ち替えて、学園祭ファイナルの眩さと瑞々しさでロック史上に輝く名曲を演奏する。

ロックはティーンエイジャーだけのものじゃない。大人になることは何かを失うことじゃない。大人になるということは、優しくなること。少年少女の心の上に、失敗を重ね、痛みを知り、知恵と勇気を身につけて、世界をつくる一員になること。

この日、4人が奏でた「雨あがりの夜空に」は、この世界をあきらめない決意と祈りに溢れて、梅雨明けの真夏日以上の光と熱で会場を覆い尽くした。
そして「満月の夕」。山口と矢井田が交互にヴォーカルをとり、エリーは浄化のヴァイオリンを奏で、CHABOのギターが存在の根源的な哀しみを響かせる。天の歌を地上に降ろすような矢井田の声。何度も、何人もに歌われてきたこの曲が、この日、また新たな聖性を放って響いた。

「いまから4人で新たな風景を描くので、みんな持って帰って、それを大切にしてください」
山口のMCに続いてエリーが自作の詩を朗読する。

水臭いじゃないか
頼っておくれよ
寂しい時
孤独な時
一人でいたくない時
遠慮なく呼び出してくれよ
SOSのサインは
LINEのスタンプいっこ
電話のワン切りでいいぜ

水臭いじゃないか
知ってるかい?
友達ってさ
迷惑かけて
かけられて
友達になるんだぜ
かけてほしいな
君と友達になりたいから

続いてCHABOも「友達」を問う詩を朗読。
友達に理由や資格は必要ない。
誰かのために、何を差し出せるのか。
その逡巡、行動こそが「友達」だということ。
そんなメッセージが、心のいちばん深いところに刺さる。

最後は全員で「You’ve Got A Friend」。

♪誰かが誰かを呼ぶ
そばにいてほしくて
それに応えて すぐに とんでいけるだろうか
春夏秋冬 誰かが誰かを呼ぶ
いったいなにができるだろう ともだちとして

気づくと、隣で涙を拭う仕草が見えた。右斜め前の男性も、左斜め前の女性も。それぞれが「誰か」を想い、自分と誰かの間に橋を架けている。
想うだけじゃなく、すぐにとんでいける自分であるだろうか。
確かな想い、祈り、風景が、会場全体を静かに満たしていく。

4人が去った後、ぽっかり空いたステージには不思議な明るさが残っていて、フロアを埋め尽くすオーディエンスはじっとそれを見つめ続けていた。
誰もその場を立ち去ることなく、拍手をやめることもなく。
受け取った風景を、それぞれの胸に焼き付けるように。

これまでのMLIMMの中でも、最も客席とステージが水平で親密だったこの夜。
それは、このプロジェクトのひとつの変化の兆しかもしれない。支援する側・される側を超えて、他者を想い、自分になにができるのかを問う活動への。
逡巡も、葛藤も、終わらない旅の途中にあるクロスロード。
どっちの道を選んでも、正解も近道もないはずだ。旅を続ける限り。
それはいつか記憶の檻に、心地よい風を運ぶかもしれない。

8月11日、仲井戸麗市、山口洋、細海魚、大宮エリーの4人は、再びMLIMMとして“RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO”のステージに立つ。
新たな旅は、もう始まっている。

MY LIFE IS MY MESSAGE 2018 You’ve Got A Friend
矢井田瞳×大宮エリー、山口洋(HEATWAVE)×仲井戸“CHABO”麗市
2018年6月29日@下北沢GARDEN SET LIST

[1部]矢井田瞳×大宮エリー
01. Ring my bell
02. 「夕日を見る人々」朗読
03. MOON
04. 「孤独について」朗読
05. Circle
06. 「友達の定義」朗読・歌唱

[2部]山口洋×仲井戸“CHABO”麗市
01. サイクリング
02. TOMORROW
03. Going Going Gone
04. 遠い声
05. Who’ll stop the rain
06. 明日のために靴を磨こう

EN1.My Sweet Darlin’
EN2.雨あがりの夜空に
EN3.満月の夕
朗読(大宮エリー、仲井戸“CHABO”麗市)
EN4.You’ve got a friend

ライブ情報
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2018 in EZO

MY LIFE IS MY MESSAGE(山口洋・仲井戸麗市・細海魚・大宮エリー)として出演
出演日:8月11日(土)
場所:石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
出演ステージ:BOHEMIAN GARDEN
「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2018 in EZO」オフィシャルサイト

MY LIFE IS MY MESSAGE

東日本大震災直後の2011年4月に、福島県相馬市の人たちとともに、街の復興を目的として立ち上げた有志の集まり。MUSIC ACTIONとして2011年6月より、山口洋(HEATWAVE)を中心に、仲井戸“CHABO”麗市、矢井田瞳ら、趣旨に賛同する多くのミュージシャンとともに、数多くのライブを行ってきた。全国各地のフェスにもミュージシャン有志として出演している。2016年から2017年にかけては、音楽を通じて、2016年4月の大地震で被災した熊本と福島、そして全国をつなぐラジオ番組「MY LIFE IS MY MESSAGE Radio」をエフエム熊本でオンエア。
「MY LIFE IS MYMESSAGE」オフィシャルサイト

矢井田瞳

1978年、大阪府生まれ大阪育ち。2000年5月にインディーレーベル「青空レコード」より「Howling」でデビュー。同年7月にマキシ・シングル「B’coz I Love You」でメジャーデビューを果たし、1stアルバム『daiya-monde』はアルバムチャート初登場1位を獲得。現在までに10枚のフル・アルバム、1枚のミニ・アルバム、21枚(インディーズを除く)のシングルをリリース。 2016年3月にはデビュー15周年記念アルバム『TIME CLIP』を、12月にはLIVE Blu-ray『矢井田瞳 LIVE TOUR “15” COMPLETE EDITION』をリリース。この夏は7月と8月に“Summer Live 2018 〜alive〜”と題し、東京と大阪でそれぞれ2デイズのライブを予定している。
矢井田瞳オフィシャルサイト

大宮エリー

1975年、大阪府生まれ。作家・演出家・画家・ラジオパーソナリティ・CMディレクターなど多岐にわたって活躍。広告代理店勤務を経て、2006年に独立。同年、映画『海でのはなし。』で映画監督デビュー。脚本や演出で手がけたテレビ番組は『サラリーマンNEO』(NHK)、『the波乗りレストラン』(NTV)、『三毛猫ホームズの推理』(NTV)等多数。主な著書に『生きるコント』(文春文庫刊)、『思いを伝えるということ』(文春文庫刊)、『なんとか生きてますッ』(毎日新聞社刊)がある。ミュージックビデオや作詞、ライブ演出、DVD映像ディレクターを手がけるなど、ミュージシャンからの信頼も厚い。
大宮エリーオフィシャルサイト

仲井戸麗市

1950年、東京都生まれ。1970年、古井戸としてデビュー。1979年忌野清志郎が率いるRC サクセションにギターリストとして加入。1985年に初のソロ・アルバム『THE仲井戸麗市BOOK』を発表。1990年RC サクセション無期限活動停止を機に本格的なソロ活動を展開。1991年ギターリスト土屋公平((ex)The Street Sliders)とのユニット麗蘭を結成。今年の夏は、“RISING SUN ROCK FESTIVAL”をはじめ、7月27日には“FUJI ROCK FESTIVAL”に「ROUTE 17 Rock’n Roll ORCHESTRA」として、8月4日には“オハラ☆ブレイク”に中村達也、梅津和時とともに出演。精力的なライブ活動を行っている。
仲井戸麗市オフィシャルサイト

山口洋

1963年、福岡県生まれ。1979年に結成したHEATWAVEのフロントマン。1990年、アルバム『柱』でメジャー・デビュー。1995年のアルバム『1995』には、阪神・淡路大震災後に作られた「満月の夕」が収録され、多くのミュージシャン、幅広い世代に歌い継がれている。2018年4月から池畑潤二(Drums)、細海魚(Keyboard)と新生HEATWAVEとしての活動を開始した。7月13日には藤井一彦(THE GROOVERS)と“OUR SONGS 2018”として共演。リクエストで構成されるソロ・ツアーも行っている。2枚組セルフカバーアルバム『YOUR SONGS』、ライブアルバム『OFFICIAL BOOTLEG #005 171222』が好評発売中。
HEATWAVEオフィシャルサイト

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