Interview

太田基裕&中屋敷法仁が野田戯曲に挑む! 『半神』という作品が持つ魔力、新たなカンパニーで放つ魅力、ふたりが感じている今の想いとは?

太田基裕&中屋敷法仁が野田戯曲に挑む! 『半神』という作品が持つ魔力、新たなカンパニーで放つ魅力、ふたりが感じている今の想いとは?

役と向き合う作業、脚本を書いている間。それぞれの孤独

おふたりも孤独を感じるときがありますか?

中屋敷 僕はもう孤独が大嫌いで。ひとりになりたいって思ったことが一回もないんですよ。そもそも僕は人生で一人暮らしをした経験が一度もなくて。実家にいた頃は姉がいて、上京したら男子寮で二人部屋。その後も友達の家に転がり込んで、そのまま結婚したんで。

太田 え~! 意外。好きそうですけどね。

中屋敷 絶対嫌だ(笑)。

太田 じゃあ、地方公演でホテルに泊まるとき、ひとりで過ごすのは寂しくて仕方がない感じですか?

中屋敷 そう。だから絶対誰かの部屋に行ったりする。

太田 それは孤独が怖いからですか?

中屋敷 孤独を感じるのが嫌なんだろね、きっと。だから誰かといないと嫌だなって。もっくんはどう?

太田 僕は、孤独は……嫌だけど、好きかな。性格的に孤独と向き合う時間のほうが何か発見があるのかもって思っちゃうタイプというか。それに結局どこか人は孤独だと思っていたりもするので。寂しいんだけど、結構好きみたいなところはあるかもしれない。

どんなときに孤独を感じますか?

太田 それこそ稽古場にいるときは孤独ですよね。もちろんお芝居はみんなでつくるものなんですけど、役と向き合う作業はやっぱり孤独です。ちゃんと自分から向き合っていかないといけないし、苦しい苦しいって言いながらやってます(笑)。

中屋敷 そこで言うと、僕は脚本を書いている間が唯一孤独な時間。だから一番苦手で。できるかぎりその時間を減らしたいから、すごいスピードで書きます(笑)。

演出家は孤独、ともよく聞きますが。

中屋敷 僕に関してはそれはいっさい思わないです。稽古場に行けば俳優もいるし、スタッフもいる。演出家ほど味方のいるポジションはないですから。

太田 じゃあ、脚本を書いているときが一番つらいですか?

中屋敷 孤独という意味では、苦痛だね。これを書き終えたら現場に行けるとか、そういう妄想を必死に働かせて書いてる(笑)。

太田 うわー見てみたいなあ、やしき(中屋敷)さんが書いているところ(笑)。

夢か幻か現実かもわからない世界を行き来するところにロマンがある

間もなく本番ですが、『半神』という作品ファンの中には、中屋敷さんがどういう『半神』をつくり上げるのか、期待と不安の目で見ている人もいると思います。そんな方たちに何と伝えたいですか?

中屋敷 シェイクスピアをどんなアレンジで上演しても、結局シェイクスピアのすごさが証明されるだけのように、野田秀樹さんの作品も僕ごときが演出したところで、新しい『半神』だとはならないと思うんですね。結局は野田秀樹さんの言葉のすごさや描いていたもののすごさに行き着くことになるはず。だから僕たちとしても野田さんを超えるぞなんて変な力を入れずに、純粋に野田戯曲の楽しさやさらなる可能性を探っていきたいな、と。もちろんカンパニーが違うので、違う形にはなると思いますが、野田作品の真の魅力に迫るという意味では何も変わらない。安心して楽しんでいただければ。

太田さんのファンの方は、野田作品を経験したことがない人も多いと思います。おそらく難解とか高尚なイメージが先行していると思いますが、そういった方に向けてぜひメッセージをお願いします。

太田 もちろん野田さんというすごい方の作品ではあるんですけど、それとは別に、観る人には誰の作品とか関係なく、単純にお芝居を観て何かを感じてもらえればいいなと思っていて。さっきお話しした孤独のことだとか、いろんなメッセージが詰まった作品なので、ぜひそのあたりがお客さんに伝わるよう、ここから稽古でもっと深めていきたいです。

中屋敷 たぶん野田秀樹さんのファンの方たちもみんながみんな作品を理解したり共感しているわけではないと思うんですよね。野田さんの作品には、わからないからって頭でっかちになるようなところがなくて。むしろわからないのに頭が軽くなるような、爽快な難解さがあって、それが持ち味だと思うので。なんだかわからないけど、新しい自分の感情に出会える瞬間が、きっとある。楽しいのか楽しくないのか、それさえもよくわからない感覚を体験して欲しいなと思います。

太田 それが人間らしさなのかなっていう気もしますよね。これは夢なのか幻なのか現実なのか。それさえもわからないところをシュラとマリアは行き来する。そこにロマンがあるんですよね。劇中の台詞にも出てきますが、まさに四次元と五次元の間というか。子供にしか見えない、大人になったら味わえないような、美しさや素晴らしさが詰まった瞬間が散りばめられている。この、言葉では言い尽くせない世界を、多くの人に楽しんで欲しいです。

舞台『半神』

〈東京公演〉2018年7月11日(水)~7月16日(月・祝)天王洲 銀河劇場
〈大阪公演〉2018年7月19日(木)〜7月22日(日)松下IMPホール

原作・脚本:萩尾望都
脚本:野田秀樹
演出:中屋敷法仁

出演:
シュラ 役:桜井玲香
マリア 役:藤間爽子

先生 役:太田基裕

母 役:七味まゆ味
ユニコーン 役:永島敬三
スフィンクス 役:牧田哲也
ハーピー 役:加藤ひろたか
右子/ガブリエル 役:田中穂先
左子/マーメイド役:淺場万矢
ゲーリューオーン 役:とよだ恭兵
村松洸希
齋藤明里
エリザベス・マリー

父 役:福田転球
老数学者/老ドクター 役:松村 武

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太田基裕(おおた・もとひろ)

1987年1月19日生まれ、東京都出身。2009年にミュージカル『テニスの王子様』(伊武深司 役)で初舞台。以降、中屋敷が演出を手がける舞台『黒子のバスケ』(花宮 真 役)、舞台『弱虫ペダル』(今泉俊輔 役)、ミュージカル『刀剣乱舞』(千子村正 役)など人気の2.5次元作品をはじめ、話題のミュージカル作品に多数出演。近年の出演作品には、ミュージカル『アメリ』、『Romale(ロマーレ)〜ロマを生き抜いた女 カルメン〜』、『手紙』(主演)、『スカーレット・ピンパーネル』、『ジャージー・ボーイズ』などがある。

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中屋敷法仁(なかやしき・のりひと)

1984年生まれ、青森県出身。高校在学中に発表した『贋作マクベス』にて、第49回全国高等学校演劇大会・最優秀創作脚本賞を受賞。青山学院大学在学中に「柿喰う客」を旗揚げ、2006年に劇団化。旗揚げ以降、すべての作品の作・演出を手がける。近年では、外部プロデュース作品も多数演出。劇団公演以外の主な作品に『露出狂』(作・演出/16)、ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』(脚本/16)、舞台『黒子のバスケ』(脚本・演出/16・17・18)、『サクラパパオー』(演出/17)、舞台『文豪ストレイドッグス』(演出/17-18)などがある。演出を手がける舞台『文豪ストレイドッグス 黒の時代』は9月〜上演。

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関連書籍:萩尾望都『半神』
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