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懐かしい田園風景を一人称視点で歩くゲーム『NOSTALGIC TRAIN』とは?

懐かしい田園風景を一人称視点で歩くゲーム『NOSTALGIC TRAIN』とは?

自分のほかには誰ひとり存在しない不思議な世界。その美しい景色に包まれながら光を追っていくと、その光のあるポイントで起こった過去の映像が主人公に見え、追体験することができます。田舎の河原で起こった痛ましい事故の話、全てを失った男の話、小さな町に流れ着いた小瓶の話、そのほか、たくさんの出来事がこの小さな町で起こりました。これはいつの時代なのか、全ては関係のある話なのか、そもそもなぜ自分はこの光を見ることができるのか。バラバラに散らばったパズルのピースをひたすら集めて体験していくと、その先にはあっと驚く結末が待っています。そして、あの赤い電車がなぜタイトルになっているのかという意味にも気づくはずです。前半は、田舎で起こったエピソードがとりとめもなく語られているように感じるのですが、終盤、一見バラバラに見えるピースがエンディングに向かってカチカチとはまっていく感覚に筆者はワッと鳥肌が立ち、一刻も早く先の展開を知りたくて夢中で光を追いかけました。

▲ゲーム開始直後の何気ない主人公のセリフですが……実はすごく大事な問いかけだったんですよね……

夏霧のマップは決して広いとは言えませんが、鉄道模型のジオラマセットのように面白みがギュッと凝縮されていて、ストーリーモードをプレイするうえではかえって良い効果を生んでいると感じます。広すぎるマップだと移動に時間がかかってしまい、ストーリーを追う気分も間延びしてしまうかもしれません。そう考えると、これがベストな広さでしょう。また、ストーリーモードのプレイ時間はテキストを読む速さなどにもよりますが、ゆっくり楽しんでも3~4時間程度。テキストを読むのが早い方なら、もっと早くエンディングまでたどり着くかもしれません。これまたベストな長さではないでしょうか。

人生はうまくいくことばかりではないし、綺麗に収まるハッピーエンドなんて現実にはほとんどないけれど、それでも時間は過ぎていくし、人は生きていく。それに人生はそう捨てたものではない……そんなやさしいメッセージに満ちた物語を、存分に堪能できました。

▲ストーリーモードで見つけたお気に入りの場所をじっくり堪能しちゃいますよ!

さあ、ストーリーモードを終えた切ない余韻を残しながら、次はフリーモードを楽しむことにします。フリーモードはその名のとおり、この夏霧の町を自由に散策するだけのモード。しかし、一度ストーリーモードで歩き回った場所とはいえ、情報量が密に詰まったこのマップには、まだまだ気になるポイントがたくさんあったのです。そこをじっくり見て回ろうと思います。

▲そう、この構図をゆっくり見たかったんです。実際には体験できない、線路の上を歩いて進むこともできます

▲電車に乗っているときに“Y”ボタンを押すと、なんと運転席視点を体験することができます!

運転席視点は実にいい機能です。心地よい速さで流れる田園風景をボーッと眺めて十数分……なんてことも。線路は円になっていて、電車はトンネルを抜けるとまた元の駅に戻ってきます。実は、駅で停車中に車内から運転席の扉の前に立つと、本当に簡単に運転できるモードにも入れるんですよ。

筆者の実家は都心の住宅街なので、こんな自然いっぱいの風景のなかで育った記憶はないはずなのに、「ただいま!」と思わず言いたくなるような懐かしさ。この、体験していないのに懐かしい感じって、いったい何なのでしょうね。心の奥底にある郷愁のスイッチを押してくれる風景です。

▲小さな駅舎にも歴史があります

フリーモードのもうひとつの楽しみは、昭和中期以前の文化や夏霧の歴史を記した“夏霧メモ”を読むこと。フィールドのあちこちにちりばめられていて、夏霧の臨場感を高める効果があるとともに、ストーリーモードの副読本としても機能しています。 夏霧メモを読んで知識が得られると、またストーリーモードで物語を読み返したくなるのです。

▲物語に関係する、昭和の風俗についても知ることができます

海外のプレイヤーからは「ノスタルジックな“日本の夏休み”のすばらしい表現である」、「愛をもって作られた精巧なレクリエーション」、「私は日本に15回旅行していて、東京のような都市に魅了されていますが、この日本の最も小さな農村にも心から惹かれています。ストーリーモードは、詩と過去の思い出の間にあるような感覚で、単なる物語にとどまりません」と、高い評価を得ています。日本で暮らす私たちよりも日本の農村の原風景に馴染みのないはずの彼らが、この景色から感じるものには、興味を惹かれますね。

7月上旬を予定しているアップデートでは、ユーザーからの要望が多かったオプションの拡充が行われます。天候の種類(現在フリーモードで表示されるのは、晴れた日の昼間と霧の天候のみ)やチャプターを選択できるほか、マウス感度の調整・反転の設定など、よりユーザーの快適度を追求する仕様の実装です。次回は、この美しいオープンワールドで筆者が見つけた楽しみかたを中心にお伝えしていきながら、アップデート後の仕様についても触れていこうと思います。発売後も発展を続ける『NOSTALGIC TRAIN』、今後も目が離せません!

フォトギャラリー

■タイトル:NOSTALGIC TRAIN
■メーカー:Tatamibeya 畳部屋
■対応ハード:PC
■ジャンル:アドベンチャー
■発売日:発売中(2018年6月13日)
■価格:2,000円(税込)


『NOSTALGIC TRAIN』オフィシャルサイト
https://store.steampowered.com/app/801260/NOSTALGIC_TRAIN/

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