Interview

『ガンゲイル・オンライン』世界の匿名感と希望を歌にこめて。19歳のシンガー・ReoNaが語った“アニメ劇中アーティスト”というあり方

『ガンゲイル・オンライン』世界の匿名感と希望を歌にこめて。19歳のシンガー・ReoNaが語った“アニメ劇中アーティスト”というあり方

人気作『ソードアート・オンライン(以下、SAO)』のスピンオフ作品にして、魅力的なオリジナルキャラクターや白熱のガンアクションで人気を集めた2018年春クールのTVアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン(以下、GGO)』。その劇中歌をまとめた神崎エルザ starring ReoNaのミニアルバム『ELZA』がリリースされた。神崎エルザとは『GGO』の劇中に登場する人気アーティストのことで、その歌唱を担当するのが、8月にソロデビューも決定している弱冠19歳の新人シンガー・ReoNa(レオナ)だ。彼女がエルザの楽曲と歌に込めた想いについて語ってもらった。

取材・文 / 北野 創


神崎エルザは私だけじゃなくて、“私たち”に似てると思うんです

神崎エルザの歌唱を担当することが決まったときのお気持ちは、いかがでしたか?

ReoNa 『SAO』のことはもちろん知ってましたし、アニメも観てたのでまさかと思いました。私のいとこがアメリカに住んでるんですけど、この間アニメのイベントに行ってきたらしくて、アスナのコスプレイヤーさんと撮った写真を送ってきたんですよ(笑)。それぐらい有名な『SAO』のスピンオフ作品で私が歌唱で携わらせていただけるなんて思ってもみなかったので、最初にお話を聞いたときは「テッテレー」とかいって“ドッキリ大成功!”の看板を持った人が出てくるんじゃないかと思って(笑)。原作者の時雨沢恵一先生が私のライブを観に来てくださって、ようやく実感できました。

神崎エルザとして歌うにあたって、特別に意識したことは?

ReoNa どちらかと言うと、普段の歌い方と変えないようには意識しました。原作では神崎エルザの声についての描写があまりないので、アニメサイドからも「私が思った通りに歌ったものそのままで良い」というお話をいただきまして、キャラクターを演じて歌うというよりも、自分らしく歌う気持ちのほうが強かったです。

ReoNaさんご自身が思う“自分らしい歌”とはどんなものでしょう?

ReoNa これは私の人となりの話になるんですけど、自分の中には仄暗いところがたくさんあって、コンプレックスや後ろ向きな部分、人前で大手を振って歩けない気持ちがすごくあるんです。だからこそ、自分に似た人たちの気持ちに寄り添えるような歌をうたいたいと思ってて。「私も頑張るからみんなも頑張ろう」ではなくて、良い意味で背中を押さない歌、疲れたときに疲れたなって思うための歌、みたいな理想はありますね。

自分の気持ちを一方的に押し付けるのではなく、似た気持ちを持った人が共感を覚える歌というか。

ReoNa 私は共感がいちばんの癒しになると思ってて。特に誰かにわかってもらえることは、それだけでエネルギーになるじゃないですか。私の中には、わかってもらいたいけどわかってもらえないことがあるし、きっとみんなの中にもそういう気持ちがあると思うんです。そういうわかってもらえない者同士で一緒にいようよっていう歌が歌いたいんです。

今回の神崎エルザの曲も、誰かを応援するタイプの歌詞ではありませんよね。

ReoNa 私が歌いたいことと似てるというか「わかる!」と思う部分で、「こういう言葉をかけてほしい」と思う言葉がふんだんに入っています。神崎エルザは私だけじゃなくて、“私たち”に似てると思うんです。みんなゲームの中の自分と普段の自分は違うじゃないですか。それこそツイッターひとつ取っても、会社の人に隠れてやってる人もいるし。そういう匿名性みたいなものに対する反発心みたいなものが、エルザの曲にはすごく入ってると思うので、みんなに共感してもらえる歌詞だと思います。

どれだけ明るく歌おうとしても、明るくなりきれない。それが私の歌の特徴のひとつだなって

神崎エルザ starring ReoNaとして世に出た最初の楽曲「ピルグリム」は、「巡礼者・旅人」という意味のタイトルにも表れてるように、未知の世界に踏み出す覚悟の気持ちが描かれたナンバーです。

ReoNa でも、前向きなのか後ろ向きなのかよくわからない感じがエルザっぽいですよね。“いつしか太陽だって消え去ってしまうから 燃え尽きてみよう”というフレーズもすごく振り切れてて。この曲は歌うのがすごく難しくて、一度歌い直したんです。2回目のレコーディングでは、緊張してるなか、すごく体力を消費しながらもなんとか歌を録って。いろんな人に支えられてることをいちばん感じた曲かもしれないです。

「step, step」はムソルグスキー「展覧会の絵」のメロディーがモチーフになっていて、原作小説に書かれていた「神崎エルザはクラシックの名曲をアレンジした曲を歌ってる」という設定にも忠実に作られてます。

ReoNa この曲はエルザの曲のなかでいちばん明るくて、「週末のショッピングモールで流れてそうな有名アーティストの新曲」というイメージで作られたものなんです。エルザは『GGO』の世界ではそういう存在なんですよね。なので、私も明るく、かわいらしく歌うように意識しました。みんなが聴いたことのあるようなメロディーが入ってるし、歌ってて楽しかったです。

たしかに他の曲と比べて華やかな歌声ですが、どこか切ない雰囲気も感じます。

ReoNa 私はどれだけ明るく歌おうとしても、明るくなりきれないんです。自分ではせいいっぱい明るく歌ったつもりでも、後で聴き返すと「あれ?」って思うことがあって。それが私の歌の特徴のひとつだと思います。

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