Interview

『BLEACH』で邂逅をはたした福士蒼汰と[ALEXANDROS]川上洋平。 それぞれの立場から探る、表現の可能性。

『BLEACH』で邂逅をはたした福士蒼汰と[ALEXANDROS]川上洋平。 それぞれの立場から探る、表現の可能性。

死神の力を譲り受けしヒーロー、人間の魂を喰らう悪霊・虚〈ホロウ〉と戦う! 人の世と死神たちの住む尸魂界(ソウル・ソサエティ)を舞台に、宿命を背負った者たちが死闘を繰り広げる〝少年ジャンプ・コミック〟の金字塔『BLEACH』が、「GANTZ」シリーズや『いぬやしき』の佐藤信介監督の手によって、待望の実写化を果たした。

その主人公・黒崎一護に配されたのは、「主演俳優としての貫禄が出てきたように感じる」と、主題歌と挿入歌を手がけた人気バンド[ALEXANDROS]のフロントマン・川上洋平も絶賛する福士蒼汰。対談では、お互いの表現に対する感想をはじめ、さまざまな話題に及んだ。

取材・文 / 平田真人 撮影 / 増永彩子

 [ALEXANDROS]の楽曲が持つパワーが、一護たちを『BLEACH』の世界観に立たせてくれたと同時に、勢いや疾走感を増してくれた。(福士)

川上さんは毎年「カワカミー賞」を選ぶほどの映画好きで知られていますが、まずは『BLEACH』本編をどのようにご覧になったのかをお話していただければと思います。

川上 いやぁ、もう「カワカミー賞」の作品賞&主演男優賞ですよ。本当に主人公らしい主人公が誕生したな、と思いました。一護のちょっとヤンチャな部分だったり、男子の中に宿る〝少年の心〟をくすぐられるキャラクターがバンッと前に出ている映画って、意外となかったような気がしていて。『アベンジャーズ』みたいに、みんなが主人公といった側面もありますけど、ドンと真ん中に黒崎一護がいて、コイツを頼りに物語が軸となって進んでいく感じが、単純に見ていて気持ちよかったです。そういう意味では主人公がすごく立っている映画が生まれたんだな、と感じました。

福士さん、最上級の賛辞が寄せられていますが…。

福士 そんなに褒めていただくと、今後のハードルが上がってしまいそうで、逆にちょっとプレッシャーです(笑)。でも、[ALEXANDROS]さんの楽曲の持つパワーが、一護や登場人物たちを『BLEACH』の世界観の中で立たせてくれたところがあると思いますし、勢いや疾走感を増してくれたようにも感じていて。何より、「絶対に負けねえ!」「がむしゃら」といった、『BLEACH』という作品と一護というキャラクターに宿っている〝魂(ソウル)〟に火をつけてくれたような気がしているんです。

一護がまた、ロック好きというキャラクター設定もあって、[ALEXANDROS]のギターサウンドとの親和性が高いのかな、という印象を抱きました。サウンド面からのアプローチにおいて、そういったイメージもあったのでしょうか?

川上 やっぱりキャラクターが立っている映画って、そのキャラを支えるテーマ曲があったりするじゃないですか。『ミッション:インポッシブル』だったり、『セブン』だったり…日本映画で言うと、『踊る大捜査線』だったり。なので、「このキャラクターが登場した時、この曲が流れる」といったテーマソングが、この『BLEACH』という映画のど真ん中に君臨している主人公の一護にも絶対に必要だな、と僕は思っていたんです。だから、佐藤(信介)監督が「主題歌だけじゃなくて、挿入歌のような曲もあるといいな、と思っているんですよ」と、おっしゃった時、まさに自分たちがやりたいと思っていたことと一緒だったので、もしかして思いが通じたのかな、なんて思ったりもしました(笑)。

佐藤監督が念を読みとったのかもしれませんね(笑)。ちなみに、福士さんは[ALEXANDROS]の楽曲全般に対して、どのような印象をお持ちですか?

福士 何年か前、夜テレビをつけていたら、何かのフェスの映像が流れていたんです。その時、[ALEXANDROS]さんが演奏していらっしゃるのを初めて見て、「わ、こんなにクールなバンドが今の音楽シーンにはいるんだ」と思ったのが第一印象です。自分はそんなに音楽に造詣が深いわけじゃないんですが、ビビッときて気に留めていたら、しばらくして『ワタリドリ』が大ヒットして。あの曲を聴いた時は、まさに衝撃的でした。姉が「最近、いい曲があるんだよ」と『ワタリドリ』を教えてくれたんですが、すでに自分も知ってて、「あ、これ[ALEXANDROS]の曲でしょ!」って、2人ですごく盛り上がって(笑)。しかも、キーがものすごく高いから、カラオケで歌うのは困難じゃないですか。そういった面もふくめて、リスペクトが増していって。ミュージックビデオも何回も観ましたし、今でもちょっと気持ちを高めたい時には聴いています。舞台の公演中によく聴いていて、テンションを上げていました。

川上 そんなに聴き込んでくださっているなんて光栄です。僕も福士さんの主演されている作品、映画よりもドラマの方が多いんですけど、結構見させてもらっています。上から言うわけじゃないんですけど、ここ数年は特に主演俳優としての貫禄が出てきたように感じますし、『BLEACH』で確信したのが、「主演といえば福士蒼汰だよね」といった感じで、主人公を担える役者さんなんだなと、いち映画ファンとして頼もしく思いました。しかも、日本だけにとどまらず海外でも通用する、と力強く感じられる一作になったのではないかな、と。

福士さんは語学も堪能でいらっしゃいますしね。

川上 そうなんですよね。

福士 いえいえ、まだまだ勉強中です。川上さんに英語を教えていただきたいくらいです。 

川上 海外で生活していたことがあるんでしたっけ?

福士 ないんです。英語という言語が好きで、個人的に勉強してきただけなので、もっと生きた英語を話せるようになりたくて。

川上 そうなんだ。英語をマスターしたら、ハリウッドへ行ってほしいですね、ぜひ。

福士さんは海外の映画祭のメディア対応で、英語やイタリア語を話されていましたよね。

福士 そうなんです、ローマの映画祭でイタリア語を話したんですけど、その時はさすがに時間がなくて丸暗記しました(笑)。

川上 それでも覚えるからすごいですよ。やっぱり俳優さんはセリフを覚えるという作業が日常的だから、記憶力や吸収力が高いんでしょうね。

それこそ、川上さんは〝生きた英語〟を話されていて。

川上 もう忘れかけちゃって…。昨年くらいからまたニューヨークへ行くようになったので、また、あらためて英語を学び始めたという感じです。帰国したのが15歳の時だったんですけど、やっぱり使わないと忘れていくんですよね。それで、なかなか単語が出てこなくて…すごく悔しかったというのもあります。

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