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新たに立ち向かう彼らの夏。ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 全国大会 青学(せいがく)vs氷帝開幕!

新たに立ち向かう彼らの夏。ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 全国大会 青学(せいがく)vs氷帝開幕!

ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 全国大会 青学(せいがく)vs氷帝が7月12日より開幕した。青学(せいがく)9代目が卒業し、新しい青学(せいがく)となって初めての試合は、作品内でも屈指の人気を誇る全国氷帝公演。美しき氷のエンペラーたちに、青学(せいがく)メンバーがどう立ち向かったのか。空前の名勝負をここにレポートする。

取材・文・撮影 / 横川良明

全試合が名勝負。伝説の公演がいよいよ開幕!

1stから2nd、そして3rdシーズンへ。2003年の初演以来、歴史を重ねてきたミュージカル『テニスの王子様』。その新たな1ページとなるのが、この全国氷帝公演だ。青学(せいがく)のキャストは主人公・越前リョーマ(阿久津仁愛(にちか))を除く11名が新キャスト。そのほとんどが、これほど大きい舞台に立つのは初めての経験となる。緊張や動揺があっても、おかしくない。その初々しさもまた楽しみのひとつだろう。そんなことを考えながら、開幕のときを待っていた。

しかし、その見込みはこの日のために稽古を積んできた若き俳優たちの努力と真価をあまりにも見誤っていたと、早々に気づかされた。いつものようにテニスボールの弾む音で幕が上がると、舞台上にいるのは、何も変わらないいつもの青学(せいがく)メンバー。手塚国光(青木 瞭)がいて、大石秀一郎(江副貴紀)がいて、不二周助(皆木一舞)がいて。気づいたら、すっと作品世界に没入している。この揺るぎなさこそが、上演を繰り返すことで築いてきた『テニミュ』の強度なのだ。

まるで軽快なラリーのように、スピーディーに物語も展開していく。桃城 武(大久保 樹)vs忍足侑士(井阪郁巳)のシングルス3から始まって、乾 貞治(竹ノ内大輔)&海堂 薫(中島拓人)vs向日岳人(北乃颯希)&日吉 若(内海啓貴)のダブルス2、そして手塚vs樺地崇弘(八巻貴紀)のシングルス2と前半戦から怒濤の試合運び。

シングルス3の桃城と忍足は、火と氷の対戦カード。流血をものともせずがむしゃらにボールを追う桃城は、忍足からすれば与しやすい相手なのかもしれない。だが、活火山のように燃える桃城に感化され、忍足もいつしかポーカーフェイスを忘れて熱くなっていく。その様は、ネットを挟んで敵と味方に分かれるものの、同じスポーツを愛する者同士、勝敗を超えた魂の呼応があるのだと改めて教えてくれる。

ダブルス2では、向日役の北乃颯希が毎度のことながら抜群の身体能力を披露。生身の人間には難しそうなムーンサルト殺法も、華麗なアクロバットで完全再現。まるで重力から解き放たれたような美技を連発し、試合シーンに華をつくった。海堂役の中島拓人は「マムシ」らしい眼力の持ち主。その鋭い眼光が、桃城から受け継いだ火を確かに表現していた。コートをぶち抜くトルネードスネイクは今回の見せ場のひとつ。鮮烈な一閃と海堂のシルエットが目に焼きついた。

そして何と言っても前半のハイライトは、手塚のシングルス2。相手の技をコピーする樺地の前に、さすがの手塚も苦戦を強いられる。そこから甦るリハビリ時代の回想が、熱戦続く全国氷帝公演の中で、最も叙情的なシーンに。演じる青木の低い声は威厳があり、手塚にぴったり。さらに歌声も安定感があって、その長身のシルエットにはすでに部長としての威厳と風格が。何度窮地に陥っても、決して混乱や不安を周りに見せることなく、堂々と立ち向かっていくその姿に、頼れるトップ・手塚国光の魅力が凝縮されていた。

限界のその先へ。命を削る死闘の行方は……!?

後半は、大石&菊丸英二(田口 司)vs宍戸 亮(小早川俊輔)&鳳 長太郎(渡辺アオト)のダブルス1、そして最終戦の越前vs跡部景吾(三浦宏規)のシングルス1が待っている。

シングルスと違い、ダブルスはコンビの絆が問われる。必然的に、観客もその関係性に心を揺さぶられるものだが、そういった意味でもこの大石&菊丸の黄金(ゴールデン)ペアと、宍戸&鳳の最強ペアは、数ある『テニミュ』のダブルスの中でも頂上決戦。両者共に、ペアに対する強固な信頼があり、積み重ねてきた時間がある。片方がミスをすれば、もう片方が肩を叩く。絆という面では両者ともに引けをとらない。だからこそ、どちらが勝利を掴むのか。その決着に観客は息を呑む。山場で挟み込まれる、大石&菊丸のコンテナ上の誓いの場面は、ペアを象徴する名シーン。何度も負けて、そのたびにもう負けないと誓って、強くなってきた。そんな黄金(ゴールデン)ペアの戦いに、胸が突き動かされる。

「全試合が見どころ」とキャストがこぞって口にする全国氷帝公演。そのラストを締めくくるのは、当然このふたり。越前vs跡部のシングルス1は、実に30分近くに及ぶ長期戦だ。何度も続くラリー。それも単にラケットを振っているだけではない。コートの端から端へ走り、時には高くジャンプをしてショットを打つ。ただでさえステージ上は大量の照明を浴びて熱が上がる。止まらない汗。削り取られる体力。ホールに響く荒々しい息遣いは、リアルなのかお芝居なのか、観ている側もわからなくなる。だが、そこにこの越前vs跡部の戦いの真髄がある。

関東大会での屈辱からの再戦。二度目の敗北は決して許されない。今度こそ完膚なきまでに青学(せいがく)を叩き潰す。この試合に期す覚悟は、もしかしたら氷帝のほうがより強かったのかもしれない。それを象徴するような、跡部の新技・氷の世界。相手の死角を突くこの超人的な技を前に、越前は手も足も出ない。あの越前が、減らず口のひとつも叩かず、ボロボロになって倒れている。その絶望的な光景に、心が凍りつくような想いがした。だが、そこからの逆襲もまた『テニミュ』の真骨頂だ。

リョーマのキツそうな顔をぜひ見に来てください!

囲み会見には、越前リョーマ 役の阿久津仁愛(にちか)、手塚国光 役の青木 瞭、跡部景吾 役の三浦宏規、そして木手永四郎 役の武藤賢人が登壇。

本作の見どころを問われた阿久津は自身が演じるシングルス1をプッシュ。稽古中は「毎回自分の限界を超えようと思ってる」と話したうえで、本番の舞台では「疲れより楽しさを感じた」と述懐。「もっと全力で、はみ出るくらいコートを走りますので、リョーマのキツそうな顔をぜひ見に来てください」とこれから始まる公演に向けてさらなる進化を誓った。

青木も自らが演じるシングルス2をセレクト。怪我を乗り越え、精神的な弱さに打ち勝った手塚がついに真価を見せるのがこの試合。「背中で語る手塚国光の強さをどれだけ仲間に見せられるか」と抱負を語った。

三浦は「全国大会はトーナメントだから負けたら終わり。だからこそ全部の試合にチームとしての気持ちが繋がっていってる」とチーム戦であることを強調。「毎回、ベンチから試合を見ているだけでも手に汗を握る。シングルス3からシングルス1へと、ラリーが繋がっていくのが見どころです」と試合の裏側にある絆をアピールした。

そして、今回はゲスト校としてコミカルなシーンも多い武藤は「自分たちを破った青学(せいがく)の試合を観に行く心境は、みんなでこだわって演じようと話し合ったところ。ぜひそこに注目してもらいたい」と比嘉への愛着を語った。

ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 全国大会 青学(せいがく)vs氷帝は7月22日(日)までTOKYO DOME CITY HALLにて上演。その後、大阪、福岡、岐阜、宮城と全国を回ったあと、9月20日(木)から24日(月・休)まで同じくTOKYO DOME CITY HALLにて東京凱旋公演を果たす。平成最後の夏の想い出に、ぜひ『テニミュ』の熱戦を刻みつけて欲しい。

ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 全国大会 青学(せいがく)vs氷帝

東京公演:2018年7月12日(木)~7月22日(日)TOKYO DOME CITY HALL
大阪公演:2018年8月1日(水)~8月12日(日)大阪メルパルクホール
福岡公演:2018年8月18日(土)~8月19日(日)アルモニーサンク北九州ソレイユホール
岐阜公演:2018年9月1日(土)~9月2日(日)バロー文化ホール(多治見市文化会館)大ホール
宮城公演:2018年9月8日(土)~9月9日(日)多賀城市民会館 大ホール
東京凱旋公演:2018年9月20日(木)~9月24日(月・休)TOKYO DOME CITY HALL

原作:許斐 剛『テニスの王子様』(集英社 ジャンプ コミックス刊)

出演 :
〈青学(せいがく)〉
越前リョーマ 役:阿久津仁愛
手塚国光 役:青木 瞭
大石秀一郎 役:江副貴紀
不二周助 役:皆木一舞
菊丸英二 役:田口 司
乾 貞治 役:竹ノ内大輔
河村 隆 役:岩田知樹
桃城 武 役:大久保 樹
海堂 薫 役:中島拓人
堀尾聡史 役:琉翔
加藤勝郎 役:中三川歳輝
水野カツオ 役:奥田夢叶

〈氷帝〉
跡部景吾 役:三浦宏規
忍足侑士 役:井阪郁巳
宍戸 亮 役:小早川俊輔
向日岳人 役:北乃颯希
芥川慈郎 役:田村升吾
滝 萩之介 役:山﨑晶吾
樺地崇弘 役:八巻貴紀
鳳 長太郎 役:渡辺アオト
日吉 若 役:内海啓貴

〈比嘉〉
木手永四郎 役:武藤賢人
甲斐裕次郎 役:吉澤 翼
平古場 凛 役:岩城直弥
知念 寛 役:雷太
田仁志 慧 役:高田 誠 ※田仁志 慧の「慧」は旧字体
不知火知弥 役:園村将司
新垣浩一 役:松井遥己

主催:テニミュ製作委員会
協賛:ファミリーマート

オフィシャルサイト
テニミュ・モバイル

©許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト
©許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会

関連書籍:コミック『テニスの王子様』