LIVE SHUTTLE  vol. 281

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角松敏生、総勢21名でのアンサンブルで魅せた!立体的な臨場感を体感できた圧巻のライブとは!?

角松敏生、総勢21名でのアンサンブルで魅せた!立体的な臨場感を体感できた圧巻のライブとは!?

ビッグバンドアレンジのリメイクアルバム、『Breath From The Season 2018~Tribute to Tokyo Ensemble Lab~』は名盤である。ブラスセクションが加わったバンドアンサンブルの豪華絢爛なサウンドはもちろんのこと、角松敏生の楽曲がより洗練されてリメイクされ、アーバンジャズともいえる大人のポップサウンドへと昇華した作品である。30年前の1988年に角松がプロデュースを手がけたブラスセクションバンド、Tokyo Ensemble Labのアルバム『Breath From The Season』での経験と、近年、毎年大阪ビルボードライブで公演しているアロージャズオーケストラとのセッション、37年のキャリアから生まれたジャズ的なものへの集大成の作品である。そんなアルバムを引っさげたツアー、「TOSHIKI KADOMATSU Performance 2018“BREATH from THE SEASON”」は5月20日大阪からスタート。全国10カ所11公演中の10公演目、セミファイナルをレポートする。

ツアーの東京公演はいつもの中野サンプラザ。少しだけいつもと違ったのは、ステージに緞帳が下りていること。今回はビッグバンド編成なので、通常とは演出が異なっている。
アルバム『Breath From The Season 2018~Tribute to Tokyo Ensemble Lab~』の1曲目にもなっているインスト曲の「Lady Ocean」からライブは始まる。1曲目から会場はスタンディング。角松は自身のムーンのシグネイチャーモデルのギターで、メロディックにテーマを弾く。重厚なブラスサウンドの中、サックスソロ、トロンボーンソロ、トランペットソロと続き、角松のギターソロへ。メロディックに、そしてジャジーに、アーバンなポップサウンドだった。続いて、3人の女性コーラスが加わって軽快なアーバンソウル調の「I’LL CALL YOU」へ。「Lunafairymiena」では、カッティングギターとブラスが軽快に絡み合うファンクとブラコンの融合のようなAORテイストの楽曲。コーラス隊とビックバンドがさらに厚みを加える。

3曲終わって、豪華なライブであることに気がつく。4リズムのバンドに加え、ビックバンドが13名、コーラスが3名という、角松本人を加えて総勢21名でのアンサンブル。21人が出すその空気振動による音の迫力はすさまじく、立体的な臨場感を体感できていることに驚きと喜びを感じる。
ライブ中盤はバラードが続く。「RAIN MAN」は分厚い重厚なサウンドだ。そして、ダイナミズムが圧巻だった「You’re My Only Shinin’Star」。アロージャズオーケストラとのライブでは1回目からやっている曲。バラードを艶やかに、ビックバンドの強弱が楽曲に感情を加えていく。まさにビックバンドの醍醐味である。途中、以前にもカバーした平野愛子歌唱の「港が見える丘」。昭和歌謡をビックバンドで聞かせる。続いては、以前、アロージャズオーケストラとのライブでも披露しているというルパン三世のテーマ曲と宇宙戦艦ヤマトのテーマ曲をミックスしたリアレンジ曲「Lupin The YAMATO」を披露。スキャットでルパンのテーマを歌い、途中、ヤマトのテーマ曲に移っていくという、ルパンとヤマトが行き来する曲。本人曰く、曲想の類似を用いたリアレンジ曲だ。この2曲はブラスセクションにとってはスタンダードナンバーでもあるため、見事な演奏を披露。今回のライブのトピックスになった。演奏後、この曲のようにいつかルパンとヤマトがコラボしてミックスされると面白いんだけど…と「ルパンがヤマトの制服をきて、イスカンダルヘコスモクリーナーDを盗みに行くとか(笑)」といった角松の言葉に会場は大爆笑となった。

そして、中盤の最大の見所は、今回のアルバム『Breath From The Season 2018~Tribute to Tokyo Ensemble Lab~』の名演といえるホレス・シルバーの名曲「Nica’s Dream」。アルバムでオクターブユニゾンしている吉沢梨絵が登場し、角松と完璧なボーカルワークを魅せる。スキャットソロからの、サックスソロ、トランペットソロ、トロンボーンソロと、次々に驚愕の演奏を聴かせる。個人的にこの楽曲の再現がライブで一番聞きたかった。あまりに素晴らしい演奏過ぎて、感動して涙が出てきたほどだった。見事なサックスのソリは鳥肌ものだった。そして、ピアノソロからスキャットとギターソロの掛け合いと、圧巻である。このライブはずっと記憶に残るだろうと確信した瞬間だった。

ライブ後半は、ファンク系の「Have some fax」や「Gazer」などブラスの臨場感を体感できる楽曲が続き、「AIRPOT LADY」へ。ライブはMVでもお馴染みの「SHIBUYA」で本編終了。

アンコールは、アルバム『Breath From The Season 2018~Tribute to Tokyo Ensemble Lab~』にも収録されているカバー曲「A Night in New York」からスタート。あんにゅ(コアラモード.)と一緒にデュエット。キュートなあんにゅの声質が見事にマッチしたこの曲は、東京公演のみのスペシャルセット。そして、ライブ定番曲をサルサアレンジした「TAKE YOU TO THE SKY HIGH」へ。ブラスの音圧でより力強くなってゴージャスに再構築されていた。そして、夏や音霊 OTODAMA SEA STUDIOでのライブを思い出す「浜辺の歌」へ。ブラスが加わり、より明るい楽曲へと進化していた。ライブはダブルアンコールの「Morning After Lady」でしっとりと終演した。

アンコールのMCでは、今年の秋、2015年に開催したツアー「お前と俺」の第2弾を9月からキーボードの森俊之氏と回ることを話した。このライブは、故・青木智仁氏(Ba)や故・浅野祥之氏(Gt)、スティーブ・ガッド(Dr)などの過去のレコーディングデータも持って、2人でセッションするというもの。レコーディングデータをそのまま再現するようなライブなのでこちらも貴重なライブになりそうだ。そして来年のライブ開催も告げられた。そして、「東京オリンピックの年は本厄なので、静かにしています」と言ってはいたが、果たして…。

2020年の東京オリンピックの翌年が、角松敏生デビュー40年のアニバーサリーイヤー。そこへ向けて今は突き進んでいると言っていた。前回のインタビュー同様、本人の目標については教えてもらえなかったが、2021年がキーワードになりそうである。それに向けて今後どんな布石を打っていくのか、その先に描いているものを期待していたい…。

取材・文 / 井桁学

「TOSHIKI KADOMATSU Performance 2018 “BREATH from THE SEASON”」
2018年6月29日@中野サンプラザ

【SET LIST】
01. Lady Ocean
02. I’LL CALL YOU
03. Lunafairymiena
04. ANKLET
05. RAIN MAN
06. You’re My Only Shinin’ Star
07. RAMP IN
08. JUNE BRIDE
09. 港が見える丘
10. Lupin The YAMATO
11. Can’t You See
12. Nica’s Dream
13. Have some fax
14. Gazer
15. AIRPORT LADY
16. SHIBUYA

ENCORE
01. A Night in New York
02. TAKE YOU TO THE SKY HIGH
03. 浜辺の歌

MORE ENCORE
01. Morning After Lady

【バンドメンバー】
荒山 諒 / Drums
山内 薫 / Bass
梶原 順 / Guitar
小林信吾 / Keyboards
本田雅人 / Saxophone
中川英二郎 / Trombone
鈴木正則 / Trumpet
真野崚麿 / Saxophone
中川颯子 / Saxophone
芹沢 朋 / Saxophone
高尾あゆ / Saxophone
半田信英 / Trombone
三原万里子 / Trombone
笹栗良太 / Trombone
金津理仁 / Trumpet
大津 真 / Trumpet
三上貴大 / Trumpet

角松敏生

1960年 東京都出身
1981年6月、シングル・アルバム同時リリースでデビュー。以後、彼の生み出す心地よいサウンドは多くの人々の共感を呼び、時代や世代を越えて支持されるシンガーとしての道を歩き始める。
1993年までコンスタントに新作をリリース、いずれの作品もチャートの上位を占める。同時に杏里、中山美穂、らのプロデュース作も上位に送り込んだ角松だったが、アーティスト活動を『凍結』。しかしこの“凍結期間”は、「プロデュース活動」を充実させた。また、1997年にNHK“みんなのうた”としてリリースされたAGHARTA(アガルタ :角松敏生が結成した謎の覆面バンド )のシングル「 ILE AIYE(イレアイエ)~WAになっておどろう~」は社会現象ともいえる反響を集め大ヒット。

『凍結』から約5年、角松敏生は遂に自身の活動を『解凍』することを宣言。1998年5月18日、活動を休止した同じ日本武道館のステージに再びその姿を現した。翌年リリースしたアルバム『TIME TUNNEL』はチャート初登場第3位を記録し、変わらぬ支持の大きさを実証してみせた。
その後『INCARNATIO』、再びスティーヴ・ガッドを起用した角松サウンドの集大成アルバム『Prayer』、大人の遊び心に溢れた『Summer 4 Rhythm』『Citylights Dandy』、30周年を記念したリメイク・ベストアルバム「REBIRTH 1」など、作品ごとに新しいコンセプトで挑むアルバムやライヴDVDなど、コンスタントにリリースを重ねている。  その妥協を許さないスタンスとクオリティで常に音楽シーンの最前線で活動をしている。
2016年デビュー35周年企画として『SEA BREEZE 2016』のリリースを皮切りに、7月2日には横浜アリーナでの35周年記念ライブ「TOSHIKI KADOMATSU 35th Anniversary Live 〜逢えて良かった〜」を大成功させた。

2017年も精力的な活動を行っており、5月に『SEA IS A LADY 2017』のリリース、そして『TOSHIKI KADOMATSU TOUR 2017 “SUMMER MEDICINE FOR YOU vol3”〜SEA IS A LADY〜』で大成功を収める。
2018年4月25日『「Breath From The Season 2018」~Tribute to Tokyo Ensemble Lab~』をリリースし、5月からは全11公演のツアー「TOSHIKI KADOMATSU Performance 2018 “BREATH from THE SEASON”」を敢行、7月には「TOSHIKI KADOMATSU Performance 2018 “Tripod IX”」を行う。

オフィシャルサイト
http://www.toshiki-kadomatsu.jp/

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