Interview

大薮 丘&前島亜美が“タクフェス”にかける意気込みとは? “笑い”と“泣き”に溢れた『あいあい傘』に出演できる喜びを語る

大薮 丘&前島亜美が“タクフェス”にかける意気込みとは? “笑い”と“泣き”に溢れた『あいあい傘』に出演できる喜びを語る

10月5日より、タクフェス第6弾の舞台『あいあい傘』が、12月9日まで全国10都市で上演される。今作は、宅間孝行が主宰の東京セレソンデラックス時代に作・演出を手がけた『あいあい傘』の11年ぶりの再演にあたる。10月26日には宅間がメガフォンを取った同作の映画版の公開も決定。25年前に生き別れた父と娘の姿を描く注目作、その舞台版に出演する前島亜美と大薮 丘にインタビューを敢行。今作に出演できる素直な喜びや、宅間孝行について大いに語ってもらった。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 岩田えり


マネージャーさんと「やった!」と喜びました

“タクフェス”こと“TFJ”は、第1弾が2013年に上演され、公演を重ねるごとに多くのファンに愛されるようになり、まさに一年に一回の“お祭り”舞台になっていますね。今作に出演されるお気持ちを聞かせてください。

大薮 丘 とても嬉しかったです。5年前に石川県から上京して、“タクフェス”を知りました。とても面白いと噂を聞いて、『くちづけ』(2013年)や前回の『ひみつ』(2017年)を拝見させていただきました。予想に違わぬ感動する作品でしたし、今作に出演することが決まったときは嬉しくて、マネージャーさんと「やった!」と喜びました。

大薮 丘

前島亜美 私もマネージャーさんと「やった!」って(笑)。以前から“タクフェス”のことは存じ上げていました。というのも、舞台『幸福な職場』(2017年)で、知的障害の女の子の役を演じたのですが、そのときに勉強のために、様々な知的障害の方を扱った作品を観ている中に、“タクフェス”の『くちづけ』があって衝撃を受けたんです。宅間さんは、様々な人間模様に踏み込んでストーリーを描かれていた。それから宅間さんのことや、“タクフェス”のお話をよそで聞いていて、いつかご一緒したいと思っていたので、出演が決まって嬉しかったです。

前島亜美

脚本を読んだ感想はいかがですか。

前島 とにかく泣いてしまった……そのひと言につきます。原案は大人気の作品で、しかも11年ぶりの再演です。映画と同時に上演するという仕掛けも面白くて、脚本を読むと、家族や親子の愛情の話がテーマで、誰の心にも刺さる言葉があるから涙なしには読めませんでした。

大薮 僕も脚本からトリコになりました。最初のシーンから笑えて、グイグイ引っ張って、引き込んでくれるんです。1場、2場、3場……どんどんテンションがマックスになって、そこから本気で想いを伝えるシーンになると面白さが爆発して、さらに引き込まれる。前島さんがおっしゃったように、後半からグッと感情が湧き上がる仕掛けに思わず泣いてしまいました。たくさんの想いが詰まっている作品を、丁寧に伝えなければいけないプレッシャーもありますし、舞台で100パーセントその想いを伝えるのは難しいかもしれませんが、今は楽しみのほうが大きいです。

映画版と一緒に楽しんで欲しい

“タクフェス”というと、お笑い、シリアス、涙ものといろいろな作品があります。今作で感じたことはありますか。

大薮 泣きの感情が強いですね。もちろん、笑いはあるけれど、最後には泣いてしまう。人情味があって、ひとりひとりのドラマもしっかりしています。

前島 大薮さんがおっしゃったとおりですし、映画と同時に上演されることがとても大きいと思って。映画の試写を観させていただいたのですが、本当に素晴らしくて、そこから舞台の脚本を読むと、映画には映画の良さ、舞台には舞台の良さを感じます。例えば、映画は言葉でなく表現されていることが舞台では台詞になって、舞台では描ききれない絵が映画には映っている。お互いがお互いをアシストする機能があるからどちらも楽しめるし、“タクフェス”のサービス精神というか、宅間さんの“エンタメ力”が表れた作品だと思います。

本作『あいあい傘』で前島さんは“松岡麻衣子”を、大薮さんは“船田くん”を演じます。

前島 “恋園神社”の巫女で、“恋園庵”という飲食店を経営している松岡玉枝(川原亜矢子)のひとり娘です。『あいあい傘』を語るうえで、松岡親子と、高島さつき(星野真里)一家の2つの家族が、ストーリー展開の主軸になっています。麻衣子は、家族の気持ちや家族と過ごしてきた大切な時間を表現する重要なキャラクター。お父さんの東雲六郎(永島敏行)が、本当のお父さんではないと気づいたときのやるせない気持ちと、麻衣子の家族との思い出、女の子の年相応の悩みがありつつ、とても現代っぽい女の子だと思っています。それでも、一見おどおどして自分の意見がなさそうに見えますが、“ここぞ”というところでは、自分の言葉を相手に勇気を持って伝える女の子で、自分と近しいところがあるので、麻衣子の性格を最大限に表現したいです。

大薮 船田くんはすごく弱気な少年ですが、一方でちゃんとした芯があって、言いたいことを言う。正義感もあるのですが、それを口にすると小馬鹿にしてくる敏男(弓削智久)にいじめられてしぼんでしまう。悔しい想いをつねに抱えながらも、自分に中にある正義と戦っているキャラクターで、あるとき、雨宮清太郎(宅間孝行)にお願いして、もっと強くなりたい、敏男を見返してやりたいと、清太郎に成長させてもらうんですね。僕は性格がどちらかといえば社交的で、船田くんとは真逆のキャラクターなので、しっかりと演じ切ることを心がけたいです。

役作りはどのようにしますか。

大薮 真逆のキャラなので自分を出さない!

前島 フフフ(笑)。

大薮 それは冗談ですが(笑)、キレキレな顔をするのを封印して、人間の弱さを見せられるように心がけたいです。

前島 私は巫女という特徴を考えて役作りをしたいのですが、一番大きいのは舞台が広島なので、広島弁で喋ることですね。私は埼玉出身で標準語ですし、方言を使う役は初めてで。今回は広島公演もあり、ご当地の皆さんに通じるか緊張しているので、とにかく彼女の言葉を自分のものにしたいです。

いい作品だと自信を持って全国に伝えられる

“タクフェス”の特徴は、やはり旅公演ということで、今回も全国津々浦々回りますね。

大薮 僕は行ったことのない北海道が楽しみです。食べるのが大好きで、旅公演はそれが目的のひとつなので、食べすぎて太らないようにしたいですね(笑)。もちろん、お客様の雰囲気も気になります。たくさんの都市を回るので、土地柄に感情移入しすぎて、思わず広島弁が変わらないように意識したいです。

前島 こんなに多くの都市を回る公演はほかにないし、どうしても東京だけ、あるいは大阪公演があるくらいですから、「遠くて行けないです」という地方の方に、「ここだったら近くて劇場に行けます」と反響をいただくのがありがたくて、いい作品だと自信を持って全国に伝えられるから、より一層楽しでもらえるように頑張りたいです。

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