SID 15th Anniversary Special マオ Self Liner Notes『歌詞を巡る旅』  vol. 3

Interview

シド2nd Album『星の都』〜ビックリさせたかった。いままでのイメージを全部ぶっ壊したかった〜

シド2nd Album『星の都』〜ビックリさせたかった。いままでのイメージを全部ぶっ壊したかった〜

前回から本格的にスタートした特集「歌詞を巡る旅」。反響も多く、たくさんのファンの方に読んでいただけたみたいで本当にうれしいです。その勢いで今回は2ndアルバム『星の都』について語ります。

デビュー当時のシドは“哀愁歌謡”をコンセプトに音楽活動をしていたので、自然とそれが『憐哀-レンアイ-』という1stアルバムに反映されたんです。でも『星の都』はとにかく“ビックリ”させたかったんですよ。いままでのシドというイメージを全部ぶっ壊すぐらいの感じで、みんなの期待の上をいきたい。それをもって選曲して作ったアルバムです。

前作はレコーディングの仕方、スケジュール、それこそ予算も含めて“どインディーズ”でやってたんですよ。まだ何者かもわからないシドが、売れるかどうかもわからないCDを出すわけだから。でも、リリースしてみたところ、皆さんが予想以上に聴いてくれたんで、今作から「ストリングス入れたい」だとか「ホーン入れたい」だとかいろいろ言ったら、それが反映されて。急にサウンドもゴージャスになっていったんだと思います(微笑)。ここからアレンジャーさんにも入ってもらったりして。いきなり、めっちゃバブリーな感じになってます。いまから考えると、ね。

構成・文 / 東條祥恵 撮影 / 今元秀明

当時は「これがいいんで」のひと言で強引に終わらせていた

01. 林檎飴
(作詞・マオ/作曲・しんぢ)

この歌詞は結構好きです。曲調的には、80年代のバンドブームの匂いが俺のなかではしていて。哀愁歌謡からは一つ抜け出した“昭和感”を感じた。歌詞はそういうところから書き始めましたね。冒頭に“重ねた14mm”ってあるんですけど。当時俺が知ってるセブンスターのタールって12ミリだったと思うんですよ。それで、吸ってるタバコはセブンスターなんだけどセブンスターって書くのもな……と。めっちゃこの冒頭の1行だけで悩んだんですよ。大人と、ちょっと若い女の子の恋を書きたかったんで、大人=タバコということでセブンスターが出てきたんですけど。それをどうやったら違う言葉で伝えられるかに、めっちゃ時間を費やしました。それで、最初書いたときは“12mm”で仕上げてたんですけど、たしかギリギリになってセブンスターが14ミリだってことが分かって、歌詞を変えたんですよ。“林檎飴”というモチーフは、女の子側の少女感、幼さを表現しています。でも、林檎飴って本来は夏祭りとかで売ってるイメージじゃないですか。だけど、この子はちょっとあまのじゃくなんで、寒くなった頃に林檎飴を欲しがってるんです。“この部屋には 思い出にさえなれない物が溢れてる”とか、部屋を通して情感を伝える表現は、俺は好きですね。いまもよく使うんで。これは、そういう表現の走りかもしれないですね。ここから、叶わぬ恋系の歌がちょいちょい出てくるようになりました。

02. アリバイ
(作詞・マオ/作曲・しんぢ)

これまでのシドの殻を一つ破った曲です。いまだにこの曲は、ライブの定番曲として普通にセットリストに入ってくるんですけど。これは「歌詞がすごく好き」って皆さん言ってくれますね。地元の久留米を舞台にして書いた歌詞なので、いまでも「福岡に来たんで久留米駅を見てきました」という報告をファンの方からもらったりするんですよ。ここで舞台になっているのは、JRの久留米駅ではなくて、西鉄の久留米駅。それもこの曲を発表した当時から言ってたんですね。それでもファンの子が間違えてJRの久留米駅に行っちゃったりするので、たまに「西鉄だからね」と言ったりしてます。久留米駅は自分が育ったところなので、久留米という場所をもっとみんなに知ってほしいなというのもちょっとあって、歌詞に地元の地名を入れ込んだんです。福岡市内の天神とかは知られてるけど、久留米はあんまり知られてないから書きたいなと思ってたんです。「アリバイ」は、曲は明るいんですけど、歌詞はせつなくて。そういうのが俺は大好きなんですよ。昔から聴いてる音楽もそういうものが好きでした。この曲も“煙草”が出てきますね。当時俺がタバコを吸ってたからかな。最近は吸わないから、タバコもなかなか出てこないです(笑)。“最後に約束してた 中華に連れて行ってちょうだい”という1行で、連れて行ってもらうところを“中華”にしたのは、途中で終わった感を出したかったからなんですよ。ここがオシャレなレストランとかになると、構えて行ってる気がするから、特別な日っぽくなってしまう。あくまでも、普通の日常のなかで約束してたものというのを出したくて、ここは中華にして。そこに、いつもみたいに連れて行ってよという感じを表現しました。それと、当時は引っ掛かりがあるものを狙っていたから、ここになんの言葉が入ったら(リスナーに)引っ掛かるかなというのをとにかく考えてて。ここで“中華”を使う歌詞もあんまりないだろうな〜というのもありました。実際にそれを歌ってみると、中華があまりにも引っ掛かりすぎて、メンバーからも「ここで中華ってどうなの?」って言われた記憶があります。でも、押し切った(笑)。当時は「これがいいんで」のひと言で強引に終わらせてました(笑)。

03. その代償
(作詞・マオ/作曲・しんぢ)

セクシー系ですね。それまでそんなに書いたことなかったんで……ここら辺からじゃないですかね、書き出したのは。この時期に書いてる歌詞は、ツラい女の人が多いですね。この曲もツラい女の人だもんな〜。それで、相手の男がどうしようもなくてという設定がかなり多い。この当時はまだ幅が狭くて、そういった似たような男女間の設定のなかで、ちょっと爽やかなものもあれば、ちょっと濡れてるものもあればっていう感じで書いていってたんだと思います。でも、書いていくうちに自然と設定も広がっていって、いまはいろんな設定で書いてますけど。当時はまだ書き始めなので、こうやって見返すと設定の幅がなさすぎ(笑)。プラス、こういうものしかまだ書けなかったというのもあったと思います。あと、もちろんこういう歌詞が好きだったというのもあるけど。「その代償」というタイトルは、まず“その〇〇”みたいなものが書きたかったんでしょうね。たぶん。その〇〇とか、ちょっと新しいんじゃないかと思って(微笑)。あとは、歌詞に出てこない言葉をタイトルに使うというのもたまにやってたんで、これもそうですね。“代償”という言葉は歌詞には出てこないので。歌詞を読むと、すげぇ悲しいなー。なんとなく自分の頭のなかでは、東京の1Rとか1Kの設定なんですよね。東京に来なかったら書いてなかった気がする。こういう人がいるんだろうな東京って、っていう勝手な俺のイメージ。ドラマとか観すぎてたんでしょうね(笑)。それで、東京はこういうもんだって想像してたんだと思う。

04. キャラメル
(作詞・マオ・/作曲・御恵明希)

ちょっと爽やか系ですね。こうして改めて歌詞を見ていくと、書いてるのが恋愛ものばっかですね。「キャラメル」と6曲目の「星の都」は、当時でいう特に俺ら世代のヴィジュアル系では一番タブーとされていたような方向性の歌詞だと思うので、ある意味不良というか。「キャラメル」とか「星の都」までいくと俺、トガってんなーって感じがしますね。当時の俺らにしてみれば、相当トガったことをやってるという感覚だったと思います。なんか、抜け出したかったんでしょうね。だから『憐哀-レンアイ-』でどっぷりシドにはまってくれた子たちのなかには「私、ファン辞めます」って言ってくる子もいっぱいいたし。「なんじゃこれ? シドじゃねーじゃん」って。それも込みで、俺は「ああー。こうやってファンも動いていくんだ」って客観的に思ってました。批判もありましたよ。この当時俺がよく言われたのは「ヴィジュアル系を使わないで」っていう言葉。「こういう音楽がやりたいんだったらポップス畑でやってよ。ヴィジュアル系のジャンルのなかでやんないでよ」って言われて。俺は別に、そもそもヴィジュアル系を音楽のジャンルだとは思ってないし、一つの文化だと思ってるから。だから、そう批判されたところで「じゃあ前みたいな感じに戻そうか」っていう考えはまったくなくて。逆に「おー。きたきた」って思ってました。「キャラメル」は特にそれがありましたね。俺は小沢健二さんとかaikoさんも好きなんで。歌詞でいったら、そっちのほうが影響受けてるかもしれないですね。だから「ヴィジュアル系は好きだけど、俺は俺の言葉でいくよ。こういう歌詞も書くよ。バンドとはいえ全然ありだと思うから」っていうのを押し出した。「キャラメル」の歌詞では、“ラブ繋ぎがいい”とか、当時のヴィジュアル系ではタブー中のタブーでしたから(微笑)。こんな言葉は当時なかったんですけど、これを見たら、誰もが指をからめた手つなぎを想像すると思うんですよ。これを発表したあとは、握手会とかで「ラブ繋ぎをしてください」っていうのが多くなったんですね。なので、これはちゃんと特許を取得しておけばよかったなぁと(笑)。たまたま思いついた言葉だけど、それぐらい発明に近い言葉だったと思いますね。

05. 合鍵
(作詞・マオ/作曲・御恵明希)

いまもライブでやってる人気の曲で、文字数にかなり制限があるなかで書いた歌詞ですね。ポイントになったのは、最初の2行です。小指から爪を切る癖にしたのは、俺が親指から爪を切るからです。たぶん、そういう人のほうが多いと思うんですが、“癖”っていうことを際立たせるために、ここはあえて小指にしたんです。あとは、冒頭から引っ掛かりを作って「これどういうこと? これってどんな話?」って悩んでほしいという思いもあってそうしました。メンバーには、引っ掛かりを意識したタイトルやこういう1行目の歌詞について「ちょっと違和感、すごくない?」って言われたりしてたんですけど。俺はあえて“違和感”が欲しかったんだっていう説明を何度かしましたね。二人で揃えたのが“チョーカー”だったのも、女の子だったら知らない人もいるかもしれないじゃないですか? そこも狙って、チョーカーにしました。あとは、この2人は若い頃から長い間一緒にいた人たちだよというのを伝えるアイテムでもあります。年をとってチョーカーをお揃いで買おうとはならないじゃないですか? 買うとしたら10代の頃。それから同棲して。いまはすることもなくなったチョーカーというのが、時間の経過を感じさせる。そういう、深い歌詞なんですよね。「合鍵」はお別れの歌なんだけど、それが現在進行形というのがポイントです。お互いがそれぞれ外で、違う方向の恋愛に向かってるんだけど、部屋に帰ってきたら着信履歴に比例して嘘をついたりしながらも、関係を装ってて。だから、仮面夫婦的なことですかね。背中合わせで夢を見ようという最後の1行が、決め手なんですよ。同じ部屋に一緒に寝てるんだけど違う方向を見て、背中合わせで寝てる。そこで、この恋はきっと終わりに向かってる。だけど、まだ終わっていないというところがはっきりと分かる。ここでこの恋が終わるというパターンはよくあると思うんですけど、まだ終わってない。でも、きっと終わるであろうっていうところが匂ってくるのがいい。

誰かの背中を押せる曲はずっと書いていきたいなと思う

06. 星の都
(作詞・マオ/作曲・ゆうや)

これは実体験ですね。というか、自分の気持ち。自分が田舎にいたときに、ヴォーカリストとして成功したいなと思い始めたときからのことを書いたものです。卒業のシーズンが迫ってくると「進路はどうする?」って周りのみんなは話してるんだけど、俺はそもそもそこにはいないなって思ってたこととか。自分だけ(卒業しても)変わらない、そのことへの怖さというか。俺の地元では、変わらない=変っていう感じだったんですよ。やりたいことを見つけて、バカげていても「俺は絶対有名人になってやる」って言い続けてることに対して、そういう空気が出始めて不安な気持ちになっていた。でも、いざ東京に来てみたら、「俺と同じようなヤツ、めっちゃいるじゃん!」って。バイト先に行ってみたら、劇団の人とかバンドマンとかダンサーとかが普通にいたりしたんで、「えー! こんなにいるの?」ってびっくりして。それが“星のない空の下”から始まる1行のところ。地元では、自分だけだったんですよ。でも、東京に来たら星を目指してる人がたくさんいて、逆に驚いた。こんなに身近にいるんだったら、勝負するところもたくさんありそうだし、よかったと思って。ちょうどシドとしてもうまくいき出した頃だったんで、いまから上を目指していこうという気持ちもあって書きました。この「星の都」はゆうやの作品が初めて選ばれた曲で。こういうJ-POPに、ちょっとふざけたりもしないで最初から最後までPOPな歌詞をのせるっていうのが、良いのかなって。

07. エール
(作詞・マオ/作曲・御恵明希)

これは、いまだにライブの定番曲となっている楽曲ですね。当時はバンドが15年も続いていくとか思ってもいなかったし、この曲が定番曲になるとか思ってもなかったです。これは、曲調からタイトルの通り、誰かが背中を押して欲しいときにそばにいるような曲にしたいなと思って書きました。やっぱり俺もそういう曲で背中を押されたりしてきたんで、そういう曲が絶対に欲しいなと思ってて。この「エール」や「星の都」もそうですけど、誰かの背中を押せる曲はずっと書いていきたいなと思ってますね。「エール」のなかに“ここで騒げばいい 笑顔のほうが 君は美しい”という1行があって。俺も普段そうなんですけど、生きていてツラいことや大変なことがあってもライブ会場に来たら“だいたい大丈夫だろう”って思える。お互い、ライブの共通認識としてそういう考えが欲しいなと思って、ここはファンに向けて書きました。そういうふうにお互いが思えたら、ライブも楽しいだろうなというのはいまだに思います。あとは“声 出せなくても 君は僕に届いてるから”という部分。俺、お客さんとしてライブに行ってもあんまり声が出せないほうだったんで。とくに前半とかは、緊張してたり恥ずかしがってた自分がいたりして。でも、それは別に関係ないんだよっていうのを伝えたくて書きました。ライブ会場で声を出せなくても‥‥ウチはとくに女性ファンが多いから、男性ファンでもじもじしたりしてる子がいたら、その子を見ながら歌ったりするんですね、俺は。「別に全然それでいいよ。無理やり声出さなくても」っていう気持ちで。“欠点も 角度変えたなら 個性に 生まれ変わるさ”というところは「すごく励まされました」というお手紙をたくさんもらって、うれしかったですね。

08. Sweet?
(作詞・マオ/作曲・御恵明希)

これは、かなりバブリー(笑)。俺よりちょっと上の世代かな? トレンディドラマとかが流行っていた時代の感じを書きたくて。シングルカットされたんですけど、「なんだコイツら?」というかなりのインパクトを残したんじゃないかな。ヴィジュアル系というジャンルのシドっていうヤツらが「Sweet?」っていうのを突っ込んできたって(笑)。事務所の社長も一緒になって、シドは次、どこに向かっていこうかという話をしたとき。みんなの共通した答えとして出ていたのが“4つ打ち”とか“ダンス”だったんです。だから、これは初めてみんなで考えて作ったシングルなんです。事務所の方とか、音楽をよく知ってる専門の方々と一緒にやるとこうなるんだというのをすごいこの曲で感じましたね。みんなで会議しながら楽曲を作っていくって、いままでの俺らにはなかったので。歌詞は、一番自分から遠い存在になりきって書くなら誰だろう?「OLだろう!」と思って(笑)。OLさんって、全然俺のなかに情報がない状態だったんです。でも、この4つ打ちのバブリーな曲には、OLの歌詞をのせたら面白いんじゃないかと思ってしまって。どうせ書くならいくとこまでいっちゃえと思って歌詞は書きましたね。歌詞は想像と、あとは勉強もしましたね。電車に乗って、OLさんを観察しました。俺が住んでたエリアの路線は、一人暮らしのOLさんが多かったんで。あと、街の中ではちょっと疲れてるOLさんとかを見たりして。OLさんのことなんて、パンプスをギリ知ってるぐらいでしたからね。でも、大変だな。この曲の中のOLさんは(笑)。タイトルは“?”をつけることで、これが本当に甘いですかと問いかけているんです。

09. 依存の庭
(作詞・マオ/作曲・御恵明希)

これは、ドラムレスの打ち込みというところが、バンドとして挑戦した曲でしたね。だから、ずっとライブではやってなかったんですけど、いつかをきっかけに1回やって。それでも、いままでにトータルで3〜4回ぐらいしかやってないかな。でも、俺はこれ、大好きで。曲調がすごい好きですね。歌詞でいうと、この曲はダーク路線。男性にすがりついてる女性の、狂気な愛というか。なんでもするから一人にしないで、とすがりついてるんですけど。“好みの鈍器で 容姿変えるから”とか、めっちゃ怖ーっ(笑)。あくまでも例えとしてですけどね。例えとして、それぐらいやってもいいから捨てないでという気持ちを表現してみましたけど、やっぱり怖いですね。ちょっとホラーっぽくしたかったんでしょうけど(微笑)。歌詞のなかで、消去が焼去になり笑去と、どんどん同じ発音で意味だけ変わっていくというのをここら辺で覚えちゃったんでしょうね(笑)。「ああーこういうことできんだ。歌詞のなかで」って思って、やってみたんだと思います。いま見ると、2個目まではすぐに思いついたんだろうけど、若干3個目は、無理くりハメてきた感があるところが、ちょっと可愛いらしいですね(微笑)。3個目もなんか変えなきゃなっていろいろ考えたんだと思います。けど、意味はちゃんとハマってるから。そこはよくできてるなと思います。

10. 刺と猫
(作詞・マオ/作曲・御恵明希)

これも、本当にいまだにライブでやってる曲ですね。俺も好き。歌詞は……いまいち分かんないですね。こうして読んでみても(笑)。曲と一緒になるとスッと入ってきたりするんだけど、歌詞だけで見ると、よく分かんないね(苦笑)。‥‥女性目線で書いてるんだと思うけど。ああー! ちょいワルなお兄さんと付き合ってる女性目線の歌詞なのかな。“ピンクチラシ”とかヤバイっすねー(笑)。ライダース着てるから、ちょっとパンクよりのバンドをやってるバンドマンのお兄さんなんだけど、いまもピンクチラシ貼りのバイトをやってるんですよ。東京の繁華街のどこかで、そういうバンドマンの姿を実際に見たんでしょうね。この女性は、いままで結構モテてきた女性なんだけど、今回はなぜかダメな男に引っ掛かっちゃって。その男の嘘つきなところも好きですという感じかな。それを“うたう”で、すべてひっくるめて吹っ飛ばしてる。パッと見全然分かんないけど、じっくり読むと分かるな。

11. 微熱
(作詞・マオ/作曲・御恵明希)

シドのアルバムの最後だったりライブのシメがバラードというパターンになっていった、そのきっかけとなった曲です。アレンジャーの西平彰さんに入っていただきました。あの方が本当にポップスの王道、その扉をがっつり開いてくれたので、あの方との出会いは大きかったな。なので、その後も西平さんにはいろいろお世話になりました。いまはアレンジャーなしで作曲者がアレンジしていくんですけど、西平さんはそのきっかけをくれた方でもありますね。歌詞は……シドというものが急に人気が出てきて。東京だとNHKホールまで一気にいっちゃったのかな? それにびっくりしちゃったこともあって、自分の気持ちが人気に追いついてない部分があったんですよ。だからこそ、ファンへの感謝の気持ちを忘れずに、絶対にみんなを連れていかなきゃなということを歌詞に書き留めました。それが2Aの“届いた手紙の封を初めて切った あの日の喜び逃さぬように閉じ込めて”というところですね。10代の頃にバンドをやりだして、初めてファンの人がついて。しかも、それが女の子で、自分に“キャー”とか言ってくれて。可愛い封筒に入った手紙をくれたんですけど、それがめちゃくちゃうれしかったんで、ずっとその手紙を持ってたんですよ(微笑)。うれしくて、うれしくて。そこからどんどんファンは増えていって。このアルバムを作ってる頃には、それこそ山のように手紙とかもらってたんです。それでも、初めて手紙をもらったときのうれしさを忘れないようにしたいと思ったんですよね。この頃、ちょうど人数的に一人ひとりと対話するのは難しいなと思い出した頃なんですよ。前は、ライブが終わった後に外に出て、ファンの一人ひとりと「どうだった? 今日のライブ」って話してたんですよ。俺、100人ぐらいまではやってたんですね。それが人数的にも厳しくなってきて、どう考えてもこれは無理っていう人数になってきて。でも、なしにはしたくないな、と。この気持ちは。1対1という状況は、これからも変わらずにやっていきたいなという気持ちを込めて、これを書きました。「微熱」というタイトルは、当時のシドを象徴してる感じがして付けました。熱すぎるのは違うというか。バンドもメンバー感も「めっちゃ熱い」っていうよりかは、サラッとしてる感じのほうがカッコいいっていうのがあって。熱さがない訳じゃないけど、熱苦しいのはちょっとなっていう。それを表す言葉は微熱かな、と。歌詞もそうなんです。うまいこと熱苦しいところから逃げてるところが、このアルバム全体としてあると思います。

次回 3rd Albumplay』編は2018年8月上旬更新予定です。

リリース情報

LIVE DVD / Blu-ray『SID TOUR 2017 「NOMAD」』

2018年7月25日リリース
【初回生産限定盤DVD(DVD+写真集)】
KSBL-6322-6323 ¥6,000+税
【通常盤DVD】
KSBL-6324 ¥5,000+税
【初回生産限定盤Blu-ray(Blu-ray+写真集)】
KSXL-268-269 ¥7,000+税
【通常盤Blu-ray】
KSXL-270 ¥6,000+税

Mini Album『いちばん好きな場所』

2018年8月22日リリース
【初回生産限定盤(CD+DVD)】
KSCL-3076-3077 ¥2,788+税
【通常盤(CD)】
KSCL-3078 ¥1,852+税

ライブ情報

SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR

「いちばん好きな場所2018」
http://archive.sid-web.info/15th/

公演スケジュールなどの詳細は公式サイトをご参照ください。

マオ from SID

マオ/福岡県出身。10月23日生まれ。2003年に結成されたロックバンド、シドのヴォーカリスト。
2008年10月「モノクロのキス」でメジャーデビュー。以降、「嘘」「S」「ANNIVERSARY」「螺旋のユメ」など、数多くの映画・アニメテーマ曲でヒットを放つ。2018年バンド結成15周年を迎え、4月にはセレクションベストアルバム『SID Anime Best 2008-2017』をリリース。直後の5月から6月28日まで “SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 2018”と銘打った全国6都市14公演ツアーを無事に完走。さらに8月にはミニアルバムをリリース、9月からは全国31カ所で開催するLIVE HOUSE TOURも発表された。

オフィシャルサイト
http://www.maofromsid.com
http://sid-web.info

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