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新感線☆RS『メタルマクベス』disc1開幕。松下優也が橋本さとし&濱田めぐみらとメタル×マクベスでシャウトする!

新感線☆RS『メタルマクベス』disc1開幕。松下優也が橋本さとし&濱田めぐみらとメタル×マクベスでシャウトする!

7月23日(月)よりIHIステージアラウンド東京にて開幕した、ONWARD presents 新感線☆RS『メタルマクベス』disc1 produced by TBSの囲み取材と公開ゲネプロが初日前日に行われ、ランダムスター/マクベス橋本 役の橋本さとし、ランダムスター夫人/ローズ 役の濱田めぐみ、レスポール王/元社長 役の西岡德馬が出席した。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 中原幸

「見えるか見えないかのギリを狙ってます。よく観ていただければポロリがあるかもしれません」

内野聖陽、松たか子、森山未來が出演した『メタルマクベス』の初演は2006年。いのうえひでのりと宮藤官九郎が初タッグを組み、初めてシェクスピア作品に挑戦したことでも話題を集め、大ヒットとなった。

シェイクスピアの四大悲劇のひとつである『マクベス』を原作に、宮藤が大胆に脚色を施した『メタルマクベス』の舞台となるのは、映画『マッドマックス』のように荒廃した2218年の世界と、バンドブームに沸いた1980年代の日本。3人の魔女の予言に惑わされ王位獲得を目論む将軍とその妻、メジャーデビューを目指すヘヴィーメタルバンドのヴォーカルとマネージャーの成功と転落の物語。

主演の橋本さとしは劇団☆新感線退団後、古巣のステージに立つのは21年ぶり。劇団四季出身のミュージカルの女王・濱田めぐみは新感線初参加、西岡德馬はいのうえ歌舞伎☆號『IZO』(2008年)以来、8年ぶり2度目の出演である。

まず囲み取材で開演間近の心境を聞かれた橋本さとしは「早くお客さんの前でやりたいですね。普段のお芝居よりも随分前から小屋入りして、この独特の劇場を体に染み込ませるところから始めて。ようやく染み込んできたので早く見せたいですね。爆裂させたいです!」と気合いをみせる。また、21年ぶりに古巣である劇団☆新感線のステージに戻ってきたことに対し、「稽古がすごく楽しい。家に帰ってきたような感じがします。自分が自分のままでいれる場所というのを再確認しているので、できればもう少し長いこと一緒にみんなで稽古したかったな。早くやりたい気持ちもあるけど、まだちょっと稽古をしていたいという、矛盾した心境ですと」と正直な感想を漏らした。

初参戦の濱田めぐみは「稽古が始まる前はドキドキしてたんですけど、始まってからはみなさんが家族のように仲良くて。毎日、笑いが絶えない稽古場で。私は新入生なので、みなさんに教えていただきながら、仲良くやらせてもらってます。とにかく、エネルギーがすごいので、みなさんのエネルギーの中に紛れ込んで、旦那さんであるさとしさんをフォローできたらなと思ってます」と語り、これまでの舞台との違いについて、「すべてがびっくりでした。新感線の新幹線に乗ってる感じで(笑)、ひたすら乗り遅れないようにしています」と明かした。

8年ぶり2回目となる西岡德馬は「『メタルマクベス』の初演を観て、新感線に俺も出てみたいなと言ったら、すぐに出してくれて。すごい幸せでしたけど、面白かった初演を観ているぶん、それに負けないようにやりたいですね」と意気込んだ。

また、胸元が大きく開いたヘヴィメタ風の衣装の話題となり、橋本は「お色気で売っていこうかな、みたいな(笑)。『もっと開けてください、もっと開けてください』ってリクエストしているうちにこんなになって。見えるか見えないかのギリを狙ってます。よく観ていただければポロリがあるかもしれませんので、ぜひオペラグラスで注目してください。ってそこ、注目かい!」と笑わせながら、最後に「“disc-1”は『メタルマクベス』の掴みですからね。僕らがボーダーラインになってくると思うので、できるだけ高いボーダーをおいて行ったろうかなと思います。なかなか越えさせないようにガンガン行きたいと思っています」と、これから続く“dsic2”、“disc3”の後輩キャストに向けた、先輩からの挑発とも言える激励で会見を締めくくった。

アトラクション的な楽しさだけでなく、小ネタ満載の歌詞にもしっかりと耳を澄ませてほしい

囲み取材後のゲネプロでは第1幕のみが公開された。

オープニングでは客席を取り囲む360度のスクリーンに壮大な宇宙空間の映像が流され、地球の全景から、長く続いたひどい戦争のために瓦礫の荒野となった近未来の日本、そして、崩壊した東京タワーやスカイツリー、大型電気店などの残骸で埋め尽くされた東京へとズームインしていく。

やがて、スクリーンが開き、3人の魔女たちが様々な訳者によるシェイクスピアの著書『マクベス』を鍋に放り込むと、真っ赤な煙とともにエレキギター(のような剣)を掲げたランダムスター(橋本さとし)が登場。轟音とともに巨大なLEDスクリーンもせり上がり、ロックスターにして、王になる男の誕生が告げられ、エクスプローラー(橋本じゅん)とともに新感線らしいアクションを披露。

そして、本作の主題歌「きれいは汚い、ただしオレ以外」を生バンドの演奏をバックに熱唱し、ステージ上をバイクで滑走していく。動力は定かではないが、バイクで360度ステージを走り回る様はこの劇場でしかできない迫力の演出であり、初演当時にいのうえからの「『マクベス』を近未来、映画『マッドマックス』の世界観で」という宮藤へのイメージリクエストが、舞台上に具現化したシーンとなっていた。

続く、ESP軍の鋼鉄城の場面では、レスポール王(西岡德馬)が伝令による戦火の報告を聞いている最中に客席が回転、横のスクリーンが大きく開き、ランダムスターとエクスプローラーが戦う瓦礫の荒野が現れた。冠君(冠徹弥)が「炎の報告」を歌い、レスポールJr.(松下優也)らが踊る城内と、ダイナミックな剣戟が繰り広げられている戦場が同時に観られるという広範囲な演出もこの舞台ならではの仕掛けだろう。

ただ、アトラクション的な楽しさだけに目を奪われていると、本作の魅力は半減してしまう。「寝ても覚めてもオレは愛妻家!」と歌う「きれいは汚い、ただしオレ以外」をはじめ、宮藤による、小ネタ満載の歌詞にもしっかりと耳を澄ませてほしい。

枯れた密林で3人の魔女がゴスロリ衣裳にエレクトリックな狐の面を抱えて、ランダムスターに予言とともに1980年代に活躍したヘヴィーメタルバンド「メタルマクベス」のCDを手渡す場面のパフォーマンスでは、世界中のメタルフェスで、熱狂と論争を呼び起こしているBABY METALならぬ、HEAVY MENTAL(林メンタル、森メンタル、植本メンタル)として挨拶し、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」ならぬ新曲「ヨリメ、ダメ、ゼッタイ」を披露する。こんな細かい笑いがここだけでなく要所要所に散りばめられているので、それらも見逃さずに笑ってほしい。

また場面は変わって、メイプル城のランダムスターの寝室。ランダムスターからの伝令で「メタルマクベス」のデビューアルバムを聴いている夫人の姿と、スタジオで「リンスはお湯に溶かして使え」を演奏するメタルマクベスが登場。やがて、ランダムスターが帰宅し、婦人はレスポール王の暗殺をそそのかす。シェイクスピアらしい重厚なやりとりと、気を抜くとバカップルになるふたりの軽妙な掛け合いに場内からは笑いが起きていた。

1幕の後半で物語はようやく1980年代の日本へと移る。グルーピーが集まる大阪の打ち上げ会場での見どころは、レコード会社の社長・元(西岡德馬)が息子の元きよし(松下優也)を「メタルマクベス」に紹介するシーンだろう。2011年に「マイケル・ジャクソン・トリビュートライブ」のソングステージにアーティストとして最年少で出演した経歴を持つ松下は「ビリー・ジーン」のようなキレキレのダンスを披露。かなり短いシーンではあるが、ムーンウォークまで飛び出し、強烈なインパクトを残した。さらに、ここで登場するマクダフ山口(グレコ/山口馬木也)、彼の子を身ごもったシマコ(グレコ夫人/猫背椿)らも、2218年の世界と重なる大事なキャラクターなので注目。

場面は再び2218年へと戻り、躊躇するランダムスターに対し、夫人が決断を促し、事態はレスポール王の暗殺へと動いていく。やがて、王は永遠の眠りにつき、下手人の疑いをかけられたレスポールJr.は失踪、ランダムスター夫妻は眠れない夜を過ごすことになる。「王を弔う歌」から葬列、そして、悲痛なシャウトによって第一幕は終了。

このあと物語は、ランダムスター夫妻の精神の崩壊と、バンド「メタルマクベス」の崩壊が、嵐の襲来にも似たへヴィーメタルの爆音とともに描かれることになる。夫婦の愛、野望を掲げた男と支える女、近未来と近過去、“メタル”と“マクベス”の共存共栄が果たされた物語がどんな結末を迎えるのか楽しみに見てほしい。

“disc1”は8月31日まで。9月15日からは人気歌舞伎役者の尾上松也と10代に人気のアーティストである大原櫻子がマクベス夫妻を演じる“disc2”が、11月9日からの“disc3”ではミュージカル界のプリンスである浦井健治と人気女優の長澤まさみという、まったく毛色の違う組み合わせで上演される。

ONWARD presents 新感線☆RS『メタルマクベス』disc1 produced by TBS

【disc1】2018年7月23日(月)〜8月31日(金)IHIステージアラウンド東京

<ライブビューイング>8月9日(木)12:30開演/18:00開演いずれかの回
詳細はこちらで

作:宮藤官九郎
演出:いのうえひでのり
音楽:岡崎 司
振付&ステージング:川崎悦子
原作:ウィリアム・シェイクスピア「マクベス」松岡和子翻訳版より

出演:
ランダムスター / マクベス橋本 役:橋本さとし
ランダムスター夫人 / ローズ / 植本B 役:濱田めぐみ

レスポールJr. / 元きよし 役:松下優也
グレコ / マクダフ山口 役:山口馬木也

グレコ夫人 / シマコ / 林 役:猫背 椿
パール王 / ナンプラー 役:粟根まこと
植本 / 医者 役:植本純米

エクスプローラー / バンクォー橋本 役:橋本じゅん

レスポール王 / 元社長 役:西岡德馬

森 / 老婆 役:山本カナコ
トーカイ / 礒野君 役:礒野慎吾
伝令係ヤマハ 役:吉田メタル
門番 / 杉 役:村木 仁
冠君 役:冠 徹弥
マーシャル 役:富川一人
ローマン / ユウキ 役:小沢道成

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【disc2】2018年9月15日(土)~10月25日(金)

出演:
ランダムスター / マクベス魔II夜 役:尾上松也
ランダムスター夫人 / ローズ / 村木B 役:大原櫻子
レスポールJr. / 元きよし 役:原 嘉孝(宇宙 Six/ジャニーズJr.)
グレコ / マクダフ浅利 役:浅利陽介
グレコ夫人 / シマコ / 林 役:高田聖子
パール王 / ナンプラー 役:河野まさと
植本 / 医者 役:村木よし子
エクスプローラー / バンクォー岡本 役:岡本健一
レスポール王 / 元社長 役:木場勝己 ほか

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【disc3】2018年11月9日(金)〜12月31日(月)

出演:
ランダムスター / マクベス浦井 役:浦井健治
ランダムスター夫人 / ローズ / 右近B 役:長澤まさみ
レスポールJr. / 元きよし 役:高杉真宙
グレコ / マクダフ柳下 役:柳下 大
グレコ夫人 / シマコ / 林 役:峯村リエ
パール王 / ナンプラー 役:粟根まこと
植本 / 医者 役:右近健一
エクスプローラー / バンクォー橋本 役:橋本じゅん
レスポール王 / 元社長 役:ラサール石井 ほか

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