Interview

UVERworld 自由な場所へ行くための“BEST”なアクション。TAKUYA∞が目指す歌とは、声とは。その周波数を探る

UVERworld 自由な場所へ行くための“BEST”なアクション。TAKUYA∞が目指す歌とは、声とは。その周波数を探る

UVERworldが自らの意志でリリースするのだからただのベストアルバムになるはずもないことはわかっていたつもりだが、それにしてもなんたる破格。メンバー6人によって選び抜かれた16曲に新曲のSEを加えたメンバーベスト(Disc 1[MEMBER BEST])に、ファン投票の結果をもとに構成されたファンベスト(Disc 2[FAN BEST])、そしてバラードのみを選りすぐり、なんと全曲再レコーディングして2018年のモードに進化させたバラードベスト(Disc 3[BALLADE BEST(Re-Recording)])から成る3枚組全48曲の大ボリューム作、その名も『ALL TIME BEST』だ。今回のインタビューではボーカル・TAKUYA∞をフィーチャー。このベストアルバムに託した想いや再レコーディングによって見えたもの、彼にとっての歌とは何か? に迫りたい。

取材・文 / 本間夕子
撮影(ライヴ) / 田中和子

ホント自分たち発信のベストです、これは

3枚組というボリュームからしても、非常に総決算感のあるベストアルバムです。それはUVERworldにとってこのタイミングがひとつの節目ということなのでしょうか。

そうですね。

そう思われた理由やきっかけは?

例えばライヴもそうなんですけど、今やっているスタイルのものは完成度もかなり高くなってきてると思うんですよ。それはすごくいいことなんですけど、一方で完成した瞬間に必ず飽きがやってくると思うんですね。そうさせないためにも手を替え品を替え、ライヴを変化させていきたいなと思ったときに、まず楽曲の方向性として今までにないものを追いかけていきたいなという気持ちが生まれてきて。ここからまたUVERworldというものがどんどん変わっていくなって気がしているんです。この間も制作のために海外に行ったんですけど、実際、曲の作り方そのものが変わってきていて。さらに自由なところに行くためにも、ここで一回、集大成を作りたいな、と。だからホント自分たち発信のベストです、これは。

つまりメンバー自らの意志でリリースするベストだということですね。

はい。ベストって基本的にはレーベルとか会社側からの要望で出されるものが多いと思うんですけど、今回に関しては僕らが出したいって言って。1作目のベスト(2009年発売の『Neo SOUND BEST』)は完璧に会社側主導だったんですけど、僕の中ではあれはシングルコレクションだと思っていて、そのときから僕自身、いつか自分発信のベストを出したいって気持ちがあったんですよね。これを聴いたうえでUVERworldのことを好きじゃないって言われるんやったら仕方ないと思えるくらい、しっかりと悔いの残らへんものをベストにしたいなと思ったんです。で、あれもこれも入れたい、あとファンの人たちの声も、ってやっていったら……3枚組になりました(笑)。

「え? それ!?」って思うところもありますけどね

一番こだわったのは、どういうところでした?

やっぱり選曲ですかね。超民主的なやり方で選曲したんですよ。要はメンバーひとりにつき15票ずつ持って、全曲リストから15曲投票したっていうだけなんですけど。でも選ばれた曲に対して、あとから「これが入ってないけど、やっぱり入れへん?」とかは言語道断、調整はいっさいなしで。とにかく、みんなが入れた曲だけから民主的に16曲選んだっていう。メンバーベストに入ってこなかった曲についてはファンのみんなが投票してくれることを願うしかないって感じだったんですけど、それでも結局、僕が選んでいた「ナノ・セカンド」と「REVERSI」は入ってこなかったですね。「Wizard CLUB」もそう。

たしかにそれは意外でした。でもメンバーベスト(Disc 1[MEMBER BEST])に関していうと、ここ最近のセットリストにかなり近くないです?

ライヴをもとにして、この選曲をしたわけじゃないんですけどね。作品は作品で考えてたはずやのにこうなったっていうのは、つまり自分たちにとって今一番自信があって、みんなに聴かせたい曲をライヴでやってるってことだなって。

ちなみにメンバー全員一致で決まった曲というと何になりますか。1曲目の「EYEWALL」は新曲SEですから、それを除いた16曲の中で。

1位からの上位11曲は全員一致でしたね。「EYEWALL」に関しても新しいSE入れたいっていう気持ちがみんなにあったんですよ。なので過去の作品のSEを克っちゃん(克哉 / guitar)がリミックスしてくれました。

ファンベスト(Disc 2[FAN BEST])はまたファンベストらしい、いいセレクションになりました。

「え? それ!?」って思うところもありますけどね、俺は(笑)。そうそう、1曲目が「撃破」になってますけど、ファン投票の12位なんですよ、それ。11位まではメンバーベストに入ってるから、12位の「撃破」が1曲目に繰り上がったっていう。メンバーとファンの選曲がかぶったんですよ、1位から11位まで。

なんというミラクル!

すごいですよね。ただ、なんで「撃破」が12位なんやろ? って思ったりもしてて。そういえばライヴでもやってくれって声が多いんです、この曲。これは俺の勝手な憶測ですけど、たしか一番爆発的にファンクラブ会員が増えた年のツアー(“Autumn Tour 2009”)で1曲目に「撃破」をやったんですよ。だから、みんなの中で、初めてライヴで聴いた曲が「撃破」だったっていうのもあるのかなって。

個人的には「白昼夢」が入って嬉しいです。

それも意外でしたね。ファン投票では「IMPACT」が50何位とかだったんちゃうかな。それ見てウソやぁ! と思いましたもん。みんな、ライヴではあんなに盛り上がるくせに〜って(笑)。

きっと絶対入るだろうと踏んだうえで違う曲に投票したのかも。

そう! そういう読みもあるんですよ、たぶん。

バラードとは、ご褒美みたいなものですかね

そして今回の大目玉であるバラードベスト(Disc 3[BALLADE BEST(Re-Recording)])ですが、バラードだけで一枚にまとめたのはどういう意図だったんでしょう。

ずっと出したいなって思ってたんですよ、バラードだけで固めたベストを。やっぱりバラードってボーカリストの資質やスキルが一番見えてくるものだと思うんですよね。で、今回、ベストを出すにあたって10何年前に録ったバラードの曲もラインナップに上がってきたりしてて。ただ、それをそのまま入れるのはちょっと恥ずかしいというか、録り直したいなって気持ちがあったんです。そもそもバラードベストを作りたいって思ってたし、だったら、バラードだけ一枚にまとめて全曲再レコーディングしたら、みんなも喜んでくれるかなって。

めちゃめちゃ嬉しいですけど、バンド的には相当な労力を要しますよね。

最初はゾッとしましたけど(笑)、でも楽しかったです。歌い慣れてる曲を改めて歌うのは思ったよりもしんどくなかった。ちゃんと自分の身になってるから、手放しで歌えましたね。

「MINORI」とか、すごく久しぶりな曲も?

全然、苦労なく歌えました。古い曲はもう、普通に歌っても圧倒的に今のほうがいい歌やって思えますね。逆に、昔はこれでよくOKにしてたなって(笑)。

たしかに今のほうが、いい意味ですごく肩の力が抜けてるというか。

声も全然違いますよね。なんか野太い感じがするんですよ、昔のほうは。

今は高いところがすごく綺麗に伸びてますよね。やっぱり、ご自身がきちんと納得できる歌を残したかったわけですか。

そこまでこだわってはいないですけど、とにかく気持ちよく歌いたかった。単純に今の自分が過去の曲にチャレンジする、ただそれだけでしたね。だから「君の好きなうた」のフェイクとかもなるべく昔のままにしようとしてたり、ホンマはもっと抑揚つけたいけどグッとこらえてたり。本当はもっと今の自分の歌い方でやりたいなって気持ちもありつつ、そこは、みんなの思い出を壊さへんようにって。でも「体温」なんかはみんなもそんなにオリジナルを知らんやろうからって実は結構変えてみたりしてるんですよ。この中で「体温」が一番好きですもん、僕(笑)。

とはいえ当時だって、自分なりの最善を目指して歌ってたわけですよね。

いや、その頃は歌を録る作業を自分でやっていなかったので、5〜6回くらい歌っても思うようにいかへんかったときとか、7回目をお願いしづらくて「ま、今のでいいか」ってなってたこともあったんですよ。「もう夜中の3時やし、エンジニアさんも帰りたいやろな〜」って(笑)。

今のTAKUYA∞さんからは考えられない(笑)。

そんなこともないですけどね(笑)。でも、そういうことがあって自分で録るようになったっていうのはあります。

ちょっとざっくりとした質問になりますけど、TAKUYA∞さんにとってバラードとはどんなものですか。

ご褒美みたいな感じですかね、そんなに何曲も作れるもんじゃないなとは思ってるので。

ご褒美?

俺、バラード作るの、めっちゃ好きなんですよ。でもライヴをやるにあたってバラードばっかりじゃ自分も楽しめへんし、バランス的にもおかしくなってくるから、激しい曲を10曲書いたら、バラードを1曲作る、みたいな感覚で。

今回、世の中的にバラードだと認識されているのに入ってない曲もあるじゃないですか。例えば「7日目の決意」とか。なのでバラードの定義はなんだろうと思って。

そこはメンバーも意見はバラバラでした。「7日目〜」をバラードっていう人もいたけど、俺はバラードじゃない気もするし……単純にBPMが遅いっていうだけではなさそうやけど、テンポが速かったら絶対バラードじゃないし。感覚的なものなんですけど。

ここに入っている15曲は全部、TAKUYA∞さんにとってはバラード?

いやぁ? だって「SHOUT LOVE」とかバラードなのかな、これ(笑)。でも、ここ最近出来た曲の中でも俺はかなり気に入ってるし……だからもうバラードの定義なんてないってことにしましょう(笑)。僕がバラードって言ったらバラードってことで。

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