LIVE SHUTTLE  vol. 283

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鈴木雅之、Skoop On Somebody、ゴスペラーズ、DANCE☆MANなどが今年も集結。夏恒例のソウル・ミュージックの祭典“SOUL POWER TOKYO SUMMIT 2018”

鈴木雅之、Skoop On Somebody、ゴスペラーズ、DANCE☆MANなどが今年も集結。夏恒例のソウル・ミュージックの祭典“SOUL POWER TOKYO SUMMIT 2018”

SOUL POWER TOKYO SUMMIT 2018
2018年7月15日 東京国際フォーラム

夏恒例のソウル・ミュージックの祭典“SOUL POWER TOKYO SUMMIT 2018”が、東京国際フォーラムで開かれた。この日を楽しみにしていたソウル・ファンたちが、今年もたくさん詰めかけている。ソウル・ミュージックをこよなく愛するアーティスト、ミュージシャンが集結して醸し出す独特の“ファミリー感”が、集まったオーディエンスたちを魅了する。もちろんオーディエンスたちもこのファミリーを形作る重要なファクターで、いつものファミリー構成員が揃ったところで、開演時間が近づいてくる。

マンネリはない。“SOUL POWER TOKYO SUMMIT”はすっかり定着したイベントながら、毎年、さまざまな企画で楽しませてくれる。ベテランは歴史を踏まえたパフォーマンスで音楽の深みを、毎回ピックアップされるニューカマーは、ソウルの永遠の新鮮さを味あわせてくれる。さて、今年はどんな出会いがあるのだろう。

オープニングはDANCE☆MAN。「ダンス☆マンのテーマ」に乗って長身のアフロ男が登場すると、オーディエンスはのっけからハンドクラップで応じる。自分の容姿をからかった「背の高いヤツはジャマ」と、「良くある名字斎藤」でイベント開幕の緊張を和らげた後、ゴスペラーズを呼び込んでデビュー曲「二度と言い切ったりしない」を歌う。この曲のお披露目は、“SOUL POWER TOKYO SUMMIT”だったそうだ。ミラーボールが回り出し、会場が盛り上がる。DANCE☆MANの歌声を美しいハーモニーで包みこむ、ゴスペラーズのメンバーも楽しそうだ。終わると、村上てつやが「歌いながら帰ろう」と言って、仲よく全員でステージを後にしたのだった。

2番手はBeverlyだ。フィリピンからやってきたこの歌姫を知る者は、今のところそう多くはない。しかし彼女の素晴らしい歌声の噂は広まっていたから、期待が集まる。そのプレッシャーの中で、Beverlyは魅力的なハイトーンボイスを堂々と披露。「Power of Love」や「A New Day」などのシングル曲を歌い切った。この日、唯一の女性シンガーとして、その声は強烈な印象をオーディエンスに与え、もう少し聴きたいと思ったところで、アクトが終わった。

3番手はゴスペラーズ。まずは今年2月にリリースしたシングル「ヒカリ」で、王道のバラードを聴かせる。イベントの首謀者の一つとして、ソウル・ミュージック最大の“ウリ”を実感させるのは、さすがだ。

「こんばんは、ゴスペラーズです。今年もたくさんご来場いただきまして、ありがとうございます。“SOUL POWER TOKYO SUMMIT”を13年、やってきました。が、中には今回、初めて来た方もいらっしゃると思うので、自己紹介します」と村上が言って、メンバーそれぞれが短く挨拶する。ファミリー感はある意味、初めて参加する人にとってはハードルとなってしまうことがあるが、“開かれたイベント”であることを意識し続ける村上のベテランらしいステージ運びが際立つ。

ゴスペラーズは当然、歌も魅力的だが、オシャベリも面白い。だが放っておくとしゃべり過ぎるクセがある(失礼!)。この夜は盛りだくさんのイベントなのにと思っていたら、再び村上が口を開いて「この後も歌いたくてたまらない人たちが続々と出てまいります。先を急ぎましょう」と次の曲へと促す。ニューシングルのカップリング「Seven Seas Journey」で、これも珠玉のバラードとなった。

じっくり聴かせて会場をソウルの雰囲気に染め上げたゴスペラーズが、イベント名物の“セッションコーナー”のゲストを呼び込む。先ほど立派に歌い切ったBeverlyだ。「もう少し聴きたいな」と思っていた僕は、思わず拍手。

「今日はリハーサルからずっとソウルパワーを感じていて、“耳が幸せ”です。皆さんと一緒にステージに立てて光栄です」とBeverly。「日本語、上手いね(笑)。ではBeverlyが尊敬しているホイットニー・ヒューストンの歌を」と村上が進行する。始まったのは、定番中の定番の「SAVING ALL MY LOVE FOR YOU」。この誰もが知っている大ネタを、どう料理するのだろう。

その答は“ドゥワップ”だった。名作ロッカバラードの「SAVING ALL MY LOVE FOR YOU」は、ドゥワップのアレンジに非常に適している。ゴスペラーズの5人のコーラスに抱かれて、Beverlyがその真価を発揮する。男性5人のハーモニーから抜け出すハイトーンが、抜群に凛々しい。声だけで構成される「SAVING ALL MY LOVE FOR YOU」は、いやおうなく名曲の輝きを増す。とてもスリリングでハートウォームなサウンドに、オーディエンスたちはすっかり吸い込まれていった。

と、6人の声の向こうからサックスが聴こえてきた。バンドメンバーの本間将人が、デリケートなボイス・ハーモニーを壊さずに入ってきたのだ。それまで声だけだったところに加わったサックスの音色が、サウンドに劇的なアクセントを付けて、セッションの素晴らしさが数段アップする。安定感のあるゴスペラーズのボーカルワークと、自由に振る舞うリードボーカルBeverlyの伸びやかな声、そして“音のツボ”を知り抜いた本間のサックスが、この夜だけのアンサンブルを奏でる。“SOUL POWER TOKYO SUMMIT”史上、屈指の名演となった。対してオーディエンスは、最大限の拍手と賞賛をステージに送ったのだった。

さらにゴスペラーズは「昨日が宇宙初演だったから、今日は2回目。ちょっとエッチなニューシングルをやります」と言って、新曲の「In This Room」を披露。J-POPというよりK-POPマナーのダンスチューンは、これまでとはひと味違う歌い継ぎが聴けて、ラストの「1,2,3 for 5」まで最新のゴスを堪能したのだった。

4番手は、さかいゆう。ピアノを弾きながら、個性的なソウル・ミュージックを展開する。R&Bシーンで評判を呼んでいたさかいは、メジャー・デビュー前から知る人ぞ知る存在。それだけに“SOUL POWER TOKYO SUMMIT”ファミリーにも知り合いが多く、スッと溶け込む。ニューシングル「Fight & Kiss」でライブをスタート。歌もピアノも、普段より丁寧な感じだ。

「お久しぶりです。さかいゆうです。憧れの人、Skoop On SomebodyのKO-ICHIROさんです」と、バックバンドとしてキーボードを務めるKO-ICHIROを、リスペクトを込めて紹介する。「僕を育ててくれた日本の偉大なソウル・レジェンドさんたちに混じるのは、何年経っても慣れないで緊張します」。さすがに天才の呼び声高いさかいも、このイベントでは緊張しているようだ。「最後の曲は、ニューシングルに入っているカバー曲をやります。ソウル好きな人にしかわからない、愛を込めたアレンジで」と、松田聖子の「SWEET MEMORIES」を。

自ら弾くピアノだけで歌い始め、ドラムなどバックが絡むと、サウンドがどんどんゴスペル化していく。さかいのスウィート・ボイスが、会場を圧倒。先ほどの「SAVING ALL MY LOVE FOR YOU」と同じく、見せ場たっぷりのバンドとの熱いセッションが強烈な印象を残した。

5番手は、このイベントの首謀者の一つ、Skoop On Somebodyで、徹底的にバラードで攻めてくる。TAKEのファルセット・ボーカルが、「束縛」で迷いなく愛を描く。この集中力がSOSの核心だ。

「リビングのようにくつろいでもらいながら、聴いてくださいね。去年出した20周年記念アルバム『State Of Soul』から、2曲続けてどっぷりと」とTAKE。「Luvtone」も「Nice`n`Deep」もディープな歌で、オーディエンスは致死量のバラードを注入されて、ひたすら酔いしれる。

「新しいことをやろうということで、SOSを見たことのない人に届けようと秋にライブハウス・ツアーをやります。10都市61公演。その街に留まって、都合のいい日に来てもらいたいと思ってます。ぜひ遊びに来てください。では最後に、映画『The Greatest Showman』から“This is Me”。一緒にやってくれるのは、Beverly! さかいゆう! ゴスペラーズから黒沢薫!」とセッション・メンバーを呼び込んだ。ショービジネスの本質を描く映画の主題歌らしく、ステージにいる全員がショーマンシップを発揮する。ベテランもニューカマーも超えた、感動的なセッションとなった。

6番手はBro.KORN。ディスコ・ダンサーズを引き連れて、ホーンセクションがアッパーに響くダンスチューン「Vehicle」で、会場は中盤の盛り上がり。「昔、バブルガム・ブラザーズをやってたんですよ。Bro.TOMとコンビを組んでた。この前、ばったり会って、『貸してたレコード、返して』って言ったら、今年は結成35周年だから一瞬だけ再結成しようかって話になって・・・・あ、今日はBro.TOMは来てないよ(笑)。11月頃、ライブやるから、どっちかが死ぬ前に2人一緒のところを見ておいた方がいいよ。じゃ、懐かしい曲」と、バブルガム・ブラザーズの「心残りのアヴェニュー」。ラストは伝統的なソウルの振り付けがカッコいい「Torokel Lady」で締めた。

7番手は、ついに“SOUL POWER TOKYO SUMMIT”のボス、大トリの鈴木雅之の登場だ。いきなりアカペラのトラックをバックに「おやすみロージー」を歌う。2コーラス目からバンドが入ると、鈴木の貫録がさらにアップする。

「こんばんは、ようこそ! ラブソングの王様、鈴木雅之です。だいぶ待ちました(笑)。オープニングのDANCE☆MANは20周年だし、KORNちゃんは35周年。私は38年になりました。“SOUL POWER TOKYO SUMMIT”は2006年の戌年に立ち上げたから、今年でひと回り。一周しました。13回目の今回のテーマは“ディスコ”です。映画『サタデー・ナイト・フィーバー』が公開されたのが1978年で、今年は40周年。次は78年に流行ったディスコ・ナンバーを。さっき歌った「おやすみロージー」を書き下ろしてくれた山下達郎さんの曲で、大阪のディスコから火がついたファンキー・チューンです」と「BOMBER」に入る。当時を彷彿とさせるグルーヴを繰り出すバンドがカッコいい。

次は早速、ゲストの佐藤善雄を呼び込んで、佐藤が主宰するレーベル“ファイルレコード”の30周年を記念した「30th」を歌う。

鈴木 改めて、小学校から同級生の佐藤善雄です!

佐藤 あっという間に13回目!

ここでさらなるゲストを呼び込む。ラッツ&スターの桑野信義、ゴスペラーズから村上てつやと酒井雄二が加わって、スペシャル・コラボユニットの“ゴスペラッツ”としてパフォーマンスする。これも1978年縛りで、ジョン・ベルーシ主演の78年公開の映画『アニマルハウス』から、「SHAMA LAMA DING-DONG」をピックアップ。架空のドゥワップ・グループの曲が、こんなに似合うカバーも珍しい。マニアックな音楽愛が会場を包む。僕にとってはいちばん快適な時間だった。

ラッツ&スターの大ヒット「め組のひと」は、4つ打ちバージョンにアレンジされていて、会場の全員が楽しむ。鈴木の活動の初期からお世話になった故・大瀧詠一さんを偲ぶエピソードを紹介して、大瀧作品の「Tシャツに口紅」と「夢で逢えたら」を歌う。心を込めて歌い、思い出の作品をさらに素晴らしく披露したのは本当に感動的だった。J-POPの歴史の中でのソウル・ミュージックや、ドゥワップなどのブラック・ポップスの意味と意義をしっかりと示していて、このイベントの懐の深さを感じさせるラストシーンとなった。

アンコールはディスコダンスのお楽しみタイム。70年代末のディスコヒットが、会場をハッピーにする。出演者全員が揃って、バブルガム・ブラザーズのヒット曲「WON`T BE LONG」をオーディエンスとコール&レスポンスし、最後はイベントのテーマ曲「WE GOT SOUL POWER」でファミリーの結束の強さをアピールした。

長続きするイベントは、やはり一本スジが通っている。初めてこのイベントに参加した人も、この歌できっとファミリーの一員になったに違いない。そして彼らはきっと来年も、「WE GOT SOUL POWER」を歌いに来ることだろう。

文 / 平山雄一

SOUL POWER TOKYO SUMMIT 2018
2018年7月15日 東京国際フォーラム

セットリスト

DANCE☆MAN

1.ダンス☆マンのテーマ
2.背の高いヤツはジャマ
3.良くある名字斎藤
4.二度と言い切ったりしない

Beverly

1.Power of Love
2.LOVE THERAPY
3.A New Day

ゴスペラーズ

1.Soul Ballad Intro
2.ヒカリ
3.Seven Seas Journey
4.SAVING ALL MY LOVE FOR YOU
5.In This Room
6.1,2,3 for 5(soul sweat)

さかいゆう

1.Fight & Kiss
2.SHIBUYA NIGHT
3.SWEET MEMORIES

Skoop On Somebody

1.束縛
2.Luvtone
3.Nice’n’ Deep
4.The Greatest Showman “This is Me”

Bro.KORN

1.Vehicle
2.心残りのアヴェニュー
3.Torokel Lady

鈴木雅之

1.おやすみロージ
2.BOMBER
3.30th
4.SHAMA LAMA DING-DONG
5.め組のひと
6.Tシャツに口
7.夢で逢えたら

ENCORE

1.SOUL TRAINのテーマ
2.I WILL SURVIVE
3.Stand Up
4.Hot Butterfly
5.More Than A Woman
6.You And I
7.Disco Dance Contest
8.WON’T BE LONG
9.WE GOT SOUL POWER

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