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絶対に何かいる!『Stifled(スタイフルド)』音を頼りに暗闇を進む新感覚ホラー

絶対に何かいる!『Stifled(スタイフルド)』音を頼りに暗闇を進む新感覚ホラー

黒い画面に描かれたシンプルな線画が印象的で、「いったいどんなゲームなんだろう?」と見る人の興味をそそる『Stifled(スタイフルド)』は、シンガポールのインディーズデベロッパー Gattai Gamesがリリースした、PlayStation®VR対応のサイコスリラーゲーム。コウモリやイルカなど、動物が発した音や超音波が反響することにより、物体の位置や距離などがわかる能力“エコーロケーション”(反響定位)をモチーフとし、“音”を利用してゲームを進めていくという斬新なシステムが特徴です。 静かで美しい風景の探索と、暗闇のなかに白い輪郭だけが浮かび上がるシーンの全く趣の異なる2パートで構成されている本作は、新感覚のホラーゲームと言えます。本稿では、PlayStation®VRでの臨場感溢れるプレイを紹介していきます。

※記事中の画面はPlayStation®4でプレイしたときのものです。

文 / 内藤ハサミ


美しい風景のなかに潜む恐怖

プレイヤーが操作する主人公デイビッド・リドリーは、とある不幸な経験から心に闇を抱えています。そのせいなのか、彼の見ている世界はもやのかかったような見通しの悪さ。目的もわからず、何の情報も与えられないままゲームは始まりました。自宅のベッドで目を覚ましたデイビッドを操作して、まずは部屋を歩き回ってみます。

▲美しいインテリアは、ミッドセンチュリーの雰囲気ですね

ポインタを合わせてXボタンを押すと、手に取って詳しく見ることができるオブジェクトも多数。引き出しや棚の扉もほとんど開けられます。人の家を物色しているリアルな感覚がVRならではの楽しさですね。ただし、何が出てくるかがわからないという怖さは常につきまといますが……。

▲どうやら、デイビッドと妻・ローズとの間には待望の赤ちゃんができたようです。ベビーベッドに置かれた人形を手に取ると、デイビッドとローズが子供の名前について話している音声が流れます

部屋を歩き回って見えてくる断片的な情報は、妻の妊娠を喜ぶようなメッセージカードにオブジェ、名前を決めるシーンの回想、赤ちゃんが既に生まれたあとのような生活感のあるインテリア……。別々の時間に起こったことが同じ空間に漂っているような状態なのです。ここは現実の風景なのでしょうか?

▲ところで、本編とは全然関係ないことなのですが、バスルームに衣服の収納があるのは海外ではふつうのことなのでしょうか……洋服、湿気がひどくなったりしないのかなあ

白いもやが視界にかかった状態では一歩先でも様子がわからず、満足に進むことができません。しかし、デイビッドを操作するプレイヤーが何らかの音を立てることで、ソナーの音波が球状に広がっていくように、周辺の風景が浮かび上がってきます。具体的には、ゲームのなかで歩行したり物を投げたりする、プレイヤーがPlayStation®VRのヘッドセットマイクに向かって声を発したりする、などの行為で音を出します。浮かび上がる範囲は音の大きさに対応しており、大きい音になるほど、遠くまではっきりと見ることができます。

▲部屋のなかに入っていくだけでは、デイビッドの小さい足音しか立たない状態なので、視界のほとんどがもやに覆われていますが……

▲声を出すなどして大きな音を立てると、風景がパッと浮かび上がります

愛するふたりに子供が生まれ……? 幸せいっぱいの家庭に見えるリドリー家ですが、どことなく家のなかには不穏な空気が漂っています。家のあちこちには、おそらくデイビッドの妻・ローズであろう女性の姿が見え隠れするのですが、彼女のあとを追っても接触することはできません。この違和感、ここはやはり現実でないのでは……? 夢のなかでうまく動けないようなもどかしい気持ちでいると、唐突に鳴る玄関のインターフォン。ビックリしすぎて心臓が止まるかと思いました。100%嫌な予感しかしませんが、外に出ると……。

▲いきなり、視界にひっくり返った車と血痕……

あまりに唐突な事故のシーン。これがもしデイビッドの回想だとすれば、ローズとデイビッドは自動車事故に遭ったということで間違いなさそうです。ここはどこなのか確かめようと車を離れたとたん、視界はさらに暗くなり、ついには何も見えなくなってしまいます。

▲タイトル画面で見たものと同じ、シンプルな線で構成されたシーンです

「えっ? どうしよう……」  腰が引けた筆者の声を拾い、パッと輪郭だけの風景が浮かび上がりました。なるほど、もやのかかった風景と同じようにこうして声を出せば、周りの状況を見ながら進めそうです。怖いのでわざと明るい曲を歌い、マイクに音を拾わせながらズンズン歩いていくと、不自然に開いている地下水路の扉が。

▲明らかに、このなかで怖いことが起こる感じがするじゃないですか……

不安のあまりみぞおちがシクシク痛みますが、ここしか進める道はなさそうなので、意を決して入ってみます。地下水路なんて、何か出ても逃げ場がない……。目立ったイベントがまだ何も起こっていないここまででも怖さはかなりのものなのに、これから先はどうなってしまうんでしょうか。 

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