2018年夏アニメ主題歌特集  vol. 5

Interview

“すべてのあまえんぼうさんに贈る”年の差ラブコメ、異世界嫁入りファンタジー… どの作品でも100%全力、中島愛が歌う最新型アニソンの魅力を聞く

“すべてのあまえんぼうさんに贈る”年の差ラブコメ、異世界嫁入りファンタジー… どの作品でも100%全力、中島愛が歌う最新型アニソンの魅力を聞く

今年6月にデビュー10周年を迎えたばかりの中島 愛が、ニュー・シングル『知らない気持ち/Bitter Sweet Harmony』をリリースする。両A面シングルとなる本作は、TVアニメ『かくりよの宿飯』新EDテーマと『すのはら荘の管理人さん』OPテーマのダブル・タイアップ作品。しかもシンリズム、kz(livetune)という気鋭のクリエイターを制作に迎え、“まめぐ”らしさはそのままに新たなスタイルにも挑戦した意欲作だ。『重神機パンドーラ』の挿入歌を含め、多彩な楽曲が収録された本作について話を聞いた。

取材・文 / 北野創 撮影 / 草刈雅之
ヘアメイク / 松井祥子(add.mix B.G)


「知らない気持ち」は、恋する女性のいじらしさみたいなところがエンディングで出せたらと思いました

今年6月にデビュー10周年を迎えられた中島さんですが、今回のニューシングルはキャリア初のダブルタイアップ作品になりますね。

中島 愛 ありがたいことに両A面のそれぞれが違うアニメのタイアップがついて、しかもカップリングを含めると3つのアニメに関わらせていただいているんです。もちろん全曲タイアップ作品のカラーに合わせたい想いがあったので、どの曲に対しても100%全力で取り組ませていただきました。

まず「知らない気持ち」は『かくりよの宿飯』第2クールのEDテーマで、楽曲は若手シンガー・ソングライターのシンリズムさんが提供されてます。

中島 まず『かくりよの宿飯』の監督から「ゆったりした気持ちになれるバラード」というリクエストをいただきまして、どなたに楽曲を書いていただくか考えたときに、私が10周年を迎えたからこそ、自分よりも年下のフレッシュな若手の方に曲を書いていただきたいと思ったんです。シンリズムさんのお名前は存じ上げてたんですけど、改めてスタッフの方から曲を聴かせていただいたら、シティー・ポップの風味とどこか懐かしさのある素敵な楽曲を書かれる方だったので、作品にもピッタリだと思ってお願いしました。

年下の方からの楽曲提供は珍しいですよね。

中島 『Curiosity』(今年2月にリリースされたアルバム)に収録されている「愛を灯して」を作編曲してくださった坂東邑真さんとご一緒したのが、自分より年下の方から楽曲を提供いただいた経験でした。シンリズムさんはまだ大学生で、たぶん私とは見てきたものとか青春時代の流行り物は全然違うんですけど、昔の曲、特に洋楽にすごく詳しい方なので、お話してると何歳なのかわからなくなってしまって(笑)。感性はフレッシュなんですけど、どこかベテランのような視点を持ってらっしゃる方でした。

なおかつ、この曲ではシンリズムさんがボーカルでも参加されてて、サビの部分で中島さんと一緒にユニゾンで歌われてます。

中島 そうなんですよ。私の声と男性であるシンリズムさんの声がサビで重なることによって、(『かくりよ』の)登場人物の葵と大旦那との関係性が影のように浮かび上がってくるような曲になりました。いままでの私の曲だと、「ノスタルジア」という初期の曲に当時の私のディレクターのコーラスが入ってたり、北川(勝利)さんの曲に声を入れていただいたことはありますけど、ここまで男性の声がデュエットに聴こえる形で入った曲はめずらしいですね。

実際にご自身で聴いてみていかがでしたか?

中島 私は歌謡曲ファンとして、メインのボーカリスト以外の方がコーラスで参加されてることが好きなんですね。80年代はそれが普通だったと思うんですけど、今は本人がコーラスを入れたり、パソコンでメインの歌を使ってハモのラインを作ることもできるので、ソロだとなかなか自分以外の人の声が入る機会が少ないんです。でも、今回はそれを実現することができましたし、シンリズムさんの歌声も素晴らしくて、包容力があるんですよ。

私はバラードの場合、少し押しの強さが出てしまう声質だと思うんですけど、シンリズムさんはふくよかな声質なので、そのマッチングが自分でもすごく気に入ってます。ぜひいつかライブでも一緒に歌ってみたいですね。

中島さんがタイアップ曲を歌う場合は、作品に寄せた歌い方を工夫されてますが、今回はどのようなイメージで歌われたのですか?

中島 これはもう1曲の「Bitter Sweet Harmony」とも共通してるんですけど、私の中では〈強くメッセージを伝えようとはしない〉という裏テーマがあったんです。特に「知らない気持ち」は、遠くの人に手紙を書くような気持ちと言いますか、〈この声が届いても届かなくても……〉みたいに少し内省的なイメージをつけたいなと思いまして。基本的には葵のことを考えながら歌いながら、恋する女性のいじらしさみたいなところがエンディングで出せたらと思いました。

サウンド面でも生楽器中心のアレンジが暖かな雰囲気を作り出してます。

中島 特別ノスタルジックに寄せたかったわけではないんですけど、結果的にどこか懐かしさが前に出てるので、時代に関係なく、長く聴いていただけるバラードになったと思います。やっぱりシンリズムさんが普段やられている音楽がベースにあるので、新しさと懐かしさが綺麗に融合してると思いますね。

「Bitter Sweet Harmony」では、20代半ばの大人っぽい可愛さをイメージして

もう一方の「Bitter Sweet Harmony」は『すのはら荘の管理人さん』のOPテーマで、2012年にlivetuneの楽曲「Transfer」でコラボしたkzさんとの再タッグ曲になります。

中島 「Transfer」は発表した当時の反響もすごかったですし、そもそも私がフィーチャリング・ボーカリストとして参加させていただいたこと自体が自分の中でも大きくて、個人的にもキャリアの中ですごく心に残る一枚だったんです。なので、いつかは自分の作品にもkzさんに参加してほしいと思ってたんですけど、途中で私が少しお休みしてしまったこともあって、6年越しでやっと実現しました。

「Transfer」はフロアユースなエレクトロ・ハウスでしたけど、今回の「Bitter Sweet Harmony」はスイング感のあるポップなサウンドで意外でした。

中島 たぶん「あっ、そうくるんだ!」と思ってくれた人も多いと思うんですけど、私もデモをもらったときにそう思いました(笑)。kzさんがどんな方向で作ってくださるかは、私も普通にリスナーとして楽しみに待ってたんです。私はバキバキ系の曲でもカッコいいかなと思ってたんですけど、いただいた曲がスウィンギーかつキュートな感じだったので、意外でしたね。

歌詞の内容は『すのはら荘』に合わせてか〈優しいお姉さん〉感が溢れ出てますね。

中島 基本的に私は管理人さんの気持ちになって歌っているんですけど、今回、この楽曲をいただいて、自分の中に〈年下の人から素敵なお姉さんと呼ばれたい〉願望があることに気づいたんですよ(笑)。なので、『すのはら荘の管理人さん』ありきではありますけど、私の中の夢と願望と妄想を込めて歌ってます。

中島さんは声優としても『すのはら荘』に小薗園井舞子役で出演されてますが、この曲を歌うにあたってその役柄のことも考えたりは?

中島 舞子も(主人公の)亜樹より年上の高校生のお姉さんなので、年下を愛でる気持ちという意味では、そんなに遠からずではあるかもしれませんね。でも、管理人さんと舞子とでは少しテンション感が違うかもしれません(笑)。

ちょっと行き過ぎたキャラなんですね(笑)。先ほどこの楽曲の歌について〈強くメッセージを伝えようとはしない〉という裏テーマがあるとおっしゃってましたけど、具体的にはどんな部分にこだわりましたか?

中島 この曲は楽しい雰囲気の曲なので、そんなに難しく考えて歌わないのがベストだとは思いつつ、言葉をぶつけるみたいに歌っても自分だけが楽しい感じになってしまうので、いかに〈君が来るのを待ってるよ〉感を歌で表現するかを考えたんです。

いままで歌は投げかけるものだとずっと思ってたので、受け止める側の歌を歌うのは難しかったんですけど、そこはkzさんと相談して、歌の年齢感を普段のアップテンポの曲を歌うときよりも少し上げて、20代半ばの大人っぽい可愛さをイメージして歌いました。媚びないし、キャピキャピしないけど、明るいというか。

ただ、〈明るい〉と〈キャピキャピ〉がイコールでつながらないように歌うのはすごく難しくて、下手したら私の中の自己満足で終わってしまうかもしれなかったんですけど、そこはkzさんが適切なジャッジをしてくださいました。

そのようにこだわって歌われた甲斐もあってか、聴き手の疲れた気持ちなどを受け止めてくれる曲になったと思います。

中島 やっぱりこの歌詞がいいですよね。私もついに〈少し疲れちゃったら 甘えたっていいんだよ?〉という歌詞を歌えるときがきたんだと思いましたけど、自分で歌いながら「言ってほしいー!」と思いましたから(笑)。

難しく考えずとも、元気が出たとか、少し気持ちが上がったとか、そういう風になれる歌がいちばんだと思うんですよね。『すのはら荘の管理人さん』のアニメも同じで、仕事で疲れて、夜に帰ってきたときに観て、ちょっと元気になるみたいな作品だと思うので。そういう歌がうたえるといいですね。

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